見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)

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a85626692:見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
转自:kinakomochi.x.fc2.com 作者正在构思一部长篇拷问大作 希望大家能去网站支持一下
見習い拷問官、一ノ瀬早苗:


拷問

 暴力的、非人道的などと非難を受け、何度も歴史上廃止されてきた手段。
 しかし凶悪犯罪が増えた今日、「拷問」を合法的な権利として行使することが必要となっていた。
 科学が進歩した時代、犯罪は巧妙化する。
 前科や身辺の環境から言って、その人物が犯罪を行ったのは間違いない。
 だが物証がない。
 進歩したのは善の科学だけではなかったからだ。犯罪者は工夫を凝らし、物証が出ないように細
工する。犯罪者の科学力が警察の科学力を上回った瞬間、物的証拠による立証は不可能になる。
 なんとか本人に吐かせるしかない。
 そうなれば、「拷問」が社会に必要とされるのは最早必然とも言えた。

 そして「拷問による自白」が合法的に採用されるための法改正が進められ、それからはや3年。
 数多くの犯罪者が拷問に処され、ついには自白して有罪となる者も多くなってきた。
 だが逆に、いかに痛烈な拷問を加えようとも自白しない者もいる。
 効率的に、そして確実に犯罪者を自白に追い込むための方法に、拷問官達は日夜苦悩していた。


 検察庁最高拷問所。

 この国での「拷問」のエキスパートが集まる公的機関。
 どの地方拷問所でも己の悪事を語ろうとしない犯罪者(容疑者)が今日も連れてこられる。
 その建物の地下にある第54拷問室の前で、二人の女性が話をしていた。
 一人は腕利きの拷問官育成士。眼鏡をかけた、20代半ばほどの女性。
 そしてもう一人は表情にあどけなさが残る、もじもじとした少女であった。
「レイコさん……、本当にやるんですよね……?」
 眉をハの字に曲げ、少女は心配そうに眼鏡の女性を見上げる。
「そうよ。大丈夫。何回も練習してきたじゃない。私も隣でちゃんと見ていてあげるから。心配す
ることないわ」
「でも……」
「後ろめたく思うことは何もないの。相手は犯罪者。許されざる、社会の悪よ。それを撲滅する私
たちの仕事は善でしかないわ。そうでしょう?」
「……はい…」
「なら、あなたも頑張りなさい。緊張するかもしれないけど、これはあなたにしか出来ないことな
のよ。自信を持ちなさい。あなただけの才能が、社会の悪をひとつ消すの」
「……わかりました。がんばってみます」
 弱々しくも、しかし確かに決心の言葉を口にする少女。
 その表情を見て、レイコと呼ばれた女性は優しく微笑んだ。
「大丈夫。私もあなたのことを信じてるわ。行ってらっしゃい、早苗」
 二人は別々の扉を開ける。
 レイコは「第54拷問室 - 観察室」と書かれた扉を。
 そして早苗は「第54拷問室」と書かれた扉を。
a85626692:Re: 見習い拷問官(拷问 颜骑 放屁 虐杀 多选择结局 无翻译)
清水浩太郎(しみず こうたろう)。24歳。男性。無職。
 容疑、強姦。
 S地方拷問所から最高拷問所へと送還。地方拷問所では口を割らなかったため。

 彼が深夜に一人で歩く女性を襲い、強姦をしたことは誰が見ても明らか。
 女性は彼の写真を見て「この男に間違いない」と証言した。
 彼にはアリバイがなく、前科がある。
 掛けられた容疑は5名の女性の強姦だが、余罪があると見られる。
 しかし、物証が出ない。
 被害を受けた女性に付着した体液のDNAを調べたが、既に世の中ではDNAを改竄する技術が開発
されており、一致はしなかった。女性の証言も辺りが暗闇だったこともありはっきりしないとして
棄却され、結局浩太郎に「拷問」が許可された。
 だが彼は口を割らなかった。
 しらっとした顔をして、数々の拷問に耐えた。
 そして今日、彼はこの最高拷問所第54拷問室へと送られてきた。


 猿ぐつわ、目隠し。手足はベッドのようなコンクリート製の台に固定され、全く身動きがとれな
い。だが浩太郎は恐怖を感じていなかった。地方拷問所での「拷問」は、笑ってしまうくらいぬる
いものだった。所詮、合法的に国家権力が執行できる「拷問」などこの程度のものなのだ。
 彼には過去があった。父親が母親にふるう暴力。その巻き添えで、何度も何度も殴られ、煙草を
押しつけられ、熱湯をかけられた浩太郎の少年時代。
 彼が過去に見た“地獄”と比べれば、合法的な拷問など全く恐るるに足らないことだった。
 “屁でもなかった”のである。
 だから、最高拷問所の存在も彼は全く恐れなかった。
 彼が犯したのは、完璧な完全犯罪。彼自身が自白をしない限り、罪にとられることは、絶対にな
い。

 ――絶対に俺は口を割らない。

 硬い決心。
 それがあるからこそ、彼はこうして拘束されていても、恐怖など微塵も感じることはなかった。


 コツ、コツ

 床を靴底が叩く音。
 その直後、浩太郎の目隠しが外される。
 そこにいたのは――、あどけない、少女。
「こんにちは」
 少女は言った。可愛い顔立ちをした、小柄な女の子だった。
 誰だ。この女は。浩太郎の頭が混乱する。まさかこの女が拷問官であるわけではないだろうな。
 彼の予想は裏切られることになる。しかし彼でなくとも、この少女が拷問官であるなどとは誰も
想像出来ないだろう。
「さ、最高拷問所拷問官の一ノ瀬早苗(いちのせ さなえ)です。清水浩太郎さん、あなたの拷問を
担当することになりました。よろしくお願いします」
 そう言って早苗はくりんとした目で浩太郎を見つめながら、その口に張られたテープを剥がす。
 途端に浩太郎は大声で笑い始める。突然のことに、早苗はびくっと驚いたようだった。
「ひゃははは! お嬢ちゃん、君が拷問官?俺の拷問を担当する? 笑っちまうね、本当に?何かの
冗談だろ?俺はてっきりゴツイ大男がやってきて散々やられるものだと思ってたが、お嬢ちゃんみ
たいに可愛い女の子だとはねぇ。こりゃ傑作だ!」
 余裕たっぷりで大笑いする浩太郎のわきで、早苗はすっかり萎縮してうつむいたまま黙り込んで
しまっていた。これではどちらが容疑者でどちらが拷問官なのか分からなくなってしまいそうであ
る。
 と、そのとき。
「黙りなさい」
という声が、拷問室内に響いた。壁に据え付けられたスピーカーからの声。
「なんだよ。どっかから見られてんのか」
 浩太郎はきょろきょろと周りを見回す。しかし、カメラは見つけられない。そんなものはないの
だ。この部屋の壁の一部はマジックミラーになっている。カメラではなくマジックミラー越しに、
第54拷問室 - 観察室から2人は監視されていた。
「レイコよ。清水浩太郎、お前は完全に拘束されている。そして私によって監視されているこ
とも忘れないことね」
 すごみのあるレイコの声に、浩太郎はひゅうと口笛を吹く。
「早苗ちゃんと同じ部屋にいるだけじゃなくて、他のお姉様にも観察されてるってのかい。いいね
ぇ、メラメラくるぜ。レイコさんだっけ?あんたの方がすごみがあって拷問官向きなんじゃねぇの?
ここにいる早苗ちゃんなんてすっかりビビっちまってるぜ?」
 そう言って彼はますます笑う。そして早苗は、ますます顔をうつむけてしまう。
「笑っていられるのも今のうちよ」
 無表情にレイコは呟くと、口調を少し変えて今度は早苗に話しかけた。
「早苗、準備は良い?」
「あ、あの…、はい、レイコさん……」
 おどおどしっぱなしの早苗を見て、浩太郎はニヤニヤとほくそ笑んだ。
「オイオイ、大丈夫なのか?この早苗ちゃんっていう拷問官。ホントに拷問できるんだろうなぁ?
俺もせっかく覚悟決めて来たのに、全然張り合いないぜ」
「好きなだけ軽口を叩いていればいいわ」
「つってもよぉ。地方拷問所での拷問を完全に耐えてきた俺にしちゃ、こんなお嬢さんからの拷問
なんて、屁でもねぇぜ?」
 浩太郎のその一言で、一瞬、室内がしんと静まりかえった。
 何だ?何か悪いことでも言ったか? 浩太郎には分からないであろう。彼が漏らした一言は、皮肉
として彼の運命をあざ笑うも同然だったのだから。
「屁でもない、ねぇ」
 含み笑いをしながら、レイコは呟く。
「な、なんだよ…、何が可笑しいってんだよ……」
「ふふ、いいわ。始めに教えてあげる。お前がこれから、どんな拷問を受けるかをね」


  *****


「お前は地方拷問所で結構な拷問に耐えてきたわ。だからあなたに、肉体的苦痛の拷問は通用しな
いでしょうね。でも残念だけど、ここで行われるのは地方でやるような甘い針刺しや水責めなんか
じゃないの。人体への苦痛は、“痛み”だけじゃないわ。時には“痛み”以外の刺激の方が、より
強力な苦痛を与えることができる」
「へ、何だって言うんだ。勿体ぶらないで教えろよ」
 あくまで強気な浩太郎。
 私はそんな彼をマジックミラー越しに見ながら、マイクに向かって、彼の運命を教える。
「今回お前が味わうのは、“臭い”よ」
 私の言葉に、嘘はない。
 だが浩太郎は一瞬動きを止めたあと、また大きく笑い始めた。
「はぁ?臭いィ? 何言ってんだレイコさんよ、臭いで何ができるってんだ。催眠効果のある臭いで
も嗅がせて吐かせようっていうのかよ。そりゃ正当な自白としては認められてないぜ」
「違うわ。あなたが味わうのは、もっと単純な拷問」
 私の言葉に、浩太郎は黙り込む。そして、薄ら笑いを浮かべたまま、ぼそりと呟いた。
「……とんでもなく嫌な臭いを嗅がせて自白に追い込む、なんて抜かすんじゃねぇよな?」
 半信半疑。彼の態度を、私は笑い返してやった。……これからどうなるかも知らないくせに。
「その通りよ。そしてそこにいる早苗にしか、この拷問は行えない」
 ――途端に、浩太郎は笑い出した。爆発したように。大声で。止められないほどに。
「ひゃはは!こいつは傑作だ!ひゃはははは!!」
 しばらくの間、私も声をかけるのはやめておいた。
 笑いたければ笑えば良い。
 誰だって、話だけ聞けば笑うだろう。これまでの肉体的苦痛。それに比べて、「臭いによる拷問」
など、塵のように軽いと思えるからだ。だが、“話だけ聞けば”という但し書きがあってこそこ
の事実を笑える。“実際に味わえば”彼はもう、笑うことなどできない。だから今のうちに、せめ
て笑わせておいてやろう。それが情けというものだ。
 笑い続ける浩太郎の隣で、早苗はすっかり怯えてしまっていた。
 仕方がないことだ。彼女の拷問官としての仕事は、これが初めて。私達が目を見張るような才能
を持った少女。それが一ノ瀬早苗。だが彼女の性格は、拷問官としては少々臆病すぎる。それは拷
問官育成士の私への、ひとつの課題でもある。
「我々も、“臭い”による拷問は3年前、拷問自白法が制定された当初から用いてきたわ。人工的
に作られた耐え難い悪臭。それを嗅がせ続け、自白したならば臭いを出すのをやめてやるという条
件を付ける。でもそれは、初期段階のとても軽い拷問として使われた。人工的に作った臭いであっ
ても、そのキツさには限界がある。精神力のある犯罪者は、その臭いを嗅がせ続けても耐え抜いて
しまうことがよくあった」
 笑い続ける浩太郎をよそに、私は説明を続ける。彼の耳には入っているはずだ。
「我々は悪臭測定装置『スメル・チェッカー』を開発した。人間にとっての臭いの不快指数をモニ
ターに表示する装置よ。例えば納豆の臭いは150、下水処理場の臭いは300、という程度に設定され
ている。その装置を用いて、我々は人工的にさらに強烈な臭いを製造しようと試みたわ。人体に鞭
打ちをする拷問よりも、“臭い”によって自白させることができれば外傷なく犯罪者を起訴できる
というメリットがあったから。でも、人間の科学力には限界があった。研究に研究を重ねても、で
きた最大の悪臭は指数1200までだった」
 1200。単純に考えれば下水処理場の4倍の臭い。それだけでも相当に強烈な臭いであることを想
像できるだろう。しかし人間の忍耐力は想像以上だった。その臭いですら、耐えてしまう犯罪者が
続出し、結局私達は暴力による拷問を執行しなければならなかった。
「でも、そこで現れたのが早苗。この子だったのよ」
 自分の名前を呼ばれ、早苗はピクリと動いた。そしてマジックミラーの方をじっと見た。そこに
いるはずの私を見つめているのだろう。
「レイコさん……」
「早苗。もう覚悟を決めなさい。これはあなたの仕事よ」
「………」
 黙り込んでしまう早苗。
 しかし、もう早苗に情けをかけるのは終わり。
 彼女はこれから、一人で仕事ができるようにならなければ。
 私の手助けなしで仕事ができるようにならなければいけない。

「清水浩太郎、お前に味わってもらうのは、早苗の放屁よ」

 笑っていた浩太郎は、黙り込み、目を丸くし、そしてまた笑う。
「ほうひ?なんだそりゃ?」
「おなら、っていうことよ」
「ひゃは! おならァ!? なーに馬鹿なこと言ってんだレイコさん!この早苗ちゃんが、おならを
して、俺を自白させるっつーのか? いっくらなんでもそりゃ酷い冗談だぜ!」
 笑い転げるのも無理はない。私だって、始めは我が目を疑った。
 そこにしゅんとして立っている早苗。
 純情そうな少女の早苗。
 おとなしくて、おならなんて間違ってもしないような早苗。

 その早苗の放屁が、人間の科学を超越した存在であるなんて――

「ある方法で早苗の力を知った我々は、彼女に協力を得て放屁をしてもらい、『スメル・チェッカー』
で測定をした。そして驚きの結果を得たわ」
「…レイコさん……」
「早苗。あなたは少し黙っていなさい」
 うつむいて、顔を赤く染める早苗。女であれば誰だって、人前で自分のおならの話などされたく
はないものだ。しかし私は話さなければならない。彼女を、目覚めさせるためには。
「彼女の放屁は、我々人間の科学力を以て作り上げた最強の悪臭の値を、2桁分凌駕したの」
「は、ハァ!? 2桁分って、なんだよそれ?」
 ――私だって、あのときは同じことを考えた。
 これまでこの機械が表示した最高の数値は「1200」。
 しかし早苗のおならを測定したとき、ディスプレイには目を疑わずにはいられないような数字が
浮かんでいた。



 始めは、機械の故障だと思った。
 点検をし、他の『スメル・チェッカー』を用意し、何度も何度も測定した。
 しかし、その数値は間違いではなかった。
 むしろ回を重ねるほどに、その数値は上がっていった。始めの、私達の目を疑わせた273291とい
う測定値。それほどまでに臭いおならを放ったときでさえ、早苗は遠慮をし、本当の力でおならを
していなかったということ。
 私たちは震え上がった。
 人間の科学力を結集させ作った、最大の悪臭。その数値が1200。
 早苗は、“遠慮して出したおなら”で、その数値の200倍を超える悪臭をマークしてしまった。
 単純に、ごく単純に割り算をするのであれば、彼女のおならは、下水処理場の900倍臭い、という
ことになる……
「ま、真面目な声で冗談言う女だな、レイコさんよぉ?」
「冗談だと思っていられる間が幸せって奴よ」
 彼も、徐々に私の言葉に帯びる現実味を感じてきたらしい。
 とても信じられない事実。ハッタリとしか思えない。……だが、どうしてか、論理立てて説明で
きないような“現実味”を感じてしまう。
「こんなこともあったわ。早苗の放屁を測定するための実験を行っていたときのこと。彼女のお尻
にカバーを装着して、彼女が放った放屁は全て『スメル・チェッカー』に吸い取られるようになっ
ていた。だから周りの研究員達も何も気にせず、実験を続けていた。でもね、ちょっとした装置の
手違いがあって、早苗のおならが『スメル・チェッカー』の外に漏れだしてしまったの」
「…レイコさん……、その話は……」
 顔を赤らめ、私を制止しようとする早苗。
 でも、私は話すのをやめない。これは彼女のためなのだから。
 こんなところで恥ずかしがっていては、彼女は何もできはしない。
「外に漏れだした結果――、その実験室にいた30名の研究員は、一人残らず気絶したわ。放屁した
張本人の、早苗を除いてね」
「お、オイ、冗談も休み休み言えってんだ。そんなことが出来る人間がいるはずねぇってのは、俺
にだってすぐに分かるぜ?」
「それがいるのよ。お前の隣にね」
 ついに、浩太郎は口を利かなくなってしまった。
 あれほど元気に笑っていた彼も、すごみのある私の声に押されてしまったらしい。そして自分の
傍に立っているこの少女が本当にそんなに恐ろしいことをするのか。頭の中で必死に考えている様
子だった。

 ――はぁ。

 私はマイクに音が入らないように注意して溜め息をついた。
 今語ったことは、全て真実。
 そしてそれを今から、早苗が浩太郎の前で証明する。
 彼女のおならの力を見せつける。
 それが今の「拷問」には必要だった。
 人を肉体的に傷つけるのではなく、耐えられない臭いによって自白に追い込む。
 私は人を傷つけて罪に陥れることはもうやりたくない。
 だってそうだろう。
 人を殺した人間を罰するために、その人間を暴行する。
 これではどちらが悪なのか分からない。
 でも“臭い”だったら?
 “臭い”であれば、人を暴行せずに悪だけを正すことができるのではないのか?

 そのためには、早苗の力が必要だった。
 だからこの初仕事で、早苗のシャイな性格を直すしかない。
 あの臭いは、早苗の体でしか作れない。人工的には、作ることができない代物なのだから。

「早苗、やれるわね?」
「……はい…」
 小さく頷いた。大丈夫、彼女ならやってくれる。

 そして早苗は、ゆっくりと、浩太郎の顔に跨るように台に座った。
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 颜骑 放屁 虐杀 多选择结局 无翻译)
むっにゅうぅぅ~~っっ!!

 遠慮がちであるものの、しかし確かに、早苗の尻が浩太郎の顔を押しつぶす。
「ん、んむうっ!?」
 正直な話、浩太郎は少々驚いていた。
 背も低く、華奢に見えた早苗だったが、彼女が恥ずかしそうにスカートを捲り上げたときに、初
めてそれが分かった。そして白いパンツに包まれた尻が落ちてくる時点で、それを確信した。
 早苗の尻は、驚くほど大きかった。
 細身で、無駄な贅肉など少しもついていないように見える早苗の体。胸も服の上からではほんの
少し膨らんでいることが確認できるくらいの貧乳。しかし彼女が一度スカートを捲ってみせれば、
その印象はガラリと変わった。
 大きい。大きいのだ。尻が。とにかく。
「むうっ!!」
 顔に座り込まれたらほとんど呼吸が制限され、息苦しくなってしまうほどにむっちりとした尻。
体の他の部分につくはずだった贅肉が全て尻に回されてきたのではないかというくらいの巨尻。だ
がそのアンバランスさはけして醜くはない。むしろ、小柄で儚げな少女が持つ特大の尻は男として
の本能を強くかき立てるものであった。
 しかし、そのヒップで顔面騎乗されたとなっては悠長なことは言っていられない。浩太郎の体は
拘束具によって完全に台に固定されている。手も動かなければ、足も動かない。顔の上に座り込ん
だ早苗をどかすことは、今の彼にはできない。尻以外の部分はほっそりしているとは言え、人が一
人乗っているのである。かなりの重圧だった。
 しかも――
 さっきレイコが話していた内容が真実だったとすれば、今、浩太郎が置かれた状況はすこぶる危
険ということになる。
 下水処理場の900倍の臭い?そんなもの、あるはずない。あったとしても人間の体で、さらに言え
ばこんな可愛い少女の体でその臭いが作られるはずがない。これはハッタリだ。恐れることはない。
彼はそう言い聞かせる。言い聞かせる……、が、もしも、万に一つ、レイコの話が真実だとしたら?
 こうやって尻をむにゅっと押しつけられても、早苗の体やパンツからは悪臭と言うものは全くと
言って良いほどしなかった。むしろ女の子特有のシャンプーの匂いがして気持ち良いとすら感じる
ほど。
 だが、この息苦しさはたまらない。そして頭のどこかでレイコが言った「早苗のおなら」を恐れ
ていた浩太郎は、強気なそぶりを見せながらも頭を動かして藻掻きまくった。
 ――すると彼の顔への圧力が急になくなる。早苗が尻を持ち上げたのだ。彼女は浩太郎の頭に全
体重がかかるような姿勢でちょこんと座り込んでいたが、今は蹲踞をするようにして両脚の間から
浩太郎の顔色を心配そうに窺っていた。
「す、すみません。苦しかったですか?」
 おろおろとしながら浩太郎を見下ろす早苗。
 そこで彼は確信する。この女、拷問をすることに全く慣れていない。これは演技ではなく、素で
俺の心配をしているのだ。人を拷問にかけるというのがどういうことなのか、この女は知らない。
 彼は笑いそうになった。こんな虫も殺せないような女に拷問などできるはずがない。ましてや人
知を越えるようなおならを放つことなど、出来るはずもない。あれは間違いなくハッタリだ。
 だが今度は彼は笑わなかった。そうしない方が得策だと思ったからだ。わざとらしく咳き込み、
「く、苦しかった……」
と言って顔をしかめてみせた。
「い、息出来なかったですか?」
「全然息できねぇ…、マジ辛いぜ……」
「あう、す、すみません……」
 ますます恐縮する早苗。そうだ。これで良い。この甘い女が相手なら、いくらでも目をくらませ
られる。合法的に行える拷問には限界がある。この弱気な新米拷問官の女を相手にしていれば、俺
は罪に問われることは、絶対にない。

 絶対に自白なんてしない。俺は有罪には、絶対にならない。

 浩太郎の決心はますます固まった。絶対にこの拷問から逃げ切ってみせる。そう誓ったのだ。そ
うと決まれば彼にとってこれは、拷問などとは呼べないくらい易しい代物だった。
「早苗。のんびりしてないで、あれを刺しなさい」
 そこですかさずレイコの声が響く。
「は、はい、レイコさん」
 慌てたように言うとカチャカチャと音を立てて何かを用意し始めた。
 何だ?何が始まる?
 キュポンと音がした。そこで浩太郎は目にする。早苗が手に持った――、注射器を。
「お、おい!なんだそりゃ!」
 流石の浩太郎も、これには慌てた。あの注射器、何が入ってるんだ? まさか毒殺しようっていう
んじゃないだろうな。
「何しようとしてんだ? ど、毒でも打ち込む気かよ! 神経毒を使っての自白は証拠としては採用
されないはずだぜ!?」
「大丈夫です、そういうんじゃありませんから」
「じゃあ何だってんだよ!?」
 早苗は注射器を浩太郎の腕に近づける。それを持つ彼女の手も小さく震えていた。彼女自身もま
だ使い方に慣れていないらしい。
「心配しないで。それは毒ではないことを保証してあげるわ」
 レイコがスピーカー越しに言った。
「本当だろうな?」
「本当よ。拷問自白法第6条。『拷問官は被拷問者の前で虚言を述べることを禁ずる』。私も早苗
も、お前の前で嘘をつくことはできないの。もし嘘をついたら、それは正当な拷問とは認められな
くなってしまうわ」
 それは確かな法律の条文だった。拷問を受ける者は犯罪者である可能性が高いと認められた者に
限られるが、それでもまだ「容疑者」の段階である。疑わしきは被告人の利益に、というのは有名
な話。今の浩太郎は拷問を受けていると同時に、法律によって確かな人権が認められているのだ。
 だがそうなると、先ほどのレイコの発言も真実ということになる。「早苗のおなら」。それが、
人が想像できないようなものであるというのも、紛れもない事実ということに……。
 浩太郎は、混乱してきた頭を振って一端余計な事柄を追い出す。待て。まずは、今この瞬間のこ
とを考えるべきだ。早苗が持っている注射器。それが何なのか。一体彼女達は何をもくろんでいる
のか。
 チクリ、という僅かな刺激の後、注射器の中の液体が彼の体内に注入される。
「う、ああ……?」
「ちょっとチクっとしただけでしょ? それは精神強化剤。お前の体にとって毒になるものではない
わ。まぁ、気付け剤みたいなものね。よくあるでしょ?徹夜するときに飲む栄養ドリンク。あれの
ちょっと強力な奴だとでも思ってくれればいいわ」
「な、なんでそんなものを……」
「決まってるでしょ。素の体の人間だったら、早苗がちょっとぷぅしただけで気絶してしまうわ。
それを防いで、苦しみながらも気を失わないようにするのがその薬なの」
 ちょっとぷぅしただけで気絶してしまう、だと?
 浩太郎の頭の中はさらにゴチャゴチャになった。ここにいる、注射を刺すだけで緊張して震えて
いるような少女が、そんなことできるのだろうか。だがその注射が毒ではないというのは真実であ
るようだった。いつになく頭の中がハッキリして、目が覚めたような気分になってくる。
「ば、馬鹿言うんじゃねぇよ……」
「さっきも言ったでしょ。私も早苗も、お前には一切嘘をつけない」
 ごくり。ハッタリだと分かっていても、レイコの発言は一つ一つが現実味を帯びている。それが
どうしても、怖い。地方拷問所では味わわなかった恐怖感。これが、政府最大の拷問施設、最高拷
問所だというのだろうか。

 いや、騙されるな。

 浩太郎は、心の中で繰り返した。俺の心を折ることができる拷問なんて、公の機関が執行できる
はずがないんだ。その決心だけは確固たるもの。幼い頃に負った心の傷。それを上回る拷問をされ
ない限り、浩太郎は負けない自信がある。そして法律に縛られた拷問では彼を打ち負かすことはで
きないという確信もあった。
「さぁ、早苗」
 レイコは、今度は早苗に声をかける。早苗はぴくっと体を動かしてから、何も指示されないうち
に、再び尻を持ち上げる。大きな尻を持ち上げるのは、細身の早苗にとってはちょっとした作業の
ようにも見えた。自分の体の一部だと言うのに、彼女は両手で尻を押さえて「よいしょ」とでも言
うかのごとく尻を文字通り「持ち上げる」ような動作を取る。
 彼女も彼女で、決心はついていた。レイコに具体的な指示を受けなくとも、自分がすべきことは
分かっている。そしてそれは自分がしなければ、他の誰にもできない仕事だということも。

 むんにゅう~~っっ!!

 再び振り下ろされた、尻。窒息攻撃。
 だが二度目ともなれば、浩太郎も少しはその責めにも慣れ始めていた。確かにそれは息苦しい。
しかし100%の呼吸が制限されたわけではない。息をしようと思えば出来るし、それに何より、考え
てみればその感触も心地よいものであった。少女の巨尻が顔に密着している。あれほど可愛らしい美少女の尻が。
 浩太郎はもともと強姦魔。こうして尻の感触を味わっているのも、さほど悪いものではなかった。
鼻を動かして早苗の「女の子の匂い」を嗅ぐことができるのは、拷問と言うよりもご褒美のよう
に思えるほどだった。
 そのまま、しばらく誰も何も言わなかった。静かな時間が、室内に流れた。
「……早苗。どうしたの? もう初めて良いのよ」
「…はい……、あ、あの、レイコさん……」
「どうしたの?」
「……で、出なくって…、おなら……」
 その弱々しい早苗の声は、尻の舌の浩太郎の耳にも確かに届いていた。
 ほらな、やっぱり。それが彼の素直な気持ちだった。あんなのハッタリに決まってるんだ。俺が
非現実的なことに恐ろしくなってぽろっと自白しちまうのを待ってただけなんだ。そう思うと、急
に気が抜けた。顔に表れるニヤけを押さえることができなかった。
 彼は早苗の尻をぺしぺしとタップする。パンツに包まれた肉が震えた。本当に良い形をした豊満
な尻だ。
 早苗は慌てて尻を持ち上げた。
「あ、す、すみません、窒息させちゃうところでした……」
「へん、別に構わねぇよ。ちょっと苦しかったから叩いただけだ」
 そして彼は理解する。気弱な早苗。少しでも自分が困ったそぶりを見せれば、すぐさま拷問を中
止してくれそうだ。こんなに扱いやすい少女はいない。
「今日は特別調子悪いわけじゃないんでしょ?」
「は、はい…、いつも通りなんですけど……」
「もうちょっと頑張って。お腹に力入れて。少しだけでも出せない?」
「は、はい……、…えいっ……、んっ……」
 ここまで来ると、自分の尻の上でけなげに頑張る早苗のことが愛おしくすら思えてきた。隙を窺
ってこの少女を犯すことができれば最高なのに、などと考える余裕すら、彼には生まれていたのだ。
きっとこの少女は何の抵抗もせずに、ただされるがままに犯されていくだろう。
 何だか、この滑稽な拷問自体が笑えてきた。世間一般にいてはまずお目にかかれないような美少
女が自分の顔の上で屁を出そうとしてふんばっている。こんなことは、一生に一度あるかないかだ
ろう。  馬鹿らしい。本当に。何やってるんだ、この女達は。


  *****


「どう?無理そう?」
「…い、いえ……、もうちょっと…がんばってみます……」
 そう言って顔を赤らめ、声を洩らしながら気張る早苗を見て、私は小さく溜め息をついた。
 これが私が恐れていたことだった。早苗の奥手な性格が、ここに来て災いしたのだ。
 彼女の体は、とんでもない臭いのおならを製造するだけではなく、それを溜め込む力にも強烈に
長けていた。あの細いウエストのどこにこれほどの量のガスを溜め込めるのかというほど、おなら
を継続して放つことができた。
 一般的な成人が一日に放つおならの量は多くても2リットルほど。だが以前、早苗がどれほどの量
のおならを継続的に放出できるのかという実験では、彼女は恐ろしいデータをたたき出した。
 そのとき用意していたのは20リットルのタンクが3本。それを全て満タンにして、それでもなお、
彼女は「まだまだ出せる」と言ってのけた。一人の人間が一ヶ月かけて出す量のおならを、彼女
はものの1時間ほどで出し切り、まだ余裕があると言うのである。それも、多く出すからと言って
臭いが薄まるわけではない。下水処理場の900倍の濃さを保ったまま、彼女は20リットルタンク3本
を一杯にしてしまった。
 結果、我々は「早苗の腸内にはガスの元となる成分が濃縮され保管されている」という結論を出
した。人間の体の中に60リットルもの気体をそのままの状態で溜めておけるはずはない。早苗の体
には、あの恐ろしいガスの“もと”があり、彼女はその都度“もと”をガスに変えて放出している。
だからこそ、あれほどの量の、あれほどの濃度のおならを継続して放つことができるという仮説
だ。
「…ん……、う…ん…、ん………」
 だから、今も彼女の体内には少なくとも常人の30倍以上のガスを放つだけの余裕があるはずであ
った。それでも「おならが出ない」とはどういうことか。それは間違いなく、早苗自身が緊張して
しまっていることに原因がある。
 彼女は人前に出ると特技であるはずのおならが全く出せなくなってしまうのである。だから実験
のときはいつも彼女に目隠しをし、周りに誰もいないように装って実験が行われた。
 恥ずかしいという気持ちが勝ってしまうのか、彼女は絶対的なおならを持っているにもかかわら
ず人前でおならが出せない。それが彼女の最大の欠点。だからこそ、今回の初仕事でその欠点を少
しでも解消できれば、と思って私はやってきた。
 人形相手におならを嗅がせる練習もした。よく顔を知った人であれば、周りにある程度人がいて
もおならが出せるようになった。
 しかし、こうして初対面の相手の前で――それが犯罪者であろうとも――おならを放つことが、
彼女には出来なかった。

 少しでも力を出すことができれば、早苗は間違いなく、この最高拷問所内でも最強クラスの拷問
官になれるのに。

 彼女を「本番に強い」性格に育てることができなかったのは、私の責任だ。
 長い間、トレーニングしてきた。だが早苗が生まれ持ったシャイな性格は、どうしても変えるこ
とができなかったのである。
「……早苗、もう無理しなくていいわ」
 諦めるしか、ないのか。
 人に外傷を与えずに拷問をする。
 そんなことは、出来ないのだろうか。
 私の拷問官としての正義。それを貫くのが、私の夢だった。
 しかし、拷問は拷問。悪を罰するには、自らが悪になることを厭わない覚悟が必要なのか。
「…れ、レイコ…さん……、ごめんなさい……」
「いいのよ、早苗。私はあなたに、少し無理を言いすぎたわ。謝るのは私の方よ。ごめんなさい」
 静寂。
 私も早苗も、無理をし過ぎていたのかもしれない。
 と、そこで、
「ひゃはははっ!!」
 浩太郎が、大きく笑い始めた。
「……何が可笑しいの?」
「何が可笑しいって、黙って聞いてりゃ傑作芝居だぜ、こりゃ。どうせこのお嬢ちゃんがすっげえ
屁をこくなんてハッタリの作り話なんだろ? それなのに、こんなしんみりした空気流しやがって、
俺を同情させようってでも言うのかよ? 笑っちまうぜぇ、こりゃ!ひゃははっ!」
「黙りなさい」
「黙りなさい、って言われてもなぁ!いつまで続くんだよ、この茶番はよぉ!」
「黙れって言ってるでしょ!」

 ――そのとき。

 それまで赤面し、ずっと顔をうつむけていた早苗が、はっと我に返ったように顔をあげた。
「あ。」
 小さく呟く。

 どっすんっ!!

「ふむぎゅうっ!?」
 早苗の巨尻がハンマーのように振り下ろされ、笑い転げる浩太郎の口を、そして鼻を塞ぐ。
「むうーっ!!むむむっ!!」
 藻掻く浩太郎。だが彼は拘束されているのだ。早苗の尻をどかすことなど、できるはずがない。
「早苗、もしかして――」
「…う…は、はい…レイコ…さん……、で、出そうですぅ………」
 ぷるぷると震えながら、苦しそうに早苗は答える。尻の下で一人の男がばたばたと暴れているこ
となど、気づいていない様子だった。
 私の頬が、つい緩む。
 出そう。
 その言葉が早苗から聞けただけでも、私は十分だ。
 だから私は、自信を持って、彼女にゴーサインを出す。
「いいわ、早苗。やっちゃいなさい!」
「は…はい…ぃ……、こ、浩太郎さん…、いきます…よ………」
「むぐう!?」

 早苗は、花開こうとしていた。
 もしかすると、これまでの彼女の力はほんの“胎動”にすぎなかったのではないか。
 これが彼女の本当の意味での“誕生”なのかもしれない。
 そんな予感を、私の心に刻ませるような、素晴らしい“開花”だった。



  ぷすぅっ



 耳を澄まさなければ聞こえないくらいの、本当に小さな音。
 標準以下、ごくごく小さく漏れただけの、可愛らしいおなら。

 だがこの観察室に取り付けられた『スメル・チェッカー』の針が、大きく振り切る。
 そしてディスプレイにも、驚きの数値が表示された。



 私はすぐに、マジックミラー越しに寝そべっている浩太郎に目を向けた。
 始めは彼も、何が起こったか分からない様子だった。
 じたばたと暴れていたのに、体の動きをぴたっと止めて、ただただ固まっていた。
 だが、彼は、そこに時差でもあるかのように、始めはゆっくりと、そして次第に激しく動き出す。
 大声を、張り上げながら。


「ぐっげええぇえええええぇええええッッ!!!!!」
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 颜骑 放屁 虐杀 多选择结局 无翻译)
「ぐっげええぇえええええぇええええッッ!!!!!」

 始めは、何が何だかさっぱり分からなかった。
 何かの冗談だろうと思った。
 あるいは錯覚か。
 はたまた幻覚か。

 しかし、数秒の時間を置いて、分かった。
 これは冗談でも錯覚でも幻覚でも、夢でも気のせいでも馬鹿げた話でもハッタリでもない。
 ありのままの、現実なのだ、と。

 臭かった。
 それは、人間のおならだとは思えないくらいに臭かった。
「ぐむううぅぅぅぅうーーぅうッッ!!!!」
 すぐにでも「臭い」と絶叫したかった。それで全てを発散したかった。だが早苗は、彼にそれを
も許さない。浩太郎の顔を押しつぶした早苗の尻肉は厚すぎた。彼の声は空しい呻き声となって早
苗の尻をぷるぷると奮わせ、肉に吸収されて消えていった。
「……うぅ、ふはぁ………っ」
 本当に、本当に小さなおならを放っただけで、早苗はすっきりとした快楽を感じていた。あれだ
け踏ん張って出した一発。その快感で、彼女は30秒ほど我を忘れて放心状態にあった。
 しかし彼女は我に返る。はっと気づいたとき、室内中には自分が放ったおならの強烈な卵臭さが
漂っており、尻の下では一人の男が死にものぐるいで藻掻いていた。
「あ、た、大変っ」
 そう言って早苗は慌てて尻を持ち上げる。その下からは、たっぷり30秒間にわたっておならを顔
に擦り込まれた浩太郎が姿を現す。そして彼は、呼吸の自由が保障されたと同時に喚き出した。
「あ、あががああ!!!ぐぜえええっぇええッッ!!!!」
 その迫力。真に追い詰められた男の絶叫に、早苗はびくっと震えてからおそるおそる尋ねる。
「あ、あの……、臭かった…ですか……?」
「があぁ、あ、ぎ、あぎぃ!? ぐ、ぐぜえ、ぐぜええよぉッ!!!」
 浩太郎は、可愛らしく、そして心配そうに声をかける早苗の言葉に愕然とした。
 臭かったですか、だと? そんな馬鹿な。
「そうですか……。…そんなに臭くないと思うんだけどな……」
 早苗が小さな声で呟いた一言も、浩太郎は聞き逃さなかった。
 そして震え上がった。
 今の一発。人生の中でも嗅いだことがないくらいの悪臭。それを早苗は、「そんなに臭くない」
と評価している。とすれば、彼女が言う「臭い」放屁とは、一体、どれほどのものになるのか。
 急に震えが来た。さっきまでハッタリだと馬鹿にしていたことが目の前で現実に起こってしまっ
たことへの恐怖。
「どう?信じる気にもなった?」
 レイコの声が、スピーカーから響く。
「し、信じる、信じるよ!くせぇ、ぐ、相当、くせぇよぉ!!」
「あらあら、急に情けない声になっちゃって。もう降参?自分の罪、認めちゃう?」
 その言葉で、浩太郎は思い出した。
 そうだ、これは、拷問。
 俺が自白をするまで行われる、拷問なのだ。

 だが、俺は認めない。

 彼の決心は、揺らがない。
 確かに彼は、信じていなかった非現実を現実として見せられた。そしてそれに対する恐怖も、間
違いなく感じた。……だが、感じただけ。口を割らない。自白しない。絶対に罪には問われるもの
か。絶対に。
「何のことだか、さっぱりわからねぇなぁ?」
「……あくまでしらを切ろうって言うのね」
「しらを切るも何も、俺はなーんも悪いことはやっちゃいねぇんだよ!」
「分かったわ。……早苗」
「は、はいっ」
 赤くなって、まだ放屁をしたことへの生物的な快楽と人前で放屁してしまったという羞恥心の間
で揺れていた早苗だったが、レイコに声を掛けられて慌てて返事をする。
「まだ、出るわね?」
「…で、出ます……」
「今の、あなたの本気じゃ、全然ないわね?」
「は、はい…、あの、あんまり出した気がしなくて…、それで……」
「それで?」
「……あ、あの…、もっと出ちゃいそう…です………」
 スピーカーからフッという音が漏れた。レイコが笑みをこぼした音だった。
「なら、やっちゃいなさい。好きなだけ、その男に正義とは何かを教えてあげなさい」
「……はいっ」
 優しい声だったが、早苗にしてみれば力強い返事だった。
 そして彼女は、己の巨尻を浩太郎の方に向ける。
「ま、待てよ」
 浩太郎は強気を見せようと、早苗を止める。だが、声が震えていた。
「い、今のが本気じゃないって、本当かよ…?」
「…はい……、本当、です。あ、あの、さっきのはちょっと漏れちゃっただけで……」
 早苗の言葉に、嘘はない。
 彼女達が語ることに嘘は含まれてはいけない。
 だから早苗もレイコも、真実しか述べない。
 浩太郎の顔が青くなった。
「…や、やめよう、ぜ…、早苗ちゃん…、おい、こんなのやめないか? 早苗ちゃんだって人の前で
こんなことすんの、嫌な気分、だろ? は、ひゃは…、や、やめろよ、やめようぜ…?」
「……あの…」
「な、な? ほら、こんなこと、やめ――」

  どすんっ!!

 無情な音と共に早苗の巨尻が落とされ、浩太郎の声を遮る。早苗は可愛らしく、恥ずかしそうに
ぼそぼそと呟く。
「…そ、そういうわけには…いかないんです……。臭かったら…ごめんなさい……っ」


  ぷすうぅうーーーぅうっっ


 今度は、先ほどよりも幾分長い、しかし小さく遠慮がちなすかしっ屁だった。
 おとなしい女の子が、人目を気にしながら隠れてバレないようにこっそりおならをしている、そ
んな風に聞こえるような、ほほえましい放屁音。そんなシチュエーションで“ごく普通の”可愛い
女の子がおならをしていたら、それはとても愛らしいものだろう。
 だが、残念なことに早苗は超絶的に可愛くはあるものの、“ごく普通の”女の子ではなかった。

「ふぐううがあぁぁあああぁぁあああああぁッッ!!!!??」

 浩太郎は信じられない未知の生命体と遭遇したかのような叫び声をあげる。絶叫と呼ぶにふさわ
しい。あれほど強気だった男が見せた声だとは思えない。
 遠慮がちな音ではあったが、その臭いに「遠慮」など欠片も含まれていなかった。おならをよく
腐卵臭という言葉で表現するが、一万個の卵を腐らせてもこのおならの濃さには到底敵わないだろ
うと思える。それほどまでに、表現するとすれば“とにかく濃い”卵っ屁。早苗の可愛い奥手な少
女のイメージを吹き飛ばしてしまうような臭いだった。
「…あっ、臭いですか……?」
「もごごッ!!もごごおぉぉおおおッッ!!!」
 臭い。死ぬほど臭い。やめてくれ。臭いんだ。やめてくれ。そう言おうとしても、何も言えない。
早苗のアンバランスな巨尻が、全てを阻む。浩太郎の動きを制限しているのもこの巨尻。そして
最悪に臭い卵っ屁を発射しているのも、この巨尻。
「大丈夫よ。全然臭くないわ」
 早苗の問いかけに答えたのは、レイコだった。
「早苗、まだ本気の100分の1も臭くないのよ?」
「ん、んんッ!?」
 耳に入ったレイコの言葉が、浩太郎にはとても信じられなかった。
 今のが、本気の100分の1?
 じゃあ本気は、今のの100倍臭いっていうこと?
 そんなまさか。嘘だろう。流石に、嘘だろう?
 だが彼は思い出す。拷問自白法第6条。彼女達は、一切の嘘をつかない。つまりそのレイコの言
葉も、間違いなく真実で……。
「むううぅぅうーーぅぅううッッ!!!!!」
 なんとかしなければ。なんとかしなければ。なんとかして、この尻をどかさなければ。早苗の尻
の下で、浩太郎は暴れまくった。拘束されていて動けないが、しかしどうしてもここから脱出する
必要があった。今のの100倍のおならなどされたら、本当に――、死んでしまう。

 だが、それは不可能だった。

 拘束された状態で抜け出すには、早苗の尻はあまりにも大きすぎた。むっちりとした肉が彼の顔
面をぶにっと包み込み、ずっしりと体重をかけて全ての自由を奪う。首だけでも動かすことが困難。
そんな中で、抜け出せるはずはない。それでも彼は暴れた。だが、暴れれば暴れるほど、早苗の
尻は彼の顔をぎゅむっと押しつぶすのだった。

「早苗」
「は、はい」
「まだ、出るわよね?」
「…で、出ます…ぅ……」
「大丈夫?」
「……は、はい…、あの…、すっごく、出そう、です……」
「え?」
「…すっごく……、いっぱい…、おなら…出ちゃいそうです……、臭いのが…、いっぱい……」
「ふふっ」
「わ、笑わないでください…ぃ……」
「ごめんごめん。じゃ、早苗。あなたの力、見せてあげなさい」
 今だ暴れる浩太郎の肩をとんとんと叩き、早苗は優しく、小さな声で話しかける。
「…浩太郎さん……」
「うう、うむぅぅうッ!!!うむぅぅぅううううぅぅッッ!!!!」
「悪いことしたなら……、話しちゃった方がいいですよ……?」
「もぐぐぅぅううぅッ!!もがもがもがぁああッッ!!!!」
「……私、もっと臭いの…出ちゃいます…ぅ……、ん、ぅ………っ」


  むぴぃっっ


「はがあぁぁあああッッ!!!!!」
「…ん……まだ出ます……」


  すうぅううーーぅぅぅっっ


「えっぎぃぃぃっごごあぁぁあああッッ!!!!」
「……まだ全然…臭くないですよね……、もっと臭くなりますよ……」


  しゅうぅぅぅぅーーぅぅうおぉぉっっ


「げやあぁぁあああああああああぁあああぁあああッッ!!!!!」


  *****


 マジックミラー越しに拷問の光景を見つつ、私は胸の高鳴りを隠せずにいた。
 早苗は、確実に覚醒へと向かっている。
 始めに一発、小さく放屁したのが引き金だった。それを乗り越えた彼女は、まるで栓が抜けたか
のように放屁を始めた。尻の下で浩太郎が絶叫していることにも、気づいていない様子だった。
 始めの一発。「ちょっと漏れちゃっただけ」と早苗は言った。だがその「ちょっと漏れた」一発
ですら、『スメル・チェッカー』が示した数値は2301。我々の科学力を以てして作られた最悪の臭
いのレベルを、軽く超えている。
 私は機材に目をやる。『スメル・チェッカー』の針は右端へ振り切ったまま動かない。最早旧式
のチェッカーでは計れないほどのレベルに達している。
 最新式の『スメル・チェッカー』。早苗のおならの臭いを計るために性能を強化したそれは、デ
ィスプレイ上に数値をはじき出す。



 もう、彼女のおならは人間の科学の遠く先を進んでいる。かつて、ごく初期段階では臭さ1200の
人工悪臭が使われていた。今、あの男が味わっているのはそれをも遙かに超える少女のおなら。最
初に投与した薬剤がなければ、簡単に気絶しているくらいの臭い。信じられない話だが、私はもう、
早苗の力を完全に理解していた。だから信じる。信じられる。

「早苗、ちょっとストップ」

 私はマイク越しに彼女に話しかける。ぴくり。彼女は小さく動いて、おならをするのをやめた。
「…は、はい、レイコさん」
「ちょっと一端、お尻を持ち上げてくれる?」
「はい」
 早苗は指示に従って、ゆっくりと尻を持ち上げた。

「ひげええぇえええッッ!!!!やめてくれぇえッッ!!!
ぐぜええんだよおぉぉぉぉぉッッ!!!うわぁあぁああああッッ!!!!」
 大の男が、あれほど強気で女を馬鹿にしていた男が涙を流して叫んでいる。
 少女におならを嗅がされただけで、涙を流して叫んでいるのだ。
 それも、外傷ひとつ付けずに。
 完璧な拷問だ……

 しかし、拷問を執行している当の本人である早苗は、自分の尻の下で男が大絶叫しているのが何
やら不思議で、少し怖いようだった。それもそうかもしれない。彼女はまだ、全く力を出していな
いのだから。
「清水浩太郎、聞こえる?」
「あ、ええい、ぎ、レイコざんッ!!やめさせてくれよぉぉッッ!!!」
「ええ、やめさせてあげる。お前が罪を認めたらね」
「…い、あ、……な、何のこと、か、わかんねぇよッ!!!」
「お前は5人の女性を強姦した罪に問われているわ。まずはそれを認めなさい。そしてそれだけじ
ゃなく、他にも罪があるのならば、洗いざらい白状しなさい」
「し、し、知らねぇ、知らねぇよおぉぉッッ!!!!」
「……そう」
 まだしらを切るか。
 それなら、拷問を続けるだけのこと。
「なら、早苗。続けなさい」
「…は、はいっ」
 早苗はまた、自分の大きな尻を両手で持って浩太郎の顔の方へと近づける。それにしても、本当
に大きくて形の良い尻だ。女の私が見ても惚れ惚れするほどに。彼女の持つおならの才能を最大限
発揮するために自然と成長した神からの産物なのかもしれない。
 だが浩太郎は、そんなに美しい早苗の尻を見て声を張り上げて泣き叫んだ。
「ひぃぃぃぃいぃいいッッ!!!!やめろッ!!やめてくれッ!!!!」
 無様なものだ。
 かつて女性の体を弄び、傷つけた男。そんな男が世にも美しい少女の巨尻を見て、泣いて喚いて、
それを近づけないでくれと懇願している。皮肉だな。そして本当に無様。
「早苗ちゃんッ!!やめてくれッ!!!それをこっちに向けるなッッ!!!!」
 強情な男をたった数発で錯乱させるほどのおなら。早苗にとってみれば、ほんの少しおならしち
ゃった、くらいでしかないおならが、男に「尻」をトラウマとして植え付けるほどの攻撃を加える
というのだ。奇跡の少女としか言いようがない。
「…あ、あの、レイコさん……」
「ん?どうしたの?」
 早苗に話しかけられ、私は私だけの世界に入り込みそうになっていた自分の頬を軽く叩いて目を
覚ます。今は仕事中。駄目だ。集中しなければ。
「…この人、すごく嫌がってるんですけど……」
「構わないわ。続けて」
「……で、でも…、私、まだそんなに臭いおならしてないのに…、こんなに臭いって……。もっと
臭くしたら…この人……、どうなっちゃうかわからないです……」
「それでいいのよ。その男は、悪いことをしたのにそれを認めてないの。それを認めさせるのが、
あなたの仕事よ、早苗」
「……でもあの、もっと臭くしたら……、この人、おかしくなっちゃいます……」
 そうか。
 早苗が心配しているのは、そういうことではなかった。
 男の前でおならをするのが恥ずかしいという気持ちも、当然あるだろう。
 しかし彼女はそれ以上に、男が自白をする前に、自分のおならで男が喋れないような状況になっ
てしまうことを心配していたのだ。
 確かに彼女の本気であれば、男を二度と喋れない状況に陥れることが可能であろう。
 だが、それでは「拷問官」としての任務は失敗。彼女の仕事は、あくまで男に「罪を認めさせる」
ということなのだから。
 だから彼女は、遠慮をしてしまう。そして彼女が遠慮をし続ける限り、彼女の“本当の才能”は
開花しないし、これほどの強情な浩太郎が自分の罪を認めることは、ないだろう。

 そして彼女が遠慮し続ける原因は、私にもある。
 早苗は今日の「拷問」の前に、私にこう言った。
「私、レイコさんのために、がんばります」
と。
 もともと気弱な性格だった早苗。拷問官などには、まるで向いていない心優しい少女だった。そ
んな彼女が強烈すぎるおならの才能を持っていたばかりに、私は彼女を拷問官として育て上げるこ
とを決めた。それは「相手を痛めつけずに拷問をする」という私の夢を叶えるためでもあった。
 私はそのことに、少なからず罪の意識を感じていた。
 早苗の人生を台無しにした人間がいるとしたら、それは間違いなく、私だから。
 しかし早苗は一度たりともそんなことを言わなかった。
 人前でおならの実験をするなんて、年頃の女の子にはたまらなく恥ずかしいことのはずなのに、
彼女は懸命に実験に協力してくれた。
 早苗は、私という人間を慕ってくれていたのだ。
 だから彼女はここまでやってきた。そして今日も言ってくれた。私のために頑張る、と。
 早苗の任務失敗は、すなわち私の任務失敗でもある。
 彼女が恐れていたのは、そのことだった。
 任務を失敗することによって、私が処分を受ける。それを恐れてるのだ。

 だから私は、こんなときこそ、早苗を支えなければならない。
 彼女に任務を成功させるために、助言をしなければならない。
 浩太郎の身に何も及ぼさず、罪を自白させる。それが任務の成功だから。


 いや、そうなのか?
 あの男を、早苗がおならで殺してしまったら……
 それは任務失敗なのか?

 ――なんだろう、この考え。
 ――こんなこと、一度も考えたことはなかったのに。

 もし浩太郎が罪を認めれば、彼は間違いなく死刑に処される。
 もちろん裁判にかけられはするが、自白をしてしまえば死刑は間違いないだろう。

 だったら、今、こうして彼を殺してしまうことは、いけないことなのだろうか?

 早苗ならば、それが出来る。
 事故を装って、拷問中に男を殺してしまった、と釈明することができる。
 そして拷問官一年生の早苗であれば、それも許されるはずだ。

 ならば、どうする?
 私はどう指示をすればいい?

 この男――

 殺しても構わないような、社会のゴミだ。


レイコはどうする?
1.「私の指示に従って。大丈夫よ。真実を吐かせるまで、終わらせはしないわ」
2.「いいわ。その男、死んじゃってもいいから思いっきりやっちゃいましょう」
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 颜骑 放屁 虐杀 多选择结局 无翻译)
2.「いいわ。その男、死んじゃってもいいから思いっきりやっちゃいましょう」
「いいわ。その男、死んじゃってもいいから思いっきりやっちゃいましょう」

 スピーカーから響く言葉に、浩太郎は耳を疑わずにはいられなかった。
 浩太郎は今、強姦という罪に問われて自白を迫られている状態。つまりまだ、罪人ではない。
 彼が自白をしてしまえば、今の法律上、ほぼ確実に死刑に処されるだろう。
 だが、まだ罪人ではない。
 彼を殺すことはできないはずだった。法律上は。
「い、いいんですか……?」
「いいのよ、早苗。そんなちびちび出すんじゃなくて、もっと思い切りおならしちゃって。今日の
ためにもう一週間もおならをするのを我慢してきたでしょう? もうスッキリしちゃっていいの」
「…わ、わかりました……、じゃあ……」
 二人の会話に、浩太郎の顔が引きつる。
 あれほど馬鹿にしてきた拷問だが、その神髄たるものを、彼は身を以て知った。
 あんなに臭いおなら。まともな人間では、誰も耐えることができないだろう。すなわち、それが
最高拷問所の「拷問」。
「じょ、冗談キツイぜ、レイコさんよぉ……」
「ん?」
「今の俺は、無罪の人間だ。拷問官のあんた達でも、法律上は俺を殺せるわけが――」
「“法律上は”、ね」
 レイコの乾いた声が、さらに浩太郎をびくつかせる。
 早苗は彼に尻を向けたまま、スピーカーからの声をじっと黙って聞いていた。

「『拷問官は被拷問者の前で虚言を述べることを禁ずる』」

 レイコの言葉は、あくまで冷酷だった……


  *****


「『拷問官は被拷問者の前で虚言を述べることを禁ずる』」
 私は無表情な声で、彼にそう伝える。
 胸の中に沸き立つ、この“何か”を周りに悟られないよう、慎重に。
「私も早苗も、社会のクズみたいなお前が死んでも構わないと思ってるわ。お前が死んでしまって
も大した問題ではないの。拷問の最中に少し加減を間違えてしまいました、と言えば事故として成
立する。拷問は秘密裏に行われていて記録も残されないから、それで簡単に処理されるわ」
「ひ、ひぃ…、ちょ……、冗談、だよな……?」
「今言ったことも含めて、私が述べることは全て真実よ」
「お、おい……、ちょ、ちょっと、待っ――」
「やりなさい。早苗」

 むぎゅうぅうっ!!

「んっむううぅうーーーッッ!!!!」
 彼が暴れても、早苗の完璧なヒッププレスからは抜け出せるはずがないのだ。
 私と早苗で、男の動きを封じる顔面騎乗は練習に練習を重ねた。
 そしてそれを繰り返すたびに、私は感じる。早苗の必要以上に発達した巨尻は、形、肉感、重さ、
全てをとってみても、彼女の尻は究極に完成されたものだということを。彼女の尻が顔面にずっ
しりとのし掛かった時点で、敷かれた人間の負けが確定するほどのものであるということを。
 そしてそれは、浩太郎自身も理解しているはずだった。
 肛門に先ほどの数発による残り香がこびりついている今、早苗の巨尻に敷かれることは快感でも
なんでもない。撃鉄が起こされたピストルの銃口を、こめかみに押しつけられているに等しい“チ
ェックメイト”であることを。
「……浩太郎さん、聞こえますか?」
「むぅ、ん、むぐ、むぐぐッ!!!」
 彼は暴れる。だが早苗の尻は、1ミリたりとも動かない。
「…こ、浩太郎さんが、悪いんですよ……」
「ぐ、ぐう、むううぅうッ!!!!」
「……悪いことしたなら…ちゃんと謝らないといけないんです……。でも浩太郎さんは謝ろうとし
ないから…、それっていけないことだと思います……」
「ぐ、ぐぎ、ぐむう、うぅぅうッ!!!」
「…わ、私、ちゃんと言いましたからね……。…正直にお話したら…、私もやめてあげられるんで
す……、でも、浩太郎さんが…ちゃんと…話さないから……」
「む、むぅ、う、ぐぐぐぐ、ぐぅぅッ!!!!」
「……だ、だから…く、…ぅう……、すっごいのが……、すっごく臭いのが……、出ちゃいそう…
ですぅ……!」
「むぅぅおぉぉーーぉおッッ!!!!」
 浩太郎は、最後の抵抗を見せた。
 だが、大の男が力一杯に首を振ろうとしても、早苗の尻は彼の顔面をむにっと捕らえたまま、少
しも自由を許さなかった――


  ぷっすうぅうううーーーーぅううぅうっっ!!!!


 それは、先ほどまでのほんの少量の放屁とは訳が違った。
「む、むがあぁぁぁああぁあああぁあッッ!!!!!」
 早苗の肛門がぱっくりと開き、そこからパンツの布を通して生暖かい空気の噴射が肌で確かに感
じられるほどのおならが吹き付けられる。完璧に、計算しつくされた座り方。ガスは少しも残らず、
浩太郎の鼻穴に注ぎ込まれる。
 先ほどまでの数発のすかしっ屁は、これを味わってしまえばほとんど「遊び」も同然。事実、早
苗にとって今までのものは「遊び以下」のちょっとした気の緩みにすぎなかった。
 だから今の、本当に彼に“嗅がせよう”として放った一発は、一度“最悪”を見たと思いこんで
いた浩太郎をさらに下へ下へと突き落とすものだった。



 事実、ディスプレイに示された数値も、これが最早「遊び以下」の一発ではないことを教えてく
れた。
 先ほどまで彼が味わっていた、ほんの少しの(と言っても人工悪臭を遙かに上回ってはいるのだ
が)すかしっ屁の臭いの倍以上をいきなり嗅がされてはたまらない。薬剤の投与がなければ簡単に
気絶しているレベルだ、と言えばその凄まじさが伝わるだろうか。超人間的な濃さの腐卵臭。気絶
したくてもできない苦痛に苛まれながら、浩太郎はジタバタと暴れていた。

「う、うむぅぅぁぁああああッッ!!!!」
「…こ、浩太郎さん、今の、臭かったですか? そ、そうですよね、今のはちょっと臭かったかもし
れないです……」
 早苗の可愛らしい、囁くような言葉に、浩太郎はどれほどの戦慄を覚えたことだろう。
 “ちょっと臭かった”。その驚異的な数値を叩き出してもなお、早苗にとってはそれは“ちょっ
と”と表現する程度のもの。
「……あぅ、つ、次のはもうちょっと臭い…かもしれません……」


  ぷすっ、ぷうぅぅ~~~ぅうううぅうっっ!!!


 甲高い、可愛らしい音が響く。
 実に女の子らしい、微笑んでしまうようなおなら。……聞いている分には、である。
 実際に尻の下でそれを味わう浩太郎は、間違っても笑ってはいられないだろう。
「お、おおぉぉ、おげえぇええぇえーーえぇえッッ!!!!!」
 人間とは思えないような叫びをあげる。
「あ、す、すみませんっ。ちょっといきなり臭くしすぎたかも……」
 しおらしく謝る早苗。この少女が、男に地獄を見せているのである。
 鼻腔をナイフで突き刺され、眼球を焼かれるような刺激が彼の全身に走っていることだろう。そ
れほどに強烈な卵っ屁など、想像できるだろうか。いや、出来はしない。想像できないものを味わ
うとき、人は最大の恐怖を味わう。
 私は浩太郎の心電図を見た。心拍数が急激に高まっている。彼も体の芯から理解したのだ。自分
の命に、本当に本当の危険が迫っていることを。
「う、ご、ご、げあぁああ……ッッ」
「……でます」


  ぷっすうぅううううーーーぅううっっ!! ぶぶうっ!!!


「へ、へぎゃあぁあぁああぁあああぁあッッ!!!!!」
「や、やだっ、変な音出ちゃった……うぅ……」


  ぶすううっ!!!


「があああああぁぁあああぁああぁああッッ!!!!!」
「…い、いやぁ……、ごっ、ごめんなさい……、あの、変な音…出ちゃって……」
 可愛らしいすかしっ屁から、徐々に下品な音が混ざってくる。早苗のギアがひとつ入った証拠。
彼女はその下品な音をたまらなく恥ずかしがっているようだったが、尻の下にいる浩太郎にとって
問題なのはそこではない。臭いのレベルが急激に高まっているのに耐えきれず、叫んでしまうのだ。



 臭いのレベルは、40000を超えた。人間の手の及ばぬ領域である。

 そろそろ、あの男も限界だろうか。

 心電図や、あるいは目視で浩太郎の動きが弱まっていくのを確かめる。数値が40000を超えたら、
おそらく並の人間では生命機能を維持するのが辛くなってくるであろうという私の推測に合致して
いた。
「清水浩太郎。最後に、今一度問うわ」
 マイク越しに私の声を聞き、早苗は顔を赤らめ、ぷるぷると震えたまま、放屁をぴたりと止めた。
ゆっくりと、尻を持ち上げる……。
「あばああぁああッ!!!!ぐっぜええええよぉぉッッ!!!!」
 口が自由になった途端に、彼の内側から心の叫びが言葉となって漏れ出す。
「………」
 早苗はその彼を、ただじっと見つめていた。表情からは、何も読み取れない。あの子が何を考え
ているのか、今は私にも分からなかった。
「清水浩太郎、お前は、罪を犯したの?」
 それを、私は最後の問いかけにするつもりだった。
 彼が何と答えるか。
 私は、ただじっと、待った。
「ひぃ、ぎ、ぎぎ、あ、があぁぁああ、ぐ……ッ」
 苦痛の中で、部屋中に漂うたまらない悪臭の中で、浩太郎は言葉を絞りだそうとしていた。
 二、三回、唇が小さく動き、口が開閉する。
 その後に、彼の声帯が震え、その思考は言葉となって表現される。

「……お、俺は何も…やって…な…い……」

 はぁ。
 私は、心の奥底で小さく溜め息をついている自分に気がついた。
「早苗」
「……はい」
「やりなさい」
 指示を出すのは簡単だった。そして早苗自身も、そうすることを決めていたようだった。
 彼女の心理に潜むものは、我慢の限界という生理的な感情か。あるいは悪を憎む倫理的な感情か。
いや、そんなことはどうでもいい。ただ私は、早苗に指示をし、早苗は私の指示を遂行する。


 彼を殺せ。



  ぶううぅぅぅううっっ!!! ぶすっ!! ぷすぅぅぅぅーーぅぅうっっ!!!!


「ほ、ほぎゃあぁぁぁあぁああああッッ!!!!!」




 その数値は、“臭い”によって人体が崩壊し、死に至るレベルにはまだ達していない。
 だが、浩太郎の心電図は、少しの間だけ異常な数値を示したあと、徐々に減衰していった。
 恐怖。
 人間を最も支配するその感情に、彼の脳が耐えきれなかった。そして、心臓も。
「……レイコさん…」
「どうしたの?」
「…この人……もう…動きません……」
 彼は、心臓麻痺を起こして死んでいった。
 一ノ瀬早苗という、蚊も殺せないような美少女がおならをしただけなのに、清水浩太郎はそれに
最大の恐怖を感じ、そして自分で自分の体を壊してついに死んだのだ。
「……早苗、お疲れ様。お仕事は終わりよ」
「…あの、レイコさん……、大丈夫ですよね……」
「大丈夫よ。これは事故なんだから。あなたは何の処分も受けないわ」
「……そ、そうじゃなくて…、レイコさんも…何の処分も受けませんか……?」
 早苗の優しい、そして心配そうに目尻の垂れたまなざしで見つめられ、私は本当に安心した。
 彼女は、私のことを気遣ってくれていた。
 これでよかったのだ。
 それは、拷問官育成士として最高の仕事をしたと感じた瞬間だった。
「大丈夫。これは、完全な事故。早苗も私も、何の処分も受けないわ。心配しなくていいのよ」
「……はいっ、レイコさん」
 にこやかに微笑む早苗。
 私も微笑み返す。彼女には見えていなくとも、きっと伝わっているはずだ。
 本当に、天使のような子だな。本心から私はそう思う。

 そして天使の巨尻の下で、悪人が一人消えた。
 巨尻の下には、事切れた悪人が敷かれている。

 私は気づいた。
 正義とは何かを。
 悪人は、滅びるべきなんだ。
 私は、拷問に正義を持ち込もうとしていた。
 でも、これが正義だったんだ。
「ふふ……」
 笑いが漏れる。つい。この、完璧な天使の拷問官を育て上げたことの誇り。
 私はこれからも、早苗と共に生きていこう。

 世の悪人は、皆、一人残らず全て、早苗の尻に敷かれて史上最大の卵臭を浴びながら滅びるべき。
 早苗にはそれができる。それができるだけの能力も、権利もあるのだ。
 それが、人類の正義だから。

「さぁ、シャワーを浴びて、一緒に食事でもしましょう?」
「はいっ」
 早苗が立ち上がる。
 尻の下では、滅びるべくして滅びた悪人が、白目を剥いて横たわっていた。


【エンディングB】
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 颜骑 放屁 虐杀 多选择结局 无翻译)
1.「私の指示に従って。大丈夫よ。真実を吐かせるまで、終わらせはしないわ」


私の指示に従って。大丈夫よ。真実を吐かせるまで、終わらせはしないわ」

 レイコは早苗に、優しく言った。
 浩太郎は、ほぼ間違いなく重罪人だ。ただ物証が出ないだけで、そのような重罪人がしらを切り
続けることで何の罰も受けない。そんなことがあって良いはずがない。彼は間違いなく、死すべき
社会のゴミ。
 だが、だからと言ってその彼を今、この場で叩き潰すのは気が早い。早苗であれば簡単にできる
が、しかしそれはいささか短気すぎる判断であると、レイコは考えていた。
 重罪人を吐かせるための拷問。そして重罪人には、それにふさわしく、かつ合法的に罰を与えな
ければならない。彼女の正義感が、そう告げていた。
 だからこそ、今の彼女が果たすべき役割は早苗に的確な指示を与え、浩太郎を生かさず殺さずの
状況まで追いやって自白させること。そのためにはまず早苗の不安を取り除き、拷問官としての
“慣れ”を教え込む必要があった。
「……わ、わかりました。よろしくお願いします、レイコさん」
 そして早苗も、レイコのことを信頼していた。
 これは、早苗だけが行う拷問ではない。早苗とレイコの共同作業。二人の力で、犯罪者を罰する。
気の弱い早苗がこうして実践の場まで出てくるためには、そうした決心が必要不可欠だった。
「やッやめろぉぉおおッ!!! やめろよぉぉおおッッ!!!」
「だからやめてあげるって言ってるじゃない。お前が本当のことを言えばね」
「……し、知らねぇっつってんだろうがッ!!!」
「……早苗、お尻を下ろして」
「は、はいっ」
「お、おい、ちょ、やめむぐぅう!!!」
 早苗の豊満な尻は、三郎から全ての自由を奪う。言葉も呼吸も、精神力も。
 それでも浩太郎は藻掻いた。あの臭いは、もう二度と嗅ぎたくなかった。いや、嗅ぐだけでなく、
あの衣擦れのような柔らかい音ですら耳に入れたくなかった。顔面に感じる生暖かい、じめっと
した感触も味わいたくなかった。
 そのためには、顔にのし掛かる小柄な少女の大きな尻からどうにかして離れる必要があった。手
足は拘束されているが、首を思い切り振れば振り落とすことができるのではないか。そう思って彼
は藻掻いた。
 ……だが、次第にそれが本当に無駄なあがきであることを、他ならぬ彼自身が理解し始める。巨
尻は、一向に動かないのだ。いくら暴れても、尻肉は顔面に密着し、少しも離れようとしない。そ
れは雲を掴むような話。大きな石の壁を手で動かそうとするような話であった。
「早苗、聞いてね。あなたが今しているおならでも、まだまだ“本当の本気”にはほと遠いわ。そ
うでしょ?」
「はい…、できるだけ加減はしてるんですけど……」
 さも当然と言うようなレイコと早苗の会話。
 ゾクゾクッ。浩太郎の背筋に悪寒が走る。加減してる? ば、馬鹿言うな。こんなに、こんなに臭
いのに。こんなに凄いおなら臭なのに。まだ加減をしているレベルだっていうのか?
 だが彼女達は、そんな浩太郎は気にも留めずに会話を続ける。
「人間の体は、早苗が思ってるよりヤワじゃないの。それにその男には始めに薬を投与したでしょ。
おならにびっくりしすぎて心臓麻痺でも起こさない限り、今の10倍くらい臭くしてもまだ死なな
いわ。そして心臓麻痺に関しては、私がずっとその男の心電図を見張ってるから心配しないで。危
なくなったら鎮静剤を投与して落ち着かせることで、心臓麻痺は防ぐことができるから」
「は、はい」
 今の10倍くらい臭くしてもまだ死なない。
 10倍。この、最悪のガスの10倍が待っているというのか。
 そしてその気になれば、この少女はおならで人を殺せると言うのか。
 様々な恐怖が三郎の頭を駆け抜ける。それはこれまでの拷問では感じてこなかった恐怖。いたい
けな少女とまだ若い声をした女性がごく普通に拷問内容を話し合うという、非現実感。そしてそれ
が確実に実力を伴っているという現実感。それらが合間合っての恐怖である。
「だから早苗、もうちょっとキツイのやっちゃっても大丈夫よ」
「も、もうちょっと、ですか?」
「そう。っていうか、今の10倍くらいくっさぁ~いのをお見舞いしてあげても大丈夫。そうね、こ
っちの『スメル・チェッカー』が6桁くらいになったらストップかけるから、それまでは出し続け
ていいわ。もしそうなってもこの男が白状しないようだったら、次の手を考えるから」
「わ、わかりました。……あ、あの、えっと、今何桁ですか?」
「今? まだ4桁よ。だから思い切りやりなさい」
 その会話は、当然浩太郎の耳にも届く。
 今は4桁の数値。
 そしてレイコは早苗に、6桁になるまでおならを続けても構わないと言った。
 つまりこの拷問は、少なくとも、『スメル・チェッカー』の桁数がひとつ跳ぶくらいの臭さまで
続けられるということ――
「む、むがが、むがあぁああーーあぁあッッ!!!!」
「あら、事の深刻さにやっと気づき始めたみたいね。……でもダメ。早苗、出そうになったら再開
していいわよ」
 嫌だ。もう嗅ぎたくない。あれより臭いおならなんて、もう嗅ぎたくない。
 全身を使ってそれを表現する浩太郎だったが、彼の顔に座り込み、小刻みに体を震わせる早苗に
そのメッセージは伝わらなかったようだ。
「……ぅう…、そ、それが…、もう…出そうです……」
「ふふ、良いじゃない、早苗」
「…ぁ…ぅ……、…け、結構…臭いかもしれない…ですぅ……」
「ますます良い感じよ。――やりなさい」
「は、はい……ぃ…っ!」


  ぶううぅうっすぅううーーーぅううっっ!!!!!


 それは先ほどまでのとは打って変わって、下品な破裂音。小柄でお人形のように可愛い早苗から
は想像もつかないような重低音だった。
「…あ…が……あ…ああ……あ……」
「きゃっ、やだ、音出ちゃった……。って、あ、あれ、…く、臭くない…んですか……?」
 さっきのように尻の下から大絶叫が響くかと思われたのに何の反応もないため、早苗は浩太郎の
方を顔を赤らめつつも見下ろす。だがもちろん、それが臭くないはずはなかった。ガクガクと震え
る浩太郎の声は、次第に大きくなって――
「…あ…が…ぎ…ぐ……っげええぇええええぇえッッ!!!!!」
 ――そして、爆発する。
 あまりの臭さ。先ほどまでの遠慮がちなすかしっ屁でも十分すぎるほど濃かったのに、それをも
凌駕する文字通り「桁違い」の卵臭さ、肉臭さに、浩太郎の体の機能は一瞬だけ停止してしまって
いたのだった。
「や、やっぱり臭かったんだ……。……あっ、…ぅ…、あのぉ、す、すみません……」
「む、が、ぐぅうう……、ぎぃ?」
 赤面してうつむき、呟くように謝罪する早苗。何故彼女は謝っているのだろう。そんな疑問を抱
いた浩太郎だったが、次に放たれる一言は、彼を戦慄させる。
「……出る…ぅ……、もっと臭い…かもしれないです……」
「む、むぅうう――ッ!?」


  ぶううぅうううぅうっっ!!!ぶすっ!!ぶぴっ!!!


「へ、へげえええぇえぁぁあぁああッッ!!!!!」
「あ、あぁ、いやぁ……」
 つい力んでしまい、ますます下品な、まさしく“屁の音”が浩太郎の顔の上で爆発する。それを
恥ずかしがる早苗。つい愛でたくなるようなそぶりだが、尻の下の浩太郎にそんな余裕はあるはず
がなかった。
 それは、「下水処理場の何倍」などでは最早計れない代物と化していた。地形の測量をするのに
30cm定規を使う人間などいない。つまりはそういうレベルの問題になってしまっていたのである。
「いぎぎぃぃいッ!!いぎぃぃぃいいいぃいッッ!!!!!」
「あ、あの、ご、ごめんなさいっ。ちょっと汚い音でちゃって、その……」
 しおらしく謝る早苗だが、浩太郎にとって問題なのは音ではない。その臭い。腐った卵と肉と、
キャベツの芯と生ゴミと、銀杏と納豆とネギとニンニクとニラと、それからそれから……、世界中
のあらゆるものを一つの部屋で腐らせ、攪拌し、さらに発酵させ……、いや、それでも足りない、
一体どうすれば、こんな恐ろしい臭いを作ることができるのか。それも、一人の少女の体の中で。
「む、むぐっ!!むぅむうぅぅうっ!!うぅうぅっっ!!!!」
「え? な、なんですか?」
 尻の下で喋る浩太郎。しかし早苗の尻肉がそれを遮る。彼が口をもごもごと動かして何かを訴え
ようとしていることを感じた早苗は少しだけ、尻を持ち上げてやる。
「ぷはあぁあっ!!! ――うっぷ!?」
 ようやくろくに呼吸することを許された浩太郎だったが、大きく息を吸い込んでからまた青い顔
をする。当然だろう。この第54拷問室は最早、早苗のおならで充満していたのだから。
「あ、あの、そんなに大きく息吸ったら、臭い…ですよ?」
「ゲホッゲホゲホッ!!!」
 早苗の忠告も、もう遅い。彼は何度も咳き込んでから、うつろな目をして、うわごとのように無
感情な声で呟く。
「く…くせぇ……臭すぎる……な…なに食ったら……こんな…臭いに……何食ったら………?」
「え、え? 食べたものですか? えっと……、今朝は餃子で、昨日の夜は焼き肉で――」


  *****


 白い頬をリンゴのように染めながら、律儀にも早苗は浩太郎のうわごとに答える。そして彼女の
言葉を、スピーカー越しに私が引き継ぐ。
「そうよ。昨日の昼はレバニラ、朝はペペロンチーノ、一昨日の夜は霜降り牛に、昼は豚丼だった
かしら。早苗のもともとのおならをさらに強化するための食事をしてきたわ。ついでに言えば別に
無理に我慢させてるわけじゃないのに、この一週間、お通じ来てないみたいよ、この子」
 私が言うことは、全て真実。一応、拷問官育成士の私は早苗の生活管理もしている。日頃から便
秘症気味であることは、自ずと知ることになる。
「あう、れ、レイコさん、それは……」
 早苗は頭から湯気を出さんばかりに赤面しうつむしてしまう。が、本来これくらいで恥ずかしが
っていてはいけない。犯罪者を追い込むためには、言葉による脅迫も必要であるからだ。私は心を
鬼にして、早苗の制止を無視した。時には厳しく接することも重要だ。
「早苗ったら、こんなに細い体してるのに意外と大食いなのよ。ふふ、信じられないでしょ。でも
本当にそうなの。しかもいくら食べても全然太らないんだから。羨ましいわ。今朝も餃子を20個も
30個も美味しい美味しいってぱくぱく食べるのよ」
「れ、レイコさん……」
「ふふ、ごめんごめん。このくらいで黙っておくことにするわ。……で、清水浩太郎? まだ続ける
つもり?」
 私の言葉による追い込みは、かなり効果的に働いているようだった。
 一般的に言って、おならが臭くなる食品というのはニンニク系統、あるいは肉系統である。そん
な食べ物を食べ続け、胃と腸に溜め込んでいる。今朝食べた大量の餃子も超の中で発酵し、凶悪な
ガスを作りだしている。そんなイメージが、彼の頭の中で作り上げられ、さらなる恐怖を誘発して
いるはずだ。
 これこそ、拷問の神髄。恐怖を誘発し、自白へ追い込む。
 それも、今行っているのは“臭い”による拷問。肉体的に相手を傷つけ、大怪我をさせてまで自
白させる方法より遙かに倫理的で正義に適っている。
「5人の女性を、強姦したわね?」
 さらに一手、私は詰め寄る。これで自白に追い込む。追い詰める。浩太郎の精神を。
「あの……、悪いことしたなら言った方がいいと思います……」
 早苗もおそるおそる、浩太郎に語りかけた。
「…もっと…もっともっと臭いの……出るかもしれないですから………」
 ビクンッ!
 柔らかい口ぶりだったが、その一言が浩太郎にさらに大きな恐怖感をもたらしたらしい。
 優しい少女の、柔らかな警告。それもその内容は、世にも恐ろしい地獄の存在を示唆するもの。
これに怯えない人間の方がおかしい。
「ぐ…、ぐぐ……ぐぅ………」
「答えなさい。やったんでしょ?」
 これで彼が「やりました」と一言口にすれば、早苗の初仕事は大成功に終わる。どうにか早苗に
は仕事を成功させ、自分への自信を持たせてやりたい。だから私は何としてもこの男に自白させな
ければならないのだ。
「う、うぅ……、ぐ…、や、や――」

「――や、やって、ねぇ」

 ……まだ足りない、か。
 それにしても、本当に精神力のある男だ。これほどの臭いを強制的に嗅がされたら、大抵の人間
は折れてしまうだろうというのに、それでもまだ、あくまで「やっていない」を貫き続ける。この
浩太郎という男、かなり手強い。
 だからこそ私は手を緩めない。手を緩めるわけにはいかない。
「や、やってねぇ、やってねぇ…よ、く、くそ、だから早く、やめ――」
「早苗。お尻、下ろして」
「はっ、はいっ」
「むぐぐぅぅぅううっっ!!!!!」
 浩太郎の自由は完全に早苗の巨尻に掌握されている。彼から言葉を奪うためには、早苗はただそ
こに座っていればよい。その巨尻、強力すぎる武器だ。
「お前がやってないで頑張るんなら、それでもいいわ。でもひとつ言っておくと、早苗のおならは
無尽蔵よ。尽きることは、ないわ」
「ぐ、ぐむ、ぐむぅぅううッッ!!!!」
「早苗、さっき結構に臭いのが出たけど、それでもまだまだ余裕あるわ。もっと力出して大丈夫よ。
さっきの倍くらい臭いのしちゃっても大丈夫」
「さっきの倍、ですね。……わかりました」
 私の指示に、早苗はこともなげに頷いてみせる。
 その力を知っていても、彼女にはいつも驚かされる。先ほどの少々下品な一発では、彼女のおな
らの臭いは我々が作りだした人工悪臭の限界値の40倍を記録していた。前に上げた下水処理場との
比較では実に160倍以上である。それほどの気が遠くなるような悪臭を出しておきながら、「その倍」
という要求に応じるのは、早苗にとってはごく簡単なことらしい。つまり今の状態でもまだ、彼
女は手加減をしているということ。
「それから、音が出ちゃうのもそんなに恥ずかしがらなくていいわ。別におかしなことじゃないから」
「…は、はい……」
 早苗は小さく答える。尻を浩太郎の顔面にぎゅうっと押しつけた。照れ隠しなのかもしれないが、
浩太郎にとってはとんだ災難である。
「…ぁう、でも…、やっぱり恥ずかしいので…、できるだけ…すかしでいきます……」
 その言葉に、私はついマイクから顔を逸らして笑ってしまった。恥ずかしいからできるだけすか
しっ屁、か。ごく一般的な考えだが、音無しのすかしっ屁の方がおならとは強烈になるものだ。早
苗の羞恥心からの行動ではあるのだが、これは本当に浩太郎にとっては災難に他ならない。
「…ぅ……、出そうです……」
「ああ、ごめんごめん。邪魔しちゃったわね。いいわよ、好きなときに出しなさい」
「…は、はい…ぃ……、こ、浩太郎、さん……、たぶん…ものすごく……臭いですよ……、いいで
すか……?」
「むううぅぅーーぅぅうッッ!!!!」
 いいはずがない。浩太郎は必死で拒否した。ただそれが早苗に届くことは、なかった。
「だ、だめですぅ……、で、ます……っ」


  ふっしゅううぅううぅううーーーーーぅううぅうっっ!!!!!


 長い。長いすかしっ屁。それはたっぷり15秒間も浩太郎の顔面に吹きかけられた。

「むぎゃあぁぁぁぁああぁああッッ!!!!」

 壮絶な叫び声。どう考えても、可愛い少女の白いパンツの布地から放たれるおならとしてのレベ
ルを跳び越えていた。その成分には生体機能に直接影響を与える「毒」はないのに、あくまで純粋
に「臭い」だけで彼女のおならは「毒ガス兵器」に追いつこうとさえしている。



 数値はもう、6桁に達しようとしていた。もうこれほどの濃度は彼にとって完全なる「未知」の
領域であろう。頭では何も考えられず、ただ「臭い臭い」と卵に犯されていく感覚が支配している
はず。
「早苗、ちょっとストップね」
「あ、は、はい」
 私は冷静に早苗を止め、浩太郎の心電図に目を移す。
 人間の嗅覚と言うものは、意外に強い。ごくごく純粋に「臭い」だけで人の器官を破壊し、死に
至らしめようとするならば、この数値ではまだ足りない。
 だがしかし、その「臭い」が死を誘発することは十分に考えられた。例えば、先ほど言った心臓
麻痺。あまりに人間離れした臭いを目の当たりにし、脳が危険信号を出しすぎて心臓に負担がかか
るということは十分に考え得る。
 そして彼の心電図は、確かにその状況に陥りかけていた。心拍数が急に上がり、血流が増してい
る。悪い兆候だ。
 今、私の目の前には鎮静剤を投与するためのスイッチがある。それを押せば彼が寝そべる台から
機械仕掛けで自動的に鎮静剤を打ち込むことができる。そうすれば心臓にかかる負担は抑えられ、
死ぬことはなくなる。
 拷問によって浩太郎を自白させるためには、ここで死なれては困る。だから私はすぐにそのスイ
ッチを押さなければならなかった。


 しかし、本当に、押すべき――、なのか。


 私の人差し指が、一瞬の躊躇を示す。
 このまま何もしなければ、彼は心臓麻痺で死ぬ。
 スイッチを押せば、ひとまず彼は助かる。

 だが――

 彼が自白すれば、間違いなく、死刑。
 だったらここで死ぬも死刑判決を受けて死ぬも、変わらないのでは?
 むしろ法律に則った安楽死に近い「死刑」よりも、
 ここで早苗の尻の下で地獄を見ながら味わう「私刑」の方が、
 彼の重い罪状にはよっぽど適しているんじゃないのか。

 目の前のスイッチ。
 鎮静剤投与のスイッチ。
 彼の心電図のグラフは、ますます激しくなる。
 それが減衰する前にスイッチを押さなければ。


レイコはどうする?
1.スイッチを押す
2.スイッチを押さない
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 颜骑 放屁 虐杀 多选择结局 无翻译)
2.スイッチを押さない

『【危】鎮静剤投与』と書かれた赤いスイッチ。
 それに伸ばした手を、レイコは、ゆっくりと引っ込める。

 押す必要なんてない。
 何故ならこの男、遅かれ早かれ地獄に堕ちる。
 どうせ同じ処刑だったら、一瞬で終わる生ぬるい絞首刑なんかよりも――

「早苗、もっとお尻を押しつけて。ぐりぐり、って」
「も、もっとですか?」
「そう、もっとよ。もっともっと」
 レイコの口元が、キュッとセクシーに釣り上げられる。
 だが早苗達の側からは、その妖美な微笑みを見ることはできない。
 早苗はただ、レイコの指示に従う。
「わかりました……、ぐ、ぐりぐり……っ」
 わざわざ擬音を声に出して呟きながら尻を押しつけるその姿はほほえましいが、その光景を尻の
下から見たらそんな悠長なことは言っていられない。大迫力のドデカヒップが怪物のように襲いか
かってくるのだ。さらに言えばその怪物は、世にも恐ろしい毒ガスを噴射しようとしている。

 ドクン、ドクン、ドクン………ッ

 今までに感じたことのない恐怖。拷問なんて大したものではない。そう見くびっていたころには
想像もできなかった、これが“本当の恐怖”。
 冷や汗が背中をじっとりと濡らす。口が渇く。心臓の鼓動が、耳にまで届く。
「むうぅぅッ!!! うむぅぅうむうむぅううむうッッ!!!!」
 だが、怪物からは逃げられない。藻掻けども藻掻けども、怪物はそこに、どっかりと居座ってい
る。
 逃げられない。逃げなければ、命の危険すらあるのに。逃げられない。

 ドク、ドクッ、ドクッ、ドク………ッ

 心臓が早鐘をつく。そのテンポが徐々に上がっていくのが分かる。
 逃げ出さないと。これまでの残り香だけでも、気が狂いそうなくらい臭いのに。それなのにあの
清純少女は顔面騎乗圧迫を解いてくれない。
 絶望の淵に追い込まれた浩太郎。しかしあくまで口は割らない。それは彼が強固な精神を持って
いるためか、はたまた気がふれて何も考えられなくなってしまったのか。
 そこにレイコは、とどめのひと突きを食らわせるかのごとく言い放った。

「早苗、もっとおならして。今のと同じくらい臭いのを、もう10発ぐらい」

「むぐうぅぅううーーぅぅうッ!!!?」
 浩太郎の藻掻きは、一段と大きくなった。早苗は尻の下でさらに暴れ出した男を可哀想と思いつ
つもますます圧迫する。
「10発…ですか……?」
「そうよ。出来る?」
「それくらいなら出来ますけど……。でもそんなにして、この人……大丈夫ですか………?」
 あれほどまでに臭すぎる卵っ屁でも、早苗にとってはまだまだ手加減の領域。しかし尻の下にい
る男にとってそれが危険なレベルに達してきたことは、彼女も自覚していた。だからこそ彼女は聞
き返す。“10発の激臭っ屁を放つことは簡単だが、男は大丈夫なのか”と。
 だがレイコは、こともなげに答える。

「ええ、心配しないで。そいつは死んじゃうかもしれないけど、大丈夫だから」

 ド……クン………ッ!

 浩太郎の心臓が一度、大きく脈打ったのが心電図から観察できた。
「え、し、死んじゃうって…、それ……、いいんですか……?」
「いいのよ。そんな男、死んで当然だわ。むしろ早苗のお尻の下で死ねるなんて、強姦魔にとって
は本望じゃない?」
「あ、あの、そうじゃなくて……」
「ああ。あなたのお仕事に関しては大丈夫。その男の死は、事故死で処理するから。拷問の光景を
記録することは禁止されているから、それで全く問題ないわ」
「…は、はい……」
「それじゃあ、やっちゃいなさい」
「………はいっ」

 ドク……ッ、ドク、ドクドクドク……ッ

 あまりの恐怖に、浩太郎はどうにかなってしまいそうだった。
 あんなに臭いおならだったのに。
 世界を超越するほどに臭いおならだったのに。
 それと同じくらいのものを、もう10発。
 そしてそれは、人の命を奪いかねないもの。
 彼の心に、もう自白してもいいんじゃないか、という気持ちが、一瞬だけちらついた。
 だが、ちらついただけだった。
 早苗はもう、尻を持ち上げなかった。浩太郎に、弁明させる余裕を彼女は与えなかった。


  *****


 正確に言えば――

 純粋に早苗のおならの臭い“だけ”で浩太郎の体が死へと向かうことは、理論上ありえない。
 私は早苗に「今のと同じくらい」と指示をした。彼女はそれを忠実に守るだろう。先ほど『スメ
ル・チェッカー』が示した数値は約100000。それは人間の致死量には及んでいない。
 臭いというものは、単純に重ね合わせで数値が増すものではない。「100000を10回放ったからと
言って、それが合計されて1000000になる」ということはないのだ。それはただ、「100000が10個存
在する」ことにしかならないのだ。
 ただ、その浩太郎の“精神”に対する負担は、計り知れない。
 彼に与える恐怖は「100000×10」どころではないはずだ。それはもしかすると「100000の10乗」
に匹敵するものかもしれない。

 だからこそ私は、浩太郎に恐怖を与えるような言い回しで早苗に指示を伝える。
 そして、「心臓麻痺」を誘発し、あの男を――殺す。
 どうせ同じ処刑だったら、一瞬で終わる生ぬるい絞首刑なんかよりも、早苗によってじわじわと
痛めつけられる死を――

 それを望んでいる私がいることに気がついた。
 罪人の人権を尊重し、外傷を与えての拷問をどうにか改革しようと考えていた、私の正義。
 でも、そんなもの、本当の正義ではないことに気がついた。
 与えられるべき罰を、与えられるべき方法で――

 ――それこそが、正義だということに。


「……こ、浩太郎…さん……、ご、ごめんなさい……っ」

 そして、早苗による「最臭処刑」が始まった。
  ぷすううぅうううっっ
  ふっしゅううぅぅうぅーーぅぅううっっ
  ぷすうううぅぅうーーーっっ
「へ、へぎいぃぃいぃいいッッ!!!ごぶげえぇえええぇッッ!!!!」

 ドクンッ!ドクンッドクンッドクンッ!

「…あ、あぅ……、動かないで…ください……」

  すううぅううぅうっっ
  ふすぅうっっ
  ぷっぷすうぅうっっ
  ぶうっ
「や、やん……」
「おごおおおぉおおぉぉおおおぉおおッッ!!!!!」

 ドク、ドク、ドク、ドク、…ドク、……ドク…

「ご…ごめん…なさい……、ちょっと音出ちゃって……」

  ぷっすうううぅうぅうーーーぅうっっっ
  ぷぅううぅうーーーぅうぅぶりっ
「や、やだぁ……」
「ほ…、ほげ、ご、ぶぅう……があぁあ……ッッ!!!!」

 …ドク、ン…、ドク、ドク……、ドク…ドク……

 確実に、浩太郎の心臓は弱々しい脈しか打てなくなっている。
 あまりの連発。
 人間業ではない連発。
 それに対する恐怖に、彼の心臓が対処できなくなっている。
 間違いない。
 終わる。
 次で。
「…く…ぅう……」
 そこで早苗は、顔を真っ赤にし、目をぎゅっとつぶって小さく声を洩らした。
「だ、大丈夫、早苗?」
 私が声をかける。彼女の体に、何か異変があったのだろうか?
 しかし、心配には及ばなかった。
 むしろ私には、喜ばしい出来事だったかもしれない。
 ――早苗のおかげで、あの忌々しい罪人に、さらなる地獄を見せつけられたのだから。
「…あ、ぁ……、だ、だめ……っ、も、もう…がまん……できない…ですぅ……っ!」



  ぶうううぅぉぉぉおぉおおぉおおぉーーーーぉおぉおっっ!!!!!


「む、むがあああぁぁぁあぁああぁああぁあッッ!!!!!
ぐげえっぇぇぇえぇええぇえええぇえッッ!!!!!
ごえええぁぁぁぁあぁあぉぉぁああぁッッ!!!!!」

 室内に轟く、猛獣の鳴き声のような、重低音。
 そして浩太郎の体も、最後の抵抗を見せる。
 ……が、それは、あまりにも空しい抵抗。



 見せつけられた、あまりにも圧倒的な力の前に、彼の鼓動は為す術もなく、力を失っていく。

 …トク…ン……トク……ト…ク……ト……クン…………………

 間違いなく、彼の人生では最大の地獄。
 そのショックに、弱り切った心臓はゆっくりと、役目を終えた。
「……は、はぁ……ふぅ……」
「…………」
 息を荒らげ、つい必要以上のものを解放してしまった早苗。
 その尻の下の男は、もう動くことはない。

 私は、ディスプレイに示された数値をもう一度見る。
 217220。
「……ふふ…」
 つい、笑みが漏れた。私の意識とは無意識な笑みだった。
 その数値。もうそろそろ、“臭い”だけで人が殺せようか、という程度のもの。
 ……そう。
 これほど驚異的な数値を示しても、早苗の本気にはまだ、到底及んではいない。
 しかしあの男は死んでしまった。
 まぁ、仕方がない。今回は諦めよう。
「…ふ…ふふふ……」

 そうだ。これで正しかったんだ。

 早苗の手で、悪人を蹴散らす。
 いや違うな。
 早苗の尻で、悪人を叩き落とす。

 これが正義だったんだ。
 だから私は、これからも彼女と共に正義を行使し続けよう。

 これからも。





【エンディングC】
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 颜骑 放屁 虐杀 多选择结局 无翻译)
1.スイッチを押す

『【危】鎮静剤投与』と書かれた赤いスイッチ。
 レイコはほっそりとした綺麗な人差し指で、そこを強く、押した。

 拷問室内の台。浩太郎の体を固定している金具の脇から小さなマジックアームが伸びる。その先
端には、針。針は彼の腕の動脈が浮き出た部分を正確に刺し、薬剤を注入する。
「うくッ!?」
 チクリという痛みに一瞬驚いたようではあったが、心電図はあっという間に落ち着きを取り戻す。
拷問をしていると、容疑者が心臓をショックでやられて死んでしまうケースが多い。だからこそ
こうして鎮静剤を用意することで、それを防いでいた。

 彼に死んでもらっては困る。
 それがレイコの考えだった。
 レイコと早苗の仕事は、浩太郎に罪を自白させること。その前に死なれては困るのだ。
「れ、レイコさん……?」
「大丈夫よ。ちょっと心臓に興奮が見られたから、鎮静剤で落ち着いてもらっただけ。それじゃあ
早苗、ちょっとお尻持ち上げてくれる?」
「あ、は、はい」
 早苗は台の上に足をつき、むにっとした尻を持ち上げる。
 そこから現れた浩太郎の顔には、赤く、早苗の尻の痕がついていた。弾力性溢れる餅尻に長時間
座り込まれていたことで、彼の顔の筋肉や骨は少しずつではあるが変形しているようだった。
「あ、いぎ…ぐぜぇ…たまご…ぐぜぇよぉ…たま…ごぉ……」
 鎮静剤を打ったことで浩太郎の暴走も幾分収まったようだが、しかしさっきの長いすかしっ屁は
相当に強烈だったらしく、彼はしばらくの間「たまご」「くさい」の2つの単語しか言えないよう
だった。
 そんな彼の錯乱が落ち着くのを少しの間待ってから、レイコは話しかける。
「清水浩太郎。何度でも同じことを尋ねるわ。……強姦、したの?」
「……ぐ…ぐぜ…ぇ……」
 レイコは感情が全く読み取れないような表情を浮かべながら、浩太郎を見つめる。
 ……まだ、恐怖が足りないか。
 拷問官育成士たるもの、拷問官以上の冷酷さを持ち合わせていなければならない。ましてや弱気
で奥手という、拷問官としては異例である早苗と行動を共にする者として、彼女はごく冷静に、容
疑者に対して酷な対応をとらなければならない。
「早苗、もうちょっとお尻、近づけてあげて。その男が、よーく見えるように」
「…え、は、はい……、こ、こうですか……?」
「そうよ。ただ口は塞がないようにね。喋れなくなっちゃうから」
 早苗は指示に従って、少し腰を落とす。
 浩太郎の目の前、僅か数センチのところには、ずどぉんとした早苗の巨尻。
 むっちり、もっちり、むにぃっとした、見事な餅尻。
 小柄で細身な早苗の風貌に対するギャップは、かなりのチャームポイントになりうる、そんな魅
力を秘めた尻ではあったが、今、強姦魔の浩太郎に対して与える印象は“恐怖”しかない。
 近づくと生暖かい空気が顔に吹きかけられるあの瞬間を思い出す。そして現実に、尻にこびりつ
いた残り香が彼の鼻を襲っていた。

 もうアレは嫌だ。
 アレは御免だ。
 頼むから、アレだけは勘弁してくれ。

 いくらそう願っても、大きな大きな尻はそこを少しも動かず、獲物を狙う獣のようにじっと指示
があるのを待っている。そしてその指示がレイコから為された瞬間、アレは再び……
「…が…ひ、ぃ……がが……」
「怖い?怖いでしょ? こんなに可愛い、早苗のお尻が」
「……ひ…ぐ……ぐざ…ひ……」
「だったら白状しなさい。やったんでしょ?5人の女性を、強姦したんでしょ?」
「…や…やめ……ぐ…ひぃ…」
「喋れば、楽になるわ。やめてあげられるもの。どう?早く喋って、楽になっちゃいなさい」
 じりじり、じりじりと、レイコは言葉で彼に詰め寄る。
 早苗は、ただ浩太郎に尻を向けているだけで良い。
 それだけで彼にとっては、何物にも代え難い最高の脅迫となる。
 その美少女本人が意図していなくとも、彼女の存在はあらゆる犯罪者に対して最大の脅威となり
うるのであった。

 喋れば楽になるのか。
 俺の罪を喋れば、楽になるのか。
 この恐怖からも解放されるのか。

 浩太郎の中のひとつの感情が、拷問からの解放を求めている。
 しかし、
 もうひとつの感情は、それを拒否した。
 その感情は、自白すればいずれにせよ死刑に処されることを知っていた。

 喋るな。
 喋ってはいけない。
 騙されるな。
 喋れば、死刑だ。間違いなくだ。
 自白さえしなければ、無罪になれるんだ。

 そしてふたつの感情は、結論を出す。
 生きたい。
 人間に根付く、強い欲求。

「な…んのことか……わからねぇ……、やってねぇよ…何も……」


  *****


 困った。
 それが素直な、私の感想だった。
 鎮静剤を打ち込んで何とか生きているが、これ以上、あのレベルのおならを嗅がせればいつまた
心臓麻痺が起こるか分からない。そのときはまた鎮静剤を打てば良いのだが、これで吐かないとな
ると、このままでは浩太郎とのイタチごっこになりかねない。
 今の浩太郎の心電図は、比較的落ち着いたグラフを描いている。
 まだ、余裕はある、か。

「早苗、まだ出る?」
 私の言葉で、浩太郎に尻をむけたままじっと待機していた早苗がぴくっと反応する。
「え、あ、はい、ま…まだまだ、でます……」
「あとどのくらい出そう?」
「ど、どのくらいって……、まだたくさん出せますけど……」
 早苗の返事に満足して、私は笑う。そのやりとりは浩太郎にさらなる恐怖を植え付けるためのも
のでもあった。
「オッケー。なら再開しましょう。あ、お尻は下ろさなくていいわ。そのまま、彼の口を自由にさ
せたままでね」
 むっちりとした顔面騎乗が行われていないとは言え、早苗の肛門は浩太郎の鼻まで数センチ
というところにセッティングされている。
 ずどん。その迫力。マジックミラー越しで見ていても、本当に天性のものだなと思う。一度あの
おならを味わってしまえば、男にとってこの上ない化け物だろう。
「こ、このままですか……?」
「そうよ。そのまま。……浩太郎、分かってるわよね? お前が真実を語らない限り、解放されるこ
とはありえない。私は何度でもお前に詰問するし、早苗は何度でもおならするのよ。そのことをよ
く理解した上で拷問に望むのね。口は塞がないでおいてあげるから、楽になりたいと思ったらいつ
でも罪を認めなさい。そうしたら私も早苗もやめてあげる。分かった?」
 こうすることで、浩太郎は一歩ずつ近づいてくる“地獄”を強く認識し始める。そしていつでも
自白が出来るという救いの道を与えることによって、そちらへ逃げやすくしている。そこしか、逃
げるための道はないのだから。
「…お…俺は……何もやって…な…い……」
「はいはい。それがいつまで続くかしらね。……早苗、いいわよ、やって」
 私が声をかけた早苗は、ぷるぷると小刻みに震えていた。その彼女の姿は愛くるしい小動物のよ
うで、本当に可愛い。だがその震えの実体は“発射準備完了の合図”であるのだから恐ろしいもの
である。私の指示で、早苗はもういつでも“発射”できる状態で、あと一歩のところを我慢してい
る。それが体の震えとなって表れていた。
「こ、浩太郎…さん……、ほんとにいいんですか……?」
「…う、ぐぎ、ひぃ……ッ」
「きっと…すっごく臭い…ですよ? あの、たぶんですけど……、さっきよりも臭いと思います……。
喋っちゃうなら、いまのうちです……」
「……やって…ねぇ…っつってん…だろ……」
「……わかりました。じゃあ、あのその、ほんとに…いきます……っ!」


  ふすうううぅぅううぅううーーーーぅぅううっっっ!!!!


 それはいきなり、先ほどにも匹敵する長さのすかしっ屁だった。
 早苗の羞恥心の表れなのだろうか、あるいは下品な音を聞かせるのは相手にとって失礼にあたる
と考えているのかもしれないが、いずれにせよ、早苗がすかしっ屁ばかりを好むことは浩太郎にと
っては最大の不幸だっただろう。



 ディスプレイが数値を示す。早苗のおならは、ついに6桁の大台に乗った。
「ぎゃあああぁあぁあぁああぁあああッッ!!!!!」
「あ、……だ、大丈夫ですか?」
「ぐざいよぉぉおおぉおうげええっぁぁあぁッッ!!!!」
「……だ、だから臭いって言ったのに………」
 申し訳なさそうに、びくびくと、早苗は浩太郎を見る。目をグワッと広げ、鼻水と涙と涎をダラ
ダラと流しながら妖怪のような形相で絶叫する浩太郎を。
「早苗、手を緩めることはないわ。続けなさい」
「あ、は、はい、レイコさん。……そ、それじゃあ浩太郎さん、もう一発、失礼します……っ」


  むっすうぅぅううぅうう~~~ぅううぅう~~ぅううっっ!!!!!


「いぎぎぎぎぎぎぎいあぁがががぁおぼぼッッ!!!!!」
 長かった。たっぷりと“タメ”の効いた濃厚な、ねっとりとしたすかしっ屁は実に30秒以上にわ
たって浩太郎の顔面を蝕んだ。
 最早浩太郎の叫びは、人間の言葉になっていない。
 当然かもしれない。早苗が履いているちょっと子供っぽいパンツ越しであるとは言え、彼は顔面
でモロに、長時間、それも連続で、尋常ではない濃さの硫化ガスを食らっているのだから。
 ガスが入り込むのは鼻穴からだけではない。この距離で噴射されれば、ガスは顔面全体に吹きか
けられる。目に入り込んだガスのニンニク成分は網膜を刺激するため涙が溢れるくらい滲みるだろ
う。口から入り込んだガスの卵成分は舌を刺激し、何とも言えない不味さを感じさせるだろう。そ
して顔中の毛穴から入り込んだガスの肉成分は、顔の皮膚全体が腐ったかのような感触を味わわせ
ることだろう。
 浩太郎は、泣き、喚いた。
 本来ならばとっくに気絶している。しかし、薬の投与によってそれも許されていない。
「……臭い、です……よね、……うぅ、確かに結構臭い…です……」
 “結構臭い”。早苗にとってはその程度。だが、浩太郎にとっては、違う。
「ああぁぁぁ臭すぎるぅぅぁあぁ死ぬぅぅぅうぅうッッ!!!!」
「だ、大丈夫ですよぅ……、死ぬってことはないと思いますから……たぶん…」
「だ、だって、こ、こんなに、臭いのにぃいいぃッッ!!!!!」
「そ、そこにいるとそんなに臭い…んですか? ……れ、レイコさん」
 早苗は私のいる部屋の方に不安げな視線を投げかける。どうやら助けを求めているらしい。
 私はディスプレイを見た。



 成る程。
「確かに結構臭くなってきてるけど、まだ“臭い”で死ぬってほどじゃないわね」
「で、ですよね……。…よかった……」
「だから安心して、もう一発出しなさい?」
「…は、はい……」
「ひ、ひぃいッ!!!や、やめ――」


  ぷすっ!!ぷしゅうぅうううぅうっっ!!!!


「……あ、まだ出る…」


  ぶっ!!!ぶすうぅぅっ!!!!ぶりぶぶすっっ!!!!!


「あ、あががぁぎええぇえぇーーーぇええッッ!!!!
ぐざいぐざいぐざいぐざいぐざぁぁぁあぁああぃいいッッ!!!!!
やめろッ!!!やめろぉおぁぁぉぉおぉおッッ!!!!!」

 そろそろ浩太郎の喉が枯れてきた。それほど叫んで、彼は助けを乞うているのだ。
 だがその地獄の発生源である早苗は、予期せずに少し下品なおならが出てしまったことを恥ずか
しがり、落ち込んでいるようだった。彼女も少し力んでしまったのだろう。おならが下品なのは当
たり前なのにこれくらいで恥ずかしがるようでは、まだまだ完全な“開花”とは言えないな、と私
は冷静に分析する。
「ねぇ、ここまでかたくなに自白を拒む、その根性だけは褒めてあげる。でも、そろそろ頭も冷静
になってきたんじゃない?どうなの? 『俺がやりました』って一言言うだけで、お前は楽になれる
のよ」
「あっぐぐ、ぐ、や、やって、やってないッッ!!!」
 強情ね。
 本心から、その根性は褒めてあげるわ。
「……早苗」
「は……はいっ」


  ぷううぅぅっっ!!! ぷすっ!! ぷすぅぅううっっ!!!!
  すぅうぅっ!!! ぷすっ!! ぷすぷすっっ!!!!

「うっぎゃぁぁぁええぇえっぁぁあッッ!!!!?」
「え、あ、や、やだ、なにこれ、ど、どうしよう、とまらな……」


  ぷすうっ!!! ぷすっ!!ぷっすぅうーーーぅうっっ!!!!
  すすぅぅっ!! ぷりぃっ!!! しゅうぅぅううっ!!! ぷすっ!!!!

「な、や、やめ、止め、てくれぇえぁぁぁぁああッッ!!!!!」
「…ぁ…ふぅ……、ぅ、ぅう…、いっぱい出ちゃった……、ご、ごめ、ごめんな…さい………」
 つい、笑ってしまった。
 早苗はまだ“開花”し切っていないとは思ったが、しかし確実に“開花”は迫っているようだ。
おならを繰り返すうちに、早苗の羞恥心を乗り越えた「何か」が表れようとしているのかもしれな
い。
 それにしても、無意識であったのかもしれないが、あの子もなかなかエグイことをやるものだ。
実に13連発。短いすかし気味のおならを息つく暇すら与えずに放ち続けたのだから、浩太郎は本当
にたまらない。早苗の恐ろしさというものは嫌というほど味わったはずだが、さらにそれの上を行
く“絶対的恐怖”というものが身に染みて分かったのではないだろうか。
 何しろ、短い連発だったとは言えディスプレイはいずれも120000以上の値を示し続けた。それほ
どのガトリング砲を直撃してしまったのだ。彼の脳みそはすっかり腐卵臭に侵食されただろう。色
が真っ黄色に変色していないかどうか心配なくらいだ。
「え、えぎ、ぐざ、い、ぐざい、おな、ら、ぐざい……ッッ」
「ごっ、ごめんなさいごめんなさいっ! あんなに出るとは思わなかったんです……、あの、ほんと
に、だ、大丈夫……ですか?」
 早苗はあくまで気弱で可愛い、人のことをよく思いやれる良い子なのだ。だからこうして謝る。
そしてそれゆえに、そのエグさはさらに際だつ。浩太郎のことを追い詰める。彼は今だに大きなも
っちりヒップから放たれた“早苗”に犯されている。“早苗”を顔に擦り込まれ、体内からも“早
苗”が彼を責め立てる。
 早苗が恐縮して小さくなってしまっている間に、私はもう一度、しつこくも問いただすことにし
た。
「相当に臭かったみたいねぇ。もう嫌になったでしょ? なら、喋りなさい、真実を」
「…ぐざ…お…な…ぐざい…たま…ご…う…ゆで…たま…ご……」
「あらぁ、すっかり参っちゃって。なんなら、早苗に“気つけ”してもらう? 今度は30連発ぐらい
やってもらってみる? 早苗なら、それくらい余裕のはずよ」
「…や…めて…ぐざい…ぐざ…い……ぐざい…ぐざ……」
「なら、喋りなさい」
「ぐざ…い…たま…ご…さ…なえ……おな…ら…たまご…ぐざ……」

 これは、駄目か。
 私は溜め息をついた。早苗脅威の13連発はあまりにも「脅威」過ぎたらしかった。拷問の始めに
投与した精神強化剤もそろそろ意味をなさなくなってきたようだ。あれを投与すれば並大抵の激痛
や精神的刺激では気絶しなくなるはずなのだが、最早早苗のおならは「並大抵」など遙かに超越し
てしまっている。無理もない。
 狂ったように「おなら」「たまご」「くさい」「やめて」の単語を繰り返す浩太郎。いや、もう
半分は狂っているのかもしれない。だが完全に錯乱状態に陥るのはまずい。証言をしなくなってし
まう。
「…レイコさん……」
「ごめん早苗。ちょっとストップしててね」
「は、はい」
 私は考える。
 どうする。
 早苗のおなら連発は言うなれば事故のようなものだったが、少々刺激が強すぎたようでもあった。
ならば、次なる一手を講じるのが当然だろう。しかし私の手元に残された“手”というのは、実
のところ次が“最後の手段”という奴であった。

 さぁ。どうする。

 しばらく待てば、浩太郎は半狂乱状態から脱出するかもしれない。しかしそれには、結構な時間
がかかるだろう。ベテランの拷問官ならまだしも、初めての拷問である早苗を長時間待たせるのは、
ある意味で危険だ。彼女が拷問に対して強烈なコンプレックスを感じてしまうことは、拷問官育
成士として避けなければならない。
 ならば、“最後の手段”に移るしかない。
 あるいは、さらなる刺激を与えて彼が無理矢理でも半狂乱状態から抜け出すことを試してみるか。
しかし、それもまた危険な勝負ではある。早苗の“事故”が続けば、彼が自白する前に死んでし
まうこともありうるからである。

 さて。
 どちらの道へ歩を進めるべきか。

レイコの指示は?
1.そのまま拷問を継続
2.“最後の手段”に移行
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
1.そのまま拷問を継続


 いや、まだ早い。

 レイコは思いとどまる。
 “最後の手段”とは、本当に“最後”になったときに用いるべき手段。それに移行するには、ま
だ早いと判断していた。
 徐々にレベルを上げていった早苗のおならも、いよいよ120000台に突入した。実に人間が作り出
せる限界であった人工悪臭の100倍の臭さである。しかしそれでもまだ、人間を死に至らしめること
はない。そう、“まだ”人を殺すには足りない数値なのである。
 だからこそレイコは焦って“切り札”を使うのを躊躇った。確かに早苗の凶悪な責めは始めに投
与した精神強化剤の効果をも上回り、浩太郎を気絶させてしまう可能性はある。しかし気絶は気絶。
死んではいない。だったら、たたき起こせば良い。
 ……ただ、心配なことは、ないわけではない。
 拷問を進めるに従って、早苗が自分をコントロールし切れなくなっているということだ。
 彼女はその天才的な能力によって自分が出すおならの臭いをコントロールできる。つまり思い切
りおならをするのではなく、ある程度の我慢をしつつも放つことができる、ということだ。これは
常人にはとても真似できることではないが、早苗はこれまでの生活でもごく普通にその「調整」を
行っていたようだった。
 ただ、次第にレベルを上げていくという作業は早苗にとっても多少の負担を強いることになる。
「我慢」を徐々に緩めていけば、どこかのポイントで「我慢しきれなくなる」ことが起こりうると
いうのは、容易に想像できるだろう。
 精神強化剤は、早苗のおならに対してある程度の抵抗力を与えるが、しかしそれはあくまで「あ
る程度」である。
 早苗の「我慢」が限界に達した、そのときに、浩太郎は――死んでしまうかもしれない。
 そのことを考慮に入れれば“最後の手段”に移るべきときであるとも言えるのだが――


 でも、別にそれでもいいわ。


 最終的にレイコを動かしたのは、彼女自身の、そんな内なる声だった。
 早苗の「我慢」が限界に達し、最悪の一発を放って、浩太郎が絶命してしまったとしても、
 別に――それでもいい。
 どうしてそう考えたのか、何が彼女をそうさせたのか。誰にも分からない。ただレイコは、この
拷問の最中に浩太郎がどうなろうとも良い、そう考えるようになってしまっていた。そこにある正
義感は、レイコが当初抱いていたものとは大きく異なるものになっていた。

「…おな…らぐざ…い…ぐざ…いぐ…ざい…ぐざい……」
 今だ浩太郎は半狂乱状態。目を白黒させ、声を枯らしながらも、大声で自分の鼻に入り込む強烈
すぎる卵臭さを訴え続けていた。そして早苗はそんな彼に巨尻を向けたまま、じっと指示を待って
いる。
 観察室で一人、レイコは小さく頷いた。自分自身への肯定だった。
「早苗、そろそろ再開しましょう。いくら待ってもその男、治りそうにないわ」
「あ、は、はいっ。……で、でも、治りそうにない、って……?」
「もう半分くらい狂っちゃってるのよ、そいつ。早苗のおならが臭すぎて」
「え……。そ、そうなんですか? だ、大丈夫なんでしょうか……」
 早苗は男に目をやる。
 レイコと何度も実験を繰り返してきたが、一人の人間の男に、それもこれほどまで長くおならを
嗅がせ続けるのは初めて。酷く叫び、藻掻き、悶える男に、実のところ早苗は不思議な疑問を抱い
ていた。

 どうしてこんなに苦しんでるんだろう。
 まだそこまで臭くしてないのに。

 自分のおならが凄まじいということは、早苗も知っていた。だからレイコに出会うまでは人前で
は絶対におならなどしなかった。そしてレイコとの実験で彼女のおならは数値かされ、その凄まじ
さが彼女が想像していた以上のものであることも知った。
 しかし彼女はどうしても実感できなかった。何しろ彼女自身が自分のおならを嗅ぐ分には、確か
に「くさい」が、あくまでそれで終わりだったからだ。彼女の本気には人を殺すだけの力がある。
今出している“手加減をした”おならだって、人を狂わせるだけの力がある。そう言われた。言葉
では分かる。だがその実感が、全く湧いていなかった。
 だからレイコに言われて早苗は改めて気づく。

 この人、狂っちゃいそうなんだ。
 これだけしかおならしてないのに。

 そう思うと早苗はどうしようもなく申し訳ない気持ちになった。“まだ手加減をして”いたし、
“この程度のおなら”では大丈夫だと思っていた。しかし自分の尻の下にいた男は、そうではなか
ったのだ、と。根っから心優しい少女は、涎をボタボタと流す男の頬にそっと触れる。
「あの……、ごめんなさい……」
 その言葉が浩太郎の耳に届いていたかどうかは定かではない。
 小さな声で、可愛い眼に涙をうっすらと浮かべながら謝る少女。
 だがこの少女が、あれほどのおならで浩太郎をここまで追いやったのは、紛れもない事実。
「じゃあ早苗。治療を始めるわよ」
 レイコの声が響く。
「え、ち、治療……ですか?」
「そう。そこで狂いそうになってる、自分の罪も認められない大馬鹿者への治療よ」
「で、でもどうやって……?」
「ふふ、馬鹿につける薬はない、って言うでしょ? ショック治療って奴よ。早苗、お尻を下ろして」
「い、いいんですか? 浩太郎さん、なんだかすごく苦しそうですけど……」
「構わないわ。その五月蠅い口を塞いじゃいなさい」
「は、はいっ」

 んっむぎゅうぅぅうっっ!!!

 本当に、残酷なものだ。
 浩太郎の方は、死ぬ気なのだ。死ぬ気で助けを乞うている。自分の喉がいかれてしまうこと覚悟
で喚き散らし、臭い臭いと訴えている。首がもげそうなくらい暴れて、奇跡が起きて枷が外れ、逃
げることができないかと祈っている。
 それなのに、か弱い(はずの)少女である早苗が彼を踏みにじるのはごく簡単。腰を下ろせば良
い。尻で顔を覆うだけ。なんと簡単だろう。それで彼の望み、奇跡にかける希望は全て絶たれる。
それだけで地獄に落とせる。
「むがぁぁあーーーぁあぁあぁッッ!!!!」
 それでも彼は藻掻く。
 奇跡を信じて。
 起こるはずのない奇跡を、惨めな形相で信じて。
「早苗、やりなさい」
「え、えっと……、どのくらい…出してもいいですか?」
 早苗の、ごく平凡な問い。
 だがその意味は“どこまでおならを臭くして良いか”ということ。普通の人間ではまず訊くこと
もできない事柄だろう。早苗だけが、それを出来る。
 レイコは一人、誰にも見られていないのをいいことにほくそ笑んだ。
 そして、残酷に告げる。
「好きなだけ、やっちゃいなさい」
「え……、そ、それって……」
「なんならフルパワーで、早苗が出せる一番臭いの、嗅がせちゃってもいいってことよ」
「わ、わかりました……。う、で、でも凄く苦しそうなので…始めは手加減して……」


  ぷすっ


 それは拷問が始まった当初のような、小さく短い、女の子らしいおなら。
 しかし早苗のあまりに完璧すぎるヒッププレスのため、漏れ出したごく少量のガスは僅かたりと
も逃げることなく浩太郎の鼻穴へと入り込む。
 むわっとした生暖かさ。それを彼の肌は感じる。
 そして次の瞬間に感じたのは――

 今日の責めの中でも極悪級の、た、まご、くさ、さ――?

 何が起きたのだろうか。
 あんなに少しのおならだったのに。
 さっきみたいにながーいすかしっ屁なんかじゃなく、
 ちょっとだけ出たおならだったのに。
 それなのに、
 なんで、
 こんなに、
 く、腐った、
 た、たま、
 卵、
 たまごたまご卵タマゴたまご卵たまごたまご卵タマゴたまごたまごタマゴ卵たまごタマゴ卵たまご
 たまごタマゴタマゴ卵卵たまごたまご卵タマゴたまごタマゴたまごたまご卵たまごたまご卵タマゴ
 たまごタマゴたまごたまごタマゴたまご卵たまごたまご卵タマゴたまごたまごタマゴタマゴ卵卵た
 まごたまご卵タマゴたまごたまごタマゴ卵タマゴたまごタマゴたまごたまごタマゴたまごたまごタ
 マゴたまご卵たまごタマゴたまごたまごタマゴたまごタマゴたまごタマゴたまごたまごタマゴたま
 ご卵たまごたまご卵タマゴたまごたまご卵たまごたまごタマゴたまごタマゴたまごたまご卵たまご


「へあああぁぁぐごごごおぉぁぁぁあぁッッ!!!!!」


  *****


「…あ、はは……、すご……」
 マイクから声が入らないようにボリュームを落としながらも、私はついそう呟き、笑い出してし
まっていた。それは喜の感情からの笑いではない。ただただ、早苗の力に圧倒させられ、笑うしか
ない状況に立たされていたのだ。



 その数値に、私はただ唖然として口をぽっかりと開けることしかできなかったのだ。
 確かに今までの実験で、早苗がこの数値をも超える記録を叩き出したことは何度もある。
 だがそのときはいずれも、「これでもか」というほど思いっきり、物凄い量のガスを噴出して記
録を出すに至った。
 しかし今の一発。
 本当に遠慮した、小さな、可愛い、ごく少量のおなら。
 しかもそれを出す前に早苗が口にした一言。
 「始めは手加減して」。
 彼女は確かにそう言った。間違いなくそう言った。
 そして出た数値が……、255432……?
「す、すごい…わ……」
 そう言うしかない。驚異的。
 下水処理場の850倍臭い、などと単純に比較できるものではない。下水処理場の悪臭など、早苗の
おならを計る定規としても役に立たない。いや、最早私たちが人工的に作った悪臭の1200という数
値だって、今の早苗にしてみれば埃のようなものだ。
 早苗は確実に、自分で自分のおならを制御できなくなっていた。
 間違いない。

「ひ、ひぎぃぃいぃぃいぃッッ!!!!
ふ、ふぎゃあぁぁぁあッッ!!!!!」
 早苗の尻の下で、浩太郎は残った体力を総動員して暴れる。台はギシギシと揺れ、彼を拘束して
いる枷も千切れんばかりにガチャガチャと響く。……それでも早苗の尻だけはどっかりとそこに居
座り、動こうとはしない。ぷるぷると揺れる尻肉が浩太郎の惨めさをさらに語る。
 一方、当の早苗はよくわからない表情をしていた。何かとても、不思議そうな。
「早苗、もっとやって、いいわよ」
 私は自分の声が震えるのを何とか押さえながら声をかける。
「い、いいんですか? なんだかすごく暴れてるし……、もしかして今、すっごく臭いの出ちゃいま
したか……?」
 早苗は、気づいていないのか?
 今彼女が放った、今日の中でも極悪の一発のことを。

 そ、そうか。

 私は気づく。
 早苗が放ったガスは臭いは史上最悪の代物であったと言え、ごく少量。完璧なポジションに座り
込んだ早苗の尻から、おならは浩太郎の鼻穴に直通した。そして一切漏れ出さなかった。一切、で
ある。だからその臭いは早苗自身の鼻まで届いていない。その代わり、浩太郎は放たれたおならの
100%をたった一人で味わったことになる……。

「い、いいわよ、心配しないで。どんどん出しちゃっていいのよ」

 私は何を言っているんだろう?
 このまま制御不能になった早苗がおならを放ち続ければ、浩太郎の命が危ない。
 そして拷問中の死は、拷問官の倫理に反する。

 本当に?

 いや、そんなことはない。
 そんなことは、ないんだ。

 拷問を受ける人間は罪人。
 死んで当然の罪人。
 自白すれば死刑になる罪人。


 ――だったらこの場で、殺してしまえ。


「ほ、ほんとにいいんですよね?」
「本当よ。これはショック療法なんだから、ちょっとくらい暴れるのは当たり前なの。それよりも
っともっと嗅がせた方が、その狂いかけた男の頭を治せるかもしれないわ。もう思い切っていっぱ
い出しちゃいなさい?」
「そ、そうなんですか? でもあんまり力入れると変な音出ちゃうから……」
「ちょっとぐらい音出ても恥ずかしくないわよ。心配しないで」
 そんな適当なデマカセを、私は平気で口にしていた。
 そして早苗の了解の言葉を聞いて、――笑っていた。
「わ、かりました……、じゃ、じゃあ、いっぱい…しちゃいますね、浩太郎さん……っ」


  ぷすううぅうぅぅうっっ!!!! ぷしゅぷすうぅっっ!!!!


「ごぶぶぅぅぅぇええぇえぁッッ!!!!!」
「す、すごい暴れてる……。でもこれが効いてるってことなんですよね……、は、早く正気に戻っ
て、悪いことしたの、認めてくださいね……」
 まさに早苗が浩太郎を狂気の世界に叩き落としているところなのに。
 そんなけなげな早苗に罪悪感を感じるものの、私は彼女を止めることを選ばない。
「ごぶッ!!ごぶばっぶうぶうぇえッッ!!!!」
「……ぁぅ、でもあんまり暴れないでください……」


  すううぅぅうぅぅぅぅっっ!!!! ぶびっ!!! ぶびぶすっ!!!!


「へごおおぉおぉぉおッッ!!!!!」
「や、お、音が……。は、恥ずかしくない、恥ずかしくない……」
 自分に言い聞かせているのか、早苗はそう繰り返す。もうこれは恥ずかしいとか恥ずかしくない
とか、そう言った早苗個人のレベルの問題ではないというのに。
 尻の下にいる浩太郎は早苗のおならの音になど気を遣っている暇はない。あるわけがない。彼の
体は全勢力を総動員して鼻から入り込んでくる世界中に存在する卵を一斉に腐らせても到底適わな
いような悪臭と闘っているのだ。
 浩太郎の台に固定された手が動き、なんとか早苗の尻をぺちぺちと叩いた。
 もはや彼に正常な判断ができているとは思えないが、それでも頭の中の一部分で思い出したのか
もしれない。拷問を始める前、早苗の尻をタップして解放してもらったことを。だから彼は本能的
に許しを得ようと早苗の尻を叩いていた。
「…はぁ…ぅ……、まだ出そう……かも…ぉ……っ」
 しかし早苗はそんなことに気づいていなかった。
 早苗の方も、正常な判断が出来なくなりつつあったのだ。


  ぶっばぁぁぁぁあぁあーーーぁぁぁああっっ!!!! ぶすうぅうっっ!!!!


「おごごぉぉおごおおぉお…ぉ……」
「…あ、あれ……、暴れなく…なってきた……? 治ってきたのかな……」
 早苗はあくまで“治療”のつもりで超腐卵ガスを注ぎ込んでいた。こうすることで浩太郎が半狂
乱状態から脱出し、正式な「拷問」を再開できると思っていたから。
 だが浩太郎が落ち着いてきたのはもちろん、半狂乱から脱出したからではない。
 脱出どころか、度重なる早苗の放屁で彼は完全な狂乱状態へと陥り、そして今、その段階すらも
踏み越えようとしている。
「…む…ううぅ、ぐ……ぁあぁあ……ぅぅあぁッッ」
「…え…、や、やだ、結構臭い…かも……?」
 ようやく早苗も自分の肛門から出ているガスのヤバさを感じ取ってきたようだが、もう遅い。そ
の肛門をパンツ越しに密着させられている一人の男は、一兆の「臭い」という言葉を持ってしても
足りないくらいの“卵っ屁”を擦りつけられているのだから。
 もう、遅い。
 早苗の方にも、限界が、訪れようとしていた。
「…ん…ぁ、う……?」
 早苗が目をぎゅっとつむる。
 顔を真っ赤にして。
 その風貌は、女の私であっても惚れてしまいそうなくらい可愛らしい。
 だがその肛門のすぐ近くまで下りてきているガスは、
 可愛らしいなどという言葉の対極に存在するものだった。
「……ぅ、で、出そう…です……ぅ…、す、すっごいの……が………」
 早苗が感じ取る、「すっごいの」。
 彼女自身がそう言うのだから、それはもう、本当に、凄いとしか言いようがない一撃。
 もうそれは秒読み段階に入っている。
「…ぁ、だ、だめ……、こんなの出た…ら……浩太郎さん……おかしく…なっちゃう……っ」
 堪えようとしている。
 我慢しようとしている。
 しかし度重なる放屁で「我慢の限界」に達した早苗の体は、彼女の意志とは逆の方向に動く。
 早苗の天性の才能を持ってしても、それを「我慢」することはできなくなっていた。
「……で、でも…だ…め……、ぁ、ぁあ…浩太郎さん……、ほんとに…ごめんなさい……、出ちゃ
います……、ご、ごめん…な…さ……、ぁああっ!!」

 そして限界は、訪れた。


  ぶっしゅうぅぅぅうううーーーぅぅぅおぉぉおぉおっっ!!!!!!


 早苗の体がぴくぴくっと震える。
 そして浩太郎の体はビクンッと大きく一回だけ震えた。
 それは全く異なる種類の震えだった。

「ぎいいぃいぃいぃひっげえぇえぇえッッ!!!!!」

 今日で一番の断末魔。
 早苗の巨尻に遮られながらも、浩太郎の声は部屋中に轟いた。
 長い、本当に長い早苗の一発にかき消されつつも。
「…は…ぁあ……、なにこ…れ……すっごく…くさ…いぃ……」
 おそらく浩太郎の体全体に激痛が走るほどだっただろう。そしてその鼻は焼けただれてしまうよ
うな感覚に襲われたに違いない。何故なら――



 何故ならそれはもう、完全に“臭い”だけで人を殺せるレベルのおならであったから。
 そんな部屋にいて平気でいられるのは、それを出した張本人の早苗だけ。
 ましてや尻の下でゼロ距離にガスを注ぎ込まれた浩太郎が見た地獄は、死後の世界に存在すると
いう本当の地獄よりも格段に恐ろしい代物だったかもしれない。
 血の池がぐつぐつと煮立ち、硫黄臭がいっぱいに広がった、地獄。私に言えるのは、死後の地獄
よりも今、彼が味わっている現世の地獄の方が確実に“卵臭い”ということだけ。後のことは、推
し量るに忍びない……


 そう、か。
 我を忘れていたのは、浩太郎と、そして早苗だけではなかった。

 私も、我を忘れてる。

 私が抱いていた正義感。
 それを忘れてしまっていた。
 いや、違う。
 忘れたのではない。
 形を、変えたのだ。

 新しい罰の形に。
 早苗による、正義の罰の形に。


【エンディングD】
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
2.“最後の手段”に移行

“最後の手段”。
 もうこれしかない。
 そう考えて、レイコは手元にあるキーボードを操作し、最後にエンターキーを叩いた。

 レイコの指示を待ってじっと待機していた早苗だったが、小さな音と共に手元にあった小物台の
蓋が開き、何かが出てくるのに気がついた。

 それは、注射器。
 そしてそれが、“最後の手段”。

「レイコさん…、これって……」
「手に取って」
 早苗はその注射器におそるおそる触れる。そこに詰められていたのは始めに見た精神強化剤では
ない。緑色のおどろおどろしい色をした液体。それを、早苗は一度だけ見たことがあった。
「…うぐ…ぎ……な…にそれ……」
 息も絶え絶えになりながらも、浩太郎はぎょっとしてその注射器を見た。そんな得体の知れない
液体が含まれた注射器を打たれるのかと思い、恐怖しているのだろう。確かに毒々しいそれは人体
に無害には思えない。だがそれは、毒ではなかった。
「安心しなさい。それでお前を殺そうっていうんじゃないわ。むしろお前を救ってあげようとして
いるのよ」
 顔を青くして注射器を見つめる浩太郎に、レイコは説明する。

「それはPX-0875。簡単に説明すれば、人類が夢見た“不死の薬”ね」

 ……その薬が開発されたのは、最高拷問所で拷問中の不慮の死が多発したためであった。
 肉体的に責め立てることばかりの地方拷問所とは違い、最高拷問所では精神的な責めも多く取り
入れられていた。
 実のところ、鞭打ちや水責めといった拷問の方が事故死率が低い。そういうタイプの拷問であれ
ば拷問官の方も「加減」というものを弁えているためだ。むしろ死亡率が高いのは精神的にじわじ
わと責め込むタイプの拷問の方であった。
 心電図を見張っていて鎮静剤で心臓麻痺を防ぐ、というような対策はとられたのだが、それだけ
ではまるで不十分。全ての死因が心臓麻痺によるショック死ではない。精神的な責めともなると拷
問官も「どれくらいやっていいのか」が分からず、ついやり過ぎて殺してしまうというパターンも
多かった。……ちょうど今の早苗のように、加減が分からないのである。
 そこで政府が、科学力の髄を結集して作り上げたのがこの薬品『PX-0875』であった。
 この薬は脳の前頭葉や大脳辺縁野を一時的に刺激することによって、体がどうなっていようとも
脳に「生きている」状態を錯覚させる。それによって驚くべきことに、この薬が作用している約5
時間の間、投与された人間は“不死”の状態を保てるというのである。
 もちろんそれを投与されたとしても大量に出血したり飢餓状態に陥ったり、ギロチンにかけられ
て首が飛んでしまったり……、などということになれば命を落としてしまう。
 だが『PX-0875』は精神的、あるいは内臓の個々の器官に与えるダメージなどに対しては滅法強い。
栄養分さえ補給してやれば、『PX-0875』を打たれた人間は事実上“何をしても死なない、不死身
の肉体”を手に入れることができる、というわけだ。
 しかしもちろん利点だけではない。脳を操作する薬品であるために、多様することは出来ないと
いうデメリットもある。それが“最後の手段”と言われる所以であった。

 だが、ここまで来て早苗のおならに耐え続ける浩太郎には、最早こうして『PX-0875』を使うしか
道は残されていなかった。
 一般的な精神強化剤だけでは人の死まで防ぐことはできない。これ以上早苗にパワーを引き出さ
せては、自白する前に浩太郎の身が持たなくなってしまう。それでは「拷問」とは言えない。
 相手の体を痛めつけるのは不本意であったが、レイコは『PX-0875』を使うという選択をするしか
なかった。それさえ打てば効果が持続する5時間の間、早苗がいくら強力なおならを嗅がせても浩
太郎は死ぬことはない。
 ただもちろん“死ぬことはない”という、それだけである。
 ますます凶悪化する臭いはそのまま感じるし、逆に気絶することも死ぬことも許されなくなる、
という点においては非常に凶悪な薬とも言える。
「……早苗、刺して。練習した通りに、注射を打って」
「は、はい……、わかりました」
 早苗は震えながらも、注射器の針をゆっくりと、浩太郎の腕に打った。
 この薬は本当にいざと言うときにしか使わない。早苗はそう説明を受けていた。そしてレイコが
それを打てというのは、今こそが“いざというとき”であるということ。早苗も事の深刻さを理解
する。
「…ぅ、ううぅぐううッ!!!」
 浩太郎が呻き声をあげた。
 『PX-0875』は即効性。すぐに効果が現れる。一瞬だけ頭がぼやけたかもしれないが、次の瞬間に
は消えかけていた意識が一気に引き戻され、ハッキリとしてくるだろう。
「…な…なにを…した……?」
「さっき言ったでしょう。清水浩太郎。お前は文字通り“不死身”になったわ。おめでとう。良か
ったわね。これでいくらでも、早苗のおならを嗅ぎ続けることができるのよ」
「ひ、ひぎ……ッ」
 その言葉に、浩太郎は明らかに顔を引きつらせた。恐怖しているのだ。
「それが嫌なら、今すぐにでも白状しなさい。お前の罪を。女性を強姦したという罪をね」
「…こ、断る……、お、俺は何もしてねぇ……」
「本当に強情ねぇ……」
 半ば呆れるような声でレイコは溜め息をつく。
 そして今度は、刺したあとの注射器をこれまた震える手つきで片付けている早苗に声をかけた。
「早苗、分かったわね。これでそこの男は、いくらあなたがフルパワーを出しても死ななくなった
わ。だから安心して。安心して、拷問を続けて頂戴。そして何としても自白させましょう」
「……は、はいっ、レイコさん」
 早苗の表情を見て、この拷問の中でも彼女が成長してくれたことをレイコは嬉しく思った。
 それと同時に、ここからは自分自身も気を引き締めなければならないことをもう一度心の中で繰
り返す。もう遊びではない。早苗とレイコ、二人の“本気”の戦いが始まる。
「早苗、そのまま、もう少しだけお尻を寄せて。口は塞がないようにね」
「は、はい」
 ずいっ。
 早苗の巨尻が、浩太郎の目前まで迫る。
 彼の鼻の先は、早苗のパンツの、ちょうど尻の穴の部分に触れていた。
「もうその男は絶対に死なない。だから早苗、これはからはそいつを、殺すつもりでやるのよ」
「……わ、わかりました」
 決意の籠もった早苗の声。それに浩太郎は、小さく「ヒッ」と息を漏らした。その尻があの美少
女のものだということを知っていても、恐怖しか生まれない。
「…こ、ころ、殺される……ッ」
「安心しなさい。殺さないわ。ただお前は、本来ならば死ぬくらいの苦しみを生きたまま味わうの
よ」
「ひ、ヒィ……ッ、く、くそ……ッ」
「……もう一度問うわ。お前は罪を犯した?」
「……お、俺は、何も………」
 浩太郎の言葉を聞き届けたあと、レイコは最後にもう一度、小さく溜め息をついた。

「早苗、やって」
「は、はいっ」


  むっふうううぅうぅうぅうっすうぅうう~~~ぅぅうっっ!!!!!


 気が抜けたような、すかしっ屁。
 だがすかしだからと言って、ガスが細く漏れ出したのではない。パンツの中で早苗の肛門はもと
もと豆粒くらいだった大きさが嘘のように大きく口を開き、一気に大量のガスを放出した。
 そしてそのガスは、一直線に浩太郎の鼻穴へと流れ込む。そして顔面にもかかる。顔全体が生暖
かく、いや、熱くなった。

「あ、な、え、が、あああ、ああぁああ、
ぐ、ぐ、ぐっぜえぇええぇええぇえええッッ!!!!!
死ぬ死ぬぅうぅぁぁぁぁぅッ!!!!」
 破壊力は、これまで味わったものよりも格違い。早苗がまだ上に力を残していたことに愕然とし、
そしてどうしてもこの小柄な少女には適わないことを痛烈に刻みつける究極の“卵臭”。それに
絶妙な割合で混じる“ニンニク”“肉”と言った臭いの成分も、人を地獄に這い蹲らせるためには
計算されたように最適。
 一方の早苗には、もう迷いは見られない。
 強い決意の表情。
 いつも困ったように垂れ下がってばかりいた眉毛も、きゅっとつり上げられる。
 それは凛々しくもあり、可愛らしくもあった。
「く、臭いのなんて当たり前ですっ、臭くしようと思っておならしてるんですから。そ、それにっ、
レイコさんも言ってましたよね、浩太郎さんは死ぬことはない、って。だから私も、遠慮なんか
しないで、お、思いっきりやっちゃいますから……っ」
「ぐ、ぐざいようッ!!!ぐざいよぉぉおおッッ!!!!」
「も、もう、それしか言えないんですか? 確かにちょっと臭すぎかなとは思いますけど……。で、
でも浩太郎さんが悪いことしたって認めようとしないのが悪いんですからね……?」
「ゆ、ゆるじで、お、おね、おねがい……ッッ」
「だ、だったら『悪いことしてごめんなさい』って謝ってくださいっ。そうすれば私だってやめて
あげますから……」
「…う…ぐ…そ、それは……、ぐぅ……ッ」
「まだしらばっくれるんですね。だったら……、もっと…嗅がせちゃいますよ……」
「や、やめ――」
「だ、ダメですぅ……っ」


  ぶぼぼっぼぉおぉおおぉおおーーーーーーぉぉぉおぉおおっっ!!!!!


「はっぎゃあああぁぁぁぁああぁッッ!!!!!」
「…ん……、す、すごい音……、それに…すごい…臭い……」
 一発一発、回を重ねるごとに早苗のおならは天井知らずに臭くなる。浩太郎の中の「最悪」の記
録がめまぐるしく更新されていく。彼の頭の中で、記録更新者が「一ノ瀬早苗」で埋まる――
「やッやめてやめでぇええッッ!!!!!」
「い、いくら言われても、や、やめませんからっ」


  *****


 ……流石、ね。

 私はモニターを眺めながら一人で感慨にふけっていた。



 私は早苗に、「殺すつもりでやりなさい」と指示した。そして彼女は今、“臭い”だけで十分に
人を殺せるだけの臭さの卵っ屁を放っている。
 『PX-0875』は浩太郎を不死にしただけではなく、早苗の心にも余裕と決意を生んだらしい。
 さっきまでの早苗は、ちょっと加減を間違えれば浩太郎を殺してしまうのではないかという不安
のせいでおっかなびっくり放屁をしている部分があった。しかし『PX-0875』のおかげでその不安は
彼女の心からすっかり取り除かれた。と同時に、自分は拷問官であるという自覚も芽生えたらしい。
私の指示なしで、彼女はすっかり拷問官らしい振る舞いをしていた。
 私は少し、感慨を受ける。
 育ててきたひよっこ拷問官が、一回の実践を通して一人前へと成長していく。
 こうして見ていると、浩太郎の表情はあきらかに先ほどより引きつり、弱気なものになっている。
あれほど強固な男だったが、自白はもう時間の問題に思えた。

「レイコさん、も、もっと嗅がせないとダメ…ですよね?」
 早苗の口からそんな言葉を聞くことができるとは。
 私は拷問の本番中であることを忘れ、一瞬だけ感動を覚えてしまった。
「そうね。その男が自白するまで、好きなだけ嗅がせなさい。お腹のおならを全部出し切っちゃっ
てもいいのよ」
「は、はい。……で、でも、それは無理だと思います……」
 急に語尾を弱める早苗に、私は少々驚く。
「無理?何が?」
「あ、あの、だって『PX-0875』が継続する時間って5時間、でしたよね? ……それじゃあ私、全
部は出し切れないと思いますから………」
 そうだった。
 笑ってしまう。
 これが、早苗の力だった。
「ふふ、そうね、ごめんごめん。じゃあその男に早苗のおなら、全部嗅がせる“つもり”でやりな
さい」
「……は、はいっ!」
 今日で一番元気の良い、早苗の返事だった。
 彼女は尻の下に目をやる。
 今でもギャーギャーと喚きながら目を白黒させ、口をぱくぱくと開閉させている浩太郎。
 その姿を、彼女らしからぬ強気な視線で見つめた。
「…こ、浩太郎さん……、悪いことしても謝らないなんて、いけないと思います……」
「…あ…あひ…や…やって…ない……だから…許し……」
「そ、そういう人には……、おしおきです……っ!」


  ぶっすうぅうぅうぅうーーーぅぅぅうううっっ!!!!!


「ぎゃあぁぁぁぁあぁおぉおおぉッッ!!!!!」
「お、おっきいおなら出ちゃいましたけど……、まだ終わりじゃないですよっ」
「お、おねが、許し、て――」


  すううぅぅぅうっしゅうぅぅぅううーーぅぅぅうっっ!!!!!


「ぐざああぁぁぁぁあぁああぁあぁッッ!!!!!」
「や、やっぱりすかしっ屁の方が臭い…んですか?」
「ぐざいッ!!ぐざいッ!!!ずがじっ屁ぐざいいぃッッ!!!!」
「そうですか……」
 早苗は神妙な顔つきになったかと思うと、きゅっと口を締める。それは彼女の拷問官としての自
覚、正義を司るために拷問をするという責任感の表れなのだろうか。
「だったらいっぱいすかしっ屁しますから、か、覚悟してくださいねっ!」
「ひ、ひッ、そ、そんな、やめ――」
「やめませんっ」


  むっすううぅぅぅううぅうーーーーーぅうぅうぅううっっ!!!!!


「あががががぁぁぁあああッッ!!!!!
や、やだやだやだぁあぁああああッッ!!!!!
すかしっ屁ぐざあぁいいぃぃいいぃッッ!!!!!」
「く、臭いですよね、そうですよね」

  しゅおおぉぉぉおおーーーぉおぉーーぉぉおっっ!!!!!!


「はぎいぃぃぃぃぃいぃいいッッ!!!!!!」
「でも黙ってたら、臭いの終わりませんよ……っ」
 私の目から見ても、早苗の拷問は――完璧だった。
 浩太郎の顔の周りは、厚い卵臭の層に囲まれ、いくら呼吸をしようとも早苗の卵っ屁しか入って
こない状況。しかし彼は呼吸するしかない。そういう風に人間の体は設計されているのだ。
 体が絶対に拒否できないこと。それが呼吸。その絶対を利用する“臭い”による拷問は、やはり
極めて効果的。それが実証されたと同時に、早苗も拷問官として確実に育っていることが分かる。
 『PX-0875』を使わなければならないというのはまだ課題であるが、次第にそれも克服するだろう。

 早苗は本当に、最高の拷問官になりうる力を秘めている。

 いつの間にか、自分の手が震えているのに気がついた。早苗の姿。確実に成長していく早苗の姿
に、私は興奮を隠せなかった。私の手で育てた彼女が最高の、正義を兼ね備えた拷問官になってく
れることは、私にとって最大の喜びでもあった。
「ぎぃ、ひぎぃ、ぐざ、ぐざいぃぃいいッッ!!!!」
「臭いのは当たり前ですっ。わ、私のおなら…なんですから」
「ぐ、ぐええぇえ、ぐ、ごおごぉぉおッッ!!!!!」
「私のおなら、こんなんじゃ全然ないんです。もっともぉっと、く、臭くなりますよ。それでも嗅
ぎますか? 正直に本当のことを言えば、拷問は終わりますよ……?」
 優しく、しかし厳しく、早苗は問い詰める。
 拷問官がひたすら凶暴化する今の時代、もしかするとこういう拷問官が求められていたのかもし
れない。
「…ぐ…ぜぇえよぉ…ぐざい…くさすぎ…る……」
 ひたすら臭い臭いと繰り返す浩太郎。これほど早苗が“本気”を連発し、それを目一杯食らって
いては当然のことだったが、それに対して早苗は珍しく少し怒ったような表情を浮かべた。
「も、もうっ、臭い臭いってばっかり言っててもわかりませんよ? ……あ、あの…、レイコさん、
どうしましょう……?」
 早苗の華麗な拷問に見とれてしまっていた私は、彼女に話しかけられて少々慌てながらも我に返
る。そうだった。なんだかんだ言えど、早苗はまだ拷問官一年生。私はまだまだ、彼女のサポート
をしなければならない。そう思うと、何だかほっとする気もした。不思議なものである。
「そうね。ちょっとその男に喋らせてみるといいわ。ちょっと話を聞いてあげるの。でも、まだし
らを切るようだったら容赦なく追加の一発を嗅がせてあげなさい」
「は、はい、わかりましたっ」
 早苗は可愛らしく小さく敬礼し、尻の真下で呻く浩太郎に向き直る。
「じゃ、じゃあ浩太郎さん。お話……、聞いてあげます。しゃ、喋りたいことあったら喋ってくだ
さい……」
 喋りたいこと。「臭い」「やめて」「許して」。それを彼はさっきから連呼しているのだが……。
「…ぐ、ぐざ…い……、ぐざいよぉ…、ぐざい、よ、ぉ……」
「そ、それはさっきから何回も聞きましたっ。同じことしか言えないんだったら、おなら……、し
ちゃいますからね……」
「ひ、ひぃッ!!や、やめてッ!!お願いッ!!!」
「だったらちゃんと……、喋ってください……っ」
「う…ぐ…、い、ぎ……、うぐぅ…う……ッ」
 浩太郎が口ごもる。
 彼の中の葛藤が手に取るように分かる。
 ここで「やりました」と言えばこの卵臭から解放される。しかし、結局は死刑。
 「やりました」と言わなければ、この卵臭から解放されない。しかし、生き残れる。
 まさに究極の選択。ただの「におい」であれば誰でも後者を選ぶ。だがこれは、早苗のおならと
いう“臭い”。世界で最も濃い、卵の“臭い”。屈強な男であっても、前者を選んでしまうという
もの。
 浩太郎の口がどう動くのか、首は縦に振られるのか。私がその動向をじっと注目していた――
 ――そのとき。


  ぷぴぃっ


 小さな音だった。可愛い音だった。
 先ほどまでのように浩太郎が叫んでいたら聞こえなかったかもしれない。
 しかし今、確かに聞こえた。
 と同時に、口ごもってしまっていた浩太郎が、一瞬にして暴れ始める。

「えぇええおぉぉぉあおぁぉぉおおおッッ!!!!?」

 急な一撃に、心の準備も何もできていなかった浩太郎は白目を剥いて叫んだ。
「あ、ごっ、ごめんなさいっ!」
 咄嗟に謝ってしまったところを見ると、今のは早苗の意識とは別の、言わば「ガス漏れ事故」だ
ったようだ。
 私はちらりとディスプレイを見る。



 成る程、恐ろしいものだ。
 つい尻の穴が緩んで出てしまった「ぷぴぃ」という甲高い、そして可愛い子供のような一発。
 故意に出たものでなければ、拷問を目的としたものでもない。ただその一発の臭いは、ごく少量
であるものの、確実に人間の致死量を超えていた。『PX-0875』がなければ、浩太郎は純粋に“臭い”
だけによって殺されている。
 ここまできた早苗は、誰にも止められない。
 何のダメージも受けていない屈強な男を一人連れ込んでも、今の「ぷぴぃ」一発だけでコロッと
命を奪うことができる。本当に可愛らしい小悪魔である。天使の風貌をし、天使のように優しい心と
確固たる正義感を持った、小悪魔。
「あ、あの、ご、ごめんなさ……、だいじょうぶ、ですか? おならする気はなかったんですけど、
あの……、あぅ、で、でも、今ので分かりましたよね? しょ、正直に言わないと、今のじゃ……
済まない、ですよ?」
「あぎいぃいぃ、ぐざ、お、なら、ぐざあぁぁぁッッ!!!!!」
「言うのはそれだけですか? じゃあ……、お、おなら、しちゃいますよ……?」
「ひッ、ご、ごめ、ごめんな、さ……ッッ」
「……やったんですか? 女の人に、乱暴なこと……」
「ひ、ひぃ、ひいぃぃ……ッッ」
「……やったん…ですか?」
「………や、や、や……、や、やって…な……い………」
 流石の私も、少々驚いた。
 まだ頑張るのか、あの男。
 子供のころ虐待されていた、と資料にはあったが、それがこんなに硬い意志を持たせているのだ
ろうか。普通の男であれば、こうなる前にとっくに諦めて自白しているだろう。今の早苗相手にこ
こまで持ちこたえられる男は、この清水浩太郎だけかもしれない。そういう意味では、早苗の初め
ての拷問相手にしては運の悪い組み合わせだった。
「やってない、って、まだ言うつもりですか?」
「…し、ら、ねぇ……しら、ねぇよ、何も……俺は………」
「………そうですか」

 ずむうぅっ!!! むっぎゅうぅ~~ぅうっっ!!!

 突然、早苗はそれまで浩太郎の眼前1センチのところでキープしていた巨尻をどすんと落とした。
その圧力。先ほどよりも上だ。彼女は浩太郎を窒息させんばかりのヒッププレスをお見舞いする。
呼吸はまるで出来ないだろう。彼女の尻の下でスゥスゥと酸素を求めても、早苗の尻肉が吸い付
くだけで口の中が悪臭に塗れるだけだ。
 鼻の粘膜が全て「たまご」に侵食される。
 それだけではない。肺も胃も脳みそも、全て「たまご」に侵食される。
 そこに早苗は、さらに「たまご」を捻り込むつもりなのだ。
 「たまご」で飽和状態の浩太郎の体内。
 そこを、さらに、さらにさらに、もっともっと、「たまご」で染める。
「レイコさん……」
「ん?どうしたの?」
 早苗がうつむいたまま私に話しかけてくる。
 表情は見えない。突然のヒッププレス。その意図も、よくわからない。恐怖感を煽るためなのだ
ろうか。それとも……
「レイコ…さん……」
 早苗が顔をあげる。
 私がいる方を、向く。
 耳まで赤い顔。
 涙で潤んだ瞳。
 震える唇。
 可愛い。
 が、
 私は何故だか、恐ろしさを覚えてしまった。
「…さ、早苗……?」
 私の声は、とどいているのだろうか。

 早苗はゆっくりと、口を開く――

「じゃあ――」
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
早苗はゆっくりと、口を開く。
「じゃあ――」


「――じゃあ、もっとおなら嗅がせて、……いいですか?」


 それは早苗の言葉としては、とても信じられない一言。
 だからこそレイコは驚愕し、恐怖した。

 早苗は確かに、人並み外れた「おなら」の才能を持っていた。
 しかし彼女は根幹的に、人前でおならをすることを恥じらう、ごく普通の少女だった。
 いや、彼女は普通以上にシャイでおとなしい少女だったのだ。
 だからこそレイコも苦労した。人前で彼女の本当の力を引き出すことに。拷問の正義を教え込み、
罪人を自白へ追い込むことがいかに世のためなのかを早苗に語る。その拷問を最も正当に行うた
めには鞭打ちなどの肉体的拷問ではなく、早苗のおならの力が必要だということも。
 それを聞いて、早苗は自分の力をレイコのために使うことを決めた。
 しかしやはり、人前でおならをするのには抵抗があった。どうしても恥ずかしい。自分のおなら
を聞かれ、嗅がれてしまうのは。
 だが、今の一言。
 もっと嗅がせていいですか。
 それは早苗自身が、尻の下にいる男に自分のおならを嗅がせたい、そう考えている証拠。

 耳まで赤い顔。
 涙で潤んだ瞳。
 震える唇。

 それは全て、羞恥心から来るものではない。
 早苗は――興奮を隠しきれずにいた。

「さ、早苗……、い、今、なんて……?」
 震える声で、レイコが聞き返す。本当は聞こえていたのに。しかしどうしても信じられない。早
苗が口にした、その一言を。
「…レイコさん……、だって、あのお薬で浩太郎さんは……絶対に死なない…んですよね……?」
「え、ええ、そうよ」
「……だったら私、好きなだけ……おなら、嗅がせても…いいんですよね?」

 間違いない。
 早苗は、覚醒していた。
 本当の“開花”が、早苗に訪れていた。
 おならを嗅がせたい。
 苦しんでいる男の人に。
 もっともっと、
 もっともっともっと!

 レイコは、自分の手が震えるのをようやく止めた。
 今の早苗なら、
 覚醒しきった早苗なら、
 ……何事でも、成し遂げられる気がする。
 彼女はもう一度、ディスプレイを見る。400851。人間の科学力を超越した、早苗のおなら。
 早苗が実験で叩き出したおならの臭いの最高記録。それは450983という数値だった。それは人工
悪臭の、実に375倍。その場にいた科学者達は口をあんぐりと開けて立ちすくむしかなかった。自分
達が科学の髄を結集して作り上げた人工悪臭の限界を、一人の少女が気張って出したおならがいと
も簡単に跳び越え、さらには今後人類が何世紀かけても到達できないような数値を叩きだしてしま
ったのだから。
 でも、今の早苗なら、それすら超えられる気がする。
 レイコの胸に浮かぶ、そんな予感。
 だからこそ彼女は、マイクに向かって――ゴーサインを出す。
「……い、いいわ、よ。早苗、あなたの好きなだけ嗅がせなさい。その男は絶対に死なないんだか
ら、何の遠慮も気遣いもいらない。だから……、最高のおなら、いくらでも……、出しなさい」
「ほ、本当に、いいんですよね? 沢山おならしちゃって、いいんですよね?」
 一般人から見れば、今でも十分に「沢山」のおならをしていると言うのに、早苗にとってみれば、
それまでのものは「ほんの少量の」おならに過ぎない。
「本当よ。本当にいいのよ。沢山出しちゃって」
 レイコは見たかった。早苗の、可能性を。
「むぐうっ!!むぅぅうぐうぅっっ!!!!」
 早苗の巨尻の下では浩太郎が藻掻いている。
 息ができない。
 助けて。助けて。
 だが早苗にその声は聞こえていないのだろうか。いや、聞こえているのかもしれない。聞こえて
いて、彼女はあえて、ぎゅむっと圧力を強めたのかもしれない。
 そして本当の覚醒の直前。
 早苗は最後に、
 ありがとうと言った。
「わかりました、レイコさん……、ありがとうございますっ」

 笑顔。
 早苗の、笑顔。
 あらゆる生物の心を癒すような天使の微笑。
 それを前にしてしまえば、全ての芸術は意味をなさなくなるというくらいの、
 素晴らしい、美しい笑顔だった。
 赤らんだ頬がきゅっと持ち上げられ、目を細めて、早苗は笑っていた。


 …っぎゅううぅぅううぅぅぅうっっ!!!!


 彼女のヒッププレスが最高の状態に達した。
 むにっとした尻肉は、浩太郎の「すべて」を制限する。
 彼はもう、喉から声を洩らすことすらできない。

 そして最後の最後。
 本当に直前に、早苗は、プレスを解いて尻を持ち上げる。
 潰れた浩太郎の顔が、早苗の尻のすぐ下から出てくる。
 浩太郎の表情を見るため?
 浩太郎の声を聞くため?
 浩太郎に大きく呼吸させるため?

「……いきますよ………、ふふっ」

 早苗の言葉は、誰に向けられたものだったのだろう――





  ぶっぶすううぅうっぅぅうううっっ!!!!!!
  ぶりぶりっ!!!ぶりぃぃぃいいいぃいっっ!!!!
  びいぃいぃっ!!! ぶびっ!! ぶびぃぃぃいいっっ!!!!
  ぶしゅうぅうっぅーーーーーぅうぅうっっ!!!!!
  ばびっ!! ぶすっ!! ぶすぶすっ!!!!
  ぶぶぶぅぅぅううぅぅうううっっ!!!!!!





「へ、ぎ、いいい、あ、うぅ、ああ、あ、あ、
あぎゃあぁああぁぁあっぁあああッッ!!!!!
う、ごぉぉげえぇええぁぁッッ!!!!!
ぐっぜええぇぇえぇぇぇえッ!!!!
ぐぜえぇぐぜええぇえぁぁッッ!!!!!
死ぬぅぅうぁぁぅうぅうッッ!!!!!
死ぬッ死ぬッ死んじゃうぅぅぅうッッ!!!!!
やめ、ぐじあいぃぁいぁぁあッッ!!!!!!
ぎゃぁぁああぁあぁぁあああぁあッッ!!!!!」




  *****



「…あ、ああ、あ…ぁあ…、ぅあ……あ………」

 私はもう、意味のない声を洩らすことしか出来なかった。
 悪魔だった。
 そこで天使の笑顔を見せているのは、小悪魔などではなく――紛れもない悪魔。
 この世のものとは思えない断末魔が拷問室に響いている。
 遠慮がちな、いや、遠慮がちだった早苗のものとは思えない、おならと共に。



「う、うぅ……、そ、そんな……、ろ、ろくじゅう…まん……」
 『スメル・チェッカー』が示す数値は、500000という段階を一足飛びに跳び越え、人類未到の領
域に達していた。機械が壊れるのではないかというほどの激しい放屁を、確かに、精密に測定して
いる。故障ではない。覚醒した早苗のおならは、人間を死へと追いやるのに十分な臭いの、さらに
倍の臭さに到達していたのだ。
 そしてそれを、浩太郎は、不死の体で顔一杯に受けている。
 死なない。
 死ねない。
 これほどにまで濃くなっても、早苗のおならはまだ確かに「卵臭い」と認識されているはず。
 浩太郎は今、咽せても藻掻いても叫んでも逃れられない、人類が初めて目にするような悪臭とた
だ一人戦っているのだ。
 早苗の可愛い尻の穴から放たれる、特濃の卵っ屁に蝕まれながら。
 脳みそを、ゆで卵でぐちゃぐちゃに掻き混ぜられるような感覚に犯されながら。
 眼球を焼かれるような痛みに襲われながら。
 それでも彼は死なない。
 通常であれば数秒で絶命するような状況なのに。
 それでも彼は死なない。
 『PX-0875』は本当に悪魔の薬だった。
 不死の薬など、人間が生み出してはならないものだった。
 しかし私達は生み出してしまった。
 だからこそ、こうして悪魔が降臨し、人を苦しめているのだろうか――

「臭い…ですか…ぁ……?」
 早苗の声は、今までの優しい声色。
 しかしどこか気が抜けたような、呂律が回っていない口調だった。
 酒に酔ったように、とろんと目尻が垂れ下がった眼。
 熱を帯びるくらいに火照った頬。
 早苗という悪魔は、完全に現世に降臨していた。
 臭いですか?
 それは質問するまでもない質問なのだ。
 臭くないわけがない。臭くないわけがない。
「へえぇえぎぎいぎえええぇえおぉぉぃぅうぉぉええッッ!!!!!」
 苦しみ、のたうつ浩太郎。
 早苗が彼に向ける視線は、哀れみだとか、反省だとか、そんなものではない。
 それは、恍惚。
 自分のおならで死以上の苦しみを味わう一人の男を、早苗はたいそう気持ちよさそうに見つめ、
また、尻を向けてから尋ねた。
「…臭い、ですか……?」
「ひいぃぃええ、えぎ、ぐ、ぐざい、ぐざいいぃぃッッ!!!!!」
「…そう…ですよね……」
「や、やめ…へ……やめて、やめてえぇえぇえッッ!!!!!」
「……でも、まだおなら…出るんです……♪」
 楽しんでいた。
 早苗の表情からは、あきらかにそれが見てとれた。
 楽しい。苦しみ男の人におならを嗅がせるのが。早苗の表情は、そう物語っていた。
「お、おおぉお、あひぃぃいぃいいッッ!!!!!」
「……ぁ………、出そう…かも……しれないです……」
「や、やめてッ!!!死んじゃうッ!!!死んじゃうッ!!!!!」
「……死にませんよ…ぉ……、ちゃんとお薬…打ちましたから……。…ふふっ……、浩太郎さんは、
いつまでも……、私のおなら…嗅いでいられますよ…ぉ……」


  ぶっびぃぃぃいぃーーーーぃぃぃいっっ!!!!
  ぶしゅっ!!!! ぶっしゅうぅぅうっっ!!!!!
  びちびちっ!!!! ぶびぶうぅぅっっ!!!!


「ごへへへっはぁぁああぁああッッ!!!!!
やめあぁぁでがごごごおあぁぁッッ!!!!!
ぐざいぐざいぐざいぃぃぃぁぁあああッッ!!!!!」

「…わぁ……すごい音……♪」

 たまらなく下品な音の地獄に、浩太郎は身をよじらせて苦しむ。
 早苗のような美少女。
 ぷりんとした、美しい餅尻。
 その谷間から、これほどまでに汚らしい、下品な音が出るとは。
 そして早苗は、もうそれに羞恥心など抱かない。
 すごい音。
 それは早苗を、さらに興奮させているようにすら見える。
 私はもう、何も口にできなくなっていた。
 ただただ、それを見守ることしかできなかった。



 回を増すごとに、ディスプレイの数字は上昇する。
 私にとって、その数字は意味をなさない。
 世界中の悪臭をこの空間に集約しても、覚醒して悪魔となった早苗には到底及ばないだろう。
 だって彼女は、悪魔なんだから。
 天使のようで悪魔。恐ろしい。

「…浩太郎さん……、女の子のおならの拷問なんて、簡単に耐えられると思ってました……?」
「ひいぃぃ、ぐざいよぉ、ぐ、ざいぉぉ、よぉ、ぉおあぉぉ」
「……そういえば最初、言ってましたよね。…私からの拷問なんて…“屁でもない”って……」
「や、やめ、て、ゆる、し、てええ、ご、ごおぉ、ぉおおお」
「気分は、どうですか?」
 そして早苗は、自慢の巨尻を浩太郎の顔にぶにっと密着させる。
「もごごぉぉぉおおおおぉおッッ!!!!!」
 喋れない。もう彼は、言葉を喋れない。
 早苗は浩太郎に、言葉を話すことを許さなかった。そのまま彼女は質問する。答えさせない、質
問を。矛盾。しかし早苗にとってそれは矛盾していないのだろうか。
「……始めは見くびって、悪いことしたのに罰は免れられる…なんて思ってましたよね……。でも、
そんなことじゃいけないと思います……、だから…罪を認めないんなら……私がこの場で、おし
おきしちゃいますよ……? どうですか?見くびってた女の子のおならで殺されそうになるなんて、
思ってもみなかったんじゃないですか……?」


  ぶぶぶぅぅううっぶうぅぅうううっっ!!!!!


「もごごごぉごぉぉおぉおッッ!!!!!」
「刑罰を受けるくらいだったら、しらばっくれたまま生きていた方がいいって、思ってたんじゃな
いですか?」


  ぶぶびゅうぅうぅぅうぉぉぉおぉっっ!!!!!


「ごごごぉもおもおもおおおぉおッッ!!!!!」
「でもこんな刑罰だったら……、死んだ方がマシって思いますよね……?」


  ぼっぶぶぅぅうーーーぅぅううぅううっっ!!!!!!


「ごぼぉぉおッッ!!!もむぅぅッッ!!!!」
「……でも、もう遅いです。お薬、打っちゃいましたから。だから浩太郎さんは、死なないんです
よ。私のおなら……、お腹いっぱい吸い込んでも…、絶対に、死なないんです……」
 その通り。
 『PX-0875』の効果が持続する5時間の間、浩太郎はどれだけ早苗のおならを吸おうとも、絶対に
死ねない。奇跡が起ころうとも、彼が何を望もうとも、死ねない。出来るのは、早苗のおならを嗅
ぐことだけ。鼻を焦がしながら、卵臭を吸い取るだけ。細胞のひとつひとつが卵臭く染まっても、
彼は死なずに、さらなる卵っ屁を受け取るだけ。
「悪いことしたって、認めますか……?」
「ごもごもごもッッ!!!!もぐううぅぅうッッ!!!!!」
 もしかすると、浩太郎は早苗の尻の下で罪を認めているのかもしれない。いや、おそらくそうな
のだろう。何かを訴えようと悶える姿。ばたばたと暴れる姿。きっと早苗の尻の下で、彼は「俺が
やりました、すみませんでした」と大声で繰り返しているのだろう。
 だが早苗の尻肉は、浩太郎の必死の訴えを全て吸収する。彼の謝罪も自白も、言葉になって尻の
外に出てこない。だから認められない。それは自白とは認められない。彼が自白しないうちは、拷
問は、いつまでも続けられる。
「むぐうぅぅううッ!!!ぐぅぅううッッ!!!!」
「……なに言ってるかわかりません…」
 いくら謝罪し、自白しようと試みても、全てその一言で片付けられる。


  ふしゅうぅぅううーーーーぅうぅうっっ!!!!!


「ふごごぉぉぉおおぉおぉッッ!!!!!」
「……そういえば、すかしっ屁は臭いから嫌だって…言ってましたよね……。…じゃあもっと、音
無しのすかしっ屁…しますね……?」
「ごごごももおぉぉおおッッ!!!!」
 やめてくれという浩太郎の意思表示は、早苗には伝わっていないようだった。


  ぷっすうううぅうぅうーーーーぅうっっ!!!!!


「ぶぐぐぐぶぶうううぅうッッ!!!!!」


  しゅうおおおおぉぉーーーぉぉおおっっ!!!!!


「ぐげごぶっばばぁああッッ!!!!」
「…レイコさん……、なんだか私…不思議です……」


  ふむっしゅうぅぅぅううーーーぅぅうっっ!!!!!


「むぶぶぶばあぁぁああぁああッッ!!!!!」
「……だ、だって…私……男の人の前だと緊張して…おなら出せなかったのに……」


  しゅううううぅうぅーーーーぅぅううっっ!!!!!


「もぶぶばあぁぁぁぁああッッ!!!!!」
「…なんでだか…今は……すごくリラックスしておなら出せるんです…ぅ……」


  ぷしゅううぅぅうーーぅぅうっっ!!!ぶおっ!!!!


「はごっげええぇええええッッ!!!!?」
「……レイコ…さん……、私、まだまだ…おなら出そうです……」


  ぶぶぶすしゅしゅぅぅうぅうぅうっっ!!!!!!


「えぎッえぎいぃぃいいいッッ!!!!!」
「……まだ…おなら…してもいいんですよね……?」


  びぶうううううぅうーーーぅぅうッッ!!!!!!


「もごおぉお、ごぉぉおおッッ!!!!」
「…だって浩太郎さん…もごもご言ってばっかりで…何言ってるか全然わからないんですもん……♪」


 私は、何も言い返せなかった。
 早苗が尻をどけない限り、浩太郎は言葉を話すことができない。
 すなわち、早苗が尻をどけない限り、この拷問が終わることはない。



 ディスプレイは淡々と、早苗の悪魔への昇華を映し出す。
 嬉々としておならをぶっ放し続ける早苗。
 そう、それはまさに、「ぶっ放す」という言葉がよく似合う。
 笑みさえこぼれている。
 彼女のおならの無尽蔵さを、改めて知る。

 もう誰にも止められない。

 正義ってなんだろう。


 そこで私は、自分の中にも、何か新しいものが覚醒していることに気がついた。


 なんだろう。これは。

 それを私はもう、隠すことは出来なくなってしまった。
 自分自身を偽ることもできなくなった。
 笑っている。早苗が。


 そして私も、いつの間にか笑っていた――


【エンディングA】
7991cde:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
感谢转载,不过那个网址是要翻墙才能上吗?
INDDUCK:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
感谢转载
lk0225:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
如果有翻译就好了
a85626692:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
7991cde感谢转载,不过那个网址是要翻墙才能上吗?

带有FC2的网站全部需要翻墙
zxj19940000:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
怎么在fc2上找M向的文章呀~?
骆家定:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
求翻译
lk0225:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
这篇文章翻译出来相当劲爆呀,只可惜我只能用百度在线翻译将就看
骆家定:Re: 見習い拷問官(转载 拷问 女警官 颜骑 屁责 臭责 虐杀 多选择结局 无翻译)
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