試練~堕天女の淫らな罠~
時は唐の時代、この時代は道教が国の保護を受け、仙術修行が盛んに行われた時代で
あった。不老不死を得、天空を飛翔し、水面の上を歩き、雷を操り……各種の仙術を
使いこなす超人、それが仙人であった。
富める者はその栄華を永遠のものとするために、貧しき者は恵まれぬ境遇に終止符を
打つために、多くの者が仙術修行に励んでいた。
そして、ここにも仙人になることを目指す若者が一人……。
「ふぅ、ふう……ふぅ……。……ここ……かな……?」
きつい山道を越えて、乱れた呼吸を整える僕。その目の前には、質素な庵があった。
ここは、紫雲山の奥深く。この辺りに黄河老師の庵があると聞いて、僕はやってきた。
もちろん、黄河老師の弟子となって、仙道を極め、仙人となるためだ。
黄河老師は、この辺りでも有名な道師で、厳しい修行の末に道を極めて仙人となった。
普段は庵にこもって修行しながら、時折人里に降りてきて、困っている人々を助けて
回っているらしい。不作の時は、地面に触れるだけで田畑にもこもこと作物が実り、
洪水の時は、一息吹きかけるだけで水がひとりでにひいていく。
魑魅魍魎の類も、黄河老師の名を聞くだけで、怖じ気づいて逃げて行くらしい。
「ごめんくださ~い。」
庵の中に声をかけると、中から一人の老人が現れた。
白くて長い、見事なヒゲを蓄えていて、明らかに常人とは違う雰囲気を身に纏っている。
どうやら、この老人が黄河老師その人らしい。
「ふむ、こんな所まで何用じゃな?」
黄河老師は、穏やかな笑みをたたえて僕を見つめる。
「あなたが黄河老師とお見受け致します。どうか僕を弟子にして下さい!」
僕は、その場に跪いて、老師に訴えた。
「ほ……弟子に、のう……ふぅむ……。」
老師は、真っ白なヒゲに手をやって、しごき始める。
「お願いします!仙人になりたいんです!
何でもします、どうか、ここで修行させて下さい!」
深々と頭を下げる僕。老師は、少し考え込んでいるようだったが、やがて口を開いた。
「どれ……目を見せてみい。」
頭を上げた僕の目の前に、ずいっと老師の顔が迫る。
老師の穏やかな顔から笑みが消え、じっと僕の目の中をのぞき込んでくる。
その視線は僕の何もかもを見透かしてしまうようで、少し恐かったが、
僕は、勇気を振り絞って老師の目を見つめ返した。
そのまましばらくの間、僕の目を見つめる老師。が、不意にその表情が緩んだ。
「……………ふむ……………よい目をしておるわ。
ええじゃろ、ちっとしごいてやるわい。ついて来い、早速修行じゃ!」
そう言って、老師は皺だらけの顔に楽しげな笑みを浮かべた。
その日から、厳しい仙術修行の日々が始まった。
まずは穀断ち。米、麦、キビ、アワ、豆の五穀をはじめとして、肉類、
匂いの強い植物、その他様々な食物を断ち、心身を浄化する。
穀断ちによる厳しい食事制限はそれだけで苦行だった。空腹感、めまい、頭痛、
その他様々な体調の変化が、僕を責め苛んだ。
それに耐えながら、導引法と胎息法で体内の気の循環を整えつつ、日々瞑想を行う。
体力的に負担の大きな修行ではなかったが、そのために穀断ちの苦しさから
気を紛らわす事もできず、精神的にはかえって過酷だった。
「仙人になるためには、高い精神力と集中力が必要じゃ。この修行は、仙人になるために
必要な、清浄な身体と、強靭にして静謐な精神を得るためのものじゃ。
これを成し遂げてはじめて、仙人になるための修行ができると知れい!」
その老師の言葉に従って、僕はひたすら地道な、そして過酷な修行に明け暮れた。
そして……あっと言う間に3年が過ぎた。
ある日、修行を終えた僕を老師が呼んだ。
「老師、お話というのは……?」
「うむ、そろそろ次の段階の修行を始めようと思うての。」
初めて会った時と同じ、楽しげな笑みを浮かべて、老師は言った。
「!……そうですか、ありがとうございます!」
「うむ、ここからは、本格的に仙人になるための修行じゃ、
厳しさも今までとは比べものにならんぞ。心してかかれよ。」
「はい、がんばります!……ところで、どんな修行をするんですか?」
その問いに、老師は何故か、にたりと悪戯っぽい笑みをうかべた。
「……お主、房中術というのを知っておるか?」
「……房中術……ですか?」
房中術については、僕も少しだけは知っていた。確か、男と女のまぐわいによって、
男の持つ「陽」の気と、女の持つ「陰」の気を交わらせ、不老長生を得るという
術だった。
「そうじゃ、明日からは房中術の修行じゃ。……ん?どうした?」
「しかし、老師……房中術といっても、相手がいなくては……。」
「心配するな、お主好みの美人に化けてやるでな、どんな女でも望みのままじゃ。」
「え……、あ、ええっ!!ちょ、ちょっと待って下さい、それは……!!」
うろたえる僕を見て、高笑いする老師。
「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ、冗談じゃ、本気にするでない。
その程度で動揺するとは、まだまだ修行が足りんのう。」
「……だれでもびっくりしますって……。」
「ふぉっふぉっふぉ、まあええじゃろ、冗談はここまでじゃ。」
そう言って、老師はふと真顔になった。
「ここから南に山を3つ越えてさらに行くと、霧に閉ざされた谷がある。
その霧の中に『百華楼』という館があっての、そこに儂の弟子の女仙が住んでおる。
そこに行って、鍛えてもらうとええ。」
なるほど、その女仙を相手に房中術の修行をするのか……僕はほっと胸をなで下ろした。
「ところで、その女仙というのは、どんな方なんですか?」
僕の問いに、老師は真っ白なヒゲをしごく。
「うむ、元は天界に住まう天女だった女達じゃ。」
「て、天女……!」
天女が弟子だなんて……やはり、老師の仙人としての器は、僕の想像を超えている。
感心している僕をよそに、
「……そして、男の精を吸い尽くし、魂を喰らう女妖でもある。」
老師はしれっと、とんでもない事を言った。
「じょ、女妖……!!」
ちょ、ちょっと待って……天女なのに、女妖?天女なのか?女妖なのか?
天女で、女妖で、仙女……?なんだか、分からなくなってきた……。
分かるのは、少なくともただの人間じゃないって事ぐらいか……。
何か、ただでは済まない予感がしてきた……。
房中術の修行相手が元天女の女妖……やはり、仙人になる為の修行だけあって、
思っていた以上にすごい修行になりそうだ……気を引き締めないと……!
……ん?そういえば……?
「老師、あの……。」
「何じゃ?」
「さっき、『女達』って言いませんでしたか?」
「うむ、そうじゃ。一人ではないぞ。三人じゃ。」
「さ、三人……!!!」
なんだかくらくらしてきた……元天女で、元女妖の仙女が、三人……?
「そ、そこで、修行するんですか?その、房中……術の、修行を?」
「そうじゃよ?ん?なかなか充実した修行になりそうじゃろ?」
「それは……まあ……そうです……ね……。」
充実しすぎて、身が保たないような気が……大丈夫なんだろうか。
「あ、あと……天女なのに女妖って、どういう事なんですか?」
その問いに、ヒゲをしごいていた老師の手が止まる。
「ふむ……そうじゃのう……ちっと詳しく話してやろうかの……。」
そう言って、老師は再びヒゲをしごき始めた。
「天女はの、元々天界に漂う清浄な霞から生まれてくるのじゃが……。
……ある時、どこから漏れてきたのか、地獄の瘴気が天界に上がってきてしもうた。
そして、それが混ざった霞の中から、三人の天女が生まれてきたのじゃ……。」
老師は、少し遠い眼差しで話し始めた。
「……その三人の天女は、美人ぞろいの天女達の中でも飛び抜けて美しかった。
じゃが……、その美しさは、邪な、淫らな美しさじゃった。性格も淫乱にして貪欲、
男と見れば片っ端から誘惑し、性の快楽の虜にして、堕落させていったのじゃ。」
ヒゲをしごきながら、いつしか老師は厳しい表情になっていた。
「その魔性の魅力の前に、天界の住人は次々と色狂いにされていった。
おかげで天界は大混乱、地獄は地獄で、堕落した天界の住人で溢れ返ってしもうた。
そして、三人の天女は天帝の怒りを買って地獄に堕とされた、はずじゃった。」
「……はず、だった?どういう事です?」
僕の問いに、老師の顔に苦笑いが浮かぶ。
「奴等は地獄の獄卒までもたぶらかして、人間界に脱走しおったのじゃよ。
……そうして、そやつらは人間界に棲みつき、近隣の村の男や、旅人を襲っては
その精を吸い、魂を喰らうようになったのじゃ。男達は、次々と三人の天女の
餌食となっていった。なにしろ、全ての欲望を捨て去ったはずの、天界の住人を
たぶらかす程の力をもっておるんじゃ、俗世の人間などひとたまりもないわい。
そうして、まぐわいを繰り返し、人間を喰いものにしておるうちに、そやつらは
身体の芯から女の妖怪、すなわち女妖と化してしもうた。
そして、人々はそやつらを『堕天女』と呼んで恐れるようになったのじゃ。」
そこまで話すと、老師は一息つくように言葉を切った。
部屋に沈黙が落ち、蝋燭の炎がチリチリと音を立てる。
堕天女……話を聞けば聞くほど、恐ろしくなってくる……そんな女妖達相手に
房中術の修行なんて、できるんだろうか……?
そんな僕の心配を知ってか知らずか、老師が再び口を開く。
「……堕天女の被害にたまりかねた村人達が儂を尋ねてきたのは、
もう五十年程前になるかのう……女妖退治を頼まれた儂は、百華楼にのりこんだ。
相手は天界出身、それも一対三では、さすがの儂も往生したがの……
なんとか、堕天女の妖力を封じる事に成功したのじゃ。」
「それで、その堕天女達は……?」
「妖力を封じられた奴等は、命だけは助けて欲しいと泣きついてきおった。
そこで儂は、条件付きで助けてやることにしたのじゃ。」
「条件……ですか?」
「うむ。一つは、人間を襲うのを止める事。
もう一つは、儂の弟子として仙術修行に励む事。
そしてもう一つ。お前のような若者の修行を助けてやることじゃ。
元々、房中術はそやつらの十八番じゃったし、高い仙力をもつ堕天女達とまぐわえば
通常の数十倍、数百倍の修行の効果がある。後進の指導にあたらせれば、
うってつけというわけじゃ。」
「でも……大丈夫なんですか?」
僕は、どうしても不安が拭えない……百華楼に着いたとたんに襲われて、
寄ってたかって精を吸い尽くされてしまうんじゃないか……?
「心配するでない。並の人間の精を百人吸い尽くすよりも、
お主のような仙人候補と修行するほうが、堕天女共にとっても『おいしい』のじゃ。
むしろ丁重に扱ってくれるじゃろう。……ただし……。」
「?」
不意に、老師は厳しい表情に変わり、真っ直ぐに僕を見据えた。
そして、厳しい眼差しのままで、にたり、と不気味な笑みを浮かべた。
「奴等には、預けた弟子がもし途中で修行を投げ出すようなら、
煮て喰うなり焼いて喰うなり好いた様にせいと言うてある。覚悟せいよ。」
僕の背筋を、何かぞくっ、と不吉な予感が駆け抜けた。
そんな僕の様子を見て、ふっ、と表情を緩める老師。
「まあ、大丈夫じゃ。お前ならやり遂げられると儂は信じておる。
いままで儂が見た中では、お前が一番真面目に修行に励んでおったからの。
しっかり面倒見てもろうて、立派な仙人になって帰って来い。」
……そしてその翌日。
「それでは、行って参ります。」
「うむ、気をつけてな。無事帰ってくるのを心待ちにしておるぞ。」
見送る老師に一礼して、僕は庵の簡素な門を出る。
立派な仙人になって、ここへ帰って来られるか、はたまた……
いや、なんとしてもやり遂げてみせる!そして、必ず仙人になって帰って来るんだ!
そして、僕は女仙達が住むという『百華楼』を目指して庵を出発した。
山の中を巡る、獣道のような細い道を辿って、南に向かう。
三つ目の山を越えたときには、既に日が傾きかけていた。
一日中山道を歩いて、しかし僕の身体は軽かった。疲れもほとんど感じない。
3年間の修行で、僕の身体も相当に鍛えられている、ということか……。
そう思いながら細道を行くうちに、前方に微かに霧が漂っているのが見えてきた。
微かだった霧は、歩を進めるうちにどんどん濃くなっていき、
そして、ついに僕の視界は乳白色の霧で埋め尽くされて、何も見えなくなってしまった。
『霧の中では、桃の香りを辿って行くがええ。』
出発前に聞いた老師の言葉を思い出し、大きく息を吸い込む。
ほんのわずか、ともすれば消えてしまいそうな程の微かな桃の香りが、漂ってきた。
その香りが漂ってくる方へ、ゆっくりと歩き出す……意識を集中していないと、
すぐに分からなくなってしまいそうな、はかなげな香り……一歩踏み出す度に、
揺らぐ空気が香りをかき消してしまいそうになる。
僕は、香りを見失ってしまわないように気を付けながら、慎重に進んで行った。
一体、どれぐらい進んだのだろうか……僕の視界は濃い霧によって真っ白に塗り潰され、
全く何も見えない……方向感覚も、一体どっちがどっちなのかさっぱり分からない……
今や、僕の頼りになるものは、微かに漂ってくる桃の香りだけ……
細い糸をたぐるように、ゆっくり進む僕……
どこまで行けば、『百華楼』に辿り着くのだろう……
……………
どれぐらいか分からないぐらい、長い長い時間がたち……
もしかして、永遠にこの霧の中から出られないのではと思い始めたその時。
不意に、視界が開けた。
目の前に、満開の花も艶やかな桃の木々に囲まれた美しい館が建っていた。
霧が晴れると同時に、桃の甘い香りが強くなる。
その香りに包まれながら、僕は目の前の館に思わず見とれる……。
館を囲む桃園は、まさしく桃源郷と呼ぶにふさわしかった。
その中に建つ、天上の建物のような美しい館……。
まるで、この世ではないような、極楽にやってきたかのような、そんな気がした。
その時、館の門が音もなくゆっくりと開いた。
まるで、僕を招くように……。いや、実際に招かれているのだろう。
いずれにしても、入るしかない。僕は、期待と不安に高鳴る気持ちを抑えながら、
ゆっくりと朱塗りの門をくぐった。
門の中は、これも見事な庭園になっていた。小川が流れ、池が作られ、白や桃色の
蓮の華が咲き乱れている。そして、池のほとりに、敷地を囲む塀の側に、満開の花を
びっしりとまとった桃の木が植えられている。華だけでなく、桃の実もたわわに実って、
庭園内は、桃の甘い香りがくらくらしそうなぐらいに濃厚に薫っていた。
そして、庭園の向こうには小さな館が、桃の香気に霞んで建っていた。
いかにも女性的な、優美で繊細な造りの建物だった。美しい装飾が施された立派な館を
見ると、黄河老師とどっちが弟子なのかわからなくなりそうだ。
あまりの美しさに思わずみとれていた僕の背後で、開いたときと同じように
音もなく門が閉まる。
そして、館の中から何かが飛んでくるのが見えた。
ひらひらとひらめきながら、飛んでくる……三色の淡い色彩がもつれ合いながら、
みるみる大きくなってくる……!
そして、それが近づいて来るにつれて、僕は胸が高鳴ってくるのを感じた。
そう……飛んでくるそれこそが……紗の衣をひらめかせて飛んでくるそれこそが、
僕の修行相手である堕天女達だったからだ。風になびく艶やかな黒髪、雪の様に白い肌、
そしてしなやかな肢体を包む、紗の衣……霞のような薄い衣が、風に舞う。
その美しさに見とれているうちに、三人の堕天女は僕の目の前まで飛んできた。
ふわ……。
堕天女達の美貌が目の前に並ぶ。
「ようこそ百華楼へ……私は蘭芳(ラン?ファン)と申します。」
真ん中の、淡い紫色の衣をまとった堕天女が口を開く。彼女が三人のリーダー格らしい。
「こちらが、薫藍(シュン?ラン)……。」
蘭芳は、向かって左側の、淡い水色の衣をまとった堕天女を指した。
薫藍と呼ばれた細身の堕天女は、鋭い目つきで僕を見つめた。
「お前が今度の修行者か。房中術の修行は、見た目とは比べ物にならぬ程過酷なものだ。
中には気がふれる者や、命を落とす者もいる。……覚悟しておくのだな。」
彼女の氷のような眼差しに、僕の背筋にぞくりと冷たいものが走った。
「そしてこちらが、緋香(フェイ?シャン)……。」
次いで、蘭芳は向かって右側の、淡い桃色の衣をまとった堕天女を指す。
「うふふ……坊や、可愛い顔してるのね……たっぷり愉しませてあげる……。」
彼女は藍芳とは対照的に、けだるささえ漂う濃艶な雰囲気を身にまとっていた。
むっちりとした豊満な身体を誇示するようにしなを作り、媚びを含んだ笑みを浮かべる。
「修行のこと忘れちゃうぐらいに、気持ちいいことしてあげるわ……んふふ……。」
そう言って僕に熱っぽい視線を注ぎながら、緋香はぺろりと舌なめずりをした。
「これから私達が、あなたに房中術の極意を伝授して差し上げますわ……
それでは、早速参りましょう。」
「はい、よろしくお願い……あ、ええ……?」
僕の返事を待たず、薫藍と緋香が僕の左右へと回り、両側から抱き抱える。
柔らかな女体の感触と、彼女達の身体から漂う甘い香りが僕の身体を包み込んでくる……
戸惑う間もなく、
「では、行きます……身体の力を抜いて、楽にして下さい。」
僕の耳元で、蘭芳の声がした。彼女はいつの間にか、僕の背後に回っていた。
そして、身体が浮き上がる感触。
「うわ、わあっ!」
堕天女達は僕を抱きしめたままふわりと上昇し、館に向かって飛翔した。
山桃の甘い香りが匂い立つ中、三色の淡い色彩が空中を滑っていく。
遥か遠くに霞む館に向かって飛ぶ、三人の堕天女の肢体の中に、僕は包まれていた。
僕の身体を両側から薫藍と緋香が抱きかかえ、さらに背後から蘭芳の腕が僕の腰に
回されている。三人の肢体の柔らかくしなやかな感触が、しっとりと僕を包み込む……
こうして、服の上から抱かれているだけでも、気持ちよくて……ああ……
なんだか、身体がとろけてしまいそうな感じさえしてくる……
さらに、堕天女達の身体から立ち昇る甘い香りが、僕の鼻をくすぐる……ほのかに薫る、
女の匂い……それが霞のように僕を包み込み、僕の頭の中までも甘美な香りで満たし、
そして僕の意識に霞をかけていく……。
「うぁ……あ……ああ……。」
全身を包む快感にうっとりと酔いしれる僕。
その視界の中で、壮麗な堕天女達の館がみるみる大きくなってきた。
館の入口の前で、堕天女達は僕を降ろした。
「さあ、着きましたわ。百華楼へようこそ……。」
薫藍と緋香が両開きの扉を開き、蘭芳が僕を招き入れる。
僕は、誘われるままに百華楼の中へ足を踏み入れた。
百華楼の中は、広い室内を衝立で間仕切りしてあった。
手前の方には卓を囲んで椅子が四脚……食事の際にでも使うのだろうか?
すぐそばに、小さめの食器入れらしい家具が置いてある。
家具や調度品は、いずれも高級そうな、流麗で上品な造形のものを揃えてある。
衝立の向こうには、天井から紗が垂らされており、その向こうはよく見えない。
「では、早速修行を始めましょう……こちらへどうぞ……。」
蘭芳はそう言って、先に立って歩き出した。薫藍と緋香が両側から僕の手を取り、
僕を促して、後をついて行く。
そして、僕は衝立の向こう側へと連れられて行った。天井から垂れ下がる紗は、
人が通り抜けられる隙間が設けてあり、そこを抜けていくと……
僕の目の前に、天蓋付きの大きな閨が姿を現した。どうやら、ここが修行の場らしい。
これから、この美しい三人の堕天女達と……
想像するだけで、僕は下半身が熱くなるのを感じた。
堕天女達は、先に閨に身を横たえ、僕を誘った。
「さあ、いらっしゃい……これから、房中術の全てを教えて差し上げますわ……。」
「私達の与える快楽をどこまで堪えられるか、見せてもらうとしよう……。」
「んふふ、我慢なんてしなくていいのよ、たっぷり楽しませてあげる……さあ……!」
なまめかしい肢体が三つ、閨の中から僕を誘う……僕は誘われるままにその中へと
入って行った。僕の身体に堕天女達がまとわりつく……しなやかな六本の腕が、僕に
絡み付いてくる……そうして、僕は豪華な夜具の上に寝かされた。柔らかな、天上の雲の
ような夜具の感触が、優しく僕を包み込む……。
夜具に寝かされた僕に、さらに堕天女達の肢体が絡み付いてきた。
左右から薫藍と緋香が抱きつき、蘭芳が僕の上に覆い被さってくる……六本の腕が僕の
服をまさぐり、白い指が胸をはだけ、帯をするすると解いて、僕はあっと言う間に
裸に脱がされてしまった。そして、全裸の僕の身体に、堕天女達の柔らかでしなやかな
肉体の感触が、彼女達が身に纏う羽衣の感触がまとわりついてくる……!
「う、あぁ……!」
思わず、僕は熱い吐息をもらしてしまった。抱きしめられた僕の全身から、痺れるような
快感の波が一斉に押し寄せてきたのだ。
何も身につけてない僕の身体を、堕天女達の柔肌が、三方からむっちりと圧し包む……!
彼女達は羽衣を着たままだが、まるで直接肌を合わせているかのように、とろけるような
女の肉の感触が伝わってくる……その刺激が甘美な波となって僕の全身を巡る……!
「ああ……あ、ぁあ……!」
「……うふふ……いかが……?気持ちいいでしょう……?」
恍惚の境地へ誘われていく僕の耳元で、蘭芳が甘く囁く。
「私達の羽衣は霞を紡いで織りあげたものだ……肌の感触を妨げることはない。
お前は今、私達の肌の感触を、じかに味わっているのだ……。」
薫藍の氷のように冷たい声に、僕の背筋をぞくぞくと快感が這いあがる。
「くふ……そして、私達堕天女の肌の感触は、男の欲望を直接刺激するのよ……
どう?こうして肌を合わせているだけで、したくて堪らないんじゃなくて?」
緋香が悩ましく囁くその言葉の通り、僕の身体は熱い疼きに満たされていた。
堕天女達の肌の感触は、今まで一度も味わったことのないものだった。
まるで、僕に絡み付く堕天女達の肢体から、何かが僕の身体に染み込んでくるような……
こうして触れられているだけで、身体中をぞくぞくするような快感が駆けめぐり、
僕の身体の奥底から抑えようもなく淫らな欲望がこみあげてくる……!
「ああ……あ、あああ……!は、ああ……うあ、はぁあああ……!」
僕は彼女達の身体が与えてくる快感に、全身をわななかせて喘いだ。
「さあ……それでは、本格的な修行に入る前に……まずは私達の与える快感を知って
頂きます……そして、貴方の身体を少しでもその刺激に馴染ませて頂きますわ……。」
蘭芳の声を合図に、堕天女達の身体が妖しく蠢きだす。
しなやかな腕が僕の身体を這い回り、熱い吐息が耳元に吹きかけられる……!
「あ、ああ、はああああ……!あああ、ああ、うああああ……!」
「房中術の基本にして極意の精神は、『接して漏らさず』です……。」
全身を駆けめぐる快感に混じって、蘭芳の囁く声が聞こえてくる……。
その間も、六本の腕が悩ましく僕の身体をまさぐり、快感を紡ぎ出していく……!
さわさわさわ……さわさわさわ……!
「ふあ、はぁあああ……!ああっ、あ、あああっ……!」
「房中術では、女人と多く交わり、その快楽をよく味わって心身の合一を為し、
女人を快楽の頂きに至らしめて、その際に放たれる陰の気を取り込みます……。」
愛撫を続けながら、蘭芳は話を続ける。
「しかし、その陰の気と、男の体内にある陽の気を交わらせるためには、
自らの陽の気を漏らすことなく体内に留めなければなりません……
陽の気とは、すなわちあなたの精……。」
言いながら、白い指を僕の身体に這わせ、巧みな指使いで刺激を加えてくる……!
「うあ……ああ……あああ……あああああ……!」
「あなたは、いかなる快楽を受けようとも、精を放たぬよう堪えなければなりません。」
薫藍と緋香も左右から僕の身体にまとわりつき、身をくねらせて愛撫を繰り返す……!
妖しい笑みを浮かべ、首筋に舌を這わせ、耳元に熱い吐息をふきかけてくる……!
「ああ、あああ、はぁ……ああっ、あはぁっ、ああ、いいいいいっ……!」
「そして、陰の気と陽の気を交わらせて体内に無限の気の循環を創り出す……。
それによって無限の生命力を得ることが、房中術の最終目的なのです……。」
「ああ……はあ、あああああ……!ああ、ああっ、あああああ……!!」
蘭芳の話を聞きながら、僕は絶え間なく続く快感の波に、ひたすら喘がされ続けた。
ああ……もう、これだけで……気持ちいい……気持ちいいぃ……あぁあああ……!
「まずは……私達が与える快楽がどんなものか……お教えいたします……
大丈夫……気持ちよすぎていってしまったりしないように、私達が導きますから……
身体を楽にして……この快感に、身も心も委ねて下さい……。」
「あああ……はあ、あはぁああああああ……!ああ、ああ、ふぁああああああ……!!
「うあぁ……ああ……あふぁああ……!!」
三人の堕天女の悩ましい肢体が僕の全身を包み込み、愛撫を続ける。
僕の身体中を、六本の白い腕が這い回り、さらに六本の太股が次々と巻き付いてくる……
まるで大蛇の群れに襲われているかのようだ……それも、淫らな白い雌蛇の群れ……!
むっちりと吸い付いてくるような柔肌の感触が、よってたかって僕を圧し包む……!
「あああ……はあ、あああああ……!ああ、はあぁああ……あああああ……!」
僕は、舞い踊る堕天女達の四肢の動きにあわせて、ひく、ひく、と身体をわななかせて
喘ぎ鳴いた。
「くふふ……気持ちよさそうねぇ……。」
そんな僕に、緋香が囁きかけてきた。悩ましげな笑みに淫らな色を一層濃くして、
ぺろりと舌なめずりしてみせる。
「もう、あそこもこんなになっちゃって……んふふ、かわいいのね……。」
「ああっ、そ、そんな……ああ、はああああ……!」
彼女の視線は僕の股間に向いている。その先で、僕の男根がひく、ひく、と喘いでいた。
既に、ぎっちりと張りつめて、先端からは透明な液が滲み出している。
「んふふ、もう私達の中に入れたくて仕方ないんでしょう……?
意外と『好き』なのね……そうでしょう……?んふふふふ……!」
緋香の淫らな言葉に、僕は耳まで真っ赤になってしまう。
は、恥ずかしい……女性の愛撫を受けて、もうこんなになっちゃうなんて……。
「ふふ、いいのですよ……房中術の修行をしようという方は、むしろそれぐらいで
なければ困ります……。」
恥じ入る僕に、蘭芳が優しい笑みを注ぐ。絶世の美貌に柔らかな微笑が花開く……。
僕は、その慈母のような微笑みにうっとりと見とれさせられる……。
「でも、まだまだ良くなりますから……もっともっと感じて下さいね……。」
蘭芳の言葉と同時に、新たな刺激が僕を包み込んできた。
「ああっ、はああああ……こ、これ……、うあ、はあぁああ……!」
思わず、ぶるぶると身を震わせる僕。彼女達の身を包む羽衣が……風もないのに妖しく
波打ち、さわさわと愛撫を加えてきた!
さらさら……さらさらさら……さらさら……さらさらさらさら……!
「うああ、ああ、はああああ……!ああっ、あっ、あっ、ひぁあああああああ……!!」
「うふふ……いかが?こんな感覚は初めてでしょう……?」
耳元で蘭芳の囁く声が聞こえる……心なしか、さっきより媚びを含んだ、淫らな湿り気を
帯びた声になってきたような気がする……。
だが、僕はそんな事を気にしていられるような状態ではなかった。
ひらひらとひらめく堕天女達の羽衣が、絶えず僕の肌の上を滑り、まるで無数の女の手に
愛撫されているかのような快感を送り込んでくる……!
しかもそれが、三方から僕の全身を隙間なく包み込んで、どこもかしこも余すことなく、
柔らかな羽衣の極上の感触で覆い尽くしていく……それも、堕天女達の柔肌の感触を
損なうことなく、女体の感触と羽衣の感触を同時に味わわせてくれる……。
ああ……いい……気持ちいいよぉ……もう、もう……おかしくなっちゃうぅ……!!
さらさら……さらさら……さらさらさら……さらさらさらさらさら……!
「あああっ、いい、いいよぉ……ふぁあああ……いいぃいぃ……!!」
三人の堕天女と、羽衣の波に包み込まれて、僕はとめどなく快感に酔い痴れていった。
「んふふ……もうすっかり虜になっちゃったわねぇ……。」
身を震わせて喘ぐ僕の耳元に、緋香が熱い吐息混じりの声で囁いてきた。
「他愛もない……仙人候補と言っても所詮人間、私達にかかれば赤子同然だな……。」
反対側からは薫藍の声……うう……恥ずかしい……でも、本当に僕、どうしようもなく
よがらされてしまっている……薫藍の言うとおり、堕天女達の前では、僕は
まるで無力だ……ああ……このまま……成す術もなくいかされちゃうんだろうか……?
僕の男根はもう、限界一杯まで張りつめて、びく、びく、と痙攣を繰り返している……
もう、いついってもおかしくない……ああ……ますます快感が高まってくる……
気持ちよすぎて……もう……ああ……いく……いっちゃうよぉ……!!
……しかし……限界まで到達しながら、僕はまだいくことはなかった。いくためには、
もう一押し、刺激が足りない……気持ちよすぎて、もう頭の中は真っ白になって……
もう、我慢できない……できないのに……いけない……!
いや……駄目だ、いっちゃ駄目なんだ、我慢しないといけないんだ……
でも……いきたい!いきたい!!もう、今にも溢れ出そうなぐらい気持ちいいのに……
いけない……終われない……どこまでも……どこまでも……
気持ちいいのだけがとめどなく続いて、どこまでいっても最後が来ない……!
ああ……あああ……快感だけがずっと続いてる……こんなに続きっぱなしじゃ……
おかしくなっちゃう……うあ、あああ……助けて……助けて……終わらせてぇ……!!
そんな僕の様子を、執拗に愛撫を繰り返しながらじっと見つめる堕天女達。
その表情は、さっきよりも明らかに淫乱で貪欲な彼女達の本性を色濃くしていた。
「うふふ……気持ちいいでしょう……?もう、我慢できないのでしょう……?」
蘭芳が僕に笑いかける。その瞳にも、先程まではなかった妖しい輝きが宿っている。
「……でも、ご心配なく……今宵はあくまでも『慣らし』ですから……
たとえ我慢できなくなっても、決していかないよう私達が加減していますから……。」
え……そ、そんな……それじゃ……それじゃ……!
「んふふ、これから夜明けまで、ずぅっとこの快感が続くのよ……
どう……?最高でしょう……?くふふ、ふふふふふ……!!」
淫らな笑みを一層深くして、緋香が笑う。
そんな……この、この限界ぎりぎりの状態が、ずっと……!ああ……!!
「今はまだ日も沈んでいない……明日の夜明けまではざっと七刻といった所か……
その七刻、ふふ、果たして正気を保っていられるかな……?ふふふふふ……。」
薫藍も、やや吊り上がった切れ長の目に冷たい笑みを浮かべて、僕を見つめる。
あ、あと七刻……!む、無理だ!こんなの、こんなの堪えられない!!
「うああっ、あああああ……!ひぁ、あああ、あはぁああああああっ!!」
僕は、絶えず送り込まれる快楽に、男根をびくんびくんとわななかせて悶え喘いだ。
「あふぁあああっ、ああ、あはぁああああああ……!!」
いつまでも続く快感に悶え狂う僕。三人の堕天女の魔性の肉体に絡み付かれ、さらに
妖しく蠢く羽衣の中に埋もれて、巧みな愛撫でいくことも萎えることも許されず、
気が狂いそうな程の限界ぎりぎりの快感で責めたてられ続けていた。
「んふふふふ……だいぶいい顔になってきちゃったわねぇ……。」
緋香が僕の顔をのぞき込んで妖しく笑った。
「はあっ、ああ、あひあああぁぁ……!」
僕はもう、返事もまともにできずただただ喘がされる。気持ちいい……気持ちいい……!
全身が快感に痺れ、とろける……甘い疼きが僕を酔わせる……!
「くふふ……でも、こんなものではすまないのよ……。」
そう言いながら、緋香は僕の首筋に顔を寄せる。そして、
れろぉっ……!
「ひ、いひいぃいいぃぃぃ……っ!!」
柔らかな緋香の舌が首筋を這い上がり、僕の背筋をぞくぞくぞくぅっ、っと
身震いするような快感が駆け抜けた。
そのまま、緋香は唇で僕の耳を挟み、耳の裏をれろれろと舐め回す。
「ひっ、いひぁああ、あああああ……!」
「もっともっと気持ちよくなるんだから……本当の極楽を教えてあげるわ……。」
耳たぶをしゃぶりながら熱く囁く緋香の声が、僕の心を蕩かしていく……。
「そう……まだここは極楽の入口に過ぎない……さあ、私達の世界に来るがいい……
淫欲の極楽、性の桃源郷、そして快楽の地獄へと……!」
そう言う薫藍の声が聞こえるのとほぼ同時に、
ぷちゅっ……!!
「い、いああはぁあああっ……!!ああっ、はああはぁあああ……!!」
僕の乳首を、熱い唇の感触が包み込んだ。きゅうっ、と吸い上げ、ちろちろと舌で
舐め回してくる……!その度に、乳首から僕の全身に、電流が流れるような快感が
走り抜ける……!ああ、いい、やめてぇ……おかしくなる……おかしくなっちゃう……!
「いい、いひいぃい……!あ、あ、あふあぁあああああ……!!」
僕は、びく、びく、と全身を震わせて身悶えた。
「うふふ……もっともっとよくなりますわ……では、私はこちらを……。」
蘭芳は悶える僕を見下ろしながらそう言うと、ゆっくりと僕の身体の上を這い下がる。
そして、
「あ、あはああああああああっ!!」
僕の喉から、ひときわ激しい喘ぎ声が迸る。
しなやかな蘭芳の指が、僕の男根に絡み付いたのだ。その快感は、まるで未知の生物の
触手に捕らえられたかのようだった。既に限界を迎えている僕の男根が、びくんっ、と
快感に身悶える。もう、今にも爆発しそうなほどに張りつめて、その奥底に噴火寸前の
マグマを蓄えて、快感にうち震えている……!
「あう、あああああ……くあっ、あ、あふああああああああ……!」
「ふふ……気持ちいいでしょう……?私達堕天女の愛撫は、まさしく極楽の快感……
天界に住まう聖者や仙人、神仏さえも、私達の紡ぎ出す快美に酔いしれ、
地獄の鬼達も、私達の愛撫に包まれればその力を振るう事もできず虜となる……。
うふふ、果たしてあなたはどこまで自分を保っていられるのでしょうね……?」
しなやかな指先で僕の局部を揉み立てながら、蘭芳は熱く囁く……。
囁きながら、さらに僕の身体を這い下がっていく……そして……
ふにゅっ……!
「あああ、あああああっ……!」
例えようもない位柔らかな蘭芳の乳房が、僕を挟み込んだ。
「うふふふふ……柔らかいでしょう……私のおっぱい……気持ちいいでしょう……
これだけで、もういってしまいそうなのではないですか……?」
生白い胸元に、ひくつく男根を挟み込んだまま、にっこりと微笑む蘭芳。
むっちりと柔らかく、温かな女の感触が僕のものを包む……す、凄い……!まるで、
まるで女陰の中に包まれたような、いや、もっと柔らかくて、もっと温かくて……
ああ、もう駄目だ……意識が、朦朧として、と、溶けていく……
気持ちいい……どうしようもなく気持ちいい……ああ……ああ……!
「うふふ……もうすっかり虜のようですわね……では、こちらはいかが……?」
その声と共に、僕の男根を包む女肉の圧力が、ふっ、と抜ける。
極楽の快感から解放されて、僕は大きく吐息をついた。……それも束の間。
ちゅぷぅっ……!
「ふああああっ、ああっ、あはぁああああああ!!」
一層熱く、煮えたぎるような快感の坩堝が僕を包み込んだ。
そこは、蘭芳の唇の中だった。僕の男根は、彼女の口の中に根本まで呑み込まれた!
「いああっ、ああ、あああああああああっ!!」
蘭芳の、柔らかな唇が僕のものを含んで、ぬるるるる……としごきあげる!
「んふふ……いい声だこと……もっと聞かせてちょうだい……ふふふふふ……!」
首筋をちろちろと舐め回しながら、耳元で緋香が熱く囁く。
同時に、蘭芳の舌先の感触が、ちろり、と僕のカリ首を舐めあげた。
「あひあぁあああああっ!!」
電流のような刺激が走り、僕の身体が、男根が、びくん、と反応する。
そして、びくびくびく……と甘い痺れが身体中を駆けめぐる……まさしく射精寸前、
あともうわずかでも刺激を加えられれば、僕はたやすく限界を超えてしまう……
でも、その限界ぎりぎりの所で堕天女達は刺激を止めた。そして、僕の身体が快楽の山を
乗り越えるのを待って、再び刺激を始める……
ぬりゅるるるるる……と、蘭芳の唇の感触が僕を再び呑み込んでいく……!
「うああああ……あああ……はああああああああ……!」
「ふ……お前はいく事も萎える事も許されぬ……お前に許されているのはよがる事、ただ
それだけだ……さあ、もっともっとよがり狂うがいい……!」
両の乳首をくるくると弄くりながら、薫藍は冷徹に言い放った。そして、僕の男根に
再び蘭芳の舌が這う……れろおっ、といやらしく僕の裏スジを舐めあげる……!!
「ああ、あはあぁあああああ!!」
また僕は限界ぎりぎりまで押し上げられてしまう……ああ……終わらない……いくことも
萎えることもできず、どこまでもどこまでも射精寸前の快感で責めたてられ続ける……!
三人の堕天女は僕の限界点を熟知していて、絶対に限界を超えないように、それでいて
決して僕の快感が醒めないように、絶妙の加減で責め続ける……!
助けて……ああ、お願い……休ませてぇ……もう、終わりにしてぇええ……!!
僕は、ひとときの休みもなく限界ぎりぎりの状態で喘がされ続けた。
じゅるり……ぬりゅり……にゅるり……じゅぷり……
「あああ、はああああっ!!ああ、あああああ……あふあぁあああああ……!!」
閨の中に、僕の喘ぐ声が響きわたる。気持ちいい……いいよぉ……!
この、男根に絡み付く柔らかな、そしていやらしいぬめり気を含んだ温かな感触……!
それが、ぬるり、ぬるり、と蠢く度に、僕の背筋を女色の快美感が貫く!!
僕の男根は、蘭芳の妙なる舌使いにびきびきと張りつめて、もう今にもはちきれそうに
なっている……!
「んふふふふ……いいの?いいのね?とっても気持ちよくて、いきそうなんでしょ?」
「んああっ……ああっ、は、あああああ……!!」
緋香の淫らな囁きが、さらに僕を追いつめる。
同時に、蘭芳の柔らかな唇がぬるるるる……と、僕の男根を這い上がり、しごき上げた。
そして、きゅううっ、と唇をすぼめて吸い上げる!
唇の粘膜がぴったりと男根に貼り付き、吸い上げられる感触が一層男根を膨張させる!!
「うああああああああっ!!」
僕は堪えようもなく絶叫する!駄目だ!もう、もう堪えられない!!
あ、溢れる……溢れちゃう!!出る!!出るっ!!!
と、まさに精が迸るその寸前で、ちゅぽ、と蘭芳の唇が僕を解放する。
限界を超えた快感から一気に引き戻されて、僕は
「う、あああ……!!」
と溜息をついた。
「んっふふふふふふ……なぁに?いきたいの?いっちゃ駄目でしょ?ふふふふふ……。」
淫らな笑みに嘲りの眼差しを浮かべて、緋香が笑う。
うう……そうだ……いっちゃいけないんだ……ああ、でも……もう我慢できない……!
いや、我慢できないのに……いけない!いきたい!!いきたいのに……いけない!!
……いや、いけなくていいんだ、いっちゃいけないんだから……でも……でも……
ああ、もうわけが分からなくなってきた……このままじゃ……おかしくなっちゃう!!
耐え難い快楽に霞む視界の中で、蘭芳が僕の股間から顔を上げた。
「……これは、あなたの身体を私達が与える快楽に慣らすための、大事な修行です……
また、あなたの適性を見る試練でもあるのです……朝までこの責めを耐え抜く事が
できない様では、房中術を極めることなどできませんよ……。」
あくまでも優しい笑顔で、しかし彼女の声は僅かに厳しさを帯びていた。
その声が僕の頭にこだまする……そうだ、僕はここに修行に来たんだ……!
決して快楽に溺れる為じゃない……仙人になるための修行をしに来たんだ……!
こんなことで我を失っていては駄目だ!気をしっかり保って、耐えるんだ!!
「うふふ……そう、その調子ですよ……。」
にっこりと微笑む蘭芳。そうだ、がんばらないと!!
「では、続けましょうね……。」
そう言って、彼女は再び股間に顔を伏せた。そして……
とろろろろ……とろろろろろろろろ……
「う……………!」
熱い……!何か、温かな蜜のような物が……僕の股間に垂らされている!
見ると、蘭芳の口から水飴のような液体が、僕の男根に垂れ落ちている!!
あれは、唾液なのか……いや、もっとあったかくて……もっとぬるぬるしてて……
うう……もっと、もっと気持ちいい!!
これだけで、もう僕の男根はひくひくとわなないて、限界一杯まで膨れ上がる……!
「うふ……いかが……?」
言いながら、蘭芳はさらに身を屈める。そして……
むちぃいいっ……と、再び彼女の胸の谷間が僕を咥え込んだ。
「うあ、あああああ……!ああっ、あああああ……!!」
再び僕の口から熱い喘ぎが漏れる。さ、さっきとは比べ物にならないぐらい……いい!
この感触……ぬるぬるしてて……むっちりと圧し包んでくる……う、うう……
……ああ……気持ちいい!……ま、またいきそうに……いく!あああ、いっちゃう!
「うふふふふ……いかが……?気持ちいいでしょう……?」
熱っぽい囁きと共に、蘭芳の身体がゆったりと上下する……胸の谷間が僕をしゃぶる!
「ああっ、あああああっ!!あっあっ、あひぁあああああああ!!」
もう、人間の女性の中とも比べ様のない、まさしく人外の快楽、極楽の快感……!
げ、限界を……超える……!もう、尿道を精が……せり上がってくる!!
「うふふ……そんなにいいのですね……でも、ふふ、堪えて下さいね……。」
蘭芳の声と共に、刺激が止まる……。限界を超える快感の波が、引いていく……!
「う、うう……。」
すかさず、再び快感が送り込まれてくる……!
ぬちゃあ……にゅるう……にちゃあ……ぬちゃあ……!
「あああああ、あはぁああああああ……!ああっ、あああああ……!!」
あくまで僕がいってしまわないぎりぎりの加減で、ゆったりと蘭芳はしごき続けた。
「んふふふふ……またいっちゃいそうねぇ……それとも、壊れちゃうかしら?」
緋香が妖しい笑みを浮かべて僕の顔をのぞき込む。
「ふ……うう……うああああ……!ああ、ああ、あはぁああああああ……!!」
「ふ、所詮はその程度か……いっそ狂ってしまった方が、幸せかもしれんぞ……。」
薫藍は冷酷にそう言うと、僕の乳首に再び吸い付く……!そして、舌先で乳首をころころ
と転がしながら、両手を僕の脇腹に這わせる……しなやかな指先がさわさわと僕の身体に
快感を紡いでいく……!
「ああっ、あああああ……うああ、あふぁあああああああ……!!」
また僕は限界まで押し上げられる……ああ、もう、出る!もう我慢できない!!
すると、限界を超えるのを察知して、薫藍の口と手が止まる……ああ……また寸前で……
「んっふふふふふふふ……だぁめ、絶対いかせないんだから……くふふふふ……。」
楽しくて楽しくて仕方ないといった表情で、緋香は僕をあざ笑った。
「うああっ、あああああああああっ……!ああ、はああぁあああああ……!」
三人の堕天女に責められ続ける僕……もうどれぐらい経ったんだろう……
一体、何回寸止めされたんだろう……もう、頭がぐらぐらして、時間の感覚もなくなって
……あと、どれぐらい……どれぐらい耐えないといけないんだろう……?
そろそろ……朝なんじゃないか……?もう、一晩どころか、何日も責め続けられてる様な
気さえする……きっと、もうすぐ……朝が来るはずだ……朝が……!!
「ふふふ、よく堪えていますね……。」
蘭芳が微笑みかける……。そして彼女は、僕の心を読んだかのように、こうつけ加えた。
「あと三刻ですからね、頑張って下さいね……。」
「!!……うぁあっ……!!」
思わず、僕の口から絶望のうめきがもれた。
あ、あと三刻!!ま、まだ三刻も……駄目だ!!もう……耐えられない……!!
「大丈夫……気をしっかり持ち続けていれば、必ず耐えられますわ……現に、あなたは
最初の頃よりずっと強い刺激にも、耐えられるようになっているのですよ……。」
その言葉に僕ははっとさせられた。そうだ……今僕が受けている責めは、最初の時より
ずっと激しくなっている……緋香に耳たぶや首筋をしゃぶられ、淫らな言葉を囁かれ、
薫藍には乳首と脇腹を容赦なく弄り回され……そして、僕の男根は蘭芳の粘液状の唾液を
塗り付けられて、たわわな肉の果実に挟み込まれてしごかれている……。
最初からこの責めを受けていたら、僕はたちどころに精を漏らしてしまっただろう。
そうか……『慣らし』と言ったのは、こういう事なのか……!
「気がついたようですね……後はあなたの意志の力次第ですわ……。」
そう言って、蘭芳は優しい笑みを送った。
そうだ!あきらめちゃ駄目だ!頑張らないと!あと三刻、絶対に耐え抜いてみせる!!
「ふふ……では、もう一段上に昇って頂きますわね……。」
「うあああああああああああああああああっ……!!」
僕の喉を再び絶叫が迸る。男根を咥え込んだ乳房がぷるぷると震え、一層激しい刺激を
送り込んでくる!!痺れるような快楽が、容赦なく僕の男根に注ぎ込まれた。
「うああああっ、ああっ、あはぁああああああ!!ああ、あああああ……!!」
「うふふ……あと三刻、頑張ってこらえてくださいね……。」
胸の谷間で僕の男根を貪りながら、蘭芳は優しくも淫らな笑みを浮かべた。
「は、ああ……あ、あ……あぁ……はぁあ……。」
薄明かりの差し込む閨の中で、僕は半ば虚ろな眼差しで喘いでいた。
「……よく頑張りましたね……第一の試練は合格ですわ……。」
蘭芳の優しい声が聞こえる……ああ……ようやく……よう……やく……朝……が……。
「……今日の日没から次の修行を始める。夜に備えてしっかり休息をとっておくのだな。
次の修行は一層過酷なものとなるぞ……。」
薫藍の厳しい声も……とにかく、休めるんだ……やっと、……この寸止め地獄から……
解放されるんだ……。
「んふふ……ほら、そのまま寝ちゃだめよ……ちゃんと、お風呂で汗を流してらっしゃい
……汗くさいままじゃ、抱いてあげないわよぉ……んふふふふ……。」
緋香が甘ったるい声で囁きかける。僕は、ゆっくりと身を起こす……
う……重い……全身が……鉛みたいだ……。
「あらあら、大丈夫?一人で歩ける?」
「だ……大丈夫……です……。」
そう言いながら寝台から降りた僕の膝ががくりと折れて、倒れそうになる。
あっ……!と思った次の瞬間、
ばふ。
僕の顔は、緋香の豊満な胸の中に埋まっていた。
そして僕の身体も、彼女の身体と、羽衣の感触に抱き包まれる。
「むむぅ……ん……んんん……!」
「んふふふふ……本当に大丈夫……?もう足腰立たないんじゃないのぉ……?」
囁きながら、緋香は僕の頭を抱き抱え、さらに深く自らの胸元に埋め込んだ。
何か別の生き物のような、むちむちと柔らかく巨きな肉の塊が、僕の頭を後頭部まで
包み込んでくる……そして、緋香の身体から立ち昇る堕天女の甘い体臭が、一層強く、
甘く匂う……むっちりと吸い付いてくる柔肌に顔面をぴったりと覆われて、まともに息が
できない中、辛うじて吸い込める空気は、むせかえりそうな程濃厚な女の香気……
一息吸い込む度に、脳髄が痺れるような感覚が全身に染み渡ってくる……。
全身を、顔面をむにむにと圧し包む柔肌の感触と、くらくらするような緋香の甘い匂いに
身体から力が抜け、僕はますます自分で立っていられなくなってしまう……。
「んふふ、しょうがないわねぇ……お風呂まで連れてってあげる……んふふふふ……。」
緋香はそう言うと、ふわ、と僕の身体を抱き上げた。
全く力を入れてないような彼女の腕に、僕は軽々と抱き上げられた。というよりも、
僕の身体が宙に浮かび上がって、彼女の腕の中に収まっている、と言う感じだ。
緋香は、そのままするすると滑るように動き出すと、
「じゃ、蘭芳、薫藍、行って来るわね……んふふ……。」
そういって寝室を後にした。
僕は、緋香に抱かれて百華楼の地下へと連れて来られた。
「んふ……ここが、『桃精泉』よ……私達もここで湯浴みするのよ……。」
岩壁に囲まれた、三間四方ほどの空間が目の前に現れる……明かりは何もなく、ただ、
周囲の岩肌が、青白い淡い光を放っていた。
そして、その中央に泉が沸いていた。円形の窪みに、透明な薄桃色の液体が満たされて
いる……立ち昇る湯気からはほのかに桃の香りが匂い立っていた。
緋香は僕を抱いたまま、桃精泉の前までやってきた。
「……ありがとうございます……。後は大丈夫ですから……降ろしてください……。」
「んふふ、いいのよ……ふふふ、んふふふふふ……。」
緋香は、そのまま滑るように前進し、泉の水面に立った。羽衣の裾が水面に広がる。
「さ、お風呂に入りましょう……ふふ……一緒に、ね……んふふふふ……。」
「え……あ、あの……!」
緋香の身体がゆっくりと降下し、お湯の中に沈んでいく……
そして、彼女の腕に抱かれた僕も、そのままお湯の中に……
ぬる……。
「……え……?」
にゅるるるる……。
「……な、な……これは、ああ……あああああ……!」
異様な感触が僕を捕らえた。桃精泉に浸かった僕の身体を包む感触は、ただのお湯のもの
ではなかった。ぬるぬるとぬめる温かな粘液の感触だった!
「んっふふふふふ……どぅお?気持ちいいでしょぉ……?」
楽しそうに笑う緋香。笑いながら、豊満な肢体を淫らにくねらせて、僕の身体に絡ませて
くる……そして、しなやかな腕が胸を這いまわり、むっちりと張りのある太股が腰を挟み
つけてくる……!
「ん、んぁあああぁあああ……っ!!」
「くっふふふふふふふふ……良い声だこと……もっと鳴いてちょうだい……。」
耳元で熱っぽく囁きながら、緋香は僕の全身を愛撫してくる……その指が僕の身体の上を
這う度に、ぬるぬるの粘液の感触が身体中に塗り付けられていく……うあ、あああ……!
にゅる、にゅるる……ぬりゅぬりゅぬりゅりゅりゅりゅ……!
「い、いあぁあああ、あはぁあああぁあああ……!ああ、ああ、あはあああ……!!」
「んふふ……この桃精泉に浸かれば、垢や汗だけじゃなくて、体内の濁気や邪気も浄化
されて、とっても元気な身体になれるのよ……。って、聞いてる?んふふふふ……。
もう、それどころじゃないみたいねぇ……んふふ、ふふふふふ……!」
ぬちゅるるる……ぬる、ぬるぬるぬりゅるるる……。
緋香の指遣いはますますいやらしくなり、僕の全身を耐え難いほどの快感が駆けめぐる。
既に、僕の男根は粘液のお風呂の中でぎちぎちに張りつめていて、今にも精を放って
しまいそうだ……あああ……もう……もう……!
「は、はぁあ、ああ……う、うあ、あはぁあああ……!」
「んふふふふ……もう、我慢できないでしょ……?いいのよ、いっても……。
……仙人になるのなんてやめて、私の肉奴隷になっておしまいなさいな……。」
緋香の甘い囁きが僕の耳をくすぐる……うう、だ、駄目だ……!
ここで、誘惑に屈してしまったら、僕は……!
「私の奴隷になれば、毎日毎日いくらでも気持ちよくさせてあげるわぁ……んふふ……
いっぱい、いっぱいいかせてあげる……仙人なんかになるよりずっと良いわよぉ……。」
そう言いながらなおも愛撫を続ける緋香の、その手を僕は掴んで止めた。
「……ぁあら……どうしたの……?」
「……だ……駄目、で……す……。ぼ、僕は、……仙人に……なりたいんです……。」
僕は全身を捕らえている甘い疼きに喘ぎながら、やっとの思いでそれだけ言った。
「んっふふふふふ……よく言えたわ……大したものねぇ……。で?も……!」
緋香の手が僕の手の中からするりと抜けて、肩に触れる。
次の瞬間、僕の身体がくるりと回った。不思議なぐらいに軽く、抵抗のしようもなく
振り向かされて、僕は緋香と向かい合う形になった。
「う……!」
「んふふ……どぉ……?」
僕の視線は、緋香の悩ましい肢体に釘付けになった。むっちりと豊満な肉体が、僕の視界
を覆い尽くしていた。一つ一つが人の頭よりも巨きな乳房が、つんと硬く張りつめて
突き出した乳首が、目の前にあった。
お湯に濡れた羽衣が透けて、緋香の裸体があらわになっている。その白い肌に薄桃色の
羽衣がぴったり貼り付き、さらにぬるぬるの粘液のお湯が絡み付いて、とてつもなく
いやらしい……僕は自分の胸が、股間が、どくどくと熱く脈打つのを感じた。
「くふ……私のこんな姿を見て……それでも、同じ事が言えて……?んふふふふ……!」
「う……う……ぅうう……!!」
緋香の淫らな眼差しが僕を射抜く。僕は、ぼ、ぼくは……あ、ぁあ……!!
危険な罠と知りながら、僕はその眼差しから目を逸らす事が出来なくなっていた。
「んっふふふふふふふ……さぁ、いらっしゃい……。」
妖しい笑みを浮かべながら、緋香は僕を見つめる。
「ぼうやの目の前に、極楽があるのよ……ほら、こ?こ……んふふふふふふふふ……!」
言いながら、緋香は大きく股を開いた。薄桃色の粘液のお湯の中に、女の肉の華が
咲き誇っている。男を包み込み、この世ならぬ快楽で骨抜きにして精を吸い上げる魔性の
華……ぽってりと大きくふくらんだ花びらが、桃色のお湯の中でゆらゆらと揺れている。
あの中に……入ったら……どんな快楽が待ってるんだろう……
どう……なってしまうんだろう……
「んふふ……ほら……早くぅ……来て……!」
緋香の白い手が僕を招く……僕は彼女の腕の中に吸い寄せられて……
ぬちゅうぅうううっ……!
「あ、はぁああああぁぁぁ……!!」
豊満な緋香の肉体が、むっちりと僕を包み込む……!まるで、巨大な女陰に包み込まれた
かのような、温かくて柔らかな、そしてぬるぬるとぬめる、淫らな感触……!
「んふ……どぅお……?気持ち……いいでしょぉ……?んふふふふ……。さぁ……
いらっしゃい……私の中へ……根本まで、呑み込んであげてよ……くふふふふ……!」
濡れそぼった緋香の囁きが、僕の頭の中にこだまする……
僕は……その声に操られるかの様に腰を進める……
緋香の股の間に……僕の腰が入り……
「んふふふふ……いただきまぁす……ふふふ、ふふふふふ……!」
「はああ、あああああ……!」
その時。
「フェ~イ~~シャン……!」
はっ、と僕は我に返った。
見ると、浴室の入口に、腰に手を当ててこっちを見つめる蘭芳の姿があった。
「あぁら、蘭芳……。どうしたの?そんな恐い顔して。」
振り向いて微笑みかける緋香。
「帰りが遅いから気になって見に来たの……こんな事だと思ったわ。」
そう言って、蘭芳は微笑みを返す。だが、優しい微笑みとは裏腹に、蘭芳の声は笑って
いなかった。彼女の髪が、羽衣が、風もないのにゆらゆらと波打っている……。
柔らかな笑みを浮かべる彼女の全身から立ち昇っているのは、間違いなく怒気だった。
「さあ、こっちにいらっしゃい……『つまみ食い』は許さないわよ……!」
「あらあら、残念ねぇ……せっかく、ここからがいい所だったのに……。
まあいいわ……それじゃあ、ぼうや……また後で楽しみましょうね……んふふ……。」
緋香は悪びれた様子もなく、ゆっくりと僕から離れた。
「緋香……そんなに溜まってるのなら、私がお相手してあげてもいいのよ……!」
「恐い恐い、おしおきされちゃう……んふ……じゃあね、ぼうや……あんっ……。」
二人の堕天女は、もつれ合うようにして浴室を出ていった。
「……ふぅ……。」
僕はひとつ、溜息をつく。……今、蘭芳が止めていなかったら……。
「危ないところだったな……。」
はっ、と振り返ると、すぐそこに薫藍の淡い水色の羽衣が揺れていた。
「あ、あの……。」
「……恥じることはない。我々堕天女の誘惑は、神仙さえも虜にする力がある。
まだ修行中の身では到底堪えられるものではない。」
あいかわらず冷ややかな眼差しを向けながら、薫藍は言う。
「……はい……。あの……一つ訊いていいですか?」
「何だ?」
「今夜の修行なんですが……どんな事をするんですか?」
僕の問いに薫藍は、くっ、と小さな笑いを漏らした。
「何を聞くかと思えば……房中術の修行でやることなど決まっているだろう?」
「そ……そうですね……。」
薫藍に言われて、僕は自分の顔が熱くなるのを感じた。
「……まあ、いい。もう少し詳しく教えてやろう。
今宵から毎晩、お前は私達と交わる。最初は私が相手だ。
むろん蘭芳と緋香も立ち会うが、基本的には修行は一対一で行う。」
「一人づつ……なんですか?」
薫藍は、にやりと冷ややかな笑みを浮かべる。
「なんなら三人掛かりで責めてやっても良いぞ?
精を一滴残らず搾り尽くし、精神も快楽で破壊し尽くして悶死させてやるのに
四半時の半分とかからぬだろうがな……それでもいいならそうしてやろう。」
「い、いえ……遠慮します……。」
薫藍は真顔に戻って話を続ける。
「一人づつ、というのにはちゃんと理由もあるのだ。
我ら堕天女と一人づつ交わる中で、一つづつ段階を踏んで房中術の道を極めてもらう。
私は、房中術の基本である忍耐力を鍛える。詳しくは今夜の修行の際に説明するが、
過酷な修行になるのは間違いない。今のうちに少しでも身体を休めておくのだな。」
「はい……。」
湯から上がる僕。桃精泉の粘りけのあるお湯は、みるみるうちに身体に染み入って
乾いてしまった。
「さあ、寝室に戻って休め。しっかり休んでおかないと……死ぬぞ。」
薫藍はそう言い残して、滑るような足どりで浴室を出ていった。
寝室に戻ると、華のような微笑みを浮かべて、蘭芳が出迎えた。
「……疲れはとれましたか?」
「はい、おかげさまですっかり……。」
「どうぞ、床も整えておきましたから、ゆっくりおやすみなさい……。
今夜の修行はますます大変ですから、しっかり休んでおかなければいけませんよ。」
と、彼女も薫藍と同じ事を言う。それだけ今度の修行は過酷だという事なのだろう。
彼女達の忠告に従って、しっかり休息をとっておいた方がよさそうだ。
「……あ、そうそう……お休みの前に、これを……。」
そう言って、蘭芳はどこからともなく一個の桃を取り出した。甘い香りが、ふわ、と
拡がり、僕の鼻腔をくすぐった。
「これは、『神仙桃』という特別な桃です。生命力、仙力を増進し、体内を浄化する効果
がありますの……ここでの修行中は、これだけを食べていただきます。」
「はい……。」
僕は蘭芳から神仙桃を受け取った。思ったよりも、ずしりと重い。
「これを食べて日暮れまでお休みなさい。そして、日没と共に修行を始め、夜明けと共に
一日の修行が終わります。そして『桃精泉』で疲れをとり、『神仙桃』を食べて、
休息をとる……その繰り返しです。」
蘭芳はそう言いながら、寝室の隅に向かう……その先にあるものを見て、僕はぎょっと
なった。部屋の隅に置かれた椅子に、緋香が座ってぐったりとなっている。
上気した顔、虚ろな眼差し……意識も朦朧としているようだ。まさか……蘭芳が……?
蘭芳は緋香を軽々と抱き上げると、
「それでは、私達は失礼します……ゆっくりお休みなさいね……。」
と、優しい微笑みを投げかけて寝室を出ていった。
2日目の日暮れと共に、寝室に堕天女達がやって来た。
「……それでは、修行を始める。準備はいいか?」
「はい……。」
身を起こそうとする僕を、手で制する薫藍。
「そのままでいい……楽にしていろ。」
そして、三人の堕天女は閨の中に入ってきた。彼女達の身体から漂う甘い香りが、
ふわ……、と顔を撫でる。
「私達は、そばで修行のお手伝いをさせて頂きますわ……。」
「んふ……頑張ってね……。薫藍だけにいい思いさせちゃ嫌よ……。」
言いながら、蘭芳と緋香は僕の両どなりに横たわった。彼女達の甘い香りが閨を満たす。
左右を堕天女の悩ましい肢体に挟まれて、僕は早くも胸の高鳴りを感じた。
「昨日も言ったが、私が教えるのは忍耐力だ。
房中術を極めるためには、どのような快楽にも耐えられる、強靭な精神力を
身につけなければならない。これから行うのはその為の修行だ。」
僕の正面に膝立ちになり、薫藍は僕を見下ろす。
「これから朝まで、お前は私と交わり、責めを耐え続けなければならない。
精を漏らせば……修行は失敗だ。懲罰が与えられ、翌日に再度修行が行われる。」
そう言って、薫藍は僕の上にのしかかってきた。淡い水色の羽衣をまとった、やや細身の
しなやかな肢体が僕の身体に絡み付いてくる……!
「……ん……んん……っ……!」
僕の全身を、薫藍の柔肌の感触が包み込む……しなやかな肢体が妖しくくねり、僕の
身体を愛撫する……その白い指が僕の身体を這い回るたび、その乳房や太股が僕の身体に
擦り付けられるたび、甘い痺れが全身に染み渡ってくる……!
その甘美な感覚に僕の身体が反応する。股間がじんわりと熱を持ち、むくむくと男根が
立ち上がってくる……!
「……ふふ……随分敏感なのだな……。」
愉しげにそう言うと、薫藍は僕の上に馬乗りになった。
「ゆうべはお前が限界を超えないように私達が加減した。だが、今回は違う。
これからの修行では、お前は全力で射精を堪えなければ、直ちに精を漏らしてしまう
事になるだろう。」
僕を見下ろしながら宣告する薫藍。僕の目の前には、彼女の股間が見える。
淡い水色の羽衣を透かして、彼女の秘部がうっすらと見えている……。
これから……あの蜜壷の中に包まれるんだ……一体、どんな快楽が待ってるんだろう……
どれほどの……快楽を堪えなければならないんだろう……
期待と不安に、僕の背筋をぞくぞくと痺れるような感覚が這いあがってきた。
と、その時。
「んっふふふ……動いちゃ駄目よ……くふふふふふふふふ……。」
「ごめんなさいね……これも修行のためですから……。」
両側に寝ていた緋香と蘭芳が、僕の手足を捉えて抱き込んでしまった!
僕の両腕は2人の堕天女の豊かな乳房に挟み込まれ、両脚はむっちりとした太股に
絡め取られて、女体の感触に包まれる……!
「うっ……んんっ、ううんんんんん……!!」
「修行中、快楽に耐えきれず暴れる方もいらっしゃいますから……。」
「んふふ、それぐらい気持ちいい、って事よ……おかしくなっちゃうくらいにね……!」
両側から緋香と蘭芳の囁く声が、頭の中にこだまする。うう……全身に堕天女達の柔肌の
感触が駆けめぐる……もう、これだけで身体中が熱く火照って……頭がくらくらして……
目の前の女体のことしか考えられなくなってくる……
この堕天女達の身体は、それ自体が強力な媚薬なんだ……こうして肌を合わせている、
それだけで……心の中に淫欲がじわじわとこみ上げてくる……!
「では、始めるぞ……覚悟はできてるだろうな……。」
蘭芳と緋香に押さえつけられて身動きのとれない僕の股間に狙いをつけて、ゆっくりと
腰を降ろしていく薫藍。紗の衣の裾をはだけると、その奥に咲き誇る女の肉の華が露に
なった。ぽってりと厚く膨らんだ陰唇がやわやわと蠢いている……
すでに蜜をたっぷりと含んで、合わせ目からじっとりと滲ませている……!
薫藍は、ゆっくりと腰を下ろしてくる……ああ……もうすぐそこまで……
「……意識を集中しておけ。気をしっかり保っていないと、いきなり『飛ぶ』ぞ。」
薫藍の警告を聞きながら、僕はじりじり迫ってくる彼女の秘部を、じっと見つめていた。
……来る……男を狂わす魔性の女陰が……来る……呑まれる……!
くぱ、と薫藍の女陰が口を開く。あたかも獲物を捕食するかのように……。
来る……!来る……!の、呑み込まれ……る……!!
ちゅぷ。
「!!……………んんっ……!!!んんんぐぅんんんんっ!!!」
僕は、喉から迸りかけた絶叫をすんでの所で呑みこんだ。
な……何だ!?何だこれは!!!こんな、こんな感触……こんなものが、あるのか!?
「んんんっ、んんんんん!うっ、んっ、ぐぐっ、うむっ、ぅぁ……んんうんんっ!!」
「……どうした?まだ触れただけだぞ……?」
冷ややかな微笑を浮かべて僕に囁く薫藍。軽く触れあっただけの股間から……強烈な
快感が全身に伝わってくる!!
それは、今までの人生で一度も味わったことのない感触だった。
強いて言えば、半分蕩けて粘液状になった女肉の中に男根を突っ込んだような感触……
それでいてはっきりと襞の一枚一枚がやわやわと蠢いているのが分かる……!!
「では……入れるぞ。」
未知の快楽に身悶える僕に、薫藍の冷酷な宣告が浴びせられる。
「あ、まっ、待って!!だめっ、やめてっ、今っ……あああああああああっ!!」
今度は堪えきれず、悲鳴を上げてしまう僕。ずちゅ……と音をたてて、薫藍の女陰が
僕の男根の先端を捉えたのだ。男根を薫藍の肉襞が舐め回す……!
淫蜜をたっぷりと含んだ女の花びらが、やわやわ、くちゅくちゅといやらしく蠢いて、
僕のものに気が狂いそうな程の快楽を塗り付けてくる……!
ずちゅ……にゅる……ずぶずぶずぶ……!!
「ああっ、あああっ、ひあぁああああああ……たすけてっ、たすけてぇええっ!!」
一度声を上げてしまったら、もう止まらなかった。男根を呑み込んでいく薫藍の肉襞の
感触が、僕の全身に人外の快楽を教え込んでいく。神仙さえも虜にする堕天女の快楽……
人の身では到底耐えられない、その快楽が、僕を包み込んでいく……呑み込んでいく……
き……気持ちいいなんてもんじゃない!!恐い!!たすけて!!たすけてぇっ!!!
おかしくなる!!こんなの、おかしくなっちゃうっ!!
僕は思わずこの魔性の蜜壷から逃れようと、暴れもがいた。
だが、蘭芳と緋香がぼくの四肢をしっかりと捕まえて離さない……!
「あん……駄ぁ目よ、くふふふふ……観念しておとなしくしなさい……。」
「頑張って……頑張って堪えて下さい……!」
彼女達の声も遥か遠くに聞こえる……視界が白く霞む……!!いい……いい……!!
よすぎる……気持ちよすぎる……!!うああっ、あああああああ……!!
「……もう、限界か……?」
霞む視界の中で、薫藍が尋ねる……
「お、お願いですっ、早く、はやく抜いてっ!!も、もう保ちませんっ!!」
必死に懇願する僕。だが、返ってきたのは薫藍の冷ややかな笑みだった。
「ふん……愚かな。これを堪えるのが修行だと言ったはずだ。ならば、こうだ……!」
その声と共に、
ずぶずぶずぶ……ずちゃぁ……っ!
薫藍の身体が一段深く降下し、無数の肉襞が僕の男根を根本まで呑み込んだ。
「うぁっ、あああああああああああああああああっ!!」
倍増した快感にのけぞる僕。次の瞬間、
どぷっ、どびゅびゅびゅびゅるびゅるびゅるるるるううぅぅぅっ……!!
とっくに限界に達していた僕の男根から、大量の白濁液が噴出した。
「うああっ、ああっ、あはぁああ……うああああああああっ!!」
びゅくっ、びゅくびゅくっ、びゅびゅっ、びゅっ、びゅるびゅるびゅるうぅぅ……!!
僕は男根を激しく震わせて精を放った。男根から送り込まれる強烈な快感が背筋を迸り、
頭の中へなだれ込んでくる……全身を駆けめぐる甘美な痺れに、意識が呑み込まれる……
うああああ……いい……気持ちいい……よすぎる……うああああああああ……!!
びゅくびゅくっ、びゅくっ、びゅるるるる……びゅびゅびゅるるるる……!!
僕は成す術もなく、薫藍の魔性の肉体に精を吸い取られていった。
……そして……。
「……はぁ、はぁ……、はぁ……う、あ……はぁ……。」
まだ続く快楽の余韻に包まれて、僕はびく、びく、と全身をわななかせていた。
ただ、震えていたのは快楽のせいだけではなかった。
せ、精を……漏らしてしまった……少しも、堪えられなかった……!
「……たったこれだけで、終わりか?無様だな……。」
「ひっ……!」
思わず、小さな悲鳴が僕の喉から漏れる。上から僕を見おろす薫藍の眼差し……
凍てつくような冷たい眼差しが、僕を射抜く……!
美しくも恐ろしい薫藍の顔に魅入られて、僕はただかたかたと震える他なかった。
だが……薫藍は、ふっ…と表情を緩めた。
「……心配するな。漏らした精は戻してやろう。」
「え……?」
驚く僕に、薫藍は下腹部をさすりながら話し始める。
「人間の女相手ならば、漏らした精は取り返しがつかない。漏らした分の精と気を、
一から溜め直す事になる。だが、我ら堕天女ならば、漏らした精をお前の体内に戻して
やることができる。だから精を漏らした事自体は気にするな。」
「そうなんですか……。」
僕は、少しほっとした。房中術の修行で難しいのは、精を漏らしてしまうと修行が一から
やり直しになってしまう事だ。
ほんの一瞬、射精を堪えられなかったがために、それまで何年、何十年と積み上げてきた
修行の成果が無に帰してしまう……それが房中術の修行の恐ろしい所だ。
もし、精を漏らしても元に戻せるのであれば、これほど有り難いことはない。
しゅる……
薫藍は、後ろで結ってある髪をほどいた。
長く艶やかな黒髪が、ふぁさ……と垂れ落ちて夜具の上に広がった。
「では……行くぞ。」
薫藍がそう言うのと同時に、
ずちゅ……!!
「……え……っ、ああっ、あああああ……!!」
男根の中に何かが……何かが入ってくる!!
「ふふふ……精を戻すには、精巣まで管を通してやらねばならん。少し痛いかもしれんが
じきに気持ち良くなる。さぁ……受け取るがいい!」
薫藍が言い終わらないうちに、びゅびゅっ、びゅるびゅるびゅるびゅるびゅる……!と、
尿道を、なにかが逆流してきた!!
「うああっ、ああっ、あああああっ……ああ、ああ、うああああっ……!!」
……熱い!熱い……っ!!精巣に、熱い液体が流れ込んでくる……!!
こ、これは……ただの精じゃ……ない……っ!!
「ふふふふふ……気付いたか?私の胎内には淫気が充満している。
お前の精に、その淫気が混ざり合って強力な催淫効果を発揮しているのだ。」
「そ、そんな……ああっ、あああああ……っ!!」
どくん、どくん、どくんどくんどくんどくんどくん……!!
股間から粘っこい熱が全身に回ってくる……ああ……熱い痺れが……広がってくる……
全身の感覚が……鋭くなって……あああ……すごく、感じる……感じる……!!
三人の堕天女の柔肌の感触が……どんどん倍加して……うああ、あああああ……っ!!
「どうだ……?もう、極楽だろう……?ふふふ……。」
快感に歪む視界の中で、薫藍が妖しく笑う。これまでは氷のように冷たい表情だった
彼女が、人が変わったように淫猥な表情を浮かべていた。
「ああ……ああ……もう……うう、う、くっ、ううううう……!」
僕は必死に歯を食いしばって快楽を堪えていた。既に、僕の男根は新たな快楽に反応して
再び限界いっぱいまで張りつめている。薫藍の肉襞が動きを止めているから辛うじて
堪えていられるものの、ひく、ひく、と射精寸前のわななきを繰り返している。
「……ふふ、もう我慢しなくてもいいのだぞ。ふふふふふふふ……。」
「……え……?」
薫藍の言葉に、僕は耳を疑った。だが、薫藍は笑いながら続けた。
「言ったはずだ。精を漏らせば修行は失敗だと。ここからは夜明けまで懲罰を行う。
射精を堪えることができぬのならば、身体に教えてやるまでだ。……精を漏らすことが
どれほどの地獄をもたらすことになるのかを、な……ふふふ……ふふふふふ……!!」
美しい顔に淫らな欲望に満ちた笑みを浮かべながら僕を見つめる薫藍。
その髪がざわざわ……と蠢きだす……
あたかも髪の毛一本一本が意志を持っているかのように……
そして、その髪が……僕の身体に群がってきた……!!
さわさわ……さわさわさわ……しゅる、しゅるしゅる、ざわざわざわ……!!
「うああっ、あああ、あはぁああああああ……はぁあ、あふぁあああああああ……!!」
無数の黒髪が僕の全身に絡み付いて愛撫する!!髪の一本一本が僕の肌の上を這い回る
その度に、強烈な快感が送り込まれてくる!!艶やかな黒髪が触手のように蠢いて、
先端でちろちろとくすぐったり、束になってさわさわと撫で回したり……僕の身体中の
性感を掘り起こしていく……何千、何万本もの、いや、もっと、もっと……
僕の視界が薫藍の髪に覆い尽くされていく……僕の身体が薫藍の髪に埋もれていく……
僕の精神が、薫藍の髪が与える快楽に絡め取られていく……!!うあ、あああああ……
気持ちいい……いい……!!もう、もう……耐えられない……!!
どぷどぷどぷどぷどぷうううっ!!
再び、僕の男根が精を迸らせる。
「ほほほ……また精を漏らしたな。それ、また戻してやろう……ふふふふふ……!!」
ずびゅるるるるるるる……!!と尿道を逆流してくる精、そして……
「うああ、あああああ……あああああああああっ!!」
全身に充満する薫藍の淫気が濃度を増し、僕は身体中を蝕む甘い疼きに悶え狂った。
「くふふふふ……どうだ、もう分かっただろう……?お前が精を放つ度に、お前は精と
共に私の淫気を注がれて、どんどん敏感な身体にされていくのだ。
極楽なのは最初の2、3回まで、そこから先は、果てしない快楽地獄だ。
ふふふ、お前は果たして朝まで生きていられるかな……?ふふふふふふふ……!!」
笑いながら、ぺろり、と舌なめずりする薫藍。
「さぁ、もっともっと気持ちよくしてやろう……ほらっ……!!」
ぬちゃ、ずちゅ、くちゅっ、にゅるにゅるにゅる……!!
薫藍の腰が妖しくくねり、魔性の蜜壷が再び僕を貪り始める!!
「うああっ、ああっ、あひあぁあああああ!!ああ、ああああああああああっ!!」
どびゅびゅびゅびゅくびゅくびゅくびゅくうううっ!!
全身に絡み付く黒髪の愛撫、男根を舐め回す無数の肉襞、しかもそれらの快感が淫気に
よって何倍にも増幅されて襲いかかってくる……!!成す術もなく精を絞り出される僕。
そして、
ずちゅるるるるるるる……!!
「あうあっ、あがっ、あうぁあああああ!!いぁっ、あぁっ、うぁはぁあああああ!!」
さらに淫気を注入されて、それまでとは比べものにならないほどの強烈な快楽に責めたて
られる。長い長い懲罰の一夜は、まだ始まったばかりだった。
「うああ、ああ、あぎひぃあぁあああ……うあっああっあああああっ!!」
「ふふふふふ……それ、もっともっと精を搾り取ってやろう……そしてもっともっと
注ぎ込んでやろう……淫気をたっぷりと含んだ精を……ふふふ、ふふふふふ……!!」
ぐちゅ、ぐちゅ、くちゅくちゅくちゅ……ぬちゅっ、ちゅぷ、にゅるるるる……!
さらに激しく腰をくねらせる薫藍。その度に、蕩けるように柔らかな肉の花びらが、
男根をしゃぶり、舐め回す!そして、ぬるぬるとぬめる淫蜜を塗り付けながら、
精を搾り取ろうと、むっちりと締めつけてくる!
「ああっ、ぐあ、あはぁああああ……うぎぃっ、いっ、いひゃぁああああ……!!」
僕は、成す術もなくよがり狂った。男根を無数の肉襞にぬらぬらと舐め回される度に、
すさまじい快楽が全身を駆けめぐる!堕天女の粘膜の感触が、この世のものとは思えない
軟体物質の感触が男根をしごき上げる!
「ふふふ……私の中は気持ちいいだろう……?もう、堪えられぬだろう……?」
薫藍が淫らな笑みを浮かべて僕に囁きかけてくる……囁きながら、僕の乳首をくりくりと
両手で弄くり回す……その度に、電流のような刺激が、僕の全身を駆けめぐる……!
大量に注がれた淫気によってとてつもなく敏感にされた乳首は、いじられる度にまるで
男根を激しくしごかれているかのように強烈な快感を僕の身体に送り込んでくる……!!
どぷっ!どぷどぷどぷっ!!びゅくびゅく、びゅるるるる……!!
僕の男根を、4度目の射精が迸る。
「ほほほ……もう止まらないようだな……?くふふ、入れただけで漏らしてしまう様な
男が、淫気を注がれた今、耐えられるはずもあるまい……!さあ、もっとだ……!!」
さわさわさわ……しゅるしゅるしゅる……!
薫藍の髪が全身を撫で回す……!何万本もの髪の一本一本が妖しく蠢いて、淫らな刺激を
送り込んでくる……!!さらに、くりくり……くりくり……と、しなやかな白い指が
僕の乳首をいじり、弄ぶ!そして、
じゅぷっ、じゅぷっ、にゅる、くちゅ、ぬちゅるるる……!!
男を狂わせる魔性の蜜壷が僕の男根を容赦なく貪る……!!
「ふぁあああああああ……っ、ああっ、は、うぁあああああああ……!!」
びゅびゅっ、ぶびゅるるるるるるる……どぷ、どぷ、どびゅるるるうっ!!
人が耐えられる限界をはるかに超えた快楽に、射精がますます激しくなる……!!
「ほほほほほ……どうだ……もう地獄だろう……?気持ちよすぎて苦しいだろう……?」
僕を激しく犯しながら、薫藍は妖しく笑う。彼女の言うとおり、僕は快楽地獄のただ中に
あった。あまりにもきつい快楽に、全身が悲鳴を上げている……!!
びゅぶっ、びゅっ、びくん、びくん、びくん……!!
「うああっ、ああっ、あああああああああ!!ぎぃっ、いあああああああああ!!」
男根から迸っていた精が、突然出なくなった。あっという間に一滴残らず吸い尽くされ、
枯れ果ててしまったのだ。空の男根を搾られて、股間に激痛が走る!!
「ほほ、もう枯れてしまったか……ならば、また戻してやろう……ほほほほほ……!」
ずにゅる、びゅるるるるるるるるる……!
また精が逆流していく……精巣がぱんぱんになるまで注ぎ込まれる……!!
そして、また……
ぬちゅっ、ぬちゅ、にゅるにゅるにゅるるるる……!!
薫藍の腰が激しくくねり、無数の肉襞が僕の男根を舐め回す……!!
「ああ、あああ、やめて、やめてください、うあぁああああああっ!!」
「ふっふふふふふ……辛いか……?苦しいか……?だが、これは懲罰だ。もっともっと
苦しんでもらう。まだ夜は始まったばかりだ、時間はたっぷりとあるぞ……!!」
淫猥な笑みを浮かべて僕を見下ろしながら、薫藍はさらに身をくねらせる。
ずちゅっ……!!
「いぎぁああああああああああああああっ!!!」
びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくうっ!!
ぬちゅうっ……!!
「ああ、ああ、あがぁはあああああああああっ!!!」
どぷどぷどぷどぷどぷっ!!
薫藍の身体が僕の上で上下する度に、僕の身体は暴力的な快感に串刺しにされ、そして
身体の芯を引き抜かれるような感覚と共に精を絞り出されていく……!!
何度も、何度も……射精と注入を際限なく繰り返しながら快楽で責めたてられる……!!
異次元の快楽の宴は、いつまでも終わりがなかった。
そして……
「あああああ、がぁっ、うああっ、いぎぃいいいいいいい……!!」
びゅるびゅるびゅる、どぶどぶどぶどぶどぶうっ!!
僕の男根を、大量の精が迸る。もう、これで何度目の射精なのだろう……
もう、どれぐらいの間犯され続けているんだろう……
わからない……僕の身体は、休み無く続く無限の快楽で、もうぼろぼろになって……
だめだ……もう、身体が……身体が保たない……!!
「ふふ……どうした?もう……駄目か?」
そう言いながら、薫藍は僕の顔を覗き込んできた。
「う……うう……。」
「……ふふ、もう返事もできないぐらいに弱っているようだな……。ならば……死ね。
所詮お前はその程度の男だったという事だ。せめて、最期に存分に快楽を味わって
逝くがいい……ふふふ……ふふふふほほほほほ……!!」
その言葉と共に、薫藍の髪に変化が起こった。艶やかな黒髪がさらに輝きを増して……
いや、違う……!髪が、ほのかに青白い光を帯びている……!!
そして……!!
「いぎっ、ぎぃいいいいあああああああああっ!!あっあっ、あああああああああ!!」
僕の喉を、身も世もない絶叫が迸った!!全身に絡み付く薫藍の黒髪から……凄まじい
快楽の刺激が流し込まれてくる!!その刺激が、身体中でばちばちとはじける!!
「あああ、ああ、あぎっ、ぎいぃいいいいいいっ!!」
「ほほ、どうだ?たまらぬだろう……?
髪から直接、お前の身体に快楽の波動を流し込んでいるのだ……ふふふふふ……
さあ、さらなる快楽でお前の全てを奪ってやろう……精も、命も、魂も……!!」
そう言いながら妖しく笑う薫藍の髪が、獲物を狙う蛇のように鎌首をもたげ……
ひゅひゅっ、ぷつぷつぷつぷつぷつっ!!
「うああああっ、ああ、あああああああああ!!」
僕の身体に何本、何十本もの髪が突き刺さった!!不思議と痛みは無かったが……
「……その髪が刺さっている場所は、お前の経絡だ。……ここに快楽の波動を流せば
どうなるか……分かるな?ふふふ、ふふふふふ……!!」
髪が放つ青白い光に照らされて、一層妖美さを増した薫藍の美貌が、僕を見下ろす。
「ああ、あああ、たすけて……たすけてぇええええ……!!うあぁああああああっ!!」
「ふふふ……さあ、悶え苦しみながら死ぬがいい!!」
きぃいいい……ん……、と音を上げて、髪が放つ光が強くなっていく……!!
びびっ、ずびびびびびびびびびびびびびびびびびぃっ!!
「ぎあああああああああああああああっ!!ああ、あぎあぁああああああああああ!!」
ぼじゅううぅうううううううっ!!ぶびゅっ、びゅびゅびゅるるるるるるるる!!!
雷にうたれたかのような衝撃が僕の全身を貫く!!
そして、僕の喉からは断末魔の悲鳴が、男根からは大量の精液が迸った。
殺人的な快楽に全身を充たされて、僕は休みなく絶叫と精とを放出しつづけた。
いい……気持ちいい……全身が、痛いぐらいに……意識が、焼き切れてしまう程に……!
果てしなく続く射精感の中、僕の意識は白熱の闇の中に埋もれていった……。
……………。
「ぅ……んん……。」
ゆっくりと意識が戻ってくる……僕は、いったい……どうしたんだ……?
僕の身体は、なにか温かいものに包まれている……記憶にある感触……これは……
そうだ、これは……
僕は、ゆっくりと目を開ける……。
僕の視界いっぱいに、薄桃色の液体が広がっていた。
粘液状のその液体の中に、僕の身体は肩までつかっている……そうだ、ここは桃精泉だ。
桃の甘い香りがやさしく鼻腔をくすぐる……
……でも、僕は……どうしてここにいるんだろう……?
「……目が覚めたか、未熟者。」
突然降ってきた声に、僕ははっとなって後ろを振り仰いだ。
すぐ目の前に淡い水色の羽衣がゆらゆらと揺れていた……薫藍だ……。
……そうだ……!僕は、薫藍との修行に失敗して、懲罰を受けていたんだ……!
気が狂うほどの凄絶な快楽地獄に堕とされて、死の淵で悶え狂わされて……
薫藍は冷ややかな眼差しにやや呆れた様な感情を滲ませて言った。
「一刻と保たんとは、どこまでも情けない奴……恥を知れ。」
「す、すみません……。」
容赦のない言葉に僕は、ただ恥じ入るしかなかった。
そんな僕の様子に薫藍は、ふっ……と唇を緩める。
「だが、これで良く分かっただろう……中途半端な覚悟で修行に臨めば、どうなるか、と
いう事を。今回は最初だから、ここまでにしてやろう。」
「い、いいんですか?」
思わずほっとする僕。薫藍はあくまで冷ややかな眼差しで続ける。
「だが、次は無いぞ。明日の修行で進歩が見られなければ、私はお前を殺す。
わかったな?……さあ、もう上がれ。疲労も癒えただろう。淫気も浄化された筈だ。」
僕は、薫藍に連れられて寝室に戻った。
寝室に戻った僕と薫藍を、蘭芳と緋香が迎えた。
「んふふ、お疲れ様……よがり狂う坊やの顔、とっても可愛かったわよ……。
明日はもっといっぱい見せてちょうだいね……楽しみにしてるから……ふふふ……。」
「お疲れ様でした……最初は皆、こんなものですよ。あまり気になさらないで……。
さあ、これを食べてゆっくり休んで下さい……。」
言いながら、蘭芳は神仙桃を僕に手渡した。
僕が神仙桃を食べ終わると、堕天女達は僕を閨へと導いた。
「明日の夜まで、ゆっくり休め。そしてその間に、私の与える快楽をいかにして堪えるか
考えておくことだ。もっとも、ただ休ませてはやらんが、な……!」
薫藍のその声と共に、しゅるる……と身体に巻き付いてきた物があった。
これは……堕天女達の羽衣だ!三人の堕天女が身に纏っていた羽衣が、まるで生き物の
様に僕の全身に絡み付いてきた!柔らかな紗が、僕の手足に、身体にまとわりつき、
「うっ、うわあっ、あああああっ!」
もがく間もなく、そのまま僕は仰向けで大の字になって、磔にされてしまった。
そして、僕を包み込む羽衣がさわさわ……と蠢いて、僕を愛撫してきた!
「ああ、あはあああ……ああ……あああああ……!」
僕は、再び喘がされる……羽衣が与えてくる刺激は、さっきの修行の時ほどではなく、
あくまでも穏やかな愛撫だったが、肌の上をそよ風のように滑る羽衣の柔らかな感触は、
僕の身体に痺れるような甘やかな刺激を送り込んできた。
さらに、羽衣は僕の顔も、男根も包み込んできた……羽衣から立ち昇る、3人の堕天女の
匂い……その甘い香りが僕の顔を包み込む……一息吸い込む度に、頭の中がとろとろと
溶けてしまうような陶酔感が僕の全身に染み渡っていく……ああ……あああ……。
男根に巻き付いた羽衣も、さわさわと妖しく蠢いて、穏やかな愛撫を繰り返す……。
女の匂いを嗅がされ、全身を愛撫されて……ああ……また興奮させられる……!
「ああ……はあ、あああああ……!」
「んっふふふふふ……じゃあね、ゆっくりお休みなさい……。」
「明日の夜までは、その羽衣に包まれて眠るのだ……それも修行の一環と思え。」
「では、私達は失礼いたします……また明日の夜、修行を頑張りましょうね……。」
羽衣によって霞がかかったような視界の中で、堕天女達が閨から出ていく……。
そして、僕は身動きがとれないまま、彼女達の羽衣と、その感触と、匂いの中に埋もれて
閨の中に一人残された。
こんな……こんな状態じゃ休めないよ……!ああ……三人の匂いが……いい匂いだぁ……
これを嗅いでると……何も考えられなく……なる……欲望が……こみ上げて……くる……
全身を這い回る羽衣の感触が……気持ちよくて……心地よくて……なんだか……
興奮するのに……眠くなって……きた……ああ……気持ちいい……
全身を……ぞくぞく……するような……感触……が……
気持ちよくって……それでいて……安らぐ……
ああ……いい匂い……気持ちいい……
いい……ああ……いいよぉ……
あああ……あああ……
……………
抗いがたい快感に酔い痴れながら、いつしか僕は、深い眠りに誘われていった。
……………
「……起きて下さい、もう夜ですよ……。」
「……ん……ぅうん……。」
深い眠りの底から意識が引き上げられる……。
ゆっくり目を開くと、目の前に蘭芳の穏やかな笑顔が華開いていた。
いつの間にか、羽衣の戒めは解かれていた。
僕は……どうやらあれから丸一日近く、ずっと眠っていたらしい……。
「……よく眠っていたようだな……身体の方はどうだ……?」
蘭芳の背後から薫藍が姿を現す。
「はい……桃精泉と神仙桃のおかげで、すっかり回復しました。」
「ふむ……ところで、私の責めをどう堪えるか、考えておいたのか?」
薫藍の問いに、僕はぎょっとなった。しまった……!羽衣の愛撫に酔いしれてしまって、
何も考えられないままに眠りに落ちてしまった……!
「ふん、どうやら何も考えていなかったようだな。愚かな奴め。
その愚かさがどのような地獄をもたらすのか、たっぷりと思い知らせてやろう。
明日の朝日を生きて見たければ、せいぜい死にもの狂いでもがく事だな……!」
冷ややかに僕を見下ろしながら宣告する薫藍。
再び、恐るべき快楽地獄の一夜が始まろうとしていた……!
「んふふ……さあ、今夜も頑張ってね……坊やの可愛いよがり声を聞かせて頂戴……。」
「気持ちを落ちつけて……精神を集中して、頑張って耐えてくださいね……。」
緋香と蘭芳は、ゆうべと同じように僕の両側に身を横たえる。そして、薫藍は仰向けに
なっている僕の股の間に腰を下ろした。
「それでは早速始めるとしよう……。」
その言葉と共に、薫藍は僕の股間に顔を降ろす。彼女の紅い唇が、僕の男根をぬらりと
咥え込む……!
「う……うくっ、ぅうっ……!」
僕の股間の上で、薫藍の頭がゆっくりと上下する度に、痺れるような快感が僕の全身を
駆けめぐった。薫藍の舌が男根の裏スジやカリ首、時には根本や玉の方まで丹念に
舐め回し、さらに柔らかな唇が男根を包んでしごき上げる……!!
特に、一番敏感なところは舌先で転がすようにちろちろと舐めくすぐり、執拗に快楽を
送り込んでくる……!
僕の男根が、薫藍の口の中で快楽に反応し、熱く息づく。
薫藍の舌が這いまわる度に、柔らかな唇が男根をしごき上げる度に、与えられる快楽に
反応して、ひく、ひく、とわななく……!
「うう……うぁ、あぁあああ……はぁ、あふぁああ……!!」
僕の男根はみるみるうちに固く、大きくなっていった。
「……ふ……、そろそろ良いだろう。」
薫藍の唇が僕のものを解放する。既に限界一杯まで張りつめていた男根が、びたん、と
僕の腹を打った。
「では……行くぞ。」
薫藍は僕の腰をまたいで膝立ちになる。彼女の冷ややかな眼差しとは対照的に、
股間の肉の華は熱く潤んで、既にたっぷりと蜜を含んでいる……
僕の男根に薫藍の指が触れる。
「ううっ……!」
触れられただけで僕の背筋をぞくりと快感の波が這いあがる。
肌と肌が触れ合っているところから、まるで何かが染み込んでくるように、甘美な疼きが
送り込まれてくる……!
「頑張って下さいね……無事堪えきれるよう、お祈りしていますわ……。」
「んふふ、駄目だったらその時はその時よ……今は、いぃっぱい楽しんでね……。」
左右から蘭芳と緋香が身体を密着させてくる……そして、しなやかな四肢を僕の手足に
絡めてくる……!彼女達の肌の感触も、じんわり、じんわりと僕の身体に染み込んで
甘い痺れとなって全身を浸食してくる……!
僕はもう、それだけで身体中の力が入らなくなってしまって、もう動けない……
両腕は堕天女達の胸の中に抱き込まれて、両脚は生白いふとももに絡み付かれて、
魔性の柔肌がもたらす甘美な感触に縛られて、全く身体の自由が効かない……!
ああ……気持ちいい……いい……もう、とろけそうだ……!!
その時、薫藍の指が、僕のものの根本をつかんだ。
「あ、ああっ……!」
のけぞる僕を冷ややかに見下ろす薫藍。
「昨日、私が言ったことは覚えているだろうな……?」
『次は無い』『進歩が見られなければ、私はお前を殺す』……ゆうべ言われた言葉が、
僕の脳裏に蘇ってくる……底冷えのするような重みを伴って……!
「ああ、は、はいっ……いあ、あああ……覚えてますっ……うああああ……!!」
「ならば、ここで漏らせばどうなるかも、分かっているな?」
一層、冷え冷えとした凄みを増す薫藍の声。
「は、はい……う、うくっ、うああ、分かって、ます……うぅ……!!」
薫藍の白い指が、僕の男根をくい、と上に向かせる。そして、やや細身のしなやかな
身体が、ゆっくりと降下してくる……。
熱く潤んだ薫藍の蜜壷が、僕の男根を狙ってゆっくり、ゆっくりと迫ってくる……!!
もう、今にも触れそうな所まで……ああ、熱く蕩けた肉襞の熱気が、ほのかに男根に
伝わってくる……もう、すぐそこに……あの快楽の坩堝が……迫ってきている……!!
「……もしも、我慢ができなくなったなら……。」
僕を見つめる薫藍の瞳が、きらり、と妖しく輝く。
「ゆうべ味わった地獄の事でも、思い出すことだな……!」
その声と同時に、
む、ちゅうぅぅ……!!
ぬるぬると濃厚な蜜をまとった柔らかな女の肉が、僕の先端を包み込んだ。
「うあ、あはぁああああっ……!!」
熱いぬかるみの中に沈み込んでいく感触が、耐え難い快感となって脊髄を駆け上がり、
熱い吐息となって僕の口から漏れた。
ぬるぬると温かな淫蜜が僕の男根に塗り付けられる……ぞわぞわと蠢く肉襞が敏感な所を
舐めくすぐり、くちゅくちゅと揉みしだく……!!
「ううっ、うあ、あああ……あ、うくっ、くはぁああ……!!」
悶え喘ぐ僕を冷ややかに見下ろす薫藍。
「ふふ……まだ半分も入っていないぞ……さぁ……もっと入れてやろう……!」
ずぶ……
「うあっ、あああああ……っ!!」
薫藍の身体がゆっくり、ほんの少しだけ沈み込むのと同時に、男根を包み込んでいる
快感がずくん、と倍増する……!
「ふふふ……どうだ?……もう……堪えられんか……?」
身体の下で快楽にのたうちまわる僕に、薫藍は昨夜と同じ問いを投げかけた。
「ううっ、うっ、うううんんんんん……っ!!うう、むうんんん……!!」
僕は必死に口を閉じて、首を横に振る……もう、口を開けばその途端に許しを乞う言葉が
漏れてしまいそうで、返事もまともにできない……!!
でも、ここで堪えられなかったら……精を漏らしてしまったら……!!
「ふふ、分かっているな……?精を漏らせば、どんな運命がお前を待っているか……
……ふふふ……死にたくなければ、精々もがくことだな……くふふふふ……!!」
妖しく笑う薫藍の身体が、さらにゆっくりと降下する……
ずぶぶ……
「ううっ、うあ、くぅううう……ううっ、うっ、うぐふうぅうう……!!」
僕の男根は、熱く蕩けた快楽の坩堝のさらに深く、奥深くへと呑み込まれていく……
……快楽の泥沼の奥底へ……引きずり込まれていく……あああ、あああああ……!!
脳味噌が煮えたぎる程の快感が全身を駆けめぐる……薫藍の秘肉が、くちゅくちゅと
蠢く……あたかも、咥え込んだ僕の男根を味わうかのように……にゅるにゅるとぬめる
淫蜜を塗り付けて、淫らな感触で包み込み、ひらひらと蠢く肉襞で舐めしゃぶる……!!
僕の男根は、絶え間なく送り込まれる刺激に、限界ぎりぎりまで張りつめさせられて
しまう……もう、今にもはちきれんばかりに……ひくひくとわなないている……!!
「くふふ、さあ……もっと奥まで……呑み込んでやろう……くふふふふ……!」
冷ややかな眼差しに好色な輝きが宿り、白蝋のような肌がほんのりと上気する。
薫藍の淫乱な本性が露わになっていく……!
そして……
ずちゅ、ずにゅるる……ぬちゅうっ!!
ついに僕の男根は、その根本までむっちりと薫藍の柔らかな蜜壷に圧し包まれた!!
むにゅ、にゅる、ぬちゅ……くちゅ、にゅるる、じゅるるるる……!
「うあ、ああ、あああああ……ああっ、ああっ、あはぁあああ……!!」
人智を超えた魔性の快楽に、僕は成す術もなく悲鳴を絞り出されてしまう……
男根はさっきからずっと、びくん、びくん、と射精寸前のわななきを繰り返している……
ぎりぎりまで追いつめられて、もういつ限界を超えてしまってもおかしくない……
僕は、身体の奥底から絶え間なくわき上がってくる射精の欲求を必死に抑え込む……
ああ……でも、もう……これ以上はとても堪えきれない……!!
この世のものとは思えない、いや、まさしくこの世のものではない、この感触……
僕のものを包み込む堕天女の肉襞の感触……とてつもなく柔らかく、温かく、そして
淫らにぬめり、どこまでも絡み付いてくる……!
こんな、こんなに気持ちいいの、堪えられるわけがない……ああ、あああああ……!!
「ふふふ……もう本当に限界のようだな……。」
僕を見下ろす薫藍の妖しい笑みが、一層淫らな色を濃くしていく。
「ううっ、ううう……うあ、ああ、あはぁああ……!!ああ、あ、あああああ……!!」
「ふふ、だが……私はまだ毛ほども本気を出していないのだぞ……それどころか、まだ
中に入れただけだというのに……くふふ、これから私が本気で責めたなら……
お前は果たして堪えられるのかな……?くふふ、ふふふふふ……!!」
冷徹で残酷な薫藍の宣告。もちろん、男根を捉えられただけで限界まで達してしまって
いる僕が、これ以上の責めになど堪えられようはずもない……!
そして、堪えられずに精を漏らしてしまったら……その先に待っているのは……
精を搾り取られ、淫気を注ぎ込まれて、果てしなく高みへ押し上げられる快楽地獄……
そして、徹底的に犯し抜かれ、精を搾り尽くされて悶え狂いながらの……死……!!
「ううっ、うああ、あああああ……い、いや……ああ、あはぁ、ううううう……!」
「くふふふふ……いい顔になってきたな……そうだ……私が見たかったのはその顔だ……
性の快楽と死の恐怖に歪むその表情……私の与える快楽で、死へと追いつめられていく
その顔……ふふふ……さあ、もっともっと追いつめてやろう……くふふふふ……!!」
薫藍の笑みがさらに深く、淫らに、そして邪悪なものになっていく……!!
ずちゅる……るる……うぅぅうう……!!
「うあっあっ、あふぁああ……!くっ、ううっ、う、うふぁあああ……!!」
薫藍がゆっくりと腰をすり上げる……それと共に、強烈な快感が襲いかかってくる!!
無数の肉襞が、僕のものをやんわりと柔らかく締め上げながら、ゆっくり、ゆっくりと
しごき上げてくる!ぬるぬるとした濃厚な淫蜜を男根に絡ませて、柔らかな肉襞の群れが
一枚一枚、一番感じるところをいやらしく舐め上げる!!
既に限界ぎりぎりの状態に達している僕を、さらにもう一押し、高みに押し上げる……
僕は、必死に射精を堪える……いよいよ切羽詰まった欲求が、男根をずくん、ずくん、と
激しく疼かせる……まさしく射精寸前、これ以上の刺激を僅かでも与えられれば、直ちに
限界を超えてしまう!!
「んっふふふ……わかる……わかるぞ……お前の忍耐力の限界が……もう、すぐそこまで
来ているのがよくわかる……さあ、もっとじわじわと嬲り犯してやろう……!」
薫藍がそう囁くのと同時に、
じゅぷ……にゅるにゅるにゅるにゅるにゅる……ぬちゃあっ……!!
ゆっくりと薫藍の身体が沈み込み、僕を再び根本まで深々と呑み込んでいく……!!
熱く蕩けた女肉の感触が、幾重にも折り重なった細かな肉襞が、ぬるぬるとぬめる淫蜜の
感触が、僕の男根の先端から根本まで、この世ならぬ魔性の快楽で充たしていく……!
「ああ、ああ……ふぁ、あくっ、うくああぁあぁああ……!あああ、あああああ!!」
「ふふふ……どうだ……?もう堪えられぬのだろう……んっふふふ…… いきたくていきたくて、どうしようもないのだろう……?さあ……もっとだ……!」
ぬちゃぁり……にゅる、ぬりゅぬりゅぬりゅ……くちゅ……じゅぷるるるるる……
薫藍の蜜壷はゆっくり、あくまでもゆっくりと上下動を繰り返し、僕を責め嬲る……!
僕の限界を完全に知り尽くして、その限界を超えるか超えないかの瀬戸際、まさに
ぎりぎりの快感を絶え間なく送り込んでくる……!!
「うくあっ、ああ、あはぁあああっ、うぐっ、うあぁああ……!!」
僕は果てしなく続く快楽責めに成す術もなく悶え狂った。
僕の男根は、絶え間なく送り込まれる人外の快楽に、薫藍の女肉の華の中でびく、びく、
と激しく射精のわななきを繰り返し、限界を訴え続けている……。
全神経を集中して堪え続けていなければならなかった。一瞬でも気を抜けば、たちまち
精を搾り取られてしまう……僕は狂おしいほどの射精の欲求を、必死に堪え続けた。
「ふふふ……もう、本当に限界のようだな……くふふ、ふふふふふ……」
悶える僕を見つめながら、囁く薫藍。
「うう、あ……はぁ……あくっ、うっ、ううあああぁあぁぁ……!!」
「ふふ……まだ夜は始まったばかりだ……もう少し、じっくりと楽しませてもらうぞ……
このままお前の限界ぎりぎりの快楽で責め続けてやろう……くふふふふ……。」
ぬちゅう……ぬりゅぬりゅぬりゅ……くちゅ……くちゅ……にゅるるるる……!!
悩ましく囁きながら、濡れそぼった肉襞で柔らかく、じんわりと男根を締め上げ、
ゆっくり、ゆっくりと出し入れを繰り返す……!!その度に、既に限界を迎えている
僕の男根に、新たな快感の波が送り込まれ、それが男根から全身に広がっていく……
その波が、切羽詰まった射精の衝動となって全身から打ち返し、男根へと殺到する……!
身体中に充満した人外の快楽が、男根へ集中し、内側から責めたてる……
出せ、出してしまえ、と僕を激しく追い立てる……限界の崖っぷちへと……!!
「ああ、あふぁ……ああっ、うあぁああああああ……!」
限界ぎりぎりの刺激に、僕は全身をわななかせて悶え狂った。
「んふふ、気持ちいいか……?それとも、辛いか……?くっふふふふふ……。
お前が全精神力を集中して堪えない限り……この快楽は堪えられぬ……。
だが……人間はいつまでも最高の集中力を持続することはできぬものだ……。」
囁きながら、薫藍は身に纏っている紗の衣を肩から外した。衣がはだけ、生白く輝く肌が
露になる。……そして、薫藍はゆっくりと上体を倒してくる……薫藍の、淫らに上気した
美貌が、ゆっくりと近づいてくる……!!
むにゅ、ふにゅうぅう……!!
「ううっ、うあはぁあああああ……!!ああ、あああ、あふあぁああぁぁぁ……!!」
薫藍のしなやかな身体が僕の身体に覆い被さる……堕天女の魔性の柔肌が僕の身体に
直接重ねられた……!ああ……しっとりと吸いついてくるこの感触……むっちりと僕の
身体を包み込んでくるこの感触……それだけで意識が飛んでしまいそうだ……!!
「ふふふふふ……こうやって、お前を限界ぎりぎりで嬲り続けてやろう……くふふ……
お前が力尽きて、私の中に熱い精を漏らす、その時まで……。」
薫藍は、僕の耳元で熱っぽく囁く……
「たとえお前が堪え続けても、じっくり楽しんだ後で、私がちょっと本気を出してやれば
お前はたちどころに限界を超えて、成す術もなく精を漏らすことだろう……
ふふ……そして、夜明けまで二刻もあれば、お前を快楽で悶死させてやることなど
造作もないことだ……んっふふふふふふふ……!!」
瞳に粘つくような欲望の輝きを宿らせて、笑う薫藍。
男を貪る堕天女の本性をあらわにして、彼女は僕をさらなる責めにかけていった……。
ぬちゃり……くちゅ……ぬちゅぅ……ぬりゅぬりゅぬりゅ……
「うう……あ、あくぁ、あふぁああ……!ああ……う、うふぅああぁぁああ……!!」
夜の深い闇の中、ほのかな明かりが閨をぼんやりと浮かび上がらせる……
明かりの源は閨そのものだった。天蓋から垂れ下がる紗の幕と、天上の雲の様な夜具が
自ら発光して、幻想的な光景を生み出していた。
光を発しているのは閨だけではなかった。三人の堕天女の身体が、そして彼女達が
身に纏っている羽衣がほのかに光を放ち、閨の中を夢のような光で満たしていた。
だが、僕はその美しい光景に見とれている余裕などなかった。
「ふふ……さあ、もっと楽しませておくれ……。」
耳元で甘く囁きながら、薫藍は僕の身体にしなやかな白い腕を絡み付かせてくる……
そして、すらりと伸びた美しい指先が、僕の脇腹を撫で上げる。
「うああ、ああっ……!!」
電流のような甘い痺れが、薫藍の指がなぞった軌跡から全身に広がる……!
熱く蕩けた薫藍の女陰の中で、ひくひくと射精直前のわななきを繰り返している男根が、
新たに加えられた快感に反応して、びくん、とひときわ大きく跳ねた。
「あっ……んっふふふふふ……気持ちいいか……?」
男根の動きを感じた薫藍は、楽しげに笑いながら、さらに僕の身体に指を這わせる。
さわ……
「ううっ、く、くうぅ……!!」
「くふふふふ……また動いた……気持ちいいのだな……?では、これはどうだ……?」
その言葉と同時に、薫藍の白く輝く肢体が妖しくくねり、僕の身体に甘美な柔肌の感触を
擦りつけてくる……触れているだけで、じわじわと男の淫欲を昂ぶらせる、この世ならぬ
魔性の柔肌の感触が、僕の全身を愛撫する……!!
「うああ、ああ……ああ……!ううっ、く、はぁあああ……!!」
限界ぎりぎりの状態からさらにもう一段押し上げられて、僕は全身をびくん、びくん、と
わななかせながら悶え狂った。僕の男根も、とろとろの淫蜜にまみれ、柔らかな肉襞の
群れの中でびく、びく、と激しくわなないている……!
「ふふふ、ますますいい顔になってきたな……さあ……もっといい顔を見せておくれ……
もっといい声で鳴いておくれ……もっと悶え狂って、私を楽しませておくれ……!!」
しなやかに身をくねらせて、僕を責めたてる薫藍。
その姿は、まるで淫らな白蛇が、捕らえた獲物をじっくりと嬲り殺しにしているかの
ようだった。そして僕は、囚われの哀れな獲物……成す術もないまま薫藍の責めに
のたうちまわる……死の恐怖に怯えながら……喘ぎ、わななき、悶え鳴く……!!
「うう、うああ、あはぁああああああ……ああっ、くっ、うくあぁぁっ……!!」
「くっふふふふふふふ……たまらぬだろう……?さあ、もっとお鳴き……!」
れろおおぉっ……!!
「うあ、あああああああああっ!!」
首筋を這い上がる、生温かく濡れそぼった肉の感触。薫藍の舌だ……!!
新たな刺激に、全身が、男根が、ずくん、ずくんと激しく疼く……!!
「ほほほ……どうだ……?もう、耐えられぬだろう……?」
薫藍は、余裕たっぷりに僕を責め嬲りながら、耳元で妖しく囁く……
囁きながら、耳元に舌を這わせ、耳たぶを甘噛みしながら熱い吐息を吹きかける……!
ずちゅ、にゅるにゅるにゅる……
「うっ、うくっ、うふぁああああああ……ああ、い、いあ、いやあああ……!!」
既に限界を超えつつある僕の男根を、やわやわと蠢く薫藍の蜜壷がゆったりとしごき、
ぬるぬるの淫蜜を塗りつけながら、しゃぶりたてる……まるで、女陰自体が一つの生き物
であるかのように、邪悪な意志を持って、男を狂わせる為の、精を搾り取るための動きを
繰り返す……くちゅくちゅと淫らに蠢き、内部に捕らえた獲物を貪り喰らう……!!
僕の身体は、絶え間なく与えられる淫らな刺激に、射精のわななきを繰り返している……
もう僕の身体は、薫藍の快楽にとっくに屈服してしまっている……!
それを、精神力だけで無理矢理耐え続ける……快楽に堕ちようとする身体を、必死に
押さえつける……あ、朝まで……耐え続けられるのか……?
こんな状態で、ずっと耐え続けることができるのか……?うう、うああ……!!
ぬらぬらと耳元に舌を這わせながら、薫藍が囁く……
「耐えることなどない……思う存分、私の中に注ぐがいい……
仙人になれなくとも良いではないか……くふふ……私に与える快楽に屈服して、
何もかも諦めて、せめて最後に死ぬほどの快楽を楽しんで逝くがいい……
己が命と引き替えでも、これほどの快楽を味わえるなら構わぬだろう……?」
熱い吐息と共に、薫藍の悩ましい誘惑の囁きが頭の中にこだまする……!
抗い難い程の蟲惑の囁きが、僕の意識を蕩かしていく……必死に抵抗している僕の心を、
じわりじわりと屈服への道へと誘っていく……!!
しかし、僕はなおも必死に堪え続けていた。全身を駆けめぐる快楽に悶え狂いながら、
それでもぎりぎりの所で踏みとどまっていた。
僕は……こんな所で終わりたくない……!
まだ、修行は始まったばかりじゃないか……この3年間、黄河老師の元で辛い修行に
耐え続けてきた……こんな所で快楽に溺れて果てるために修行して来たんじゃない……!
僕は、その一念だけで、薫藍の愛撫がもたらす魔性の快楽を耐え続けた。
……………そして……………。
「ふふふ……なかなかよく耐えるではないか……?」
僕の首筋にねっとりと舌を這わせながら、薫藍は囁いた。
「ああ……うぁ、ああ……うっ、くうぅ……!」
僕はもうまともに返事をする事もできない……限界ぎりぎりの状態で延々と嬲られ続け、
頭がもう快楽にのぼせて、めまいのような感覚が僕を捕らえていた。
「もうかれこれ三刻になろうというのに、まだ耐え続けるか……?
それはそれで誉めてやろう。普通ならば、心身の疲労で集中力を失って、とうに
精を漏らしているところだからな……。……だが……、それだけだ。」
薫藍はそう言いながら、ゆっくりと腰を巡らせた。ぬちゃり……と、彼女の蜜壷が
僕の男根を舐め回す。
「うあっ、あああああ……ああ、あふあぁあああああ……!!」
射精寸前の男根を、幾重にも折り重なった柔らかな肉襞が舐め回す。
「お前は分かっていない……どんなに必死に堪えようとしても無駄なのだという事を。」
冷ややかな侮蔑の笑みを浮かべて、僕を見下す薫藍。
「そろそろ手加減なしで責めてやろう……神仙をも狂わせる、堕天女の快楽を存分に
味わわせてやる。ふふ、人の身で耐えられると思うか……?くふふふふ……!!」
言いながら、薫藍は後ろで止めてある髪に手を伸ばす……く、来る……あれが……!!
夕べ、人外の快楽で僕を悶え狂わせた、あの髪の毛地獄が……来る!!!
しゅる……
薫藍が、束ねてある髪を解く。
解かれた髪が、ふわ……、と重力に逆らって、そのまま大きく広がる。
それ自体が何かの生き物のようにうねうねとうねくりながらゆっくりと伸びて、
僕の身体の周囲に群がってくる……!
「う、うう……!」
脚の方から、甘美な感触が身体を包み込んでくる……!
柔らかな黒髪がしゅるしゅると絡み付き、愛撫を加えてくる……!!
艶やかな髪が蠢く度に、既に限界ぎりぎりまで追いつめられている僕の全身に甘い痺れが
走る……僕の男根は与えられる快楽に反応して、びく、びく、とわなないている……
もう……本当にこれ以上は……ああ……!
髪が、髪が……身体中を包み込んで撫で回してくる……!!
僕の身体はもう、黒いうねりにすっぽりと覆われて……身体中のあらゆる場所が、薫藍の
髪の感触に包み込まれている……!!
「うああ……あああああ……!!」
射精寸前の状態で悶え喘ぐ僕を見下ろして、薫藍が残忍な笑みを浮かべる。
瀕死の獲物に、どうやってとどめを刺してやろうか、という嗜虐の笑みだ。
「くっふふふふふふふふ……さあ、もっともっと責めたててやろう……
ゆうべ交わった時に、おまえの弱い所は全て分かっている……例えば、ここだ。」
さわ……
「ひぁうっ……!!」
突然両の脇腹に加えられた刺激に、僕は大きくのけぞった。びくんっ、と男根が大きく
わななく。何かがせりあがってくるような射精の感覚に襲われて、僕は必死に意識を
集中し、快楽に屈服しようとする肉体を引き止める。
びくん、びくん、びくん……と男根が射精の痙攣を繰り返す。
だが、尿道を精液が迸る感覚はなかった。すんでの所で堪える事ができたようだ。
「ほほほ……よく堪えたな……では、もっとよくしてやろう……。」
辛うじて射精を堪えた僕を見て、薫藍の瞳が一層淫らな、そして残酷な光を帯びる。
さわ……さわ……しゅるしゅるしゅる……!
「ひっ……、いっ、いひゃぁっ、ああっ、ああっ、あひぁああっ……!!」
脇腹に加えて、首筋にも黒髪の愛撫が与えられる……!
「んっふふふ……良いだろう……?さあ、もっとだ……ここはどうだ……?」
しゅる……くしゅ、さわさわさわ……!
今度は太ももの付け根に、髪の毛の束が這い回る……あたかも淫らな雌蛇の様に……!
「んああっ、あひっ、いいいいいい……!」
次々と、そして的確に僕の感じるところを選んで襲いかかる黒髪の群れ。
「ふふ……ここも……ここも弱いのだろう……?んっふふふふふふふ……!!」
背筋に、膝の裏に、足の指の間に……髪の毛が群がってさわさわと撫でくすぐる……!!
刷毛のように束になった髪の毛先でくすぐり、別の束がしゅるしゅると巻き付いて
蠕動し、執拗に快感を送り込んでくる……!!
「ふぁあ、あああああ……あっ、あっ、いや、いやぁああ!!」
僕は、黒髪の海の中で身をよじって悶え狂った。全身が髪の毛の感触で充たされる……!
柔らかく、しなやかな髪……一本一本が、毛先を震わせてちろちろと、僕の身体の隅々に
至るまでくすぐり、舐め回す……!!
頭がじぃんと熱く痺れ、身体が奈落に落ちていくような感覚に襲われる。
そして、とどめとばかりに薫藍の秘部が蠢く。男根を根本まで咥え込んだ女陰が……
その内部を埋め尽くす無数の肉襞が……やわやわ、にゅるにゅると蠕動して、男根を
しゃぶりたてる!!それは、まさに人の身では堪えられない異次元の快楽だった。
男根がびきびきと張りつめ、全身の快感が一点に集中していく。既に限界に達していた
僕が、この快楽を堪えられるはずもなかった。駄目だ……もう……駄目だ……!!
こんな快感、どうやっても堪えられない……!!
『お前は分かっていない……どんなに必死に堪えようとしても無駄なのだという事を。』
薫藍の言葉が脳裏によぎった。そうだ……こうして無理に堪えようとするやり方では、
どうしても限界がある……それじゃ駄目なんだ……!
その瞬間だった。
はっ、と脳裏にひらめいた。
どうやってもこの快楽は堪えられない……だったら、堪えられなくとも精を漏らさない
ようにすればいいのでは……?
……でも、どうやって……?ああ、こうしている間にも、全身を責めたてる快楽に……
精が……精が漏れてしまう……ああ……駄目だ……もう、抑えられない……っ!!
「ううっ、ああああああっ、あっ、ああっ、あはぁああああああああああっ!!」
どぶっ、びゅっ、びゅぶびゅるびゅるっ、びゅくびゅくびゅるるるるうっ!!
堪えようもなく尿道を迸る精液。脳髄が焼け付くような快楽の中、僕は全身を激しく
わななかせて、薫藍の胎内に精を放った。
三刻以上もの間必死に堪え続けた分、ひとたび理性が崩れてしまうと、もうどうしようも
なかった。僕の男根は熱く蕩けた女肉の中で暴れながら、何度も何度も精を迸らせる……
止まることを忘れたかのように、いつまでも精を放ち続ける……気が狂ってしまいそうな
ぐらいの射精の快感が、いつまでもいつまでも続く……!!
「あああああっ、あぐぁっ、あふぁああああ!!ああっ、あっ、あああああああ!!」
びゅくん、びゅくん、びゅくん、びゅくびゅくびゅく……ぶびゅるるるるるるる……!!
……僕はどうする事もできないまま、薫藍の女陰に精を吸い上げられていった。
地獄の快楽に悶え狂いながら、一滴残らず、枯れ果てるまで搾り取られてしまった……。
「……ぁ……ぁ、ぅ……は、……あぁ……。」
「ほほほほほほほほほ……たわいもない。やはりお前には、無理だったようだな……
この程度で精を漏らすようでは、仙人になる資格などないわ。ほほほほほほ……!!」
精を吸い尽くされて息も絶え絶えの僕に、薫藍の嘲笑が浴びせられる。
だ、駄目だった……必死に堪え続けて……けれど、薫藍の与える圧倒的な快楽の前に
成す術もなく屈してしまった……。
「んふふ……これでお前の修行は終わりだ。夜明けまであと三刻弱といった所か……
それだけあれば十分だ。徹底的に犯し抜いて快楽にのたうち回らせ、一瞬の休みもなく
いかせ続けたあげくに、悶死させてくれよう……くふふ、ふふふふふ……!!」
薫藍は妖しい笑みを浮かべて、僕を見下ろす。
だが、僕はこのまま諦めるわけにはいかなかった。
射精の直前、頭にひらめいた事がある……このまま死ぬわけにはいかない……!!
「お……お願いです……も、もう一度……機会を下さい……。」
懇願する僕に、しかし返って来たのは薫藍の残酷な笑みだった。
「駄目だ。お前は試練を乗り越えることができなかったのだ。
くふふ……私の与える快楽に、お前ははしたない姿でよがり狂い、そして無様に泣き
叫びながら精を漏らしたのだ……ふふ、そんな男が仙人になれると思うか?」
「ぅ……うぅ……!」
侮蔑の眼差しを僕に向けながら、薫藍は続ける。
「私の胎内に、お前の精をたっぷりと吸い取った……もう、この中に充満している淫気と
混ざり合って、お前を狂わせる強力な催淫薬となっているだろう……。ふふふ、これを
お前の体内に注いでやれば、お前はもう私の責めを一瞬たりとも堪えられぬ。
そのまま快楽の余りに狂い死ぬまで、際限なく絶頂を迎え続けるのだ。……くふふ……
お前が私の快楽地獄に堕ちて悶え狂い、死んでいく様が目に浮かぶぞ……!!」
妖しい笑みを浮かべた瞳に残忍な光を宿して、薫藍はそう宣告した。
「ふふふ……覚悟することだな。もうお前の運命は決まっているのだ。この程度の快楽で
精を漏らすようでは、淫気を注がれればもう、正気を保っている事などできまい。
さあ……せめて、人生の最後の快楽を存分に味わって逝くがいい……!!」
僕を見つめる薫藍の眼差しが、一層淫蕩なものになっていく……
修行者を見る目から、獲物を見る目に変わっていく……!!
だが……僕は……このまま薫藍に犯されて死ぬわけにはいかない……
まだ……試していない事がある……せめて、もう一度だけでも……!!
「薫藍……お願いです。もう一度、もう一度だけ……お願いします……!!」
懇願する僕に、薫藍はやれやれといった様子で首を横に振る。
「くどいな……何度やっても同じ事だ。もう諦めろ……。」
「いえ、諦めません。この試練の答えが見つかった気がするんです。それを試すまでは、
諦めるわけにはいきません!だからお願いです、もう一度だけ……お願いします!!」
僕のその言葉に、薫藍の顔から淫らな笑みが消えた。
「ほう……どんな答えが見つかったというのだ?……言ってみるがいい。」
薫藍の問いに、僕は答える。
「はい……無理に快楽を堪えるのではなく、快楽を受け入れ、その上で精を漏らさない
ようにするべきだったのです……快楽を与えられると、身体は体内の陽の気を精に
変えて放出しようとします。
それを防げるのなら、快楽そのものを堪えなくても、修行を続けられるはずです。」
僕の答えを聞いた薫藍の眼差しが、心なしか緩んだような気がした。
「……ようやくそれに気付いたか。全くの愚か者ではないようだな……。
お前は今まで快楽を拒もうとしてきた。だが、快楽は拒むものではない。
房中術では、互いに快楽を交歓し、心身共に深く交合することが重要なのだ。
快楽は拒むのではなく、全身で味わうのだ。その代わり、いかなる快楽を味わっても
精を漏らさぬようにしなくてはならぬ。……ところで。」
薫藍の瞳がきらり、と冷たい光を放つ。
「……精を漏らさぬようにする為に、どうするつもりだ?」
「は、はい……その……気の流れを制御して……体内を環流させます。体内を循環する
気の流れを作ることで、精や気が体外へ流出する流れは生じにくくなるはずです。」
「ふ……言うは易いが、理解するのと実践するのとでは大違いだぞ。」
冷ややかな笑みを浮かべる薫藍。
「気の流れを、どれだけ自分の思い通りに操れるか、それが重要だ。
もしも制御しきれなくなったら、お前は成す術もなく射精してしまうだろう。」
「そ、それでは、もう一度やらせてくれるのですか?」
薫藍の口振りに期待を抱いて、僕は尋ねた。薫藍は、ゆっくりと頷く。
「……今回だけ、特別にもう一度だけ機会を与えてやろう。ただし……」
そこまで言って、薫藍は、にぃっ……と唇の端を吊り上げた。
ぼちゅんっ……
「うあ、あああああああああっ……!!」
不意をついて加えられた刺激に、僕は思わず悲鳴を上げてしまう。男根の中心を貫いて、
体内に何かが侵入してくる……!こ、これは……吸われた精を僕の体内に戻す為の管……
と、いうことは……!!
ぶびゅっ、びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅる……!!
「ああっ、ああっ、あああああ……うぁああああああああぁぁぁぁぁ……!!」
せ、精が……薫藍の胎内でたっぷりと淫気と混ぜ合わされ、強力な催淫薬と化した精が、
僕の体内に注ぎ込まれてくる……!!
「懲罰は懲罰として行う。それを朝まで耐え抜いて見せろ。そうすれば本来の試練を
克服したものとして認めてやろう……。ふふ、もっとも、淫気を大量に注ぎ込んだ上で
私の手加減無しの責めを受けるのだ。果たしてお前に、堪えられるかな……!!」
薫藍のその声すらも遠く聞こえる……身体中が、注ぎ込まれた淫気によって極限まで
感度を高められていく……身体に触れる全てのもの……堕天女達の柔肌や、背中を包む
夜具の感触が、狂おしいほどの快感となって全身を駆けめぐる!
全身がずくん、ずくん、と熱く疼く……まるで、全身が男根になったかの様だ……!!
「あと三刻足らず……ここからが本当の修行だ。心してかかれよ……。」
薫藍の言葉と同時に、彼女の黒髪が再びゆっくりと動き出す……!!
さら……さらさら……しゅるしゅるしゅる……。
薫藍の黒髪が僕の肌を這い回る……注ぎ込まれた淫気によって、先程の数倍に増幅された
快感が僕を襲う。甘く痺れる感覚が、全身を駆けめぐる……!!
「ああっ、あはあああ、うあぁああああああっ!!」
悶絶する僕の身体に、薫藍の黒髪が十重二十重に絡み付いて愛撫を加えてくる……
何万本、何十万本という髪の、その一本一本が、淫らな触手と化して僕の身体に
まとわりついてくる……あるものは毛先を細かく震わせてこちょこちょとくすぐり、
あるものはしゅるしゅると身体に巻き付いて妖しく蠢く……
柔らかく、しなやかな髪の感触が、僕の全身を包み込む……身体中から、暴力的な程の
快感の波が、情け容赦なく送り込まれてくる……!!
「ああっ、あぐあぁあ!!あっ、あっ、あああっ、あうあぁあああああ!!」
「……どうした?何を堪えている?快楽を拒むのではなく、受け入れると言ったのでは
なかったか?……身体の力を抜け。快楽に身を任せるのだ……。」
僕を見下ろして囁く薫藍。そうだ……思わず快感を我慢しようとしてしまっていた……
我慢しちゃいけないんだ……その上で、精を漏らさないようにしないと……!
僕は意識を下腹部に集中する……快感を堪えるのではなく、あくまで気の流れを制御する
事だけに集中するんだ……!!
ぬちゃ……!!
「うあ、あはぁああああああっ……!!」
背骨を引き抜かれるような強烈な快感が僕を貫く!!薫藍が再び腰を動かし始めたのだ。
ほんの僅か動かれただけで、頭の中が焼け付くような快楽が僕の全身を駆け抜ける!!
淫気をたっぷりと注ぎ込まれた僕の身体は、あっさりと限界を超えてしまう……!!
びくん、びくん、びくん、びくん、びくん……
激しく男根がわななく。しかし、尿道を精液が迸る感覚はなかった。咄嗟に気を操り、
体内を巡る気の流れを作ったために、辛うじて射精をまぬがれたのだ。
だが……
「ふふふ……言っただろう?理解するのと実践するのでは大違いだと。
この快楽に身を任せながら、気の制御に精神を集中せねばならぬのだぞ……?」
ゆるゆると腰を巡らして僕を嬲りながら、薫藍は笑った。
その瞳に、再び妖しい情欲の光がともる……淫乱で貪欲な堕天女の本性が薫藍の美貌を
染め上げていく……!
僕はこの時、この修行の恐ろしさにようやく気がついた。
快楽を堪えず、精の流出を防ぐ……つまりそれは、限界を超えた快楽を感じながら……
つまり、絶頂の極みに至りながら、体内の気を操らねばならないと言うことだ。
精の流出を防いでも、快楽そのものは和らぐわけではない。
限界以上の快楽を与えられれば、僕は成す術もなくよがり狂い、絶え間なくいかされて
しまうだろう……。そんな状態でも、気の流れを制御してやらねばならないのだ。
そんなことが……できる……のか……?
しかも、淫気を注がれて感度を何倍にも増幅されてしまったこの身体で……!!
「……さっき、本当の修行はこれからだと言った。だが……本当の快楽地獄も、ここから
始まるのだ。さぁ……お前はどこまでもちこたえられるかな?くっふふふふ……!!」
楽しげに笑う薫藍。笑いながら、徐々に大きく身をくねらせて僕の男根を貪る……!!
ぬちゃ……くちゃ……じゅぷ……ぬりゅぬりゅぬりゅ……!
「うぁ……あああ……!!あ、あ、あぅあああ……!!」
無数の柔らかな肉襞が、男根を包み込んでむっちりと締め上げる……裏スジをぬらぬらと
撫で上げ、カリ首の一番感じるところをちろちろとくすぐってくる……!!
この世のものではない魔性の快楽に根本まで呑み込まれ、僕の男根はまたびきびきと熱く
張りつめる……まずい、このままじゃ……気を、気を巡らせて射精を防ぐんだ……!
僕は、身体の力を抜いて深く息を吐いた。
全身を責め苛む快楽のせいで、なかなか精神を集中させることができない……!
でも、やるしかないんだ!!僕は努めて深く、ゆっくりと呼吸を繰り返す……
にゅる……ぬちゅぬちゅぬちゅっ、ちゅぱ、くちゅくちゅっ……!!
「ふ、ぐっ……!う、あ、うくうっ……!!あ、く、うあっ……、ああ……!!」
男根から伝わってくる肉襞の感触が、意識を乱す……だめだ……集中するんだ……!!
さら……さらさらさらさらさら……くしゅ、くしゅ……こちょこちょこちょ……!!
「うあ、あ、あはぁああ……うう、うぁ、あはぁっ……あうううううううう……!!」
全身を包む黒髪の感触に身体が勝手に反応する。意識が快楽に流されそうになる。
それでも、僕は必死に精神を集中する。僕の体内を巡る、陽の気……男の精の源である
陽の気が快楽に反応し、精となって体外に流出しようとする……その陽の気を、精巣の
手前で体内に送り返すイメージを頭に思い浮かべて、強く念じる……!
「ふふふ……さあ、もっともっとよくしてやろう……。」
薫藍の声と共に、全身に群がっている髪がさらに妖しくのたくる……そして……
「!!!……ああっ、あぅ、あふぁああ……!そ、そこは……!!」
新たな刺激に、僕は身をよじって悶えた。男根の下、陰嚢や会陰の周辺に……薫藍の髪が
まとわりつき、ちろちろと毛先でくすぐっている!!袋や蟻の戸渡りを、柔らかな黒髪の
感触が包み、さわさわと愛撫される度に、痺れるような快感が身体中を駆けめぐる!!
「ほほほほほ……どうだ……?たまらぬだろう……?だが、これだけではないぞ……。」
「うっ、うあはぁあああ……!!あひっ、いいっ、いやぁああ……!!」
さらに、黒髪の愛撫が新たな性感帯を捉える。会陰からさらに下……肛門に、柔らかな
毛先が差し込まれ、ちろちろ……ちろちろ……とくすぐってくる!!
僕は、股間を責めたてる甘い痺れに、身をのけぞらせて悶え狂った。気持ちいい……
おかしくなってしまいそうな程……気持ちいい!!
肛門の皺の一つ一つに毛先が入り込み、ちろちろと舐めるようにくすぐりたてる……
皺をほぐすように丹念に、そして執拗に、精妙な動きを繰り返して、肛門の性感を
堀り返していく……まるで……無数の触手にくすぐり犯されているかのようだ……!!
「ああっ、あはぁああっ、うくぁ、ひぁああああああ……!!」
びくん、びくん、びくん、びくん、びくん……
僕は、全身を激しくわななかせて悶え狂った。限界を遥かに超えた刺激に、僕の男根も
薫藍の膣内で射精の痙攣を繰り返す。精が出ないだけで、快感は射精しているのと全く
変わらない……身体の底から、雷撃の様な快感が脳髄へと突き上げてくる……!
「うああ、ああ、あはあぁあああああ!!いっ、いいい、いああああああああ!!」
あまりに強烈な刺激に、思わず僕はもがいた。だが、僕の四肢は緋香と蘭芳によって
押さえつけられ、自由を奪われていた。
「いけませんわ、暴れては……快楽を受け入れて、よく味わうのです……。」
「んふふ……とぉっても気持ちいいのよねぇ……たぁっぷりいっちゃいなさい……。」
細くたおやかな腕が、生白い太股が僕の手足に絡み付く……
そして、肌を触れ合っている所から、この世のものとは思えない堕天女の柔肌の感触が
流れ込んできて、それと引き換えに手足の力が吸い取られてしまう……
緋香と蘭芳は軽く四肢を絡めているだけで、特に力を込めてはいなかったが、たった
それだけで、僕はほとんど身動きが取れなくなっていた。身動きが取れないまま、
なす術もなく薫藍に犯され続ける……!!
ずちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅぬちゅぬりゅりゅりゅりゅ……
さらさら……くしゅ、くしゅ……しゅるしゅるしゅるるるる……
僕の男根を熱く蕩けた蜜壷が、僕の全身を妖しくのたうつ黒髪が責めたてる!!
しかも、大量に淫気を注ぎ込まれて感度を極限まで高められた身体は、与えられた
刺激を通常の何倍にも増幅して、体中に送り込む……ただ快感が強くなっただけでは
なく、一瞬の快感がずっと余韻をひいて体内に残り、僕を責め嬲る!!
「うああっ、あぐあっ、あああああ……うう、うぎっ、ぃいいいいいいいいい!!」
容赦なく、そして休みなく襲いかかる快楽に、僕は立て続けにいかされ続けた。
まさにいきっ放しだった。あまりの快感に、脳髄が煮えたぎり意識が蒸発して飛んで
しまいそうになる……!!
しかし、僕はぎりぎりのところでかろうじて意識を保ち続けていた。
意識が白い闇に飲み込まれそうになるその度に、精が漏れそうになる……意識を保って
いないと、気の流れを操って射精を防ぐ事ができなくなる……そうなってしまったら、
今度こそ僕は、薫藍の餌食となって犯し殺されてしまう……!!
僕は漏れ出ようとする気を、精を、必死に体内に送り返し続けた。
……どれぐらいの時間がたったのか……容赦のない薫藍の責めを受け続け、ひとときの
休みもなくいかされ続けて……それでも僕はかろうじて射精を抑え続けていた。
「ふふ……よく耐えているな……。」
薫藍はそんな僕を、妖しい笑みを浮かべながら余裕たっぷりに見下ろす。
「だが、まだまだ快楽は高まっていくぞ……果たしてお前はどこまでもつかな?……」
楽しげに笑う薫藍。同時に彼女の髪が、ほのかな光を帯び始める。
次の瞬間、僕の身体を責め苛む快楽がさらに倍加した!!全身に絡み付く髪から、
快楽の波動が流し込まれてきたのだ!!
さらに、何本かの髪は僕の経絡に毛先を挿し込んで、直接体内に快楽の波動を流す!!
「ああっ、あぐあぁああああああああああああああああああっ!!」
僕の喉を絶叫がほとばしる。僕は絶頂のそのさらに上の高みに押し上げられて、身体を
大きくのけぞらせながら、激しく悶え狂った。
ずくん……ずくん……ずくん……
僕の体内を巡る気が、精となって漏れ出そうとする……本来なら精が枯れ果てている程
いっていっていかされ続けて、なおも快楽が高まっていく……
あまりの快楽に、気の制御ができなくなって……きた……うあ、あああああ……!!
「ふふふ……どうだ……?ここも気持ちいいだろう……?くっふふふふふふ……!!」
妖しく笑う薫藍の下で、さらなる快楽地獄が僕を襲った。
肛門に侵入した髪の毛が、さらに奥深くへと潜り込み……その毛先が……身体の内側
の性感帯を刺激している!!細い髪の先端が腸壁に突き立てられ、そこから前立腺に
直接快楽の刺激が流し込まれる!!うああああ!!な、なんて強烈な刺激!!
まるで、身体の芯を快楽で串刺しにされたようだ!!
「ううっ、いひいぃい!!いあ!!ああ!!あぎっ、うぎあぁあああああ!!」
僕は身も世もなくよがり狂い、絶頂のそのさらに上で激しくいき続ける……
僕の体内をぎゅるぎゅると気が駆け巡る……もう……もう……これ以上は……
抑えきれない……漏れる……精が……漏れる……あああああ……!!
「ほほほ……たまらぬだろう……?だが、これで終わりではないぞ……。」
朦朧とした意識の中、薫藍の声が聞こえる……まだ……まだあるのか……?
もう……駄目……だ……これ以上の快楽には……到底……持ちこたえられない……
全身を薫藍の黒髪に絡めとられ、快楽の波動を流し込まれながら撫で回され、
男根は快楽の坩堝と化した堕天女の女陰に囚えられて、先端から根元まで魔性の
肉襞に舐めしゃぶられて、僕の体は隅々まで人外の快楽に満たされている……
これ以上は……もう……もう……う、うあああああああああああああああああ!!
新たな刺激は、うなじから送り込まれてきた。
うなじに髪の毛が突き立てられ……頭の中に侵入してくる!!
そして、そこから僕の脳の中枢に、直接快楽の波動が!!うあっ、あああああ!!
脳髄が……快楽ではじける!!気持ちいい!!いい!!いいいいいいいいいい!!
「ほほほほほ……お前の脳を直接犯してやろう……どうだ……もう限界だろう……?
これでも精を漏らさずにいられるか……?ほほほほほ……ほほほほほほほ……!!」
悶え狂う僕を見下ろしながら、薫藍は勝ち誇って笑った。
「……私は、男が私の快楽に悶え狂いながら死んでいく、その瞬間を見るのが好きだ。
断末魔の瞬間の、絶望と恍惚とが入り交じった男の顔を見るのが好きだ。
……さあ……お前の最期を私に見届けさせておくれ……そして私の快楽に抱かれて、
私の中に魂を解き放って果てるのだ……おほほほ、ほほほほほほほほ……!!」
笑いながら薫藍はますます激しく僕を犯す……妖しく全身をくねらせ、魔の蜜壷で
僕をしゃぶる……そして全身を包む黒髪が放つ光が、徐々に強くなっていく……!!
ほのかな光だったのが、徐々に室内全体を照らすほどに、強く、強く……!!
それと共に、僕の体に流される快楽の波動も、どんどん強くなっていく……特に、
前立腺と脳髄に流される快楽は、容赦なく僕の肉体と精神を快楽で侵していく……!!
ああ、あああああ……もう、だ……め……だ……!!きもち……いい!!よすぎる!!
いい!!いい!!ぎっ、いぎぃあああああああああああああああああああ!!
体の奥底から熱く煮えたぎったマグマが吹き出てくる感触が僕を捉えた。
抑えようもなく、男根にこみ上げてくる……どうしようもなく……吹き出して来る!!
あ……あふれる!!あふれる、せいが!!もれる!!もれちゃうう!!いやあああ!!
あああああ!!あああああ!!しぬ!!しぬ!!いくぅぅううううううううううう!!
どぶぶりゅぶりゅぶりゅびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるるるるるるううう……
全身が破裂するような射精感を味わいながら、僕の意識は闇へと沈んでいった……
……ぴし、……ぴし、ぴし……。
「……いつまで寝ている……?そろそろ目を覚ませ、未熟者。」
「……ぅ、ぅう……。」
頬を軽くたたかれる痛みが、僕の意識を深い闇から引き上げる……。
ん……僕は……僕は、いったいどうしたんだ……?
確か……薫藍に淫気を注がれて犯され、快楽の波動を体中に流し込まれてよがり狂い、
……そして……そうだ、精を……精を漏らしてしまったんだ……。
僕はゆっくりと目を開ける……もう、部屋の中は明るい日差しに満たされていた。
そして、僕の両脇に緋香と蘭芳が寝そべり、薫藍は僕の上に四つん這いで覆いかぶさる
ようにして見下ろしていた。
「……ようやく目を覚ましたか。気分はどうだ?」
薫藍は、氷のように冷ややかな眼差しを僕に向ける……だが、僕はその眼差しに微妙な
変化を感じ取った。本当にごくわずかではあるが、これまでのような厳しさが抜けて、
こころなしか穏やかささえ漂わせている……。
それを見て、僕は修行の終わりを感じ取った。もう修行の相手をしないのならば、厳しく
接する必要もない。一度ならず二度までも精を漏らしてしまっては、もう次の機会は
与えられないだろう。僕は、……僕は……修行をやり遂げる事ができなかったのだ……。
「……………すみません……。」
「……なぜ謝る?」
「僕は……もう……失格なんでしょう……?だから……。」
そこまで言った時、薫藍の口元にわずかに笑みが浮かんだ。
「誰がそんな事を言った?……私はお前を失格にした覚えなどないぞ?」
「えっ……?」
僕は、驚いて薫藍を見上げる。薫藍はさらに笑みを濃くして僕を見つめ返した。
「お前が精を漏らしたのは日の出の直後だ。
夜明けまでは持ちこたえたのだから、その後で精を漏らしても問題はない。」
「え、ええっ……!?」
「気づかなかったのか?まあ、無理もないかもしれんな……私の髪が放つ光で、室内が
かなり明るくなっていたからな……朝の光が差し込んでも、あれでは分かるまい。
射精直前のお前は意識もほとんど飛んでいたようだしな……。」
そこまで言うと、薫藍は、ふっ、と表情を緩めた。
「……よく……頑張ったな……。」
「ぁ……ぁ、あ……。」
それは、今まで彼女が一度も見せた事のない、優しい笑顔だった。朝の光に照らされた
その笑顔は、まるで彼女が本当の天女であるかのように神々しく、美しかった。
桃精泉で淫気と疲労を洗い流し、寝室に戻って来ると、蘭芳と緋香が僕を出迎えた。
「おめでとう……あなたならきっとやり遂げられると思っていましたわ……。」
そう言いながら蘭芳は僕に神仙桃を手渡す。
「ありがとう、蘭芳……。」
「でも、まだまだ修行は始まったばかりですわ……これからは、さらに過酷な修行が
あなたを待っています。どうか、最後まで強い意志を持って頑張ってくださいね。」
「は、はい……頑張ります。」
僕がそう言うと、脇から緋香が口を挟んできた。
「ふふ、そうよ……頑張ってちょうだい……ぼうやのかわいいよがり顔を、いぃっぱい
見せてね……とっても気持ちよくさせてあげるから……んっふふふふふふふ……。」
悩ましくしなを作りながら、緋香は僕に身を寄せる。
ねっとりと糸を引きそうな程濃厚な色香を漂わせる豊満な肉体が、僕の視界を埋めた。
「今夜からは……んふ、私が相手よ……ふふふふふ……たぁっぷり楽しませてあげる
……おかしくなっちゃうぐらいに、ね……ふふふ……くふふふふ……!」
緋香は挑発的な眼差しで僕を見つめながら艶然と笑った。
そうか……今夜からは緋香と修行するのか……。
薫藍とは対照的な、見るからに淫乱そうな緋香……いったい、どんな修行をする事に
なるんだろう……?期待と不安がないまぜとなって僕の心の中に膨らんできた。
「……ところで、薫藍は……?」
「ふふ、薫藍なら閨の中にいるわ……お待ちかねだから、早く行っておあげなさい。」
「では、私たちはこれで……。」
そう言って、緋香と蘭芳は静かに寝室を出て行った。
閨に近づくと、天蓋から垂れている紗が音もなく、ひとりでに開いた。
閨の中には、薫藍が身を横たえてこちらを見つめていた。
そして……閨の中は、艶やかな薫藍の黒髪で満たされていた。長く長く伸びた薫藍の
髪が、うねうねとのたうちながら夜具の上を覆っていた。
「……薫藍……これは……?」
「……さあ、こちらへ……。」
薫藍は、両手を大きく広げて僕を招いた。
これまでの薫藍とは少し雰囲気が違う。彼女の眼差しからは凍てつくような冷たさが
抜け落ち、穏やかな光が瞳の中にたゆたっていた。
ともあれ、ここは彼女の言う通りにするしかない。
僕は招かれるままに閨の中に……そして、薫藍の腕の中へと入っていった。
薫藍のしなやかな腕が僕の背中に回り、彼女の柔肌の感触が僕の身体を包み込む。
「あ……ああ……。」
全身を優しく包む柔らかな女の肌の感触に、僕は思わず溜息をついた。
もう、何度も肌を重ねたというのに……堕天女の肌の感触は何度味わっても、まるで
初めて味わうかのような新鮮な刺激を送り込んで来る。その感触を感じた所から、
例えようもない甘い痺れがこみ上げてきて、欲望を刺激して来る……!
さらに、薫藍の黒髪が再び僕の身体に絡み付いて来る……柔らかな髪の感触が全身を
包み込む……。先ほどのような激しい責めではなく、ゆったりとした動きで僕の身体を
愛撫し、甘やかな快感を送り込んで来る……!
ああ……いい……なんて気持ちいいんだ……まるで……まるで……天上の雲に包まれて
いるかのようだ……!もう……体中……隙間なく髪の毛に包み込まれて……うう……
温かくて、柔らかくて……この上なく優しい快感に……僕は抱かれている……!!
「ああ……薫藍……う……あぁ……!!」
蕩けるような快楽に喘ぐ僕の視界を、薫藍の美しい顔が埋める。
次の瞬間、柔らかな堕天女の唇の感触が、僕の口を覆った。
そして、薫藍の舌が僕の口の中に侵入し、僕の舌を絡めとる……さらに、とろとろと
あたたかな唾液が流し込まれる……ああ……僕の意識も、とろとろと溶けていって
しまいそうだ……僕は、薫藍の濃厚な舌技に酔わされていく……!
ちゅぱ……。
やがて、薫藍の唇が僕を解放する。離れた唇からこぼれた唾液が、とろりと糸をひいた。
「ぷぁ……はぁ、ああ……こ、これ……は……?」
すでに陶酔の極致へと誘われている僕に、薫藍は優しく微笑みかける。
「……修行に失敗したら、懲罰を加える……ならば、修行をやり遂げたなら……褒美を
与えねばなるまい……?さあ……私の胸に抱かれて眠るがいい……。」
そして、薫藍の髪がさらに僕に絡み付いて来る……十重二十重に巻き付き、柔らかな
感触で包み込んで、さら……さらさら……と優しく撫で回す……。
ああ……気持ちいい……もう……何も考えられなく……なって……きた……
う……しかも、僕の顔にまで髪が巻き付いてくる……鼻も、口も、髪に覆われて……
ああ……いい匂い……薫藍の髪の香り……とってもいい……
この香りを嗅いでいると……体中の力が抜けて、もう……ああ……いい……
こんな……いい……はぁあああ……あああああ……
蕩けるような快感に抱き包まれて、僕は眠りへ落ちていった。
僕は……深い深い闇の中を漂っていた。
どこまでも続く、漆黒の闇……その中を僕は……薫藍の胸に抱かれてゆったりと漂う……
さら……さらさら……さらさらさら……
ああ……気持ちいい……全身を……薫藍の黒髪が愛撫する……
長く長く伸びて広がる薫藍の黒髪……辺りを包む漆黒の闇は、ゆらゆらとゆらぎ、
うねうねとうねる艶やかな髪に満たされていた。この闇の全てが薫藍の髪だった。
その黒い海の中を……僕は漂う……身体中の肌から、優しい愛撫の波が送り込まれ、
僕の身体を充たす……何度も何度も寄せては返し、寄せては返し……僕は、その甘い波に
揺られるがままに、陶酔の深みへと引き込まれていく……。
「ふふ……今しばし……この快楽に身も心も委ねて酔いしれるがいい……。」
薫藍は、優しく僕を抱きしめて愛撫を加える……僕の顔を胸に埋め、背中に白い指を
這わせる……白蛇のようなしなやかな太股が悩ましく絡み付き、なまめかしい女の柔肌の
感触を送り込んで来る……。
そして、薫藍の身体からほのかに立ちのぼる甘い香り……薫藍の身体が悩ましく蠢く度、
辺りをゆらゆらと充たす黒髪が揺れる度、かぐわしい女の匂いが僕の鼻腔から体内に忍び
込み、僕の心を愛撫する……抗いようのない甘美な刺激に、僕は恍惚として薫藍に身を
任せていた……。
「ふふふ……心地よいだろう……?」
僕の脳裏に、薫藍の甘い囁きがこだまする……。
「ああ……は……はい……。きも……ち……いい……で、す……。」
「……お前さえ良ければ、ずっとこのままでも良いのだぞ……?」
「ずっと……あ、はぁ……この……ま……ま……?」
夢うつつのまま応える僕に、薫藍は、ふっ、と苦笑を漏らす。
「ふふ……このままでは本当に私の下僕になってしまいそうだな……止めておこう。
……さあ、そろそろ時間だ……元の世界に帰るぞ……。」
薫藍のその言葉と共に、周囲の闇にきらきらと輝く光の粒が現われた。光の粒はみるみる
うちにその数と輝きを増し、辺りは漆黒の闇の世界からまばゆく輝く純白の光の世界に
塗り替えられていく……!
「ん……。」
目を開けると、そこはやはり白い世界だった。柔らかな白い肌が、視界を埋めている……
「……目が覚めたか。」
頭上から降ってきた言葉に振り仰ぐと、薫藍が僕を見下ろしていた。
「そろそろ、私の胸に甘えるのも終わりにしてもらいたいのだがな……。」
「!……あっ、す、すみませんっ……!!」
僕は慌てて薫藍から身を離した。薫藍はそんな僕のうろたえぶりにくすくすと笑う。
「そんなに女の胸が好きなら、緋香に抱いてもらう事だな……私のより、ずっと抱かれ
がいがあるだろう。頼めば嫌という程味わわせてくれるぞ……ふふふふふ……。」
「い、いや……そんなわけじゃ……。」
「ふふ……まあ……頼まなくても、もうじき味わう事になるだろうがな……。」
照れる僕に、そう応える薫藍。その表情はいつしか、元の厳しさを取り戻していた。
「……一つだけ、忠告しておく。緋香は私のようには甘くない。それどころか、隙あらば
お前を肉奴隷にしようと狙って来るだろう。今まで以上に強い意志をもって挑まねば、
ひとたまりもなくお前は緋香の下僕とされてしまうだろう。」
「……………。」
「もしも心が挫けそうになったら、私との修行を思い出せ。……あれほどの快楽責めを
耐え抜いたのだ。どんな目にあっても自らを保っていられるはずだ。
あとは……お前の意思の力がどこまで保つか……それが勝負を決めるだろう。」
静かに語る薫藍の言葉に、僕は引っかかるものを感じた。
「……勝負って……いったい、どんな修行をするんですか?」
「んっふふふ……それは、すぐに分かるわ……すぐに、ね……ふふふふふ……。」
と、突然背後から浴びせられる濃艶な声。振り返ると、緋香と蘭芳が寝室の入り口に
立っていた。緋香の淡い桃色の羽衣が、ゆらゆらと生き物の様にゆらめく。
あたかも、獲物を狙う軟体動物のように、妖しく蠢いている……!
「さあ……ぼうや……今日からは私がお相手するわ……くふふ、ふふふふふ……。」
そう言って、緋香はぺろりと舌なめずりした。既に彼女の眼差しは欲情に潤み、妖しい
輝きを灯していた。
「では、そろそろ始めましょう……頑張って下さいね……。」
「私との修行の成果を無駄にするな……分かったな。」
薫藍と蘭芳は僕の両脇に身を横たえた。そして緋香が僕の上に身を屈め、見下ろす……。
「ふふふ……それじゃ、さっそく始めるわよ……。」
「……あの、緋香……一体、どんな修行をするんですか……?」
僕の問いに、緋香はにんまりと淫猥な笑みで応えた。
「んふ……ぼうやは、女を抱いた事はあって?」
「え……あの……薫藍と寝たのは別に、って事ですか?」
唐突な質問にややうろたえながら応える僕。
そんな僕に対して、緋香はやれやれといった様子でかぶりを振る。
「あのね、ぼうや……あれは『抱いた』なんて言わないの。『抱かれた』って言うのよ。
その様子では、ふふ、女を抱いた事は一度もないようね……ふふふふふ……。」
やや蔑む様な眼差しで僕を見下ろす緋香。僕は、顔がかあっ、と熱くなるのを感じる。
「んふふ、いいのよ……だったら、お姉さんが手取り足取り一から教えてあげる……。」
そう言いながら、緋香はゆっくりと両手を広げた。薄桃色の羽衣が大きく広がり、僕の
視界を埋める。そしてそのまま、緋香は僕の上に覆いかぶさってきた……!
「あ……あ……ぁあ……!!」
思わず、僕は熱い息を漏らしてしまう……緋香の柔肌の感触が僕を包む……!
羽衣を通してもなお、生々しい女の肉の感触が伝わって来る……
「んふふ……房中術では、男と女が互いに深く交わり、一体となる事が大事なの……
肉体だけじゃなくて、精神も……魂もね……それでこそ、男の持つ陽の気と女の持つ
陰の気を交わらせる事ができるのよ……。」
甘く囁きながら、緋香は僕の脇腹に指を這わせる。
さわ……。
「ぅあ……っ!!」
軽く撫で上げられただけで、痺れる様な快感が全身を駆け抜ける……!
「くふ……気持ちいいでしょ……?男と女が一つになる為には、互いが互いを深い悦びに
導く事が必要なのよ……一方だけが気持ち良くなってるんじゃ、だぁめ……!」
緋香は、鼻と鼻がくっつきそうな程に顔を近づけ、じっと僕の目を見つめて囁く……
僕は、妖しく輝く瞳の中に吸い込まれてしまいそうな錯覚を覚えた。
「いぃい?……じっくり教えてあげるから……しっかり覚えるのよ……?」
緋香との修行がいよいよ始まる……しかし、それが底なしの性の泥沼への入り口だと
いう事に、この時の僕は気がついていなかった。
「んふふ……まずは、愛撫の仕方から教えてあげる……。いいかしら……?」
僕を組み敷いたまま、緋香は妖しく笑う。彼女の豊満な肉体が、僕の視界を埋めていた。
むっちりと豊かな乳房が、圧倒的な量感を誇っている……一つ一つが人の頭より大きい
女肉の塊が二つ、僕の目の前に垂れ下がっている……
「……くふふ……ほら、何を見とれているのかしら……?」
そう言いながら、緋香は僕の脇腹に再び指を這わせた。
「うっ、くう……!」
ぞくぞくぞくぅ……っ、と総毛立つような快感の波が走る。思わず喘ぎ声を上げる僕。
緋香はそんな僕を見つめながら、にんまりと笑みを深くした。
そして、身を包んでいる羽衣の胸元をはだけ、肩から外す。
彼女の上半身が、雪のような生白い肌をあらわにした。
「いぃい?私がするのと同じようにやってごらんなさい……んふふふふ……。」
言いながら、緋香はさわさわさわ……と脇腹を撫で上げ、胸元へ指を這わせる。
「ううっ、あああ……!」
僕は快感に喘ぎながら緋香の脇腹に手を伸ばす……緋香がやっているように、脇腹から
胸元へと撫で上げる……
「うっ、ああ、あああああ……!」
這わせた指先から、堕天女の柔肌の感触が伝わってくる……蕩けそうにやわらかで、
むちむちと弾力に富み、みずみずしくしなやかな堕天女の肌……愛撫しているはずの
僕の方が快感に喘がされてしまう……!!
「んふふ、初めてにしては上手いわよ……
でも、もっと手首を柔らかく使わなきゃ駄ぁ目……ふふ、こうするのよ……!」
緋香は胸元から下腹部へ、そしてまた胸元へと円を書くように指を這わせる。
「ふぁっ、あああああ……ああ、ああ、あああああ……!」
愛撫しても、愛撫されても痺れるような快感が僕を襲う……!僕は、快感に喘ぎながら
必死に緋香に愛撫を返した。
「ああっ、あ、ううううう……!」
再び快感に痺れる僕。
「んん……まだまだ、もぉっと手首を柔らかく使うのよ……まだ堅いわ……
んふふ、堅いのはおちんちんだけでいいのよ……ほら、こうよ……んっふふふ……!」
「あふぁあああ……ああ、はぁあああ……!!」
今度は胸元をくるくると撫で回す緋香。快感が倍返しで僕を襲う。
「ほほほ……指先ももっと柔らかく……流れるような動きを心がけなさい……ふふ……
……ねぇ……、聞いてる……?くふふ、もう私の指の虜になっちゃったかしら……?」
「うあ、あはぁああ……ああ、う、うふぅぁあああ……!」
半ばうつろな目で、僕は必死に緋香を愛撫した。
「んっふふふふふ……駄目ねぇ……まぁいいわ、これをご覧なさい……。」
そう言いながら緋香は手をくるりと回す。と、どこから出したのか、いつの間にか
その手には大きな筆が握られていた。筆と言っても普通の筆ではなかった。
一尺程もある、長くて柔らかそうな毛がみっしりと密集している……。
「よぉく見なさい……ふふ、そして、感じるのよ……気持ちいい愛撫の仕方を……。」
その言葉と共に、緋香は僕の身体にその筆の先を触れる……
「んん……っ、ううううう……!!」
触れられただけでぞくぞくと痺れるような感覚が背中を這い上がってくる……!
緋香は、ゆっくりと筆を動かして、僕の身体を愛撫し始めた。
さら……さらさらさら……さらさらさらさらさら……
「ふ、ううううう……ああ、あああああ……ああ、あ、あはぁああああああ……!!」
柔らかな毛先が、僕の身体を這い回る……その度に、身体中を快感の波が駆け抜ける……
緋香は優雅な手つきで筆を操り、さらに愛撫を加える……くるくると筆を回して乳首を
責めたて、さらにそこから脇の下へ……そしておへそへと筆を走らせ、反対側の脇腹から
脇の下へと撫で上げ、また乳首へ戻る……さらに首筋に愛撫を加え、耳の裏をくすぐり、
再び胸元へ戻ってくる……柔らかな痺れが、僕の身体中を駆け巡る……絶え間なく……
いつまでも……きもちいいのが……終わらない……ああ……いい……きもちいい……
いつしか僕は、緋香のなすがままに、愛撫に身を任せてしまっていた。
「んっふふふふふ……気持ちいいでしょう……?」
緋香の甘ったるい囁きも、どこか遠くでこだまのように聞こえる……僕の意識は、緋香の
筆の愛撫に、完全に絡めとられてしまっていた。
気持ちいい……気持ちいい……ああ……ずっと……こうしていたい……
ずっと、ずっと……この快感に酔い痴れていたい……あああ……あああああ……
「くふ……ぼうやさえ良ければ、ずっとこのままでもいいのよ……。」
緋香の囁く声が、僕の頭の中にこだまする……何度も……何度も……
『ぼうやさえ良ければ……ずっとこのままでも……いいのよ……ずっとこのままでも……
いいのよ……ぼうやさえ……よければ……ずっと……このままでも……いい……。』
ああ……ずっと……このまま……いい……ずっと……ずっと……いい……。
甘い囁きと、身体中を這い回る柔らかな毛先の感触が、僕を虜にしていく……。
『ずっと……このままでも……いい……ずっと……』
と、その時。かすかな既視感が僕を捉えた。そう……この感覚……今回が初めてじゃない
……以前にも、こんな感覚を味わった事が……そうだ……!
はっと、陶酔に煙る僕の意識を貫くものがあった。
『……お前さえ良ければ、ずっとこのままでも良いのだぞ……?』
全身を柔らかな黒髪の感触に包まれながら耳にした言葉。陶酔の極致の中、囁かれた
甘い言葉。それは薫藍に修行の褒美として愛撫されていた時のものだった。
それを引き金に、次々と蘇る記憶。薫藍の厳しく、冷たいまなざし。苛烈を極めた修行。
そして、薫藍の言葉の数々。
『……一つだけ、忠告しておく。緋香は私のようには甘くない。』
『隙あらばお前を肉奴隷にしようと狙って来るだろう。』
『今まで以上に強い意志をもって挑まねば、ひとたまりもなくお前は緋香の下僕とされて
しまうだろう。』
『あとは……お前の意思の力がどこまで保つか……それが勝負を決めるだろう。』
そして最後に、緋香と修行を始める直前にかけられた言葉が蘇る。
『私との修行の成果を無駄にするな……分かったな。』
私との修行の成果を無駄にするな……
私との修行の成果を無駄にするな……
私との修行の成果を無駄にするな……!
その言葉が、僕を陶酔の深みから一気に引き上げた。そうだ、僕は緋香の下僕になる為に
ここに来たんじゃないんだ!仙人になるために、この修行をやっているんだ!!
こんな事で我を失って快楽に溺れていたら、仙人になんてなれないんだ……!!
快楽に酔い痴れ、うつろになっていた僕の瞳に光が戻る。
それを見て、緋香の眉がぴくりとはねた。『面白い』とでも言わんばかりに。
「んふふ……いぃい?愛撫する時はね、この筆の毛先の様に、手の全ての関節を柔らかく
使ってあげるの……やわらかぁく、やさしく……それが基本にして極意なのよ……。」
何事もなかったかのように説明する緋香。
しかし、彼女の瞳の妖しい輝きは、より一層深みを増していた。
『今まで以上に強い意志をもって挑まねば、ひとたまりもなくお前は緋香の下僕とされて
しまうだろう……。』
薫藍の言葉が、僕の脳裏に蘇る。緋香との修行は、文字通り命がけの勝負なのだ。
僕は、緋香の説明を聞きながら、薫藍の方へ一瞬視線を流す。
薫藍は「修行に集中しろ」とでも言いたげに視線を外した。
僕は彼女に心の中で「ありがとうございます……」とつぶやき、再び緋香の方へと
向き直った。修行を「受ける」のではなく、「挑む」気持ちを持って。
緋香との修行は、まだ始まったばかりだった。