「~?」桜の咲き誇る、美しく明るい通学路を12歳の少年、リュウキは鼻唄混じりに歩いていた。リュウキはこの四月に中学生になったばかり。今日は入学式の翌日で初登校。希望に満ち溢れた記念すべき入学初日だ。部活は何部に入ろうか。小学校の頃から思いを寄せていたあの娘とはうまくやっていけるだろうか。そんな希望に胸を膨らませながら、歩いていた。「ごめんなさいね。でも、あなたが悪いのよそんな楽しそうに歩いてるから」「ムガッ!?」突然、背後から耳にネチョリと耳にへばりつくような甘い女の声が聞こえたと同時に、鼻と口を白いハンカチで覆われた。「ムグッ!!!ムググッ!!!」リュウキは必死に抵抗した。突然襲われた、というのもあるが背後の女は危険だと自分の中の何かが警鐘を鳴らしたからだ。しかし、女の力は結構強く振り切れない。それどころかハンカチに染み込ませてあった何か甘い臭いのする薬品がリュウキの意識を蝕みリュウキはだんだんと眠くなり、眠ってしまった。「ウフ、何て簡単。新中学生を狙って良かった。成長期が始まった後だと振り切られちゃうからね」女はそう言って笑い、近くに停めてあった自分の車へとリュウキを運び、車を出したのだった。「…………ん………?」目を覚ましたリュウキが最初に見た景色はコンクリートの無機質な天井だった。天井を見て自分は寝かされているのだと判断し、起き上がろうとしたら手首足首が固定されていて動かせなかった。つまり、仰向けに寝かされて手足を拘束されている状態だった。左右を見渡しても、天井と同じように無機質な壁があるだけで何も無い。広さは学校の教室ぐらいか。部屋の隅に頑丈そうな鉄の扉がが一つ見える。しかし窓は無い。代わりにリュウキが見たことも無い色々な道具が部屋のそこらじゅうに転がっていた。一つだけ見たことがあるのがリュウキの家で飼っている犬が使っているのと同じようなエサ入れ。この部屋では動物でも飼っていたのだろうか。(確か………僕は………)記憶が蘇ってきた。たしか、妙な女に後から襲われて、(襲われて…………その後は…………ダメだ。思い出せない)「おまたせ~?」「!?」リュウキが懸命に記憶を辿っ