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早朝。秋の訪れで流れる風も肌寒くなりつつある。
ラッシュアワーを迎えた駅構内は通勤通学途中の客でごった返していた。
そんな喧騒の中、慣れた様子で雑踏をかき分けながら、一人の男が周囲に視線を巡らせる。するとホームに立ち並ぶ客たちの中に目当ての人影を発見し、こみ上げる喜悦を堪えるかのようにニヤリと頬を吊り上げた。
男(……お、いたいた……)
けたたましい警告音が鳴り渡り、列車がホームに滑り込んでくる。
扉が開くと同時に、駅のホームに並んでいた大勢の客たちが我先にと電車内に押し寄せる。男は人だかりの波に揉まれ、その間に姿を紛れさせながら、目的の人物の背後にぴったりと張り付く。
やがて発車ベルとともにドアが閉まり、車体ががくんと大きく揺れた。
電車が動き出し車内が完全な密室になったことを確認すると、男は気づかれぬようそっと背後からその人物に近づいていく。
先ほどから男がつけ回していた人物。
それは、ドアの脇に佇んで大人しそうに俯いている学生服の少女だった。
やや細身で背は低く、まだ凹凸の少ない体つきは思春期の少女特有のあどけなさを残している。顔立ちは愛らしく整っており、つり目がちな瞳はくりくりと大きく、猫のようなアーモンド形をしている。背中まで伸びる綺麗な黒髪はツインテールに結ばれて、少女の肩口に柔らかく流れていた。
下に履いたチェック模様のプリーツスカートからは白く美しい太ももが伸びており、上半身は長袖のブラウスの上から薄いグレーのニットベストを着込んでいる。その制服が、ここから程近い私立中学校のものであることを男は知っていた。
男「……やぁ、今日はこっちの車両にいたんだね。少し探しちゃったよ」
背後に並んでみると、少女の背は男の胸の辺りまでしかない。
頭をかがめて耳打ちするように小さく声をかけると、少女がびくっと身を固くした。
少女が怯えたように視線だけで振り返る。上下紺のスーツに身を包んだ男が、ひどく嫌らしい笑みを浮かべて立っていた。
少女「あっ……!」
男「さあ、今日も俺と一緒に遊ぼうか。気持ちよくしてあげるからね……」
男は少女の両足の間に膝を差し込んで割り開きながら、もぞもぞと手を胸元に忍ばせていく。
指先に触れる、わずかに膨らんだ双丘。大きさはなくとも、その柔らかい感触はそれが確かに異性の体なのだとはっきりと伝えてくる。成熟しきっていない少女の肉体が放つ魅力に男の興奮が高まり、ズボンの内側で彼の息子が敏感に反応する。あっという間に最大まで勃起した陰茎が、男の股間を盛り上げテントを張った。
男が少女と出会ったのは二週間ほど前に遡る。
もともと痴漢の常習犯だった男は、こうして気弱で大人しそうな獲物を見つけてはその毒牙にかけていたのだ。少女が目に涙を溜め、声も上げられずされるがままになるのが、男にとってはたまらなく快感だった。
最初に痴漢をされて以来、少女は乗車する車両を変えたり、時間を一、二本ずらしたりといった子供だましの抵抗を続けていたが、それらのすべては無駄に終わっていた。もし大げさに騒げば、痴漢に襲われていた事実が周囲にバレてしまうかもしれない。年頃の少女にとって、それがどれほどの打撃と恥辱を与えるかは想像に難くない。その恐れが、少女に強く歯向かうことを躊躇わせているのだろう。
少女「…………ん、んっ……」
衣服越しに胸を愛撫されている間も、少女は声を押し殺してじっと耐えているようだった。
男「ほら……君の体がエッチなせいで、こんな風になっちゃったんだよ?」
男が欲情に息を弾ませながら、ズボンの中で怒張したものを少女の小さなお尻にぐりぐりと押し付ける。瑞々しい臀部の弾力がぷにぷにとペニスに刺激を与える。男はますます肉欲に目を濁らせ、少女の白いうなじに熱っぽい吐息を吹きかけた。
自分の体を這う気味の悪い感触に、少女がぞわりと鳥肌を立てる。
だが次の瞬間、男から見えない位置で、俯いたままの少女が何かを企むように忍び笑いを浮かべた。
男(ん……?)
いつもならば口を固く閉ざし、じっと息を潜めているだけの少女。
だがそんな彼女が今日に限って男のほうに向き直り、何かを訴えるように顔を上げたのだ。潤んだ瞳で上目遣いに見つめられ、その艶っぽい表情に男は目を見開く。するとさらに驚いたことに、少女はそっと男のズボンに触れると、愛おしそうに股間を撫で回し始めた。
少女「おにーさんのここ、すごくおっきくなってるね……触ってみてもいい?」
そして少女はあろうことか自らファスナーを指先でつまみ、ジジジ……とゆっくり下ろし始める。
男「あ、ああ……いいよ。今日は随分と大胆なんだね……」
いつもとは正反対の痴女のごとき振る舞いに、男は戸惑いと違和感を覚える。だがそれも、少女から与えられようとしている興奮に比べれば些細な問題に過ぎなかった。
男(もしかしたら、今までもこの子は俺に痴漢されながら感じてたんじゃないか……?)
男(そうかそうか、そんなに俺に触られるのがよかったんだな……)
性欲の前に冷静な思考が消え失せ、あまりにも楽観的な考えが男の頭を支配する。少女から立ち上る甘い香りに、くらくらと眩暈がしそうな気分だった。
もぞもぞと股間を這い回る少女の指が、パンツの内側に入り込む。
ペニスに直接触れる冷たい指先。むずがゆいような刺激に、男がくぐもったうめき声を上げた。
少女「わー、あっつーい……それにとっても固くて……これって、おちんちんなんだよね」
男「う、ぅ……はぁ、はぁ……そうだよ……っ」
男は興奮に満ちた様子で少女の手に身を任せる。
だが男の期待に反して、彼女の手のひらはペニスから離れると、さらに下のほうへ降りていく。
少女「……あ、何か変なのがあるよ? おにーさん? ねえねえ、こっちの柔らかいのはなに?」
男「ああ、そっちは金玉……いや、君には睾丸とかタマタマって言ったほうがわかりやすいかな。学校ではもう習った?」
少女「うん、知ってるよ。ふーん……これがタマタマなんだー」
指先でやわやわと睾丸の表面を揉まれ、男の背筋をぞくぞくとした快感が走る。
だが同時に、男はそれが急所を握られている危険と表裏一体の快楽であることを思い出し、嫌な予感が沸々と湧きあがってくるのを感じた。念のため、強くしないよう釘を刺しておいたほうがいいかもしれない。
男「な、なあ……そっちはできるだけ優しく、して……」
少女「あ、そっか。そういえば男の人って、タマタマを強く打ったりすると痛いんだっけ……?」
股間のスリットに手を突っ込んだまま、少女がクスッと小さく笑う。
少女「じゃあ、たとえばこんな風にしたら痛いんだ?」
――ぎゅぅぅ……!
突然、男が無防備に預けていたタマが強烈な力で握り締められる。
男「ぐっ、ぉ……ん、んんっ……っ!」
冷や水を浴びたような衝撃。
男(な、なんだ……! どうして、一体何でこんな……っ!)
少女「おにーさん、静かにしてないとバレちゃうよ?」
睾丸を握られる苦痛に思わず悲鳴を上げかけた男が、咄嗟にその声を押し殺す。
もしこの状況が周囲に露見すれば、たとえ少女のほうからも積極的に触ってきたとはいえ、実際に痴漢を働いていた男に言い訳の余地はない。唇から漏れた小さな叫びは、列車の騒音と車内にざわめく乗客の話し声によってかき消され、誰にも届くことはなかった。
少女はそんな男の葛藤など素知らぬ顔で、握ったままの睾丸を下に引っ張る。
男「うぉ、ごっ……ぉ、ぉ……っ!」
少女「おにーさん、背高いね。もうちょっとしゃがんでくれる?」
今まで獲物としか考えていなかった少女からの思いがけない逆襲。
先ほどまで硬くそそり立っていた男の男根が、みるみるうちに縮こまっていく。
下腹部を襲う鈍痛とこみ上げてくる吐き気。吉野は今すぐに少女の手を振り払って、その場にうずくまりたい心境だった。だが痴漢に適した満員電車に乗ったのが災いして、混雑した車内ではろくに身動きを取ることさえできない。それに少女の手のひらはタマを固く握り締めており、下手に抵抗する素振りを見せればどんな目に遭わされるかわからなかった。
少女「はーやーく、ね?」
――ぎゅぅぅぅーっ……!
男「ん゛っ、あぁ、ぁっ、ぁっ……わ、わかっ……やめっ……」
額に脂汗を浮き上がらせつつ、男はかくかくと震える脚で中腰の姿勢になる。
腕力では圧倒しているはずの少女に逆らえない自分が、ひどく情けなく感じた。
少女の大きな瞳が間近に迫り、真正面から男を見据えた。
少女「ぷっ、あははっ、おにーさん、変な格好……」
不恰好な体勢でぷるぷると震える男の滑稽さに、少女が馬鹿にしたような笑みをこぼす。
だが屈辱的な言葉を投げかけられても、睾丸を襲う圧迫感と痛みに耐えている今の男には、反論することさえ許されない。
少女「おにーさん、ちょっとお話したいことがあるから、次の駅で一緒に降りようね?」
少女「いい子だから逃げないで……私の言うこと、ちゃんと聞けるよね?」
有無を言わせぬ少女の視線に、引きつった表情で無言のまま、こくこくと小さく頷く。
もはや少女の言いなりになる以外に、男の選べる選択肢はなかった。
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降車した男が少女に連れて行かれたのは、駅構内の外れにある女子トイレだった。
あまり使われていないのか、薄暗いトイレ内はがらんとして人気がない。
少女は周囲に誰もいないことを確認してから、男の背中を押してトイレに入る。そして人目につかなくなるやいなや
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男(あれ……ここは一体……?)
深海から浮上するように、闇に包まれていた男の意識がゆっくりと覚醒していく。
いつの間に眠っていたのか、ひどい悪夢を見ていた気がする。
だが目覚めた男を待っていたのは、まさしくその悪夢の続きだった。
男「が、ぁっ……ぁぐ、ぅぅ……っ!」
突然、股間から腹部にかけてズキズキとした痛みが走る。慌てて飛び起きようとした途端、後ろに回された手首が何かに引っ張られるような抵抗を感じて、男は自分の体が拘束されているのに気づいた。
佐奈「あ、起きましたか? お兄さん」
里奈「おにーさん、おはよー」
男「ぁ、え……?」
男が何度か目蓋をしばたたかせると、ぼんやりとした視界が徐々に鮮明になっていく。
目の前には同じ顔をした二人の少女。
男のいる場所は、どうやらトイレの個室のようだった。男は蓋を下ろした洋式便座の上に足を開いた状態で座らされており、両手は結束バンドによって後ろのパイプと繋がれている。口を塞いでいたソックスが取り去られているのは、男の吐いた吐瀉物が喉に詰まるのを心配した少女たちの配慮であるようだった。
佐奈「残念です。せっかくだからこれを使って起こそうと思ったのに……」
少し不満そうな表情で佐奈がごそごそとカバンから取り出したのは、少女には似つかわしくない大きくて無骨なスタンガンだった。佐奈は男の目の前で、これ見よがしにスタンガンのグリップ部分にあるトリガーを押し込む。既に安全装置はオフになっているらしく、バチバチと空気の弾けるような音とともに電極部分で青白い火花が散った。
男「ひっ……っ!」
火を恐れる原始的な本能からか、男が反射的にぎゅっと目を閉じて身を竦ませる。
里奈「お姉ちゃん、そんな武器があるんだったら最初から使えばいいのに~」
佐奈「ご、ごめんね。通販で買ったのはいいけど怖くって、それに電車の中だと使う機会がなかったの。でも里奈ちゃんが痴漢の人を捕まえるって言うから、武器がないと危ないと思って慌てて持ってきたんだ」
佐奈「……お兄さん、大事なところをこれでビリビリってされたくなかったら大人しくしていてくださいね?」
佐奈はすっかり男に対する恐怖を克服したようで、嗜虐的な含み笑いを浮かべながら強気な態度で、放電していない電極をぐりぐりと男の股間に押し付ける。少女が少しでも機嫌を損ねてしまえば、彼の男性器を高圧電流が駆け巡ることだろう。男は身の毛もよだつ恐怖に顔を真っ青にしながら、びくびくと落ち着かない様子で首を何度も縦に振った。
佐奈「まずはお兄さんのタマタマが潰れちゃってないか確認しますね」
里奈「それじゃあお姉ちゃん、これ脱がせちゃおっか」
佐奈は里奈と一緒に男の股間の前にしゃがみ込む。
そして男が脚を閉じれないように押さえつけながら、二人がズボンのベルトに手をかけた。
佐奈「うぅ……私、男の人のあそこを見るのって初めてだから、ちょっと怖いかも……」
里奈「うん……けどさ、ドキドキもするよね、フフッ……」
声を潜めて、少女たちが思春期の子供らしい抵抗感と好奇心の入り混じった会話を交わす。
勇気を出してゆっくりとズボンを下ろし、邪魔なシャツを肌蹴させる。男の下半身は熱気に汗ばみ、水を被ったようにトランクスがぐっしょりと湿っているのがわかった。何度も蹴られた影響か、赤い痣の浮かんだ太ももがぷるぷると情けなく震えている。
そしておそるおそる指でつまむように下着のゴムを掴むと、佐奈は意を決してそれも一緒に引き摺り下ろす。
すると、二人の眼前に初めて目にする男性器が剥き出しになった。
里奈「あ、出た出たっ」
佐奈「うわぁ……なに、これ……やだ、気持ち悪い……」
里奈「フフッ、お姉ちゃん。そんなこと言ったらおにーさんが可哀想だよぉ」
佐奈「で、でも、本当に気持ち悪くって……男の人って、こんな変なものが生えてるんですね……」
二人の少女が男の股間からまろび出たペニスを食い入るように見つめながら、勝手気ままに感想を言い合う。
佐奈「おちんちん、蒸れて……臭いがすごいです」
佐奈「これが、男の人の臭い……」
汗ばんだ陰部から独特の臭気が漂ってくる。
佐奈がすんすんと鼻を鳴らす。体臭を何倍にも濃くしたような男臭さに、それを嗅いだ少女の顔が嫌悪に歪んだ。
佐奈「ひどい臭い……臭くて、汚くて、最低ですね、お兄さん……本当に最低……」
桜色の可愛らしい唇から吐き捨てるように言い放つ。蔑むような冷たい目を男に向け、少女は不快感を隠そうともせずに感情をぶつけてくる。だがそんな態度の一方で、彼女はその悪臭を味わうように鼻腔に含むと、どこか陶酔したように頬を染めていた。
里奈「へー、電車の中で触ったときよりちっちゃくて、なんか芋虫みたーい。えい、つんつん……」
一方の里奈は、だらんと垂れたペニスのほうに興味を引かれたのか、指で遠慮なく突っついてくる。
中学生の少女たちの前でペニスを晒している。その倒錯的な光景にくらくらと眩暈がした。
こんな状況だというのに、男は股間をいじくりまわす少女の指先に敏感に反応してしまう。自分の意思とは関係なく陰茎が首をもたげ、股間を触る里奈の手つきに合わせて徐々に膨張し始めた。
里奈「あはっ、おっきくなった~」
佐奈「や、やだぁ……これ、勃起……してるんですよね? え、なんで……お兄さん、興奮してるんですか?」
目の前でむくむくと空気を入れたように立ち上がっていく男の象徴。
少女に見せ付けるかのように反り返ったペニスは、流れ込んだ血潮でどくどくと力強く脈打っている。
佐奈はそれを信じられないという気持ちで見つめていた。
里奈「う~ん、お姉ちゃん、やっぱりこの人反省してないみたいだよ」
佐奈「そうだね……私たちにおちんちん見せて、それで興奮してえっちな気持ちになっちゃってるんだもんね……」
里奈「でも勃起するってことは、まだおにーさんのタマは潰れてないってことだよね、どれどれ……?」
陰茎が持ち上がったことで、その下にぶら下がっていた睾丸が視認できるようになる。
少女たちから加えられた拷問めいた仕打ちによって、男のタマはところどころが内出血で青紫っぽく変色し、その大きさもひとつひとつが野球用のボール大にまで腫れ上がっていた。冷たい便器の上で怯えたように震えるタマに少女の手が伸ばされても、拘束された男には股間を隠すことも逃げ出すこともできない。
男「ぎっ、んっ……んぐ、ぅぅっ……っ!」
里奈「わ、熱くてなんだか腫れちゃってる。でもよかったね、おにーさん。タマタマ潰れてないみたいで」
男の睾丸を手のひらに包むようにして、里奈が中にある球体の感触を確かめるように指を沈み込ませる。
ゴムボールのように弾力のある柔らかな感触が面白いのか、少女がぐにぐにと楽しそうに睾丸をこね回し、楕円形のタマが形を変える。その度に刺し貫かれたような穿通が走り、男は口から漏れ出しそうになる悲鳴を必死に押し殺さなければならなかった。
里奈「ね、ね、おにーさん? 私たちそろそろ学校に行かなきゃいけないんだ。それでね、おにーさんをどうするか、さっきお姉ちゃんと話したんだけど……おにーさん、このまま警察に突き出してほしい?」
男「そ、それは……」
警察という単語に、男がびくっと身を竦ませる。
逡巡するように言いよどんだ男が、やがて震える声音で懇願するような目線を向けてくる。
男「……や、やめて……くだ、さい……お願い、します……」
その願いを被害者である少女たちが聞き入れてくれるかどうかはわからない。
それでも今の男には、ただ必死に頭を下げるしかなかった。
里奈「ふーん……やめてほしいって、お姉ちゃん」
佐奈「そうですよね……。私も警察の人に説明するのは恥ずかしいですし……それに逮捕されちゃったら、お兄さんの人生は滅茶苦茶になってしまうんですよね。きっとお仕事も辞めさせられて、もし奥さんや子供がいたら、家族の方々にも迷惑がかかってしまうと思うんです。それはさすがに可哀想かなって……」
気遣うような佐奈の言葉に、男はほっと胸を撫で下ろして安堵の息を吐く。
佐奈「ですから、タマタマを潰すだけで許してあげようと思うんです」
だがその直後、耳を疑うような恐ろしい宣告とともに微笑んだ少女の笑顔が、男の表情を凍りつかせた。
佐奈「だって、悪いのはお兄さんじゃなくてタマタマのほうですもんね。私、知ってるんですよ? 男の人はそこに精液が溜まると、子供を作るためにえっちな気持ちになっちゃうんですよね。だからお兄さんも、痴漢なんて悪いことをしてしまうんです。普通の人は理性で性欲を抑えられるのに、お兄さんはダメな人だからそれができないんですよね?」
佐奈「お兄さんが自分で性欲を抑えられないなら……性欲の元になっているタマタマを潰しちゃうしかありませんよね?」
里奈「お姉ちゃんの優しさに感謝してね、おにーさん?」
里奈が意地悪そうな表情でクスクスと笑い声を上げる。
男「ぁ……ぁ、ぁぁっ……っ!」
恐怖のためか、男の歯がカチカチと擦れ合う音を立てた。
首筋から大量の冷や汗が噴き出し、口の中がカラカラに乾く。呼吸をしようとすると、喉の奥でヒューヒューと喘息に陥ったかのような苦しげな音が鳴った。
震えのあまり舌をもつれさせながら、男が必死に言葉を紡ぐ。
男「や、やめ……やめてくれ……っ! もうしない、二度とこんなことはしないから……っ!」
男は目に涙を浮かべて、何度も首を横に振りながら佐奈が考え直すように訴える