忍者学園の卒業試験【プロローグ】

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「……男と交わる時の注意だ。
 一般の人間を相手にする際、最初のうちは『内勁(ないけい)』を使ってはならない。

 その理由がわかる者はいるか?」


 ずちゅっ


「なんだ、誰も答えられんのか? 今年の新入生は仕様が無いな。

 いくら悦楽が強くても、いきなり術を使うと、強い違和感と恐れを呼ぶからだ。抵抗されたところでどうということは無いが、恐れはパニックに繋がり、予測不能な行動をとられやすい。それに、悲鳴が大きくなるというデメリットもある。

 だから、取るべき対策は主に二つある。まず別の術を使って事前に骨抜きにする方法。次に、最初はこのように普通に交わっておきながら、徐々に——」

 びゅうぅぅぅっ

「……は?」

 熱い膣内に精液を注ぐ快感とともに、15歳の少年の顔は真っ赤に染まった。

「え? うそ……」

「出したの? マジで?」

 ガヤガヤと周囲が騒ぐ。

 少年にとってこれが、最低最悪の「初体験」となってしまった。

「おい! 静かにしろ!!

 ……佐藤、お前、ちゃんと内勁を練ったのか?」

 責めるように、女教師が少年を睨みつける。

「まだ入学間もないとはいえ、他の授業でも教わっているだろう? 
 いいか? 練った内勁を男根に集めるんだ。内側から温かくなる感覚があるだろう?」

 少年、佐藤翔也(さとうしょうや)はこの前受けた授業の内容を必死で思いだす。臍の裏側に力を込める。温かくなってきたら、それを動かすイメージで、対象の箇所に移動させる。
 歯を食いしばり、額から汗を流しながら「それ」を何とか実現させようとする。

 しかし、何の変化も感じられない。

「……練れてはいるようだな。
 しかし、弱すぎて効果がないのか。

 ……。

 仕方ない。このまま進めるしかないな」

 腰の動きがようやく止まった。しかし、静止した状態でも、膣内の感触だけで依然として正気を保てない。
 
 まるでねっとり吸いつくように粘肉が纏わりついてきて、簡単には離れそうにない。射精して落ち着いた今のような状態でないと、まともに思考もできない。この状態で既に、男の精を啜り尽くす魔器と言って差支えない。

「では次に、徐々に膣内へ内勁を集めていく。

 通常、内勁を纏った体の部位は、他に及ぼす影響を際限なく拡大させていく。
 女の膣の場合は、男の性器に与える影響が強まる。微弱な震えが波に、波が衝撃波に変わっていく。

 増幅されきった快楽が伝わり、戦闘状態を保てる男などいない。この強弱を操り、対象の正常な思考を狂わせ、変幻自在の諜報活動を行うことがくノ一の本領だ」
 
 説明の後、翔也の陰茎は恐ろしい変化を受けとっていた。
 
「うっ!?
 
 淫肉がかぁ……っと熱くなり、うねり始める。
 
 膣の空間に何か、もやもやと質量を持つ、濃い空気のようなものが立ち込めているような気配がする。
 
 そしてそれが、翔也の陰茎の芯までじんわり染み込んで、作用してくるようだった。

 その感覚が、どんどん凶悪になってくる。「快感が増幅される」という説明を、翔也は実体験により、否応なく学ばされる。
 陰茎が、膣壁の起伏の複雑な形、中のぬめり具合を細かく感知し始める。ペニス表面から受け取る一つ一つの情報が通常ではありえない鮮明さで脊髄を伝う。

 感覚を把握しきれない。翔也は思考が飛んだ。陰茎と脳を膣に快楽で、むしゃむしゃと咀嚼され、その感触をスローモーションで味わわされるようだ。

 しかもその状態のまま、膣肉がにゅるにゅると複雑に動き、奥へ嚥下するように引き込んでくる。万に一つも獲物を逃がすまいとしている。

「あっ

「お、おい、佐藤!」

 女教師が驚いたような声を出したが、限界だった。

 びゅるるるるるっ

「あっ

 また女教師の子宮に向かって精液を放ってしまう。

 内勁に纏わりつかれながら行う射精の感覚は、格別だった。意識が吸い取られてしまうかのようだった。
 しかし陶酔感のあとで、翔也の心に後悔と自責の念が津波のように押し寄せてくる。

 あまりの醜態を晒してしまった。
 夢なら覚めてほしいと思った。呆れている教師の顔も、周囲で珍獣を見ているかのような同級生たちの顔も、全てが嘘であってほしい。

「はー……。おい、佐藤。

 今のはな、これでも限界まで手加減して、ほんの微弱な内勁を纏っただけなんだぞ?
 
 本気のくノ一の房中術は、こんなものではない。
 修練を積んだ強靭な意思を持つ男も耐えられず、くノ一の自由に操られることはおろか、そのまま命を奪われることもある。
 だからこそ、男の忍びは少しでも正気を保つために性器へ内勁を纏って、防御しなくてはならないんだ。
 
 まぁ、お前はまだ入学したばかりだ。これからしっかりと鍛錬を積め。
 内勁を練る基礎訓練を毎日欠かさず……」

「せ、せんせっ

「ん?」

 膣内の感触があまりにも凄すぎて、これ以上触れていると耐えられそうにない。翔也は情けなさで死にたくなりながらも、そう申し出るしかなかった。
 このままでは、また——

「まったく……」

 あきれながら、女教師が膣を引き抜いた。

「あああぁぁぁぁ~~~~~っ

 それが止めだった。抜けていく時に肉壁がずるずる擦れる感触が、射精寸前だった翔也の陰茎から最後の抑制を奪った。

 びゅくっ

「っっっ!!!

 夢ならどうか醒めてほしいと思った。
 膣が抜き去られた後、外に出た状態のペニスが、衆目に晒されながら、噴水のように白濁液を射出した。
 精液がデコレーションのように先端から垂れ流れる姿を、同級生たちにまざまざと見せつけてしまう。
 男子も、女子もいる。
 これから関係性を作っていくはずだった仲間たちが、ある者は嘲笑し、ある者は憐れむような視線を翔也と、精液まみれのペニスに向けている。

「はぁ~……」

 女教師のため息が聞こえてきた。



 そこから、5年の月日が流れた。

 20歳になった翔也は教室に入った。

 目に入ったのは、出くわしたくない集団だった。向こうもこっちを見てきて、目があってしまう。
 すぐに視線を逸らしたが、無駄だった。

「きゃはははは。来た~」

 耳障りな、かん高い笑い声が突き刺さる。

「ちょうど喉乾いてたとこだった
 おい、佐藤

 茶髪でうねったショートカットの、長身細身の女子生徒。

 山本璃々(やまもとりり)。翔也より2歳年下の18歳。
 
 少し吊り上がった猫のような目つきからも、険のある声からも意地の悪さが滲み出ているが、それを打ち消して余りあるほど整った容姿をしている。原宿や渋谷ですれ違えば、どんな無能なスカウトでも、他の何を差し置いても声をかけるというレベルだ。

 顔も小さく、ミニスカートから伸びる脚もすらっと長い。自分とあまりに頭身が違うので、対面しているだけで翔也は惨めな気持ちになる。

「くすくす。かわいそうだよぉ

 長い黒髪の女子生徒。

 藤原あやめ。璃々と同い年の18歳。

 璃々より背が低く、おっとりした雰囲気で垂れ目だが、やはり一般人離れした美少女だ。

 また、どんなにそこにあるとわかっていて、目を逸らそうとしても、毎回必ず視線が惹きつけられてしまうほど胸が豊かだ。体のラインが隠れるはずのブレザーの制服がそれでも丸く変形して、ボタンが二つ外れた襟元からこんもりとした柔肌の膨らみと縦に長い谷間が見せつけられている。

「……っ」

 急いで胸元から視線を外し、二人を無視した。
 周りには体格のいい男子生徒や、髪を染めた女子生徒が5、6人集まって、にやにやと見ている。

 自分はこいつらより2歳も歳上だ。
 こんな生意気な奴らから玩具にされるなんて耐えられない。
 
 しかし、同時に心の中では怯えていた。
 特に、この璃々とあやめには対しては——

「無視すんの?
 2回留年の落ちこぼれのクセに」「いつも懲りないよねぇー

 翔也は驚愕した。

 声の聞こえる距離が、ほぼ切れ目無しに近くなった。
 璃々だ。いつの間にか、爪先同士が触れあうほどの距離まで近づいている。

 さっき立っていたところまで4、5歩分は距離があった。
 何の気配も、足音もなかった。

 至近距離に、モデルのような璃々の整った顔がある。璃々という人間には強い嫌悪感を覚えているのに、どうしても綺麗な面立ちに見とれてしまう。

「じゃあまた、ちょっとだけ遊んであげる

 『服従スイッチ』……オン

 ぴとっ
「ううぅっ!!??

 感電したような感触が脳にはしり、膝から崩れ落ちそうになる。

 教室中に響くような情けない声を上げてしまう。

 他の生徒たちも遠巻きに、「また始まった」と、憐れむように見つめている。

 璃々の右手の人さし指が、制服のシャツの上から翔也の左の乳首を押していた。ボタンのように。
 このおぞましい感覚。5年も学校にいるのでよくわかる。璃々の指は内勁を纏っている。

「ねぇ、買ってきてぇ

 カリッ

「うわあああぁぁぁっ!!??

 璃々の爪が細かく上下する。
 布越しに乳首の頭を、イタズラのように指先で何度も引っかかれる。
 
 翔也はあまりにも耐えがたい感触に襲われていた。
 服の上からなのに、裸の乳首を引っかかれるよりもはるかに凄まじい。一掻きごとに意識が飛びそうになる。
 内勁の力で感覚が拡大されている。



 「内勁」。

 人体の「丹田」で生成される目に見えない力。操ることができさえすれば、素手で岩を砕いたり、風のように一昼夜走ることができたり、人智を超えた現象を現実のものにできる。

 翔也が5年通っているこの学校は、「忍者学園」だった。

 中学3年生の時にスカウトから話を聞いた時は、冗談にしても荒唐無稽すぎると思った。
 しかし、こうして現実に存在した。

 璃々とあやめも、周りの生徒も皆、忍者の里に生まれ、生まれながら内勁を扱うことができる特殊な体質を有している。

 ほとんどが幼稚園、小学校、中学校、高校と忍者としての教育を受け、エスカレーター式で進んでいる「内進生」だが、翔也は高校から入学した「外進生」だった。

 翔也もまた外の世界に生まれながら内勁を操る力を有していたが、他の生徒の中では致命的にその力が弱かった。



 カリカリ

 璃々の指の動きは止まらない。
 本来なら内勁には内勁で防御しなければならない。しかし、翔也の内勁が弱すぎて、ほとんど無防備の状態でその影響を受け取ることになる。

 璃々の指先はすさまじい感触がした。
 下着と制服のシャツという布2枚を隔てているのに、長い爪の曲線、先端面の細かな凹凸までがはっきりとわかる。

 軽く、乳頭をカリッと引っ搔いただけで、脳の芯にピンク色の閃光が走って思考が吹き飛ぶ。

「ぁうっ

「……クスクス

 璃々の目線が翔也の股間に向けられる。
 制服のズボンがこんもりと膨らんで、限界まで勃起していることが誰の目にも明らかだ。

「ぷっ
 いつも授業で滅茶苦茶にされてるのに、まだイジメられたいんだぁ?

 つぅか、弱っわ

 2コ下の女子に乳首引っかかれて、急所アピール
 技の練習台以外に使い道無い、本当のゴミだよね、お前

 ほら、アヘってないで頑張りなって

 ちょんっ

「う゛うぅっっ!!??

 翔也はあまりの刺激に耐えかね、腹の底から声を出した。

 璃々の左手の指先が、翔也の陰茎の先端をちょこんと突いた。

 厚い学生ズボンの上から触れられたのに、頭の中が真っ白になる。腰がくの字に折れてしまう。

「きゃははははは

 まだ全然本気で内勁込めてないのに

 ……じゃあ、ちょっとダンスしよっかぁ

 ……かりっ

 璃々の爪の先端が、ズボンの上からペニスをなぞり上げる。

 下から上へ、繰り返し。分厚い布と下着で遮られているはずなのに、内部に振動が貫通して、甘く痺れるようなリズムが芯まで伝わってくる。

 爪の先が意地悪なテンポで、カリのあたりを下から、かりっ

「ほら

「ああああぁぁぁっ

 翔也の頭の中から、恥の気持ちがかき消えた。股間の攻撃を耐えるのが精いっぱいで、他の何にも意識を向けられない。
 
 カリカリカリカリカリカリカリカリカリッ

「ひいいぃぃぃっ!? うぅぅぅぅっ

 忘れてしまったところで、乳首も素早く引っかかれる。