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「明日から冒険者として生きていく」。
その考えが浮かんだ時、しぼんだ青年の心に活力が戻った。
青年が「石運びの人夫」となって半年が経とうとしていた。
石切り場で整えられた石材を麻袋に詰めて運ぶ。本来なら数分とかからない距離が途方もなく感じられる。
袋の持ち手が指へ噛むように食い込む。
朝から晩まで。石材は尽きない。遅れると身が竦むような怒号 が飛んでくる。
汗で、川から這い出たばかりのように全身が濡れ尽くす。指が赤熱し、皮がずるむけ、もう何もわからなくなるのと同時に仕事 が終わっている。
しかし、田舎から飛び出してきた青年が、何の頼りもなく町で暮らしていくには、この手段しかなかった。
思い出すだけで気が滅入る、故郷の生活。
時代錯誤な老父。口うるさい老母。
同世代の青年たちの輪には入れず、女性からは相手にされない。陰で誰からも馬鹿にされている毎日。
全てを変えたいと思い、ほとんど家出のような形で、町にやってきたのが半年前。 辛い仕事から逃れたい。しかし、故郷にも帰りたくない。
「冒険者」は「ダンジョンで魔物を狩り、見つけた金品で生計を立てる」者を指す。
許可も免許も必要ない。実際に魔物を狩ったり、運よく金目の物を見つけたりして生活が成り立ちさえすれば、それで「冒険者」だ。
時間にも縛られず、一人なら人間関係に悩まされることも無い。まさに青年にとって理想の仕事と感じられた。
ひと月に一度しかない休みの日がきた。
前日に準備は済ませていた。狭く汚い六人部屋の寝床で、周囲 にわからないようこっそりと荷造りをした。
パン。水筒。そして実家を出る時にこっそり持ち出した短刀。年代ものだがずっしりと重い。これが将来の「仕事道具」となるのだ。
青年は町を出た。
いつも休みはぐったりと寝床で体を横たえているが、今日は体に満ちている活力によって、いくら歩いても疲れを感じることはな かった。
今日はあくまで「下見」。どこか手ごろな「ダンジョン」を見つ け、勇者として生きていくことが可能かどうかを確かめるまでのつもりだった。
街道ではなく、人の手がほとんど入っていない自然の領域へ進んでいく。
岩に腰かけて休憩を取る。
空がどこまでも高い。
乾いたパンを千切って、口に放り込み、水で流し込む。
小麦の香りがする。
鳥の鳴き声が静かに響いている中で、涼しい空気を吸い込んだ。
しばらくして立ち上がり、再び歩き始めた。
昼過ぎごろ、山肌に小さな洞窟の入口が見えた。
小雨でも降っていたら、ついつい雨宿りに向かってしまいそうだ。
洞窟がダンジョンになり易いというのは、この世界の洞窟だった。
入り口まで続く道は木が少なく、進みやすい。何の恐れも感じなかった。
まるで穴に吸い込まれるようだった。
中がダンジョンになっているかどうか、確かめようと青年は思った。
入り口を潜る時、青年の脳裏に、昔、どこかで聞いた話が浮かんだ。
「冒険者」として生計を立てる者は皆、このような洞窟の口を、入り口ではなく「出口」と呼ぶ。
朧げだが、確かそういった内容だった。
詳しい中身は思い出せない。
入口をくぐる。
中はひんやりとして、湿り気のある空気が満ちていた。
壁面が緑の苔で覆われており、黴や埃に似た臭いがする。
ところどころに光が差しており、先へ歩いていくことができる。足元も平坦だ。何の気配もしない。果たしてこの先に魔物がいるのだろうか?
魔物。
「見かけたら絶対に、何を置いても逃げること」。
何もかも常識離れした存在で、どんなに小さい魔物でも、決して近づいてはならないとされている。
最もおぞましく、最も不可解な特性なのが、「人間を特に選り好んで捕食したり、殺したり、苦しめたりする」こと。
まるでこの世界に生きる人間を罰するために生まれてきたような存在だった。青年は我に返って足を止めた。
周囲の暗がりの濃さが、ちょうど、不安になり始める分水嶺を超え始めたところだった。
繋がっているはずの外の空気をもう感じない。頭からつま先まで「洞窟」に入り込んでいる。
震えが起こるほどの冷気。しかし、汗がにじみ出てくる。
この洞窟、思っていたより深い。
もし、ここが本当に魔物の巣で、暗闇のどこかに魔物が潜んでいたら……
とりあえず、一旦この洞窟は出よう。青年は思った。
まだ数分しか経っていないが、急に光が恋しい。外の空気を吸いたい。何もこんなに急いで魔物を探さなくてもいい。一旦出て落ち着こう。速足で、いや、走って──
「こんちわ~~!」
「うわあああああああああああああああああああああああ~~~~~~~っ!!??」
「……っ!……び、びっくりした。
驚かそうとしたら、カウンター食らった……耳痛ぁ……
……こんな感じで、悪いことすると、自分の身に返ってくることがあるから、みんなも気をつけよう!じゃ、お元気で!」
「……って、帰るか!!!誰だよ!気になりすぎるだろ!」
「……」
「……」
「……」
「……」
「う……。……げ、激烈にスベった……。
洞窟暮らしの長い私でも完全にわかるこのとんでもない空気……
トラウマになりそう……第一印象最悪すぎる……
ご、ごめん。何もかも一旦無かったことにして、最初から自己紹介していい?」
青年はうなずくしかなかった。
「私はこの洞窟に住んでる魔物。驚かせちゃってごめんね。久しぶりの人間だし、ついちょっかい出したくってさぁ~」
血の気を全く感じない白い肌。ぴんと横に尖った耳。山羊を思わせる角。
そして、自らのことを「魔物」と言った。
青年は戦慄する。
人間の言葉を喋っている。
それに、この姿。
魔物というのはどれも、グロテスクな、化け物のような見た目をしていると思っていた。
「っていうか、いくら何でも油断しすぎじゃない?私が言うのもあれだけど、ここ、魔物の巣だよ?もう少し奥に行くと、コウモリっぽい、音波を浴びせて動けなくしながら血をチューチュー吸ってくる魔物とか、ネズミっぽい、高速で近づいてきて両脚を骨ごと齧り取ってくる魔物とか、山ほどいるからね?もしかして、知らずに入ってきた系の人?」
青年はとにかく、「魔物」が会話をしてくるこの現状に、頭が追いつ かないでいる。
流暢で、声音も明るい。
「いや、流石に何にも知らなかったわけじゃないよね?だって腰に刃物持ってるし。気になるなぁ~。よし。この私に事情話してみ?」
あまりに気さくな、初対面とは思えない態度で話しかけてくる魔物を前に、青年は思わず口を開いてしまう。
「あ、あの……。僕、冒険者になろうとしてて……。今日はダンジョンを探しに来たんだけど……」
つい、自分が他の誰にも秘密にしている目的を言ってしまう。
さらに青年は、言い終わってから気づいた。
相手も「魔物」なのに、一体自分は何を言ってるんだ?
もし「冒険者」という言葉の意味を知っていたら、どうしよう。青年は緊張した。
「ふぅ~ん、そうなんだ~。冒険者ってあれでしょ?危ない魔物退治してお金もらったり、洞窟で宝探しとかする、人間の仕事だよね?じゃあ、私、手伝ってあげよっか?」
「!?」
「ああ、魔物を退治するほうじゃないよ。要は『お金』が手に入ればいいんでしょ?私、この洞窟で一つだけ、『宝箱』がある場所を知ってるの」
「え!?」
「開けたことが無いから中身はわからないけどね。大きいからいっぱい入ってるかも?あはは、単純かな?私に使い道無いから、中身全部持っていっていいよ」
青年は耳を疑い、多分聞き間違いでないとわかると、恐怖や不安とは別の感情で息苦しく なってきた。
魔物の巣には得てして「宝箱」が眠っている。
古代に誰かが隠したのか、それとも魔物側が用意したものなのか、理由はわかっていない。
人生を変えてしまうほどの宝が秘められていることもあり、多くの「冒険者」が危険を冒す 原動力となっている。
いくら使っても使いきれないほどの金銀財宝。永遠の若さを授ける霊薬。世界を変える叡智が記されている本。万物を両断できる剣。嘘か誠か、様々な逸話は枚挙に暇がない。
青年の胸には焼きつくような期待が湧き上がってきた。
こんな小さな洞窟に、大財宝が眠っているわけがない。多分がっかりするような中身のはず。もしかしたら空かもしれない。
必死に言い聞かせて自分を留める。
「じゃ、取りに行こっか。ここから歩いて十分くらいのところにあるの。他の魔物に見つからないように案内してあげる。……あ、そうだ。まだ聞いてなかった。ねぇ、名前何て言うの?」
「……ぁ……『――』」
青年は思わず名乗ってしまった。
「ありがとー!❤宜しく♪『――』❤」
「……!!」
一瞬、どきっとしてしまう。相手が魔物であるという意識はもうかなり薄れてしまっている。ひたすら明るく積極的に接してくる魔物に対して、好意のような感情が芽生えていた。
魔物は青年と横並びになり、奥へ向かって歩き始めた。.
岩がごつごつと尖っている。
「ここをまっすぐね」
たとえ明かりで照らされていたとしても、躓いてしまいそうな地面だった。踏みしめる位置を凝視して進む。
「……大丈夫?寒くない?人間って服とか着てないと辛いんだよね?私、その感覚よくわ かんないからなぁ。あ、そこ左ね」
奥へ行くほど空気が冷たくなっている。しかし青年は、状況に混乱して寒いのか熱いのか、感覚がよくわからない。
魔物の指示に従いながら、どんどん奥へと進んでいく。
身を屈まないと通れない道を抜けたり、自分の身長より高い段差を恐る恐る降りたりして進んでいく。
先に言われた通り、一匹も他の魔物に遭わない。
「あ、ストップ。こっちは危ないから、そっちの道を通っていこ」
前がほとんど見えないほどの暗さにも関わらず、自宅の廊下を歩いているようにすいすい進んでいく。これほど頼りになる案内人もいない。
「結構歩いたね~。大丈夫?疲れてない?魔物と人間だと体力に差があるから。宝箱はもうすぐだからね」
魔物がいたわるように語りかけてきた。
我に返って考えると、魔物は「十分かかる」と言っていたが、軽くその倍の時間は歩いたように思える。
闇が冷ややかに立ちこめている。
「……」
「……後出しみたいで申し訳ないんだけど、ひとつだけお願いして、いい?」
「……?」
魔物は上目遣いで、いつのまにか青年の至近距離に寄りそっていた。パーソナルスペースの内側にいるが不快感はない。
むしろ、どきっとしてしまう。
「宝箱をあげるかわりに、私と『友達』になってほしいの。私はもう何年もこの洞窟にひとりきり。『会話』ができる相手がいないの。人間の文化や生活にも興味があるし、それに何より、あなたがいい人そうだから……」
「!?」
思わぬ提案に、青年の心へさざ波が立つ。
相手は魔物だ。
危険であることに加えて忌避すべき穢れた存在とされている。目にしただけで災いを呼ぶということも噂されている。
しかし、目の前の「彼女」はどうだろうか。見た目は人外だが目鼻立ちは整っており、親しく会話もできる。
また、人間にない知識も備えており、今後も有用な知識を授けてくれるかもしれない。
青年はそして回顧する。これまでの人生において、誰かから「友達になってほしい」などと言われたことは一度も無かった。
自分が必要とされているという感動はなじみ薄いものであり、青年の心を強く惹きつけた。
青年はうなずいた。この魔物と友達になりたい。
「ほんと?ありがとう!!」
向けられた方まで心が華やぐような笑顔。
「それならね、友情の記念に、もうひとつお願いしたいことがあるの。次々図々しく、後出しで条件つけちゃって、ごめんねー。で、そのお願いなんだけど……」
「私と、『ハグ』してほしいの❤裸になって❤ただそれだけ。それが最後のお願い」
「!?」
聞き間違いか、人間と魔物とで言葉の意味が違うのかもしれない。青年は動揺を表に極力出さないように堪えた。
「ごめんね。人間って、衣服を身に着けないでいたりとか、肌と肌を触れ合わせることに抵抗感あるんでしょ?でも、意味は想像してる通りだと思うよ。『ハグ』って、体の前 と前をくっつけ合って、腕をお互い背中に回して、ぎゅっ、って、密着させることを言うんでしょ?突飛なお願いだと思うかもしれないけど、これには一応理由があるの」
「魔物のことを根本から嫌いで、何が何でも殺さないといけないと思っている人間がいるでしょ?もちろん、あなたは違うと思う。何となくだけど、凄くいい人そだって伝わるから。そういう人は、魔物と肌を合わせることを嫌う。無防備に『ハグ』できるってことは、魔物に対して憎しみや敵対 心を持ってないっていう何よりの証拠なの。すぐに終わる、魔物と人間の友情のテスト。受けてくれない?今、ここで」
青年は逡巡する。
もっともらしい方法だ。魔物に触れたことがあるだけで、呪われたとみなして追放する集落もあるという。
「裸になってハグ」をするという要求。確かにひるんでしまうが、金銭でも物でもなく、たかだか数分で簡単に済ませられる行為だ。どんな宝かはまだわからないが、やって損をするということは無いように思う。
それに、少しだけ心配なこともある。
もしこの要求を断って、魔物がこちらを見限ってしまうことに なったら、帰り道はどうなるだろう。
暗い中にいくつも分岐があって、何も考えずぼんやり導かれてい ただけなので、迷わず帰れる自信が無い。
もしここに置いていかれて、出られなくなったりしたら……
静かな洞窟に衣すれの音が響く。
青年は最初物陰で脱衣しようと思ったが、目の前の魔物が当たり前のことのように裸体を晒しているのにおかしいと思い直した。羞恥を押し殺しながら目の前で全て地面へ落としていく。上着、靴、腰の短刀――
最終的に性器までも晒し、一切何も身に着けていない状態になった。青年の性器は他人よりも少し小さいので、それを気にしていた青年は少し後悔する。
それも含めて青年の頭は激しく混乱していた。こんな状況、つい一時間前までは毛ほども想像していなかった。
魔物と知り合い、洞窟の中で裸になり、そしてこれから魔物と裸同士で「ハグ」をする。一体自分は何をしているのだろう。
自分の置かれている現実があまりに有り得ず、足が地面から浮いているような、白昼夢を見ている気分になる。
「ありがとー❤じゃあしよっか、『友情のハグ』❤」
魔物が岩盤の上を歩き、近づいてくる。
魔物の体を凝視する。今からあの体と抱き合う。
白い肌はぎょっとするような違和感を放ちながら、同時に視線が惹きこまれるような魅力も併せ持っている。
うっすら光沢が見えるほど滑らかだ。華奢な体に反して、出会った時からなるべく考えないようにしてきたが、胸も、尻も量感がたっぷりとある。
「早くしないと寒いよね?」
しかし青年は、あまりの状況にそんなことは気にならなくなっていた。
「さ来て❤肌と肌で温め合お❤」
魔物が腕を広げた。一人分がすっぽり入る大きさ。
そして体を前に傾け、さらに近づいてくる。
こうなるともう、青年も同じように腕を広げ、「合わさる」格好になるしかない。
最後に、ふわっと、魔物の髪先からえもいわれぬ香りが鼻に漂って来た。異国よりもっともっと遠く、異界にしか存在しない妖しい香料のような。鼻腔がとろける甘い香り。
体が弛緩する。そこへ――
たぷん❤むにゅうぅっ❤
胸板にスライム状の物体が押しつけられる感触がした。
魔物が青年の背中に腕を回し、みっちりと肌と肌を密着させる。胸、腕、肩、腹、太もも、脚。
「あっ!?あっ!?はうあああぁぁぁぁぁぁ~~~~~❤」
青年の大声が洞窟に反響した。
肺内の空気が丸ごと出て行った。
青年は魔物の体に縋りついた。
「ああっ!?❤あっ!?❤あああっ!!❤」
生まれて初めて強い衝撃を受ける赤ん坊のように、あられもない声を上げる。
「……くすっ❤」
魔物の肌は人よりほんの少し冷たかった。
しかし肌触りは瑞々しく、青年の肌にぴったりと吸いついてくる。
青年の声の理由は、その感触の凄まじさだった。
ほんの僅かでも擦れ合うと、摩擦によって脳の表面がぞわぞわと波立つ。
天女の羽衣はその肌触りだけで男を恍惚に浸らせるというが、それが命を持ったものがこの肌だと青年は感じた。
魔物の肌はどんな高級な絹よりも恐ろしくきめ細かい。男の肌の細胞ひとつひとつと噛み合う。しかも、その下の肉は触れたものを漏れなく沈み込ませる弾力をもっている。
まるでトリモチだった。
青年は捕らえられた羽虫のように魔物の体からべったりと離れられない。
そして魔物の豊かな胸だけが、悪戯っぽく反発してくる。
たぷんっ❤たぷんっ❤
「うあっ❤あっ❤」
凶悪な水毬の中に体ごと埋まってしまった。
「あっ❤……はぁっ❤……」
青年はその甘美な感触の全てを、体の前面を使って堪能していた。むしゃぶるように。
体表が甘く爛れ、脚の力が入らない。死にかけの蝉が木にしがみつくように魔物の体へさらに力を移していく。背中に深く腕を回す。
ずっとこの凄い体にしがみついていたい。時間の感覚が無くなっていく。
それどころではなかったので青年は気づいていなかったが、青年のペニス は破裂寸前なまでに勃起していた。
魔物は自らの下腹部に押しつけられる感触で、そのことを感じていた。
「クスクス❤」
「ねぇ、もう一つだけお願いがあるの」
魔物が顔を青年の肩の上に乗せたまま、囁く。顎の動きを感じる。さっき、「最後のお願い」と言っていたはずなのに。しかし、全ての疑念は、首筋に吹きかけられる暖かい吐息を前にとろけて消えてしまった。
「私と『握手』をしてほしいの。友情の印に。ただし、『この状態』のままで。手は塞がってる。だから、別の部位を使って『握手』するの❤」
「それは舌。舌と舌で握手するの❤口の中でぐちゅぐちゅって絡ませ合って❤わかりにくい?じゃあ、人間の言葉で表すとね、『ディープキス』。それと全く同じことをするの。これなら具体的にわかるでしょ?」
「!?!?」
「確か『それ』も、物凄く仲がいい相手とだけの行為なんだよね?じゃあ、この『友情テスト』にうってつけだよね?」
青年は、頭の中の水面に巨石を投げ入れられたようになった。今ハグをしている「彼女」と、何の心構えもしていないのに――
「……クスクス❤」
魔物が首を少しだけ反らし、青年の正面に顔を持ってきた。
「んべええぇぇっ❤」
小さく可愛らしい魔物の口が開き、にゅるるっ、と這い出てきた。生き物のような「それ」は青年の顔の真ん前に垂れ下がった。
「ひいいいぃぃっ❤」
可憐な魔物の顔にあまりにも似つかわしくない。太く、長く、厚い舌。
鮮やかな紫色が人間や通常の生物とは異なるということをはっきりと伝えてくる。細かく白い粒が立っていて、蜜のような粘液で全体がコーティングされている。
「この舌とぉ、握手をするの❤口の中でぇ、ベロベロって❤」
青年の目は虚ろなまま、魅入られたように魔物の舌へ釘付けとなる。
舌に舌で触れ、交わらせるなどということは、強烈にお互いを愛し合う恋人同士か、夫婦といった、男女の仲でもこれ以上ないほど深い関係でないとあり得ない。いや、相手は魔物だから、そんな人間の常識など関係なく、本当に「握手」と同じくらいの感覚なのだろうか。思考が混濁する。その間も舌から目が離せない。
根元から先端まで異様な存在感だった。全く想像できない。どんな「味」がするのだろう。想像だけで脳が爛れるようだった。ぴりりと痺れるのか。それともとろけるほど甘いのか。魔物の舌と口の中の空気がほのかに漂ってきた。生き物の濃い臭いがして青年は頭がくらくらした。
青年はもう何もわからなくなった。口の中の水分が全てなくなったように感じ、潤いを求めて勝手に口が開いてしまう。舌先を突き出してしまう。
「クスクス❤ありがとー❤ほんとに嬉しい❤魔物に対する差別や偏見の無い、本当に友好的な人間ってことだね❤警戒心が全然無いことが、今の表情からすっごくよく伝わってくるよ❤クスクス❤」
来た。魔物の可憐な顔が近づいてくる。そもそもの目的だった宝箱のことなど青年の頭からは消え去っていた。迫力を伴いながら舌先が近づいてくる。もうすぐ触れあう。異性と口づけなど一度もしたことがない。それが今日、魔物と、こんな洞窟で、こんなことが他の人間にばれたら、もう生きていけないだろう。しかしここは洞窟の奥で、誰の目も、法律も一切届かない――
ズニュルルルルル~~~~ッ!!❤❤❤
「んぐむううぅぅぅ、んっ、んっ、 んっ!?!?!?!?❤❤」
青年の脳ははっきりと認識する。「怪物が入ってきた」。
分厚い。口の中が完全に満たされる。温度は人間と同じで温かい。
「、ん、ん、ん、ん、ん、んん、ん、ん、ん、ん~~~~~~~っ!!!!❤❤❤」
しかし青年は、煮えた油を飲み込んだように衝撃の声を漏らした。
伝わって来たのは舌の触感。魔物の肌と青年の肌が触れ合った時に感じた ものと同じ種類だ。
そして粘膜同士のそれはあまりに強力だった。
魔物の舌の表面は粒高に、きめ細かくざらついている。その微細な起伏の一つ一つが、肌を合わせた時と同じように、青年の舌のざらざらと驚くほどぴったりと接合する。
ただ舌を口に含んでいるだけで青年は意識を失いかけていた。
そんな青年のことはお構いなしで、ゆっくりとかき回すように舌が動き始 める。
ねちょっ……❤ぐちょっ……❤
ザラザラ、ザラザラ❤
「ん、っ!?ん、ん~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!❤❤」
青年の肺の中の空気が全て、鼻の穴から噴き出した。
舌と舌の凹凸が擦れ合う。全身が怖気立つような微粒子の波長が脳みそへ流れる。
ザラザラザラザラザラザラザラ。
「ん、っ!?❤❤ん、っ!❤❤ん、ん、ん~~~~~~、っ!!❤❤」
音があごの骨を伝わり、耳に響く。
魔物の舌にびっしりとあるザラつきが、青年の舌の粒一つ一つと擦れ合う。
くちゅっ……❤ぐちょっ……❤
「ん!?❤ん、っ!?❤❤ん、ん~~~~!!!❤❤❤」
ねちょっ❤ぐちょっ❤ぐちょっ❤ぐちょっ❤
舌が快楽のヤスリで削られ、原形を失くしていくような心地がする。
もはやキスという次元ではなかった。口の中で化け物に襲われている。
「ん~っ❤!?、んっ❤!!んっ❤!?、んっ❤!?」
青年は激しくもがくが、魔物にしっかりと羽交い絞めにされ動けない。
そして青年も羽交い絞めにしている。
意識は必死で離れようとしているのに、体は逆に動く。指、手のひら、胸板、腹はべったりと、粘着しているかのように魔物の体を離れない。心は逃げたいと思っているのに、体はもっと味わいたいと無我夢中になっている。
魔物の唾液の味は、「異性の体液」であること青年に思い知らせ、背徳感を覚えさせる。だが人間のそれよりも濃く、風味が強く、甘い。
その味を堪能している間にも、舌の動きが複雑さを増していく。ミキサーのような動き、れろれろと舌を舌で舐め溶かすような動き。複雑すぎて舌が何十本もあるのではないかと錯覚してしまう。
ほんの少しだけ漏出し続ける悲鳴は、密室で繰り広げられる舌交わりの濃密さを物語っている。
「んん~~~~~っ!?❤んっ!?❤んっ!?❤んっ!?❤んっ!?❤んっ!?❤んんっ❤」
嵐の中木にしがみつくように、青年は魔物の体に抱きついていた。はたから見れば熱烈に愛し合う恋人同士にしか見えない。
しかし口の中においては、恋人同士と呼ぶにはあまりに力の差が開きすぎていた。青年はとっくに腰が抜けてしまっていた。まだ一分も経っていない。
口と口がぴったりと重なり、吐息も唾液も一切漏れず、激しく混ざりあっている。くちゅくちゅという音がずっと聞こえる。舌同士が擦れ合い、背骨が溶けるような心地も味わい続ける。
甘さに爛れた意識の中で、青年は一抹の不安を覚え始めていた。このまま続けられたら、頭が壊れたまま元に戻らなくなってしまうのではないだろうか?
それでもなお、青年はべったりと魔物の裸にへばりついてしまっている。
体の前面全てで至福を感じ、口の中で至福以上の何かを味わい続けている。
五分が経過した。ずっと舌が蠢いている。
青年は一切の思考が融解していた。過去のこと、未来のことは全て頭から消え、ただただ魔物の体の感触と、舌交接の味だけで頭を満たしていた。
魔物の甘い唾液は、口の中で練り上げらて、たっぷり泡立った、甘い、濃厚すぎる液体になってしまっていた。
「ん~~っ!!❤ん~っ!!❤ん~~~~~~~っ❤」
青年は悲鳴で出ていった呼気を補うために何度も荒く鼻呼吸を行い、その度に魔物から香る濃厚な体臭と、甘い鼻息を吸い込んでしまう。
鼻で味わう風味と、舌を溶かす味わい。栄養ではなく官能を強制的に摂取させられる食事体験。
ひくっ❤ひくっ❤トロォ~~~❤
青年は股間の部分がじんわり熱くなっているのを感じた。一切刺激を与えられていない。性的興奮があまりにも高まりすぎて、軽い絶頂を起こしてしまった。弱い勢いの射精は、まるで白旗を上げるかのようだった。
十分以上が経過した。
もはやキスとしても長すぎる。長いだけではない。その熱烈さと濃厚さも嘘だと思いたくなる。
グチョグチョグチョグチョグチュグチュネチョネチョグチョグチョグチュグチュグチュグチュグポグポヌチュヌチュクチュクチュグチュグチュニチョニチョグチョグチョグチョグチョグチョグチョ❤❤❤❤
長い舌にリードされ口の中で踊らされる。おぞましすぎる音と感触が青年の頭の中で反響している。一生物の体験になる。
チョロロロロォ~~~……❤ポトポト❤
鈴口がひくついて熱い汁が太ももをつたい、すねをつたう。今度上げた旗は黄色だった。「失禁」。おしっこを漏らした。
精液を漏らし、尿を垂らし、それでも魔物の体へしがみついている。友情とは最もかけ離れた形になっているが、青年はそれどころではなかった。脳が処理できないほどの非常事態を前に、全て後回しになるほど精神が完全に崩れてしまっていた。
三十分後。もはや口の中は魔物とのキスの味しかしない。それどころか、これまで口にした全ての味の記憶が押し流されてしまった。
チュッポ❤チュッポ❤チュッポ❤チュッポ❤
丹念に、巻き付かれて青年の舌が何度も執拗にしごかれる。あまりにも入念にかき混ぜられたため、口の中が生クリームのようになっ ているのではないかと錯覚してしまう。青年の目に光はなく、世界の果てに向いており、体もくにゃくにゃになっ ている。
ちゅぱっ❤ずろろろおぉぉぉ~~~❤
ようやく舌がゆっくりと引き抜かれていった。青年の舌が外に出た。しかし、舌全体が魔物の唾液に厚くコーティングされているため、外気の冷たさは感じない。
ねばああぁぁぁぁ~~~~❤
魔物の舌と青年の舌との間には運命の糸のように、粘り気のある糸が引いていた。あまりに太く、引っ張られる力すら感じる。
「……クスクス❤ ねぇ、また『最後のお願い』があるの❤」
青年の意識は朦朧としていた。口の中にはまだ三十分間魔物の舌が蠢いていた感覚がへばりついており、耳奥にも残響が続いている。しかし、魔物の声だけは脳の芯に直接浴びせられるように届いてくる。
「今、口の中いっぱいに、温かくておいしそうな『ミックスジュース』ができてるでしょう?」
青年の口内は、互いの唾液が舌によって何千回とかき回され、魔物の甘い息が 含まれて泡立ち、練り上げられた、液体と固体の中間のようなネバネバの「飲み物」で溢れそうになっていた。
まだ十分に温かい。ホカホカと湯気が青年の口の隙間から立ち上っている。その湯気がすぐ上にある鼻の穴に入って来ると、臭いだけでさらに意識が遠のいてくる。甘く、生臭い香気。舌でシュワシュワと、きめ細かな気泡を感じる。
「どう?私たちが共同で作った『友情のジュース』だよ❤その、口の中に最後まで残ったのが一番濃い一口❤その分友情も濃縮されてる❤ねぇ、もちろん飲み干せるよね❤」
陶酔しきった意識の中で、それでも青年はうっすら恐怖を覚えた。
もし、こんなものを飲みこんでしまったら……❤
「ほら❤飲んで一滴残らず飲みこんでぇ❤」
こんなモノ、絶対飲んでは駄目だ❤脳が警報を出す。飲んだら終わる❤飲んだら……❤青年が逡巡し始めた時――
「飲め❤」
耳穴に注ぎ込まれた魔物の声は、今までと全く別物だった。脳の中心まで低く響き、ずっしりと重さを感じる。戸惑っているうちに、青年の体へ異変が起きた。
ごくんっ❤
ためらっていた心の動きと裏腹に、喉が動いて口の中の汁を飲み込んでしまった。人肌より少し温かい温度が喉を通り抜ける。粘り気が凄い。禍々しい塊が 食道を滑り落ちて胃の底に落ちるのを確かに感じられた。
「うぅっ…… ❤」
青年はうめき声を上げた。
たぷっ……❤たぷんっ❤
胃の中はたっぷりの唾液で既に満たされており、そこへ最後の一押しとして特別に濃い一口が投入された。体内で水面が波打っているのがわかる。舌にもずっと唾液の味、キスの感触がべっとりと染みついており、永久に取れそうにない。
げふっ❤
飲み終わって一拍置き、青年は大きくげっぷをしてしまった。熱い空気の塊が食道を上昇し、濃縮された臭気が通り抜けていく。はっきり味すら感じるほど高密な空気。風味も能弁だった。先程までの三十分間の、壮絶な舌と舌との交わりがフ ラッシュバックしてしまう。
ひくっ❤
視界が真っ白になり、陰茎の先端から精液とも尿ともつかない汁が一滴だけつうっと流れた。
「……クスクス❤お粗末様でした❤」
立っている、というより、ただ力なく辛うじて地に足をつけ、奇跡的にバランスを保っているだけの青年の体。耳に、先ほど聞こえてきたのと同じ響きを持った魔物の言葉が届いた
「右手を上げろ❤」
うつろな青年の意識の中にも沁み込んだ。自分の横の空気が動いたのを耳で感じた。青年はほうけた表情で眺めるしかなかった。手が挙がっている。数秒して、それが自分の手であることがようやく青年にもわかった。意識して動かしたものではない。肩から下の筋肉が、脳を介さず、魔物の声による命令で直接動いた。
「……クスクス❤右手を下ろせ❤」
青年の右手は素早く、最短の動作で下に戻った。自分の体に何が起こっているか全くわからなかった。
「……クスクス❤動作確認しゅうりょー❤じゃあ、連れて行くか❤食事場所へ❤」
「前に歩け❤豚❤」
キスの余韻に体全てが浸っている。下に視線を向けると、確かに足が前後に動き、歩いている。青年は全くそのことを意識していない。
青年の服も、短刀も、全て置き去りになっている。魔物はずっと 後ろについて歩いており、先ほど一緒に歩いていた時とは別人のように無言で、ただ指示だけを下している。
「右に曲がれ❤」
「左に曲がれ❤」
「その穴を這って進め❤」
声による操縦へ完璧に従いながら、さらに複雑極まる、狭く、暗い道を進んでいく。奥へ、奥へ――
とうとう行き止まりまでやって来た。
「よし、止まれ❤」
深海のような冷たさを感じる小さな空間。地面には土が露出している。さっきの場所から一時間近く歩き、どこをどうやって通ったかもう全くわからない。自力で入口に戻ることは不可能だ。
「ようこそ❤ここは寝床、兼、食事場所❤ダンジョンの魔物はこんな風に、他の人も、魔物も絶対に入ってこられない場所に住処を作るの。主に食事中、誰も邪魔が入らないように❤」
魔物の言葉と空間から発せられる冷気で思考が少しだけ冷え、青 年はようやく言葉が話せるようにまでなった。
「は、ははらはこは……」
しかし未だキスによって舌がぐちゅぐちゅにとろけているため、活舌は極めて悪い。しかも喋るたびに胃から唾液ジュースの臭いが昇ってきて頭が真っ白になる。
「あ?何言ってんのかわかんねーよ❤『魅了キス』すると舌が回らなくなるのが欠点だな❤かまわず始めるか❤」
「ははらはこ……」
「……ん?……待って待って❤なんか面白いこと言ってね?❤」
青年からすると、もはやそれを手に入れたいというよりも、状況が変わっていないということの、念のための確認をしたかった。弱々しく声を振りしぼる。しかし――
「……ぷっ❤キャハハハハハハ❤ もしかして今お前、『宝箱』って言った?まだ信じてんの!?マジで!?❤サイコーにウケるわ❤キスで頭メロメロになったせいで、状況一個も見えてねーのかよ馬鹿が❤お前は、騙されたんだよ!❤私に❤こんなことも言われなきゃわかんねーのか❤」
「ふぇ……ぇ……?」
「もしかして、『友達になりたい』っていうのも今の今まで信じてた?キャハハハ❤んなわけねーだろバーカ!❤お前らみたいな低能の、弱い、ゴミ以下の生物と友達になりたいって魔物が一匹でもいるかよ❤」
魔物の声はもはや別人という領域を超えていた。
下品で、言葉に一切の親しみも、優しさも込められていなかった。
「あー面白❤お前みたいな大人の、頭ゆるゆるのバカはかなりのレアキャラだわ❤よし決めた❤殺す前にちょっと嬲って遊ぼっと❤」
「ほら、そこの土の上に仰向けになれ❤」
また青年の体はひとりでに動き出す。部屋の中央部にある湿った土肌。直前まで行って膝を折る。その地面が少しくぼんでいることに気がついた。青年の体がちょうどすっぽり収まる大きさ。つまり人間の形に。恐らく何人も同じようにここへ体を横たえたのだ。
「ひぃっ!」
青年はまだわけがわかっていなかったが、不吉な予兆に短く悲鳴を上げた。
「クスクス❤寝心地良さそうでしょ?ちなみに、この部屋にはこれまで何十人も人間のオスが入ったけど、出て行ったのは一匹もいないの❤よっぽどここが快適だったんだろうね❤クスクスクス❤」
青年は裸の体を仰向けにした。まず尻、次は背中へと、ほとんど泥に近い湿った土のひやっとした感触を感じていく。暗い中うっすらと天井の鍾乳石が見え、まるで牙のようだと思った。
「動くな❤」
その声が上から降ってきた瞬間、肩、股、手首、足首、全ての関節が蝋で固められたかのように寸分たりとも動かせなくなった。部屋の中は行き止まりであることを物語るように空気が停滞している。棺桶に閉じ込められているようだと青年は思った本能が、今すぐここから離れるべきだと告げている。
「サキュバスの唾液は、体の中に取り込むと、体がフラフラになって、脳が聞こえて来た命令に勝手に反応することになる❤今のお前みたいにね❤魔物の体液なんて飲んだら終わりの猛毒しか有り得ないっていうの に、ほんと馬鹿丸出しだよねぇ❤」
「あ❤そういえば、初めて言うんだったよね❤私は『サキュバス』。人間のオスの精気を啜り取る魔物❤改めまして宜しくね❤」
「サキュバス」。青年は聞いたことがあった。夜になると寝ている男性の寝床に忍び込み、「精気」を吸うという魔物。
「私たちは『性交』で男の精を吸い取るの。」
「!?」
「やっぱり、口や穴で『搾取』するのが一番楽かな。人間の雄を視覚的に興奮させやすいから、そこが精液を奪う『専門』のところなんだよねぇ❤」
話を聞いていくうちに青年の心に不安以外の感情が湧き上がって来る。
「……ぷっ❤期待してるのバレバレ❤ほんと、『知らない』って怖いよねぇ~❤……クスクス❤」
意味ありげに嘲笑するサキュバス。
「まぁ、その『勘違い』は後で解消できるから、その時を楽しみにしておくとして……❤もう一方の『耳寄り情報』を今から教えるね❤精気は生き物が持つ生命エネルギー。私たちはそれを、精液を媒介として吸い出し、糧とする❤」
「精気は元気な肉体を維持するために必要な力。若者は多く、老人は少ない。 精気が吸われると、体がどんどん弱って、活力がなくなっていく。植物が枯れていくように❤体がやせ細っていって、肌から水分がなくなっていって……❤」
「最終的には『骨だけ』になって終わり❤」
「!?え!?」
「大体八時間くらい。ぴったり夜の間に全部吸い尽くせるようになってるの❤よくできてると思わない?『八時間』。お前があと、どれくらいこの世にいられるかって時間 だから、しっかり頭へ入れておいてね❤」
「……!?」
「クスッ❤死ぬんだよ、お前は。今説明してあげた通りに、私に全部の精気を奪われて❤わかる?死ぬの。この場で。今から八時間後に❤ちょっと遊ぶつもりだから、多少時間は延びるけどね❤誰にも知られないこの場所で、私に弄ばれながら死ぬの❤ち~ん❤合唱❤どうか安らかに逝ってね❤」
「???」
サキュバスの言葉は青年に対する嘲りで満ちていたが、嘘をついているような感じは無かった。だとすると今サキュバスが自分に対して言ったことは事実だということになる。青年は、キスで意識が朦朧としているのとは別に、ぼーっとしてサキュバスの顔を見つめた。
「キャハハハハ❤ほんと、最高❤魔物に騙されて、体も言いなりにされて、誰も助けに来ない場所に丸裸で寝転がってるっていう最悪中の最悪みたいな状況で、まだ自分が死ぬってことを理解できてないんだぁ❤」
青年は混乱した。
サキュバスは確かに「死ぬ」と言った。「しぬ」?誰が?ここにはサキュバスの他に自分しかいない。自分が死ぬという意味だろうか?まさか。そんな大事が、こんな何の身構えもしていない時に起きるはずがない。今日はちょっとだけ日常から足を踏み出して、あくまで「下見」でこの洞窟に来ただけ。やはり、何かの冗談の中にいるのでは……
「ああ……❤ほんと、イイ顔してくれるわ❤この状態から『お勉強させていく』のがたまんないんだよねぇ~❤さて、それじゃあ私たちサキュバスの力がどういうものかってところから、ゆっくり教えてあげる❤だって私たち、友達だもんねぇ❤」
そう言いながらサキュバスは青年の体に近づいてきた。
サキュバスが膝を折り、身を屈め、顔を近づけてくる。髪をかき 上げながら。 露になっている青年の、片側の乳首の上。
「『魔力』って知ってる~?人間にとってはごく少数だけが使える『希少な力』だけど、魔物 にとっては誰でも生まれながらに持ってるありふれた力。自然の理に背いた方向へはたらく性質を持つ。
風のように飛び回る翼。無限に再生する体。鋼鉄を融かす炎。岩 をバターのように断つ爪。サキュバスって言うのは数は多いけど、数ある魔物の種類の中で も戦闘能力が最弱レベルでね……ただ、一つだけ……人間のオスにとってはかなり都合の悪い能力が備わってるの❤」
魔物が口を開き、長い舌先を乳首に近づけてくる。
「ひッ!?」
青年は思わず悲鳴をあげる。熱い吐息が乳頭に吹きかかる。それだけで胸骨が溶けるかのような壮絶な心地がした。先ほど自らの舌で嫌というほど味わった「舌の感触」を思い出した。あんなものが、もし……
「あ、ゴメンゴメン❤さっきのキスはメロメロにして唾液を飲ませるのが目的だったから、かなり『抑えて』たの❤今からするのは『攻撃』だから❤覚悟してね❤」
「!?」
ぢゅばっ!!❤❤
「!?!?」
ぢゅるぢゅるぢゅるっ!!❤❤
ずぞぞぞぞっ!❤❤
「ひいい いぃぃぃぃぃぃ!?!?」
青年は腹筋が千切れてしまわんばかりに叫んだ。
ぢゅるぢゅるぢゅるっ!!❤❤ずぞぞぞぞっ!❤❤
「ひいいいぃぃぃぃぃぃっ!!❤❤
ひっ!!❤❤ひいいぃぃぃっ!!❤❤」
何かの冗談だと思った。強烈無比な吸引音とともに青年の悲鳴が響き渡る。唇が吸盤のように青年の乳輪にきゅっと吸着し、先ほど自分の舌でたっぷりと味 わったザラザラの舌が乳首を擦りまくる。
「っっ!!❤❤っ!!❤❤っ!!❤❤」
頭の中に桃色の火花が何度も弾ける。哀れな片側の乳首と繋がった脳の神経が焼き切れる。あり得ない。ネバネバの唾液にまみれた舌の先端。その表面の突起一つ一つがジョリジョリと秒間十往復くらいしており、一擦り一擦り、いくつの突起が乳頭をどうなぞったかまで克明に感じ取り、カウントできてしまうほどだった。
衝撃のあまり身悶えし、体が右に九十度、左に九十度ずつ折れ曲がり続けてしまう勢いだったが、その意思に反して体はびくともしなかった。サキュバスからかけられた命令のせいだ。
びゅうう❤びゅうう❤
その代わりに青年は射精した。ペニスには空気以外何も触れていない。脳が見えない力で潰され、屈服するかのように精液を放ってしまった。ぱたぱたと熱い精液の雫が青年の腹に落ちてくる。
勢いが弱々しい。放出感がほとんど無い。陰茎への圧覚が無かったため、射精のための筋肉が正常に稼働していない。とろとろとした、切ないだけの降伏吐精だった。
ぢゅるぢゅるぢゅるっ!!❤❤
引き続き乳首を吸引されり。舐め尽くしているサキュバスと目があう。「たったこれだけで何悶絶してんだ?❤」という呆れも混じった冷酷な目。自然界ではおよそ味わえない刺激だった。確かにサキュバスの舌は粒高でおぞましい表面構造をしており、舌の動きも熟練の娼婦のように高速で迷いが無い。
しかしそれだけでは説明がつかない。明らかに感触の凄まじさが非現実的だ。こんなもの人間や、他のどの生物の舌でも再現不可能だ。さらに触れているだけで魂が穢れるような不吉な感覚もひしひしと感じる。思えばこれに似たような感覚は、最初にハグでサキュバスの体に触れた時も、キスをしている時にも感じていた。
べロベロベロ❤レロレロレロ❤ぢゅっ!❤ずぞぞっ!❤
びゅっ!❤びゅるるるっ!❤
耐えかねてまた射精してしまう。
ぢゅっ!❤ずぞぞぞぞぞぞぞぞぞっっ!!❤
一層強く乳首を吸い立てられる。下品極まりない音色が狭い小部屋の中に大音響で鳴る。あまりに凄いため、乳首の周りの皮膚が持ち上がってしまう。そしてその状態のまま、真空状態のすぼめた口腔内で名残を惜しみ、「バイバ~イ❤」と手を振るように舌先が乳頭を何度も何度も擦り上げる。
「んひいいいいぃぃぃぃぃっっ!!??❤❤」
青年は全てをかなぐり捨てて悲鳴を上げた。本当であれば部屋中をもんどりうって七転八倒しているほどの刺激。しかし、命令のまま指一本も動かせない。どこにも乳首の刺激を逃がせない。
びゅるるるるるっ!❤
代わりにまた射精してしまう。青年の腹の上はホワイトソースをまぶした鶏ソテーのようになってしまっている。
ぢゅううぅぅぅぅ~~~~っっっ…………っっぽんっ!!❤❤
っぽん……ぽん……ぽん……と洞窟内に反響する大きな吸盤の音を立てながら、サキュバスの口がようやく離れた。乳首が空気でひ んやりとするとともに、青年は五十年後に救助された遭難者のような心地がしていた。ねっとりと橋のように、サキュバスの舌先と乳首の間とで唾液が糸を引いている。
「クスクスクス❤どうだった?
……まぁ聞くまでも無いか❤十秒ちょっとで三回お漏らし❤体感できたでしょ?さっき魔力の例えで言った『岩をバターのように切り裂く爪』と原理は一緒。わたしたちサキュバスの体は、人間の雄の体に対して、『現実じゃあり得ない快楽を与えて射精させまくる』力を持ってるの❤」
サキュバスが立ち上がり、虚脱状態の青年を見下ろす。床にへばりついた虫ケラを見るような目線。
「……クスクス❤でも、大丈夫かなぁ?今の優しい乳首責めで三連発でしょ?結構歴代の獲物の中でも稀にみる『早漏』❤まぁ、そっちのが楽でいいけどね❤」
サキュバスはニヤニヤと存在そのものを卑下するような笑みを浮 かべる。
「友達同士の親切心で教えてあげるけど、そんなんじゃ後が辛いよぉ~?たっぷり地獄を見ることになるから❤」
「クスクス❤待ちきれなくなってきた❤じゃあいよいよ本格的に遊んであげる❤」
サキュバスが青年の体を大股でまたいだ。また何かされる。青年は先ほどの衝撃の残響がまだ残る思考から、恐怖によって回復した。鼻の骨が折れるほど顔面に拳をめり込まされた後で、もう一度拳を振り上げられた時と全く同じ目を青年はサキュバスに向け、体を一気に硬直させる。
「ぷっ❤たったあれだけでそんなに怯えちゃってまぁ❤……こりゃ、とことん虐め倒すしかないわ❤ほら、怖くない、怖くない❤」
「これから使うのはお待ちかねの場所❤哺乳類のオスならみんな大好きなところだよ~?❤」
サキュバスは腰を落とし、青年の眼前に「それ」を近づける。
「見て見てぇ❤」
グ……パアアァァァ……❤
「んひぃっ❤」
青年はなさけない悲鳴を上げた。しかしその声には怯えの他に、期待も含まれていることはサキュバスでなくてもわかっただろう。サキュバスの、『陰部』が開いていた。
サキュバスは下着も何も身に着けていない姿だったため、最初か らその部分は丸見えだったが、入り口はぴっちりと閉じていた。それが生きているかのようにひとりでに開いた。
おぞましくも鮮やかな紫色をしており、奥の膣壁まではっきり見 える。
「いやぁん❤恥ずかしぃん❤」
入口がひくひくと蠢き、ヒダ壁がウネウネ妖しく波打っているのがわかる。複雑な動きだった。てらてらと表面が粘液で照り、穴の端と端が何本も糸を引いている。見ているだけで邪な感情を掻き立てられ、時を忘れてしまう。
さらに、真っ暗で見えない穴の奥から小さな怪音がずっとしている。
グヂュグチュニヂュニヂュネチョネチョグチュグチュ……❤❤
水飴の溜まった壺の中に何千匹も元気なミミズを入れて、しばらくしたらこんな音がするだろうと思った。
ごくっ❤
青年は思わず、サキュバスにも間違いなく聞こえるほど大きな音を立てて生唾を飲み込んでしまった。どう見ても用途は明らかだ。
「精を排出させるための穴」。
青年は、奥へ奥へ、親切に誘い込もうとしているかのようなヒダヒダの動きから全く目が離せなくなった。
「……よっこらしょっと❤」
……ぴたっ❤
青年が呆けているうちに、サキュバスが青年の上で腰を落とし、「入口」が陰茎先端の十センチ上で止まった。
「クスクス❤よかったねぇ~❤今からエッチできるよ❤…… 女の子の形をした魔物と❤残念ながら魔物にオスとかメスの概念はないし、この『穴』も『性器』じゃなくて『吸精口』だけど❤」
恥丘と陰唇の部分が 待ちかねているかのように何度も縮んだり開いたりしている。穢らわしい魔物の、最も穢れた 部分。女の姿の魔物と交わったなどという噂が立ったら、一生他人から目を逸らされながら暮らさなければならない。それくらいの禁忌を犯そうとしている。
ほんのり陰茎の先が温かい。「穴」の熱気が伝わってくる。
「ほら、オスにとっての小さなダンジョンみたいなもの❤冒険者になりたかったんでしょう?勇気を出して冒険してみよー❤」
穴がいよいよ近づき、むわぁっと湿度の高い熱気が漂ってくる。不安と僅かの期待により心臓が胸の中で跳ねている。こんなものの中に、自分に備わっている器官の中で一番弱々しく、敏感な物を入れる……一体……❤
一年前、酒場の娼婦で童貞を捨てた時の、ただ一度きりの記憶を思い出す。四十代くらいの、顔も悪く、やせ細った女の股についていた穴。期待していたほど気持ちよくはなく、何だか緩くて、それでも興奮のあまりすぐイってしまい呆れられた思い出がある。その一回きりの判断材料をもとに、衝撃に耐える心構えをする。
「はい、5、4、3、2、1……」
いよいよ粘膜と亀頭が触れ合おうとする。
「!?」
触れ合う一瞬前、青年の中で時間が静止した。あまりに不吉な気配を前に青年の体中の毛穴が全て開いた。
グルルルルルルルルル……!❤
気配だけではなく獰猛な巨大肉食獣の唸り声までもがはっきり聞こえてくる。 氷水に落とされたように思考が急冷され、青年は生まれて初めて身の危険に対する本当の恐怖を感じた。
今、自分がペニスを咥えられようとしている「穴」は、自分の最も弱い部分を噛み砕いてぐちゃぐちゃにするような、とても凄惨なことが可能な機能を有している。
(こ、これ全然違っ……)
「ま、待……」
本能的に青年の口から静止の言葉が出ようとした。
「ゼロ」
サキュバスは全く聞く耳を持たず、腰を完全に下へ沈めた。
……ぐちゅるずちゅぐぢゅちゅちゅちゅっ❤❤
真っすぐ立つ陰茎が複雑で狭い膣道を通り抜ける。青年の股間部に、サキュバスの尻肉の弾力に富む感触が伝わった。
……
…………
「………………!?!?!?!?!うわああああああああぁぁぁぁぁぁ~~~っっっ!?!?❤❤❤」
青年は絶叫した。
「なっにっ❤……ごれええぇぇぇええぇぇぇええ!?!?!?❤❤」
ひんやりとしたサキュバスの体とは対照的に、中は人間の膣よりずっと熱い。様々な刺激があったが、あまりに破壊的すぎて、その百分の一も脳に伝わり切らないうちに、青年の心は降参の白旗を上げた。
「あああっ!?❤あああああぁぁぁ~~っ❤」
びゅるるるっっ!!❤びゅっびゅっ❤びゅるるるるるるるぅ~っ❤
青年は射精した。
これまでの人生の中で一番の量。固形のような精液が尿道をにゅるにゅる出て行く。
「キャハハハハハ❤挿れた瞬間にお漏らし❤人間のメスなら興ざめ通り越して、ドン引きだろうね❤」
……
…………?
青年は極限状態にある意識の中で違和感を覚えた。頭がとろけるような射精の快感に混ざって、ほんの少しだけ、言い知れない不吉な感覚がある。
精通から幾度も幾度も、手淫で味わってきた、「通常の射精」とは違う感覚。言語化が困難なほどわずかで、しかし決して無視できないほどおぞましい感覚に一瞬だけ戸惑う。しかし、思考は中断した。
じゅるるるるるるるるっ❤ずぞぞぞぞぞっ❤
「んひいいいぃぃぃぃ~~~~~っ!?!?❤❤」
肉洞の奥が収縮し、精液をジュルジュル吸い立ててきたのだ。音も大きな意地汚い吸引。
ごきゅっ❤ごきゅっ❤ごきゅっ❤
喉を鳴らして嚥下している。気持ちのいい「飲みっぷり」だ。
「吸精口」とサキュバスが言っていたことがわかった。この穴は生殖器などではなく、位置と形が似ているだけで、役割としては「口」と同じなのだ。
……ごっくん❤
「クスクス❤早漏精子、飲んじゃった❤」
精液は全て穴の奥の空間に消え、ペニスの周りにも、尿道の中にさえも、全く残っていない。青年は恍惚のあまり、口が利けなくなっていた。
「……クスクス❤」
「どうしたのぉ~?❤色んなことに目をつぶれば、『おマンコ』にぃ、『中で射精』できたんだよぉ?」
射精は収まり、魔物も上に乗ったまま微動だにしない。
「お前もオスなんだから大好きでしょ?『マンコ』も『中で射精』も❤クスクス❤」
魔物の体重は意外と重い。身長は青年より低いのに、多分体重は青年自身と同じか、それ以上ある。丸みのある可愛らしいお尻が、どっしりと地面に下半身を押しつ けてくる。
「人間同士だったら犯罪になっちゃうかもよ?ほら❤いっぱい射精して、中でほかほかって、臭っさい湯気が立ち込めてる❤」
サキュバスが話す間も、肉洞内の感触が凄すぎて内容をあまり聞き捉えることができない。ただ触れているだけなのに、肉壁からおぞましい感覚をひしひし と受け取る。肉の筒は入口から奥までみっちりと、ペニスを絡め捕らえている。 中は何か所か「くびれ」のように狭い箇所がある。
「……ってか、小っさくない?人間の平均に合わせたサイズの筈なのに、前半部分で止まってるんだけど❤」
挿れているだけで耐えがたい。正気を保っていられない。腰が浮き上がってきてしまう。
「あれでしょ?おちんちんが小さいのって、人間のオスとしては劣等の印なんだよね❤おまけに早漏って❤クスクス❤まぁそんな話の前に、そもそもお前って全然メスからモテないで しょ?力も弱いし、その他諸々。何となく雰囲気でわかるんだよねぇ、『劣った個体』❤『精子を欲しがられない存在』❤」
罵倒を受けながら、こみ上げてくるものを止められない。早く話が終わってほしいと願う。さっきしたばかりなのに。一ミリも動かれていないのに。ただの感触だけで――
「図星だったぁ?❤あーん❤泣かないでぇ❤大丈夫❤多分、広い世界のどこかに一匹くらいは……」
びゅうぅぅぅ~~~~っ!❤びゅるるるっ❤びゅっびゅっ❤
「……え?」
サキュバスは一瞬、呆気にとられた。その後で、自分の下腹部の中で温かみを感じ、起きたことを察した。
「……アハハハハハハハ❤イキやがった!一切動かしてないのに❤ゴメンゴメン❤訂正しとくね❤今はもう自信をもって言えるけど、存在しないと思うよ❤お前と子作りしたいってメスは❤一匹も❤」
この場から逃げ出したくなるほどの羞恥を感じながら、青年はまた違和感を覚えていた。やはり、いつもの射精と違う。不吉な気配が尿道の中に僅かに残っている。
……じゅるるるるっ!❤ごくっ❤ごくっ❤
「ひぃっ!❤」
また精液が吸い上げられる。
抜けて行ったものを、飲み込まれる。不安が少しずつ強くなる。
「……クスクス❤またまたどうしたのぉ?怯えた顔して❤お前が勝手に漏らしたんだろうが❤バ~カ❤」
「…… あ~ごめんごめん。ちなみにねぇ~、私たちサキュバスは、人間っぽいのは外身だけで、中身は人間とも、他の生き物とも全然違うからね~❤そんな相手に射精してるって意識も、一緒に持っててね❤」
サキュバスの、見た目より圧倒的に重たい身体が、言われた内容が事実であると物語っている気がした。
「……クスクス❤思わぬ一発があったけど、まぁ今の体験で何となくわかったろうし、また説明に戻ろうか。その前にこれ、抜かないとね❤今の状態だと話に集中できないし、この調子だとまたいずれ漏らすだろうし❤」
ずるるるるっ❤
サキュバスがこともなげに腰を持ち上げた。入って来たときと逆向きに擦れあう。肉突起も、ヒダも、むしろ引き返すほうが凶悪だった。入ったものた出て行くのを防ぐ弁のように、ほとんどが入り口と反対方向を向いている。
「うぅっ❤」
頭が真っ白になった青年は思わずうめき声を上げた。
「……オイオイ❤さすがにちょっと、笑いを通り越して呆れてき たんだけど❤嘘でしょ?限界まで緩めて、中も一切動かしてな いのに、引き抜く感触だけでイク寸前!?❤まさかイカないよね?これまで何人も吸い殺してきたけど、ただの事前説明で3回イク奴なんて、史上初なんだけど❤」
ずちゅうううぅぅぅっ❤
三分の二ほど抜けかかったが、急に摩擦が強くなる。入口のほうが狭く、カリ首があるペニスを簡単には抜かせない構造になっている。入口、いや、今の青年にとっては「出口」の肉壁が、息も絶え絶えの陰茎に対して強烈にしがみついている。サキュバスはそれを無理矢理引き抜こうとしている。青年はもう何も考えられなかった。
「イクなよ?イクなよ?生き恥だぞ、お前❤まだ全然吸い取る気の無いサキュバスの吸精口の中に3連発って❤男の意地見せろ❤尻の穴締めて❤耐えろ❤耐えろ❤頑張れっ❤」
びゅうぅぅぅ~~~~っ!❤びゅっ❤びゅ~~う❤
「キャハハハハハハハハ❤応援してやったのに❤でも最高❤優勝決定❤早漏チャンピオンの誕生でぇ~す❤」
射精の陶酔感の後に後悔がやってきた。我慢に我慢を重ねたのに、3回も射精してしまった。恥ずかしさと同時に、この肉穴に対しての恐怖を感じてしまう。あきらかに人外の器官で、しかもペニスを射精させることに特化 している。
ペニスを思い通りの目に遭わせてしまえる器具。まったく作動していないのに、その恐るべき機能の予兆が収めた瞬間ありありと伝わってきてしまった。
ぢゅっぽんっ❤
「……はい、やっと抜けた❤休憩タイムだよ❤おちんちんに深呼吸でもさせたら?三回も射精してびっくりしてるでしょ❤クスクス❤」
粘液にまみれた陰茎にひんやりとした外気があたった。サキュバスの「愛液」はこのままこうしていても永遠に乾かないのではないかと思うほどべっとりと陰茎をコーティングしていた。ペニスにはまだくっきりと先程の肉洞の感触が残っている。
「……クスクス❤お腹の中で精液がちゃぷちゃぷ言ってるよぉ?❤いやぁん❤孕んじゃうかもぉ❤」
サキュバスは下腹部をてのひらでさすりながら嘲った。
青年はサキュバスの吸精口のショックからは完全に立ち直ってはいなかったが、何とか思考を試みた。快楽の余韻だけではなく、射精の時に感じた違和感もまだ体に残っている。
「何か」が、射精と同時に体から損なわれている、気がする。それも、何かわからないが貴重なものが。ほんのわずかではあるが――
サキュバスは青年を見下ろしながら語る。
「勘の鈍いぼっくんでもわかったでしょ?今の3回が普通の射精じゃなかったって❤ もう一度説明するけど、サキュバスは人間のオスから精気を吸い取る。精液に変えて、それを体で吸収するって方法でね❤今お前が体感したのは、『精気が出て行った』感覚❤そして出て行った分、再び睾丸いっぱいに精液が補充される❤」
サキュバスの言う通り、睾丸がずっしりと重い。何日間も自慰をしていないときのようだ。
「ふつう、射精をすると脳が命令を出して性欲が湧かなくなる。尿道の筋肉も疲れて動かなくなる。でも、吸精を受けている間、それらは『魔力』で妨害されて起こらない。催眠術をかけられたみたいに、無限にペニスが射精できる❤良かったね❤男の子の夢❤」
「『精気が精液に変えられる』→『気持ちよくなる』→『射精する』→そして射精した精液は……」
シュワアアアアアアア……❤
サキュバスがお腹をさすり、ぞっとする笑みを浮かべる。
「『消化されて、私の栄養になる』❤そして→ 『ペニスは勃起したまま』→ 『精気が精液に変えられる』っていうループ❤精気が空っぽになるまで❤ 『精気』が減ると、病気にかかりやすくなったり、疲れやすくなったり、色んな悪い影響が体に出始める。もっと減ると、体が変化し始めて……最終的にはミイラ化❤三回射精したくらいじゃ、全然元気なままだろうけど……八時間。回数で言うと……」
「八~九千回❤それだけ射精すると、空っぽになって、死亡❤それが残りカウント。今はマイナス3❤あとはどれだけこの世に残れるか、お前のガマン強さ次第❤がんばって❤聞いた話だけど、意志が滅茶苦茶強い人間のオスが十時間 ねばって、朝になって助かったって例も百年に一回くらいはあるらしいよ❤
まぁ、こんな間抜けしか入らない洞窟の、さらにどん詰まりみたいな場所だから、助けが来るまで射精をガマンし続けても先に寿命が来るかもね❤クスクス❤」
サキュバスが腰から上を折り、青年の顔をのぞきこんでくる。
「……さぁ、そろそろ理解が進んできたかな?誰も助けは来ない。お前の体は動かない。お前は死ぬの。この場所で。死体は誰にも見つからない❤墓も作ってもらえない❤」
「精気」が吸われる不吉な感覚を経て、頭に冷気が差しこんできたようで、それにより状況を鮮明に理解できるようになる。
「キャハハハハハ!イイ表情になってきたぁ❤くだらないお喋りを長々とやったかいがあったってもんだわ❤今ごろやっと真っ青になって、怯えた目をし始めたけど、理解できてるのはまだ一割程度❤もっともっと先を体験しないとね❤」
「じゃあ、遊びの続きを始めよっか❤」
サキュバスがまたゆっくりと脚を折り曲げ、腰を下ろしてくる。近づいてくる。 サキュバスの股間が。さっきの、あの恐ろしい「穴」が。
もう期待よりも恐怖のほうが強い。まるで拷問器具が迫ってきているかのように思ってしまう。青年の本能が警鐘を鳴らし、必死に体をよじり、逃げ出そうと した。しかし体は動かない。指の第一関節をわずかに折ることすらもできない。サキュバスが青年の両脇の地面に手をついて、蛙のような前かがみの体勢になる。狙いを定める。穴の入口が、陰茎の先端に。
「希望はゼロじゃないけどね❤コインが一万回連続で表を向く確率もゼロじゃない❤早漏チンポに喝入れて、がんばって耐え てみてね❤……まぁ、残念ながら『穴の中』が、さっきとはちょっと違う状態だけどぉ~……ねっ!❤」
サキュバスはギロチンの刃を落とすように腰を下ろした。
にゅるっ!❤❤❤ぐちゅぐちゅぐちゅっ❤❤
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤
ぞりぞりぞりぞりぞりぞりぞり❤ウネウネウネウネウネウネ❤❤
「あ、あ、あ、あ、あああああああ~~~~っ!?!!!!!❤」
青年の悲鳴を聞いたものは、女性の姿形をした存在に、陰茎を股間の穴で咥え込まれている、今の青年の姿を思い浮かべることはできないだろう。生きたまま腸を食い散らかされる人間と全く同じ悲鳴だった。先ほどと何が違うのか。それはすぐにわかった。
「いひいいいいぃぃぃぃっ!?!?いやああぁぁぁっ!!❤❤」
人間の女性でも骨盤にある筋肉を使って膣壁を波打つように動かすことができる。しかし青年が味わっているそれは、そういった次元のものではなかった。
「ああああぁぁぁぁっ!!やべでええええぇぇぇぇっ!❤❤」
青年は熱い涙と絶望の声を同時に流した。ペニスに触れた壁面が別々に動き、ザワザワ撫ぜられている。「吸精口」の入口部分には壁一面に芝生のように触手が生えそろっていた。
それらが全て、途轍もなく細かく、しかも複雑に動いている。何 万本と敷きつめられた肉触手が、一本一本個別にウネウネ蠢いている。単に物理的な刺激だけで考えても、こんなものをペニスに浴びてしまえば、何も考えなくなり、強制的に射精させられてしまうだろう。
さらにその上、さっき三回射精した時に感じた、邪悪で不吉な力のようなものが何十倍にも強大になっている。
その力を、動いている触手の一本一本が纏っている。そうなるともはや何が起こっているか青年の脳では理解できなかった。陰茎の先が肉の絨毯のざわめきで芯までごっそりと擦り溶かされ、無くなったはずの陰茎が再び溶かされる感触を一秒間に何回も繰り返し味わわされる。
「はいはーい。何にも知らない愚かな人間に、先生が授業してあげるねー❤魔物の力は、それを込めた対象の機能を、『かけ算』で増幅しまーす。小石に込めて投げると、鋼鉄の塊を粉々にしたり❤風に込めると、町一つを跡形も無く吹き飛ばしたり❤さて問題です。とっても複雑な魔物の肉穴に、魔力を込めてウネウネさせると、おちんちんはどう……」
びゅううぅぅ~~~っ❤びゅるるるっ❤ びゅっびゅっ❤
話を聞いているどころではなかった。下半身が丸ごと弱音を上げるように射精が始まった。
「あぁ~っ!こらっ。人間のくだらない学校の規則なんて知るわけないけど、授業中に射精するのが真面目な態度なわけないでしょ?落第確定でぇ~す。クスクス」
サキュバスが嘲笑している間も、小触手のカーペットは「今がチャンス」と言わんばかりにウネウネとペニス側面を擦り、精液の量を五割増しにさせてくる。
「いひいいいぃぃぃぃぃ~~~~~~!?!?❤」
射精直後の放心時につけこんでくるかのようなおぞましすぎる感触と、ヨーグルトのようなぷりぷりの精液が尿道からひり出される感覚をコラボで味わう。脳は怖気立ち、腰から下は肉も骨も液状化して吸い上げられたかのようだ。
むさぼるように、膣壁が下から上へと生き物のように運動している。内部が自由自在に蠢くことで、もともとの魔性の肉穴が、手がつけられない『怪物』と化す。たった一度の吸精で、青年の心ははっきりと理解した。
絶対に敵わない。この「サキュバス」は自分がぬくぬくと暮らしていた世界の外側 にいる怪物で、その最も危険な「捕食口」が今自分のペニスをがっちりと咥えこんでいる。怯えきった青年の目を見て、サキュバスはそれを見返して舌なめずりした。
「ぷっ。バカが。やっと視えてきたか?」
ぴゅっ❤ぴゅっ❤ぴゅっ❤
話の最中にもこらえきれず、射精してしまう。これ以上ないほど必死で耐えているのに。
「クスクス❤だから、お前が早いのはもう十分わかったって❤何度も実証しなくていいから❤ようやく理解できただろ?お前は今、圧倒的強者に捕まって、遊ばれてるってわけ❤私は今、神様と同じくらいの権限を持ってるんだよ。お前と、お前のそのちっさいペニスに対しては❤」
サキュバスが語りながら、表面の肉触手をねっとりと動かす。飴玉を温かい舌上で転がすように。
「いいいいいいいいいいいいいいっ!?!?❤❤」
青年は動かない体を何度も何度も捩ろうとした。
「クスクス。いいこと教えてあげよっかぁ?サキュバスの肉穴ダンジョンは、奥へ進めば進むほど危険区域。数ミリ進むごとに、階層が上位の刺激を味わうことになる。お前のチンポがひいひい鳴いてる『そこ』はまだ、獲物を優しぃ ~く出迎える『地下一階』。
それなのに、全く太刀打ちできてない。クスクス。持ち主と同じ だね❤でもこの先には、もっと怖ぁ~い魔物と罠が待ち受けてる❤いくら泣いても喚いても、許してくれないような……ね❤」
恐怖を煽り立てるようなサキュバスの言葉。嘘ではないことがわかる。亀頭の先の空間に異様な空気の流れを感じる。途轍もなく複雑で激しい。処刑器具が動いている。目に見えない殺戮の蠢きが伝わってくる。青年は恐怖のあまり何度も浅く呼吸した。
「では、さらに奥へ……一気におちんちんの根元までどうぞ、お客様❤」
言い終わった後で、サキュバスの体重が下半身にかった。みっちりと咥えこまれた陰茎の表面が一ミリずつ奥へ滑りはじめる。時間の流れが遅くなる。全神経を集中させ、ペニスに訪れる災害に備えるしかなかった。
「大丈夫大丈夫❤たかが肉の穴❤怖くない怖くない❤よちよち❤奥へおいで❤おいで❤」
幼児をあやすような言葉。果てしない恐怖の時間が迫ってくるのを感じる。亀頭一面に鳥肌が立つ。
「ほら、かっこいい『冒険者』さん❤勇敢に前へ踏み出そ❤こんな小さいダンジョンに、負けないで❤今度こそ根性見せられるよね?❤それじゃ、ファイト!❤」
にゅるるるるるるるるる……❤❤❤
底なし沼に引きずりこまれるように、再び陰茎は根元まで咥えこまれた。青年は一瞬で悟った。全くの別世界に連れてこられてしまった。
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちょぐちょぐちょぐちょにゅるにゅるにゅるくちゅくちゅくちゅくちゅ❤❤❤
「あっ❤あああああああああっ❤あえあああああああっ❤」
びゅるるるるるるるるるるるるっ❤
射精したことすら覆われてしまう、膨大な量の刺激。
「キャハハハハハぜんっぜんダメでしたぁ~❤これでも、チンポ小っさいのが幸いして、地下50階くらいで止まってるけど❤それじゃ、ダンジョンの道半ばで、ぐちゃぐちゃにされちゃってくださ~い❤」
さっき地獄のように感じた入り口の触手絨毯が、今は安らぎの草原のように感じる。初級冒険者のペニスは今、そこから先の本物の地獄にみっちり囚われ、数えきれない種類の壮絶な責めを受けていた。
知覚できるのはほんの一部に過ぎない。肉のリングが上下にぐちゅぐちゅペニスを扱きまくっている。その隙間で肉ヒダがウネウネとペニスを擦り溶かす魅惑の円運動をし続けていて、裏筋は一列になった小さな舌のようなものにベロベロと上から下まで、徹底的に舐め回されている。カリ首は先端がざらついたイボ触手にじゅりじゅりしつこく、乾布摩擦のように擦られ続け、亀頭は長い触手の、指のように枝分かれした細い触手から、クチュクチュ丁寧に「もみ洗い」されている。
ぢゅるるるるずぞぞぞぞっ❤ごきゅっ❤ごきゅっ❤
そして射精したが最後、内部が吸引と嚥下を同時に行う。
「~~~~~~~~~~~~~~っ❤」
青年は我を忘れた。言葉も失った。「奥」に近づいているので、吸引力が入り口の3倍ほどになっている。間違いなく「捕食されている」ことを青年に思い知らす。
「ワンポイントメモ❤サキュバスには味覚はありません。でも、精気の充実具合は読み取ることができる。わかるよ❤薄っすい精気から伝わってくる❤お前が本当に、軟弱で、雄としての魅力が無くて、誰からも愛されず、何者にもな れない固体だったってこと❤世にも珍しい、サキュバスにしかできない『人生占い』❤最後に、自分が本当にゴミだってことがはっきりして良かったね❤」
グチュグチュグチュグチュグチュクチュクチュクチュ❤
言葉を受け止める間もなく、ねばっこい「咀嚼」がまた始まった。触手、肉ヒダ、リングがまた一斉に射精をねだり始める。
「んっ、んあっあっ❤❤」
「クスクス❤お前が無節操に放ってるその汚い汁は、分割されたお前の命❤出せば出すほど終わりが近づく砂時計❤」
びゅるるっびゅっびゅっ❤ずぞぞぞっ❤ごっくん❤
「ぷっ。クスクス。話、聞いてた?」
「魔物に射精」。一回一回に深い後悔が起こる。何かが奪われる感覚に恐怖が高まり、泣きながらこらえようとする。
びゅるるるっびゅっびゅっ❤ずぞぞぞぞっ❤ごっくん❤
それでも皆目太刀打ちできない。邪悪な肉筒。男の最も弱い部分がぐちゃぐちゃに蹂躙されている。粉末にされる小麦の気持ちを味わう。
「おい早漏。我慢するにはお尻の穴を『きゅっ』って締めるといいんだって❤がんばれ、がんばれ~❤」
弄ぶように肉穴が機能する。触れていると魂が吸われそうな魔肉。様々な仕掛けが唸りを上げる。ヒダがざわめいて思考を奪う。肉のリングがカリをコキ立てる。体の全ての筋繊維がほどけて、戻らなくなる。
びゅるるるっびゅっびゅっ❤ぢゅるるるるずぞぞぞぞっ❤
「あ~~~~~~~~~~~~~~っ❤」
悪魔の快楽に屈したご褒美。尽きることない特濃精液の放出。ただしその後で、後悔と「啜り上げ」のおぞましい刺激がついてくる。
「駄目だこいつ。こんなに根性無いんだったら、まだ『調節』はやめとくか❤遊ぶどころじゃなくなっちゃうし❤」
サキュバスは悶える青年を愉快そうに見つめていた。出会ったばかりの時間は、どうやってこの目を隠していたのだろう。物体を見る目。
青年はここで初めて思い知った。骨の髄から震えが起こる。自分は虫ケラ扱いすらされていない。青年を「物」として見ており、正しい機能は「滅茶苦茶に壊して遊ぶ」ことだと心の底から思っている。楽しみに細めている目の奥は凍えるほどに冷たい。
「それじゃ、ここで一旦休憩でぇ~す❤」
吸精口の肉の動きがぴたっと収まった。静かな狭い肉穴に戻る。それでも粘膜の感触は相変わらず凄まじい。ほんの少しでも気を抜くと無様に暴発してしまいそうだ。
「クスクス。それにしても……ほんと奇跡だねぇ~❤さっきも言ったけど、短小さのおかげで、吸精口の『最奥』には届いてない❤命拾い❤ギリギリセーフ❤今挿入ってるそこはまだ『安全地帯』。正気を保てる程度の刺激しか与えてこない。本当に最悪な展開が待ってるのは、もっと奥❤この先❤」
「想像してみてぇ?その先は、逃げられないペニスを、限界を超えて虐め尽くす恐怖の空間❤待っているのは、今さっきの前半の責めが遊びに思えるくらいの、地獄中の地獄みたいな快楽拷問❤
深いダンジョンの下層には人間が束になっても敵わない知恵と、力と、魔力と、残虐さを持った魔物がうじゃうじゃ❤ 『生きて戻れない』ことはおまけ。すぐに死ねたら至上の幸運。大抵はそれ以上の、最悪の末路ばかりが待ち受けてる。
この吸精口はそのミニチュア版❤前半でギリギリ強情を保ててた雄でも、『奥』に少しでも入ると一巻の終わり。別人みたいに泣き喚いて、許しを乞いながら、射精して、射精して、射精して、そしてみんなこう思うの❤『こんな目に合うんだったら、チンポなんて持たずに生まれてくれば良かった~』って❤本当にラッキーだったね。短小チンポに生んでくれたママに感謝❤」
「ひぃっ!!」
青年はサキュバスの言葉を聞きながら、確かに感じてしまう。敏感な亀頭の表皮の先。冷たく、邪悪な気配を感じる。棺桶の中にたっぷり詰まっている空気のよう。きっと「この先」で、何人もの男性が「非業の死」を遂げたのだ。ペニスが怯えきってしまう。縮んで先端が「後ずさり」している ような心地がする。
本当に幸運だったのかもしれない。先端の「気配」はサキュバスの言葉以上に説得力を持っていた。奈落へ落ちる崖の先端で辛うじて踏みとどまっている。
「クスクス。何安心してんだ、バカ。この『前半部分』でも、お前みたいな早漏チンポだったら十分虐められるんだよ❤さっきのが本気だと思ってんのか?❤あんな目いっぱい魔力も動きも弱くした『準備体操』で❤まだまだ強く出来るし、それに加えて……まだ見せてない、男にとって一番有難くないサキュバスの吸精口の本領も見せてやるよ❤それは刺激の『予測不能さ』❤」
「人間の感覚は、刺激に慣れていく。どんなに苛烈な拷問も、同じ種類の痛みが続くと効果が半減する。それを防ぐのが、この吸精口が持つ色んな『仕掛け』。 ダンジョンでいう多種多様なトラップ。落とし穴。釣り天井。命がけの謎解き。人食い擬態モンスター。どこへ何があるかわからない。
見えない危険への緊張が、あり得ないミスを引き起こす。『あっ』っと声を上げた次の瞬間にはもう地獄の底の底。それもまたダンジョン探索の醍醐味。この吸精口にも、たぁ~っぷりとそういう『仕掛け』が備わってるんだよぉ?❤」
「じゃあ、ここらで『探検ツアー』始めよっか❤
青年の恐怖と比例するように、嬉しそうな笑顔をサキュバスは向けた。
「最初は『三重高速回転リング』から。しっかり勢いつけてぇ……さん、にい、いち、スタート!❤」
きゅっ❤
根元、中央、カリの溝。三か所にある肉リングが狭まった。拘束具のように。そして、次の瞬間。
ぎゅるるるるるるるるるるるるるるるるる~~~~っ!!❤❤
グチュチュチュチュチュチュチュヂュルヂュルヂュル!!!❤
「ひ、いいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃ~~~~~っ!?❤」
肉のリングが三つとも、高速で横回転を始めた。幻聴なのか、凄まじいホイール音のようなものが聞こえる。どんな原理なのだろうか。生物の器官の動きとは思えない。
ジュリジュリジュリジュリジュリジュリジュリジュリ❤❤
リングの内側にはスパイクのように肉の突起があった。凄まじく複雑な摩擦感を生み出している。青年は意識が空中に離脱していた。摩擦熱で三点が温かい。
「チンポ殺しの大回転❤いつもより余計に回っておりま~す❤」
耐える、耐えない以前。刺激が強すぎてペニスに力が入らない。幼児期のおもらしのよう。脳からの信号を受け付けなくなった性器をどうすることもできず、あっと思う間に――
びゅっ!❤びゅっ!❤びゅううぅぅ~~~っ❤
「はい瞬殺❤」
キュルルルルルルルルルルルルル……❤❤
射精している間は回転がゆっくり目のスピードになり、搾り出すように下から上へ車輪が動く。一瞬だけ訪れる緩急の「緩」の部分。濃厚な射精の放出感に浸る。
ギュルルルルルルルルルルルル❤❤
「ひいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!???」
「急」がまた始まった。今度は逆向きの回転だった。しかも速度もさっきの二倍ほどある。
「キャハハハハ。おちんちんジョリジョリ~❤擦られすぎて、いくつも『轍』ができちゃうかもね」
わけがわからなくなるほどの刺激。耐えられるわけがない。
びゅっ!❤びゅっ!❤びゅううぅぅ~~~っ❤
射精のさ中、また回転がゆっくりになる。まるでエネルギーを溜めているようだ。青年は恐怖を覚えた。ゆっくりになったり、急激に速くなったり、全く予測をさせてもらえない。
「はぁ~い。右へギュルギュル。左へギュルギュル❤」
ギュルルルルルルルル……❤❤グチュチュチュチュチュ……❤❤
「も一度右に。左に……❤」
ギュルルルルルルルル……❤❤びゅううぅぅ~~~っ❤
トリック走行。耐えようと回転方向に意識を向けたところで急激に逆回転。何とか耐えようとしたところへさらに逆。華麗な走行技術で精液を抜き取られる。
「上から右、左、右の順だよ~❤」
ギュルルルルルルルルグチュチュチュチュチュチュ❤❤
「あごめん❤左、右、左だった❤次は左、左、右❤」
グチュチュチュチュチュチュギュルルルルルルルルル❤❤
「嘘嘘❤右、右、左ね❤しかもスローテンポと高速回転を交互に❤これ辛いでしょ❤内側のイボは順向きか、逆向きかで擦れる感触が全然違うし❤これがまたチンポに効くんだよね~❤」
もうわけがわからない。小型竜巻がペニスを壊滅的状態にする。
びゅるるるるるるっ❤びゅっ❤びゅっ❤びゅるるっ❤
「上へ参りまぁす❤」
ギュルルルルッグチュグチュグチュ❤
「あああああっ!!❤❤あっ!!❤❤あっ!!❤❤あっ!!❤❤」
回転しながら三つのリングが上へ動く。根元のリングは真ん中の位置。真ん中のリングはカリ首の位置。カリ首のリングは亀頭の位置へ。鮮烈な快楽。耐えることなどできない。
ぴゅっ❤ぴゅっ❤ぴゅるるるっ❤
「下へ参りまぁす❤」
下へ一センチ動く。位置がずれる度に、ガラ空きだったエリアに新鮮な刺激がもたらされる。
ぴゅるるるっ❤びゅっ❤びゅっ❤
例えではなく、これは本当の拷問だと青年は思った。この刺激を受けながら尋問されたら、どんな秘密も洗いざらい話してしまうだろう。
ぴゅるるるっ❤びゅっ❤びゅっ❤
人生で味わった中で一番強力な刺激だった。子供の頃、同年代の子供たちに必死でついていこうと木に登り、落ちて腕を折ったことがある。恥も外聞もなく、何時間も大泣きし続けたほどの激痛。しかし、多分、今同じように腕が折れたとしても、多分痛みを感 じない。下半身の刺激が強すぎる。
ギュイイイイィィィィィィンン❤
回転がさらに高速になる。音も、刺激も、繋ぎ目がわからない断続的なものとなる。
「~~~~~~~~~~~っ!?!?❤❤」
もはや青年は声も無かった。しかもリングは、回転しながら上から下へ、下から上へ、ゆっくりと、哀れなペニスを扱くように上下に移動している。
「ほらほら。どうしたの?もっと楽しんだら?」
ぴゅっぴゅっぴゅっ❤
しかも今度は射精しても速度が落ちない。もし体が動かせたなら、青年は首をねじ切れるほど何度も横に振り乱していただろう。しかし、魅了によって体は微動だにしない。快楽がどこへも逃がせない。苦悶が倍増する。
ぴゅっぴゅっぴゅっ❤
ギュイイイイイイィィィィィ~~~~~ン❤❤
まだ速度は上がり続ける。
「あ~あ。こんなアホほど射精してたら、始まっちゃうわよ?根性無いし、『多くなる』と思ったけど、こんな遊びの段階で、一発目かぁ…… 」
呆れたようにサキュバスが呟く。青年は意味がわからなかった。しかし、変化は感じていた。
青年はさっきからずっと、不思議な感覚を覚えていた。射精の直後に凄まじい回転刺激を受けると、ペニスのコントロー ルがさらに奪われてしまう。腰が浮かび上がってきて、何かがこみ上げてくる。そして、それを留めるだけの力が今の陰茎にはない。射精ではない何かが起きる。しかも、「辛い」何かが。予感はするのに、それを止められない。
出てしまう。勢いよく。思った瞬間にはもう――
飛び出していた。
ぷしゃあああああああああああああ~~~っ!!!❤
熱湯のような液体だった。鈴口からほとばしる。
「あ、ああああああ~~~~~っ!?!?❤」
青年は頭が真っ白になり、ただ声を上げた。
ぷしゃっ!!ぷしゃっ!!❤
「ひいい~~~~~っ!?❤」
尿道が焼けるように熱い。射精で味わえるとろけるような余韻は無い。漏出感と、神経が焼き切れそうな刺激だけがある。
「あ、噴いた。どう?それが『潮噴き』❤海にいるクジラってデカい生き物が、海水をぷしゃぁ~って空に噴き上げるのを知ってる?それと一緒。もっとも、人間の場合は『尿』。オシッコを噴き上 げてる。つまりは、盛大な『失禁』ってこと。雑魚チンポによくある現象❤」
「ほとんどただの尿だから、精気も含まれてない。ただの水分。精気を吸い取ってる私たちにとっては、たまに起きちゃうハズレ現象みたいな感じね~。食べられてるオスにとってみても、ただ辛いだけ❤お互いにとってデメリットしかない。全部根性がないオスが悪いんだけどね。サキュバスの中には、『これ』を好んで何千回とさせまくるイジメっ子もいるけど、基本的にみんな嫌ってる。私もね。
食事中に意味の無いことを起こされるとイラっと来るのよねぇ~。人間で言うと果物に種が入ってる感じ?だから、あんまりしないほうがいいよ?1回されただけでキレてチンポに何時間も『拷問タイム』するサキュバスも多いからね。 私は寛大だから2~3回くらいなら許してあげないこともないけど」
キュルキュルキュルキュル……
ようやく回転がゆるやかになり、止まった。
「じゃあ潮も噴いたし、この辺で終わり。しっかしまぁ、ほんと酷いわねぇ❤ 今まで何人も搾り殺してきたけど、十歳そこらの子供並み❤あんまり早漏すぎるのも困りものなのよねぇ。今みたいに無駄な 潮が多くなるから。今の回転の動きなんて、この搾精腔の数あるギミックの中でもかなりマシなほうなのに❤」
「じゃあ次、こんなのはどう?」
にゅるるるるるっ……ぴとっ
「!?!?!?!?!」
何か細長いものが伸びてきて、ペニスに触れた。触れた面積の小ささに反して、その感触は凄まじく大きかった。他のおぞましい肉壁や触手の感触が吹き飛び、『それ』のみを感じられるほどに。
受け取る情報は二種類あった。思わず思考がとろけ落ちるほどの性的快感が一つ。そしてもう一つは、生理的に、おぞましい生き物に触れてしまったという嫌悪感。
「今触れたでしょ?この触手は特別なの。他より強い魔力を帯びてる。触れただけで、その部分の皮膚がトロトロに爛れたようになっちゃうでしょう?」
うぞうぞうぞにゅるにゅるにゅるうぅっ❤❤
触手が動き始めた。まるで生きているかのようだ。ペニスの表面をゆっくりと這いまわっている。
「クスクス❤動き始めた?魔力が高い分、代償があってね?私の意志であんまりコント ロールできないの。『待て』、『よし』くらいはできるけどね。ペットみたいな感じ。節の数も他の触手より段違いに多くて、自由自在に動く」
青年は畑でよく見たミミズを思い出した。ゆっくりとランダムにペニスを這っている。一ミリ進むたびに気持ちよすぎて神経が削れらるような心地がする。気持ち悪さも凄い。
「クスクス。どう?可愛いでしょ」
可愛いなどというものではなかった。刺激が強すぎて、見えなくても大きさ、形、どこをどう這ってい るかがわかる。自分の何十分の一の大きさしかないのに、危険な生き物だと本能が発している。サソリや毒蜘蛛より危険な「ミミズ」が自分の一番弱いところを好き勝手に這いまわっている。
ウネウネウネにゅるにゅるにゅる❤❤
「ひいいぃぃぃぃ!やべでええぇぇぇぇ!」
耐えかねて青年は悲鳴をあげた。
「あれあれあれぇ?どうしたの?まさかこんな、小さなミミズ一匹に負けちゃうの?もしかして、お前の強さってミミズ以下?❤あ、ゴメンゴメン。そんなわけないよねぇ❤流石にそれは冗談すぎるか。いくらこの子のニュルニュルが凄くても、射精まではするわけないよねぇ?」
ニュルニュルニュルニュルウネウネウネ❤❤
不規則に這いまわっている。暗い肉筒の中を活発に。青年は本当に、この小さなミミズ一匹と戦いを繰り広げている気 分になっていた。歯を食いしばって必死に耐える。しかし、お構いなしに触手は這いまわる。ニュルニュルと。三十秒足らずの熱戦の末、軍配が上がった。
ぴゅっぴゅるるるっ❤びゅっびゅっ❤
「キャハハハハハ❤あ~あ。負けちゃった。ミミズ一匹より弱い雑魚❤確定でぇ~す❤」
触手はもっと射精をねだるかのようにウネウネ蠢いている。まるでペニスの上で勝ち誇られているように感じた。
「あー、笑った笑った❤それじゃ、この子は引っ込めてあげるね。快勝おめでとう。巣にお帰り」
名残惜しそうに数回うねり、陰茎にうめきが漏れるような刺激を残した後で、触手は後ずさりしていき、肉穴のどこかへ引っ込んだ。
「可愛かったでしょー。名前つけようかなーとも思うんだけど、ちょっと『数からして』無理かなー。みんなー、出ておいでー❤」
にゅるにゅるぐちゅぐちゅうにゅうにゅくちゅくちゅうねうね にゅるにゅるうじゅうじゅくちゅくちゅうにゅうにゅ❤❤
「だって、ホラ❤全部で二千匹以上いるんだもん。それぞれ名前つけるのなんて無理だよねー❤そう思わない? ❤」
「!?!?!?!?!?!?ひっ、ひいいぃぃぃぃ~~~~っ!!!」
青年は本当に腰が抜けてしまった。中は全く見えない。しかし、空気の流れと凶悪な気配でわかる。這い出て来た。さっきと同じ触手が、数えきれないほど。ペニスに触れるか触れないかのところでぐにゅぐにゅと動き回っている。
「ひっ、ひっ、ひっ!」
過呼吸のような状態になり、痙攣をおこす。一匹だけでも凄まじい感触だった。今でも這いずっていた感触がはっきり残っているほどだ。それが、これだけの数――
「やべっっっ!!やっっっ!!やべでぐらひゃい!!ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆるひでええええぇぇぇぇ!!」
あらゆる思考をかなぐり捨て、必死に懇願する。目の前のこの、ミミズたちの主人が自分の生殺与奪権を完全に握っている。
「あははははは!いい感じ!ちょっとずつわかってきたね。自分の立場が。でも、お願いする相手が違うんじゃないかな?ちゃんと『この子たち』にお願いしないと❤」
ミミズたちが待ちきれないと凶暴にうじゅうじゅうねっている。今はまだ全く触れていない。でも、こんな『大群』に襲い掛から れたら、終わりだ。
「ちゃんと一匹一匹にお願いしないとダメだよ~?性格も全部違うんだから。感触もそれぞれ微妙に違う。こんな『ミミズ地獄』におちんちん浸かっちゃったら、一体どうなっちゃうんだろうねぇ~?❤それに、精液はこの子たちにとってご馳走みたいなもの。おちんちんを滅茶苦茶にしてやりたくてうずうずしてる。ちゃんと心を込めてお願いしないと、絶対聞いてくれないよ~?❤」
「い、いやあああぁぁぁぁぁぁ!!」
絶望の涙が青年の目から流れ落ちる。
「う~ん……でも、ちょっとやりすぎになっちゃうかなぁ」
サキュバスが呟いた。
「一匹でも耐えられず射精しちゃう激弱おちんちんだもんね~。流石にやめとこっか。可哀想だし、あと……心に負荷がかかりすぎると、射精できなくなっちゃうかもだしねぇ……知ってる?人間って、強いストレスがかかると、摂食障害や排泄生涯みたいに、生理的な機能に悪影響が出ちゃうの。だから不感になったり、勃起不全になったりも、当然起こり得る。そうすると元も子もないから、大事を取って、やっぱりやめとこっと」
触手の群れがゆっくりと遠ざかっていくのがわかる。代わりに、青年の心へ津波のような安堵が押し寄せてきた。絶体絶命の状況から、命が助かった。生まれ変わったような心地がする。
「ごめんねー、みんな。お腹ペコペコなのに――」
「――なーんて❤ ほらみんな、お待ちかねの『総攻撃開始』!早漏チンポ、好きなだけ食べちゃっていーよ❤」
「……へ?」
にゅるるるるるるるるるるニュルニュルニュルニュルぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅクチュクチュクチュうねうねうねうね❤❤
「……あっ!?あっ!?うそっ!?嘘っ!?あああああああああああああああああっ」
最悪の事態が訪れた。先程サキュバスが「二千本」と言った触手が全て伸び、肉洞内はすぐに触手で埋まってしまった。肉のスパゲッティの中にペニスが浸っている。そして肉棒の表面は、およそ現実とは考えられないような感触を受け取っていた。先刻はたった一本這いまわっただけで耐えられず射精してしまっ たのだ。それがこんなに、みっちりと、覆い尽くされて――
「――~~~~~~っ!?!?!?」
びゅ~~~~っ!❤びゅるるるるっ!❤びゅっ❤びゅっ❤
一秒も経過していない。ミミズの海の中へ射精してしまう。精液は隙間にゴボゴボと埋もれていく。
「バァ~カ❤何回騙されりゃ気が済むんだよ❤確かに、ストレスが大きすぎると、人間は精神的な異常をきたす。だから、私たちの魔力はそれも妨害する。ホルモンに作用する神経の働きを著しく弱めるの。 私たちみたいに精気を吸い取る魔物や、人間を苦痛で長時間拷問するのが好きな魔物には標準装備の力。
こんな粘膜剥き出しの場所に長時間触れている状態なら、こっちに都合がいいようにいくらでも操作できるの❤弱い魔力でもやりたい放題❤だからお前も、通常なら心が壊れてしまう快楽を受け取っても、失神も、退行も、発狂もできない❤ 感謝してよね❤ある意味私がお前の貧弱な心を救ってやってるってわけ❤」
青年はサキュバスの、恩を着せる話を聞くどころではなかった。最悪を超えた最悪。 触手は肉筒に満ちたまま、活発にうじゅうじゅと蠢き続けている。その感触たるや、全身の毛穴がパクパク開き、絶望の叫びを上げるかのようだった。
ぐちゅぐちゅぐちゅウニュウニュウニュくちゅくちゅくちゅニュルニュルニュル❤❤❤❤
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
嘘であってほしいと心の底から思う。無数の小さな、イトミミズのような魔の生き物たちが元気いっぱ いに動き続けている。刺激が洪水になっている。逃げられない。溺れるしかない。しかし、おかしい。こんな途方もない量の刺激を受けると、ペニ スは跡形もなくなっているはずだ。そうならないとおかしい。わけがわからない。人間が受け止めきれる刺激の総量を超えている。それなのに、受け取らされる。
びゅ~~~っ❤びゅるびゅるびゅるびゅるっ❤❤
射精する。その間も触手は蠢き続ける。快楽が氾濫を起こしている。『吸われている』不吉な感覚で、射精していることが辛うじてわかる。
「クスクスクス。もぐもぐされてぴゅっぴゅ❤ミミズの餌❤人間の中でも、雌の名器が『ミミズ千匹』って呼ばれることがあるんでしょ?❤でも、これとは比較にならない❤」
びゅ~~~っ❤❤びゅるびゅるびゅるびゅるっ❤❤
「弱いペニスを這いずり回るウネウネ快楽地獄❤ペニスを貪り尽くす凶悪ミミズの海。おちんちんも、心も、もう滅茶苦茶❤」
びゅ~~~っ❤びゅるびゅるびゅるびゅるっ❤
「あぁ~ん❤可哀相~❤雑魚精子ひっかけられてるミミズちゃんたちが❤」
「サキュバスに捕まって、とぉ~ってもラッキーだったでしょ?❤こんな体験、人の一生じゃ絶対に味わえない。 味わってるのは快楽なのに、百人中百人が、『これを十秒味わうくらいなら、ペニスを切り落とされるほうがマシ』って答える❤」
びゅ~~~っ❤びゅるびゅるびゅるびゅるっ❤
「キャハハハハハ。つーか、漏らしすぎだろ❤ミミズへ餌やり、ご苦労様❤」
もう駄目だ。耐えようとする意志すら湧いてこない。凶悪な大群のウネウネを一方的に受け取らされる サキュバスの言った通り、本当にミミズの給餌係になってしまっ た。ただただ暴れ回られ、栄養を与え続ける。
――
――――
「は~い、みんな❤引っ込んでいいよ❤」
にゅるにゅるにゅる……とミミズが蠢き、壁面へ隠れていく。
「……ぁひぇ……❤」
まともに口の効けなくなった青年は、ただただ、凄まじい食事の余韻に打ちひしがれているしかなかった。たくさんのミミズに耕された畑になった気分だった。一体何発射精してしまったか、見当がつかない。
「はい、じゃあ消化ぁ~❤」
シュワアアアァァァァァァァ……❤❤
奥で青年が放ったたくさんの精液の質量が「消滅」したことがわかる。
「ヒイイィィィィ……」
おぞましい感覚だった。自分の出したかけがえのない生命の一部が、上に乗った魔物によって、確実に食べられことが伝わってくる。
「雑魚精子、喉ごしサラサラで、吸収しやすぅ~い❤精子一匹一匹が弱い動きで、遺伝子が劣ってることがよくわかるよ❤精子ちゃん❤怖い魔物に食べられてご愁傷様❤ド早漏のパパを恨んでね❤」
「それじゃ、次の探検に行ってみよっかぁ❤ここからは、ちょぉっと辛くなるけど、ご注意くださぁい❤」
青年はサキュバスを怯えに満ちた目で眺める。獲物を惑わすための可愛らしい容姿が、今はただ、ぞっとする。中身が冷酷な化け物だということが、これまでの十分足らずの責めによって骨の髄まではっきりとわかったからだ。
「お前のためを思って、ここからは『訓練』をしてあげるね❤命がかかってるのに、ただの序盤の刺激で、馬鹿みたいにびゅるびゅる射精して❤ でもまぁ、人間の雌のおまんこすら碌に経験したこと無いんだろうし、ちょっとフェアじゃないかなって思い始めてきちゃった❤」
ニヤニヤと、サキュバスが青年の恐怖の視線を無視して、見下ろす。
「だから、きちんと『調教』して、早漏おちんちんを改善してあげる感❤謝してよね?❤これはお前にとって得な事❤私にとってはただ食べ終わるのが遅くなるだけで、メリットなんて何にもないんだから❤」
ミミズが引っ込んだ膣内に変化が起こる。
「それじゃ、命の恩人様が『矯正ベルト』をつけたげる❤」
きゅううぅぅっ❤と陰茎の根元が締まる。ねちゃねちゃした肉の「輪っか」が、青年の陰茎に巻き付いた。
……ブゥン❤
「!?」
根元の輪っかに、何か生暖かい、不気味な気配を感じた。
「それじゃ……始めるぞオラッ❤早漏三等兵❤射精禁止の鬼プログラム❤涙も涸れるまでシゴキまくってやるからな❤」
ウゾウゾウゾウゾウゾウゾ❤グチュグチュグチュグチュ❤
「ひ、い、い、い、い、い、い、い、い、い、い、い、い、いぃぃぃぃぃ~~!?❤❤」
サイドの触手が竿腹を、裏筋を、カリを、モップのように擦り始 める。しかも、根元から先端へ向けて何かを掃き出す狡猾な動きだった。
「あっ❤、あっ❤、あっ❤、ああぁ~~~❤」
こんなもの、耐えられるはずがない。甘く腰が浮き、尿道口がぱっくりと開き、すぐに射精――
ひくひくっ❤☠ぴゅるっ❤☠
「~~~~~~~~~~~~っ!?☠❤☠❤」
射精できなかった。最高に気持ちいい精液の代わりに、最悪に切ないカウパーが大量発射された。体と頭は完全に射精の快楽に備えていたのに、起こるべきタイミングに、全く別の虚しい感覚が与えられる。それは、ただ単にカウパーを放つのとは全く異なる、悲惨極まる体験だった。
「~~~~~~~~っ☠❤☠❤」
がくんがくんと頭を前後に振る。
「ぷっ❤クスクス❤……おいお前❤まさか、気持ちよぉ~くびゅるびゅるううぅぅぅ~~~と射精できるなんて思ってたわけじゃないだろうな!?❤まったく、あれだけ射精の危険を教えてやったのに、なんという駄目チンポだ❤これは、徹底的に調教が必要だな❤さっきも言っただろ?サキュバスは、吸精口に挿れたペニスを 完全に操れる❤さっき根元に装着してやった『それ』は、魔力が籠った『矯正ベルト』❤」
「これは、ペニスから射精の信号が送られると、それを全部、大量にカウパーを出す信号に切り替えてくれる優れモノ❤悪意に溢れた交換手❤カウパーは出しても出しても全く快感を伴わない、さらに雄を射精への期待に焦がすだけの液体❤人間の脳っていうのは期待すれば期待するほど――
それが空回りした時の反動が大きい❤もうわかったか?❤これは、効率的な教育プログラム❤馬鹿みたいに射精しまくるお前に我慢の感覚を強制的に教え込ませるのと、射精すると逆に辛いことが待っていると刷り込ませる、一石二 鳥の特別訓練❤」
「途中で信号を切り替えるから、絶対に、ぜぇ~ったいに射精でき ない❤ん?嘘だと思う?三等兵の分際で生意気だな、お前は❤まぁ、この世には絶対なんて無いからな❤じゃあ、試してみるか❤自分の体で❤」
一方的に言われながら――
ウジュウジュウジュウジュうじゅるうじゅるうじゅるうじゅる❤
数えきれない数の触手が、熱烈に動き始めた。物凄かった。まるで怪物がだだをこねて、射精をせがむかのようだった。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ❤❤」
意識が融解する。もし例え大事な誰かの命がかかっていたとしても、絶対に我慢などできない快楽。しかし……
ひくひくっ❤☠ぴゅるっ❤☠
「~~~~~~~~~~っ❤☠❤☠」
出るはずの、濃厚ぷりぷりの精液が一切出ず。代わりに、悲しみの透明な汁だけが射出される。玩具の水鉄砲のように。
「あ~あ❤残念❤射精できなかったな❤それじゃ、事前説明は終わりで、訓練内容を発表する!❤ 今よりもっと凄い運動をずぅ~っと続けて、十五分間❤お前は透明な汁を発射しまくる❤」
「ひっ!ひいいいぃぃぃっ!!!」
青年は怖気立った。今の二回だけで、もう金輪際味わいたくないと切に願うほどの体験だった。十五分なんて続けられたら心が持つわけがない。
「……あぁ?上官の言う事に口答えか?よしわかった❤倍の三十分に変更だ❤しっかり躾けてやるからな❤」
始まった。最悪の訓練が。
ウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネウネ❤
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
こんなにしつこく、迫真に射精をせがまれているのに、一滴も射精させられない。ペニスへの詐欺罪。
「オラッ❤もっともっと『水』だけ出せ❤」
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
鈴口が、溺れかけているようにパクパクと喘ぐ。
「オスが味わえる感覚の中で、一番情けなくて、切ない感覚❤存分に味わえ❤」
精神をどろどろに溶かされるような肉壁のうねりの中で、透明な液体だけを何度も何度も連射する。
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
「ほら❤こうやってカリ首のところをうぞうぞ擦られるとたまらないだろ?❤でもお前が出せるのは虚しいカウパーだけ❤ これを根元の『お助けリング』無しでできるよう、特訓、特訓❤」
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ❤
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠ひくひ くっ❤☠❤☠
「……あ?何絶叫して、号泣してんだ?男らしくない!❤罰として中の運動の厭らしさを倍増だ❤」
グチュグチュグチュグチュ❤グチュグチュグチュグチュ❤グチュグ チュグチュグチュ❤
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
「泣くな!❤私だって辛いんだ❤だが、お前のためを思ってこうやってたっぷり、愛のウネウネを加えてやってるんだ❤」
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
「頑張れ❤負けるな❤透明な水出せ❤水出せ❤水水❤悶絶しろ❤」
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
ぴゅっ❤☠❤☠ひくひくっ❤☠❤☠
青年の目からとめどなく涙が溢れ、ペニスの先端からその百倍の量のカウパーが何度も飛び出す。
ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠
ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠
ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠ぴゅっ❤☠❤☠
三十分後。
結局一度も射精禁止が解かれることは無く、搾精腔の内部は青年の出した我慢汁でいっぱいになっていた。
「クスクス❤これで訓練終了だ❤苦しみまくったが、カウパーを出したということは実質射精と同じだから、訓練としては落第だな❤……それにしても、なんて量を出してくれたんだ❤中がアクアリウムみたいになってしまってるぞ❤折角の贈り物だが、何の栄養も無いから、全部捨てさせてもらう❤」
そういうと、サキュバスは少し尻を持ち上げた。
ざばーーーーっ❤どぼぼぼぼぼぼぼぼ❤
大量の我慢汁が穴から流れ落ち、青年の腰をずぶ濡れにした。少しとろみがある。保温されて温かい。青年の辛い体験を、証として改めて思い知らせてくる。
「……☠」
青年は声も無く、終わったことも判別つかないまま、土の上で打ちひしがれていた。
「さぁ、これだけ親身になって鍛えたんだし、雑魚ペニス少しは強くなったかしら?先生がテストしてあげる❤」
「ふぇ……?」
青年の意識が戻って来た。
ぐにゅにゅにゅにゅにゅにゅ……❤
また膣の形状が変わった。肉が、何か螺旋状の形で陰茎にみっちり纏わりついている。まともな事をされるわけがない。しかし、今の青年は平常であれば感じているはずの恐怖感も覚えられない。
根元のリングが外れた❤
もしかしたら、射精させてもらえるかもしれない❤
度重なる寸止めによって脳が焼き切れ、正常な思考ができていな かった。先ほどの三十分間の間、数えきれないほど願った。何でもする。何でも差し出すから、射精させてほしい。一度も出せなかった精液が濃縮されてずっしりと溜まり、睾丸の重さが五倍くらいに感じられる。
「クスクス❤今から射精させようとするけど、さっきも言った通り『テスト』だから気を付けてね❤」
「もし射精しちゃったら、さっきの射精禁止が天国に思えるくらいの、キッツ~い『お仕置き』が待ってるからね❤」
「!?」
「何言ってるの?❤あれだけ親身に鍛えてあげたんだから❤楽勝でしょ?❤一回でもイッたら駄目だからね?❤」
ゾッとする。絶対に無理だ。散々焦らされて、焦らされて、焦らされて、今の 状態なら、きっと春風がふわりと表面を撫ぜただけで射精してしまうだろう。 最悪のゲームが始まろうとしている。
「ぁ、へ……(ま、待って……)」
サキュバスが耳元で囁く。
「それじゃ、スタート❤」
ぐちゅちゅぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅる!!❤❤❤
「ひ、い、い、い、い、い、い、い、い、い、い、い、い!?!?❤❤」
回転。しかも螺旋状に、うねり上げるように回り始めた。螺旋という構造は、肉側の道と接する距離が増え、半永久的に擦られ続けるため、雄を射精へ誘うために非常に効率的な仕組みだ。青年はそれを体で思い知った。意識も、魂も全部搾り上げられるような感触。抗おうとするが、0.1秒も経たずに不可能だと悟る。射精したら、あの地獄のような時間より、もっとひどい目に遭わ せられる。でも、でも……
「あ、えぇ~~~~!!❤❤無理いぃぃ~~!!❤❤」
ぴゅ~~~っ❤びゅるっびゅるっ❤びゅくびゅく❤
あえなく、射精。焦らされた分、まるで溶けた餅のように濃厚な精液が尿道をぶりぶりと通り抜け、鈴口から放出された。
「あああぁ~~~~~~~~❤」
脳の表面が三センチほど溶けたかのような快感に支配される。
「あ~あ、三秒も保たなかった❤全然成長できなかったね。先生悲しいなぁ~❤ じゃ、恩師の顔に泥を塗った責任、しっかりとってもらうからね❤
サキュバスの言葉によって現実に引き戻される。
あまりに恐ろしすぎるので、青年の脳は希望的観測に逃避する。あんな快楽、絶対に耐えられる筈が無い。だから、きっと罰も、それほど重くは――
……しぃん。全ての動きが止まる。
にゅっ❤
フイイイィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーン❤
虫の羽音を拡大したような音が聞こえ、亀頭に涼しい風を感じる。その風と、亀頭に伸びる何かの気配だけで、青年の希望的観測が吹き飛ぶのに十分な不気味さがあった。
「クスクス❤何が起きてるのか見えないね❤今、怖~い『罰ゲーム用ブラシ』が、狙いを定めてるの❤」
吐きそうなほどの恐怖が背中を駆けのぼってくる。
「心の準備ができるよう、カウントダウンしてあげるね❤十、九、八、七、六……」
「五❤」
グチュ❤
「ぇ!?」
ギュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!❤❤❤❤❤❤
硬い毛でできた円形のブラシのような何かが、亀頭にぴったりと密着し、そのまま高速で回転を始めた。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ(○▼※ △☆▲※ ◎★●~~~っ!!!)」
「あ、ごめぇ~ん❤カウント間違えちゃった❤」
ジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリジョリ❤❤
亀頭には感覚受容器が密集している。射精後は特に鋭敏になっており、何かが軽く触れただけでも耐えがたい。
「すっごいでしょ?そのブラシ、一本一本がイボイボがびっしり生えてて、これで擦られると、どんなガンコな汚れも一発❤顔が映るくらいピカピカになっちゃうんだよ❤しかも、一本ずつ濃い魔力が流れてて、感覚が増幅されるおまけ つき❤ペニス掃除には欠かせない、とっても便利なお仕置き道具なんだ よねぇ❤」
サキュバスの解説を聞く余裕は無い。語られているのが世界の真実や自分の出生の秘密だとしてもどうでも良いくらいの刺激。腰から下の感覚が無くなる。頭の中が一点の曇りもない真っ白になる。そして……
ぷっしゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ❤☠❤☠
大量の熱湯がペニスから噴射された。亀頭だけを責められて起きる、最悪の潮吹き。
「~~~~~~~~~~!!」
青年は全ての言葉を失って喉を最大限に開き、無言の大絶叫を放った。
しかし、脳の中では必死に叫ぶ。
『熱っ!!❤☠熱い!❤☠熱い!❤☠熱い!❤☠熱いいぃいいいぃぃぃぃ~~~~~~~~~~!❤☠』
ペニスが焼け落ちたのではないかと錯覚する。
「クスクス❤辛そうだね❤潮吹きの感覚も増幅されちゃってるからねぇ~❤ さ……❤辛いのはここからだよぉ?❤魔物様のテストに不合格だった罰ゲーム……こんな程度で終わるわけがないじゃん❤本番はここから❤」
潮噴きが終わるや否や、再び「ブラシ」が高速回転を始めた。自らにかかった亀頭の潮が飛沫となって勢いよく飛び散る。
「!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
完全に戦線放棄し、最大限まで敏感になった亀頭を、この世の終わりのような回転刺激が擦りたてる。
「キャハハハハハハ❤❤ゴシゴシ❤ゴシゴシ❤」
青年は陰茎の周りに火花が散っているのではないかと思った。我慢が効くようなレベルではなく……
ぷしゃっ❤☠❤☠
二発目の潮を吹く。先程の潮吹きで出し尽くしたため、今度は少量となった。しかし、感じる熱さは変わらない。その一方で、潮なんて知らないといった調子で、回転ブラシの勢いは止まらない。それどころか、さらに速度が高まっているようだった。亀頭全面を舐め回すように、四方向からブラシが動き回って隅々まで磨き、さらにその上を小姑のように磨き上げてくる。
ギュイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィ~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~ン!!!❤❤❤
ギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュ ルギュルギュルギュルギュルギュルビシャビシャビシャビシャビ シャビシャビシャビシャ❤❤❤
凄まじい「洗浄活動」の音が延々鳴り響いている。
「しっかり洗わないとねぇ❤だって私、綺麗好きだもぉん❤……そろそろかな?❤」
びくんっ❤☠❤☠びくびくんっ❤☠❤☠
ひくひくひくひくひくひくひくひく❤☠❤☠❤
きゅううぅぅぅぅっ❤☠❤☠❤
「!?!!」
最後に巻き起こったのは、今までに経験したことの無い現象だった。また潮吹きが始まるかと思ったのに、何も出てこない。勃起したペニスが内側にきゅうぅぅっと萎み、壮絶にストレスがかかる心地がする。
「~~~~~~~~~~~~~~❤☠❤☠❤☠」
ペニスが内側から脱水されたかのようだった。最悪の感触だった。頭の中がチカチカし、脳が収縮し、これ以上ないほどの敗北感に打ちひしがれる。
「アハハハハハハハハハハ❤」
「……どうどう?中々味わえないよ?それが『潮の空撃ち』❤膀胱は精巣と違って回復しないから、空になったまま❤その状態で潮吹きが起きると、こうなるの❤中の空気だけが押し出される❤脳ミソに焼きついちゃうくらい強烈な潮吹きの感覚と、空撃ちの切なさが合わさった、ペニスの真空化現象❤辛い?辛いよね?❤」
「~~~~~~……☠☠☠」
「喋る必要ないほど、顔で『地獄』を表現してくれて、ありがとー❤じゃあ、良かったぁ~❤」
「……だって、これを今から連発するんだもん❤単発でこんなになっちゃってるんだから、連発するとどうなるか、楽しみ~❤『罰ゲーム』はこうでないとね❤」
青年は自分の耳に願いをかけた。間違いであってほしい。今聞いたことがことが。
「『空砲』だからね❤無限に撃てる❤引き金を引くたびに❤『カチッ❤カチッ❤カチッ❤カチッ❤カチッ❤カチッ❤』そしてその度に、哀れな早漏野郎は、今のと同じ苦しみを味わうことになる❤」
(やべでぐだざ……❤☠やべ……❤☠)
神に祈るような青年の心情を、高速回転ブラシが遮断した。
ギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュイイ イィィィィィィ~~~~~~~~~ンシャカシャカシャカシャカ シャカシャカシャカシャカ❤
びくっ❤☠びくびくっ❤☠
「潮噴きの空撃ち」とともに、尿道口が、地獄に落ちた咎人の口のように、大きく開き、閉じ、開き、閉じる。何も出ない。
(……❤☠)
心が修復不能なほど打ち負かされている。はっきりと惨敗を認めているのに、ブラシの運動は延々止まらない。
びくっ❤☠びくっ❤☠びくっ❤☠
長く苦しませ続けるという点では、単純にペニスを切断したり、縦に切り裂いたりするより、よっぽど辛い拷問かもしれない。
びく❤☠びくびく❤☠びくびく❤☠
それを、ただ洞窟に足を踏み入れただけの罪で味わわされる。どんな信心深い聖人でも、一瞬で神の存在が頭から消し飛ぶほどの理不尽な出来事が、青年の身に起きていた。
びくっ❤☠❤☠びくびくっ❤☠❤☠
「キャハハハハ❤撃つ度に『びくびくっ』って震えるから面白いわぁ~❤最高の玩具❤ほぉんと、幸運だったよねぇ❤今日洞窟に入って、退屈してるサキュバスに捕まって❤」
びくっ❤☠❤☠びくびくっ❤☠❤☠
永劫とも思えるような時間の後、ようやく悪魔のような四つのブラシが亀頭から離れた。
「はい、お疲れ様❤亀さんの頭、ピカピカになっちゃったね❤生まれて来た時より綺麗になったんじゃない?クスクス❤」
青年は体が麻痺しているということは関係なく、糸の切れた人形のようになっていた。心が粉々に破壊され、上、下、左、上もわからない。体が動かない分、内側に苦しみが籠り、どうしようもない状態になっている。
「さ、これで『説明』は終わり❤」
サキュバスはボロ雑巾状態の青年へ向けて、一目見ただけで誰もが恋に落ちるような屈託のない笑顔を下ろしていた。
「今の数分間、ず~っと潮吹きだけしてたから、精液はもう袋の中にパンパンの状態❤今の『一回』で、ルールはもうわかったよね❤」
「!?」
「この状態から、またさっきと同じ射精我慢ゲーム❤もし射精しちゃったら、勿論また、今と同じ回転ブラシのペナルティ❤今度はしっかり我慢できるかなぁ~?」
「!?!?!?」
サキュバスの言葉が信じられず、青年は口をパクパクとさせる。
目から涙が溢れる。今の壮絶な体験を、何度も!?!?
嫌だ!!嫌だ!!
許してほしい。許して!!許して!!
口を空虚に開閉させて、全身全霊をかけて目で訴える。
「大丈夫大丈夫❤耐えればいいんだから❤それじゃ、第二回戦、開始❤」
にっこりと笑いながら、サキュバスがまた「ゲーム」を始めた。
ウネウネウネウネウネウネウネ❤ギュルギュルギュルギュル❤
青年の口からため息が漏れた。始まった。うねり上げるような搾精口の蠕動運動。先程と同じ、余りにも耐えがたい圧倒的な快感だが、心理的には全く違う。 もし誘惑へ負けて射精してしまったら、「あれ」がまた始まる!!
「ひいいいぃぃぃぃぃ!!!!」
半歩足を踏み外せば、地獄へ落ちる綱渡り。
「ん、ん、ん、ん、ん、ん、んっ!!❤」
射精してしまうと、終わる。また「あれ」が待っている。瞼と口を極限まで噛みしめ、魂を込めて耐えようとする。
ギュルルルルルルルルル❤ザワザワザワザワザワザワ❤❤
「んはああああああぁぁぁっ!!❤」
思わず口を開き、感嘆の吐息を漏らしてしまう。複雑な起伏を持つ渦状の触手輪が、裏筋を無限に擦る。カリ首を甘くゾリゾリと擦りたてる。はっきりと射精へ追い立てている。訳知らぬ顔で誘っている。
オスを一切我慢させる気のない、狡猾なパイプ罠。螺旋状に奥へ奥へ促される。 「精液を出せ❤」「出せ❤」と。泣きたくなるほどしつこく。
「ねぇ、射精しちゃお❤」
サキュバスが耳元で甘く誘惑する。心からアドバイスを贈るような声音だった。囁き声が耳穴をくすぐる。
「凄いでしょ?❤奥へ奥へ引きずり込む肉の渦❤その動きに合わせて、ぴゅっぴゅ~って❤頭の中が蕩け出ちゃうくらい気持ちいいよ❤想像してみて❤濃厚なドロドロの液がぁ、射精の前も、射精の最中も、後も、牛の乳搾りみたいに、ぎゅるぎゅる搾り上げられる❤」
絶対にしてはならない想像が、頭とペニスに浮かんでくる。でも射精したら…… 射精したら――
「大丈夫だって❤射精した後のことは、また後で考えよ❤一瞬の気持ち良さのほうが大事❤」
「あっ❤あっ❤あっ❤」
触手の輪は先ほどよりも狭まり、より苛烈に陰茎を下から、上へ扱きたててくる。臆病風に吹かれたペニスから、しっかりと精液を強奪しようとしている。
「ほぉ~ら❤腰の力、抜いちゃえ❤気持ちよく射精させてもらえるよ?❤何も考えず❤従って❤奥へ向かって❤濃いの❤熱いの❤ほら…❤」
駄目、なのに――
「あぁ~~~~~❤」
びゅ~~~っ❤びゅっ❤びゅっ❤
濃厚な白濁を放出する。ぞりぞりとうねり上げる輪が、精液を陰茎から絞り出す。
びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅる❤❤
うねうねうねうねうねうねうねうね❤❤
「あ~~っ❤あっ❤あっ❤」
あまりの快感に声を上げる青年。誘惑に負けた者に与えられる報酬。束の間の甘美な快楽。濃厚な精液を、螺旋状の動きでにゅるにゅる搾り出される。まるで乳牛にでもなってしまったかのような気分だった。
「クスクス❤あ~あ❤」
フイイイィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーン❤
「あ、あ、あ、あ、あ……」
青年を絶望の淵へ引き戻したのは、穴の奥から聞こえてくる音。吹き付けられる風。射精後の陶酔感がさぁーっと引き、彫り深く脳に刻みつけられたトラウマが蘇る。
「……」
声も出せなかった。もう二度と味わいたくないと心の底から思った体験が、自分の考えなさのせいで、一分も経たずに再度わが身に降りかかろうとしている。
「クスクス❤当たり前でしょ?考えなしにびゅるびゅる射精しちゃったんだから❤しっかり代償は払わないとね❤私知ぃ~らないっと❤サキュバスが嗤う。さっき誘惑していたことは、素知らぬ顔だった。恨むなら自分の弱ぁ~い意志と、早漏チンポだけにしといて❤……それじゃ、スタート❤」
ギュイイイイィィイン❤☠ギュルギュルギュル❤☠
ブラシが亀頭に殺到する。べっとりと押し付けられる。
ギュルギュルギュルギュルシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ❤☠❤☠
亀頭を削り落して跡形も無くそうとしてくるような刺激。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
……ぴゅるっ❤☠びくっ❤☠びくびくっ❤☠
一分の間にほんの少しだけ尿が充填されており、一滴分だけ潮吹きできる。 しかし、あとは前と同じ。
空撃ち。
びくっ❤☠びくっ❤☠ひくひくっ❤☠ひくひくっ❤☠
空撃ち。空撃ち。空撃ち。空撃ち。天に向かう小さな穴が、拡大と縮小を一秒間に何度も繰り返す。何も出せない噴火。苦悶の咆哮を上げる亀頭に対して、まるで応援するかのように悪魔の回転ブラシが、火起こしもできそうな速度で擦りまくる。
ギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュル!❤❤
……びくびくっ❤☠
ギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュル!❤❤
……びくびくっ❤☠
悪魔の誘惑に乗ってしまった重罪人への神罰。死の亀頭研磨は何回も何回も与えられる。
……びくびくっ❤☠
……びくびくっ❤☠
……びくびくっ❤☠
……びくびくっ❤☠
……びくびくっ❤☠
シュイイイィィィィィン……❤
ようやく、ようやくブラシの回転が止まる。軽く五十回以上は空撃ちさせられた。
「お疲れ~❤それじゃ次は三回戦❤射精したらまた空撃ち地獄だよぉ~❤」
青年はショックのあまり失禁する。
ひくひくっ❤
しかし、尿が尽きているので尿道がひくついただけだった。
グチュルグチュルグチュルグチュルグチュルグチュル❤
絶望する青年を他所に、三回目の、蠕動運動による射精の誘惑が始まる。
「さぁ、三回戦の始まりです❤早漏雑魚チンポ選手はどれだけ耐えられるでしょうか❤相変わらずギュルギュルの搾り取り運動ですが、いくら何でももう懲りたでしょう❤亀頭ブラシが怖すぎて、泣きながら腰へびくびく力を込めて堪え ています❤これは期待できそうです!一体何時間……」
びゅうううぅぅぅぅ~~っ❤びゅるるるっ❤びゅっ❤びゅっ❤
「――九・八秒❤駄目だこりゃ❤話になりませんねぇ❤早撃ち大会か何かと勘違いしているんでしょうか❤もしそうであれば、トロフィーが贈られるところでしょうが……」
フイイイィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーン❤
「ハイ❤根性無しの早漏雑魚チンポ選手には、亀頭ブラシの責めがまた贈呈されまぁ~す❤……おぉっと❤早漏選手が嬉し涙を流しています❤感動のシーンです❤それでは、たっぷりとお楽しみください❤」
三十分後。最後の「空潮」が終わった後も名残を惜しむようにくっついてい たブラシがようやく離れた。
「ピピーッ!試合しゅうりょ~❤二十回戦やって、0勝二十敗❤早漏雑魚泣き虫チンポ選手の完敗でぇ~す❤でも、亀さんが綺麗綺麗になって良かったですねぇ~❤ピカピカのツルツルで、摩擦ゼロ❤滑って転ばないよう注意しないと❤」
青年は打ちひしがれた心の中で、怯え切っていた。本来であれば意識が耐えられず、気絶しているであろう刺激を何度も味わった。肉体を傷つけられているわけではないが、人間の行うどんな拷問より上の苦悶だった。
それを、平然とした様子でこのサキュバスは与えてくる。このサキュバスという魔物は、どんな残酷なことも、無意識に手慰みをする感覚で、行える。もちろん、「殺し」も。
つい一時間前までこの存在に対して感じていた可愛らしさや親しみやすさが吹き飛んでしまっている。出会ってから合計して数時間しか経っていないが、まるで赤子の時から成人するまで虐待をされた子供が、その相手を見るように、 人格にまで恐怖が深く刻まれてしまっていた。
「クスクス❤あーあー❤『こんな程度』でそんな怯えちゃってまぁ……❤大丈夫❤怖くないでちゅよぉ~❤まったく、精神がひ弱な奴の相手は大変だわ❤ そろそろあやしてあげますか❤」
ぐちゅうぅん……❤
肉が蠢き、また腔内の構造が変化した。螺旋から、比較的平坦な筒状に戻る。 少しだけ締め付けが緩まったような気がする。サキュバスが、青年以外の見る者全ての心を和らげるような、美しい微笑みを向けている。
「それじゃ、今から……」
「『天国の刺激』を与えてあげる❤」
「ひいぃぃぃぃ!?」
青年は条件反射的に悲鳴を上げてしまう。
「……あははは❤違うってば❤酷いなぁ❤これは反対語でからかってるとかじゃないって❤行くよぉ~?❤」
うねうねうねうねうねうねうね❤ざわざわざわざわ❤
「!?ぁっ~~~~~~~~❤」
陰茎に向かって、全方向の肉触手が一斉に波打った。風が吹き渡った平原のように。おぞましさはあるが、これまでの感覚とは決定的に違う。
これまでがまるで羅刹の責め苦とするならば、今は楽園の女官たちから歓待を受けているかのような心地だった。粘液がシロップのように絡んだ数万の触手が、甘く妖艶にざわめく。善行を積んだ男を導いている。天上へ。青年が今寝転がっているのは暗く冷たい洞窟のはずだが、全く異界の花園が目の前に広がる。
うぞうぞうぞうぞうぞうぞうぞ❤ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤
「ぁっ❤ぁっ❤」
さっきまでの悪魔の肉器と同じ場所とはとても思えない。思わず声が漏れる。 刺激が緩いからこそ、肉ヒダひとつとつの動きを繊細に感じ取ることができる。 溶かされている。陰茎の表面が。直径が一ミリ、二ミリと減って いっている。それでも、感触自体は凄まじいので射精を一切堪えることはできない。
ぴゅうぅ~~~っ❤ぴゅうぅ~~~~っ❤
とろけるような特濃ミルクの放出。先程までの、無理矢理、意識ごと扱きとられるような射精とは違う。長く、脳から分泌液が漏れ出そうなほどの甘い感覚だった。こんな射精はこれまで生きて来た中で味わったことがなかった。
「どう?おちんちん溶けちゃうみたいでしょ?❤これが『天国の刺激』❤サキュバスの吸精口はこんなこともできるの❤」
「強引に精液を搾り取るだけが能じゃないってこと❤咥え込んだおちんちんには何でもできるって言ったでしょ?❤責めを与えることもできれば、その逆も可能❤こんな風に、オスに延々天国を見せながら漏らさせ続けることもできるってわけ❤このパターンだと、夢心地のまま射精し続けて、気づいた時には もう手遅れ❤たくさん泣いた早漏チンポ、しばらく慰めてあげるから、たっぷ り甘えていいよ?❤」
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤❤
「ぁっ~~~~~~~~~~~~~~~ん❤」
射精後に内部がまた甘美な流動を始める。泡立つほどにぐちゅぐちゅと複雑に擦り立てられる。千体の天使が一斉に行う按摩。心地良すぎて、涙まで流れてくる。
「ほらほら❤気持ちいいでしょ?好きな時に、好きなだけ射精していいからね❤……まぁ、しっかりと精気はいただくけどね❤」
男に我慢をさせない、さっきまでの責め苦とは違う。我慢する気にさせない刺激。神聖さすら感じる竿誘いの刺激に――再び、昇天してしまうような射精が始まる。
ぴゅうぅ~っ❤ぴゅっ❤ぴゅっ❤
極上だった。生まれて来たことに感謝する。
「くすくす❤それじゃ、もぉ~っとメロメロになれるよう、『おまじない』をかけてあげる❤」
にゅっ❤
「!?」
何かの気配を感じる。
「うぁっ……!?うあぁぁぁっ!?」
先程ブラシで滅茶苦茶に虐待された記憶がよみがえり、青年の思考が凍結した。
「あはははは❤さっきのブラシじゃないよ❤ビビりすぎ❤安心して❤これはもっと素敵なものだから❤」
ちゅうぅぅ~~~❤
「!?!?!?!?❤❤」
頭の中にショッキングピンクのフラッシュが焚かれた。亀頭に何か、小さな、しっとりと弾力のある、プルプルとしたものが吸着している。熱烈に。
ぴゅっ❤
暴発。忘我していたため、脈動が終わった後に射精したと気づいた。
「はいはい❤早漏なのはもうわかったから❤今、キスされてるのわかる?さっき私としたのがファーストキスなら、今のこれがセカンドキスだね❤」
うううぅぅぅぅ~~~~っ……っぽんっ❤
左側の亀頭にキスしていた唇が離れた。すると……。
ぢゅっ❤
交代で、右側の亀頭にまた小さな唇が降って来た。
「はぁうっ!!❤」
怖気がするほど艶めかしく、粘度の高いキス。
ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤
今度は三か所同時に吸い付いてきた。三倍の衝撃。
びゅっ❤
耐えかねるように射精。
ぢゅっ❤ぢゅっ❤
「あ、あ、あああああぁぁぁぁぁ~~~~~❤」
乱れ撃ち。亀頭一面にキスの嵐。
「アハハハ❤モテモテだね❤よっ❤色男❤」
一瞬のうちに、キスされていない余白は一つもなくなる。
ぴゅっ❤ぴゅっ❤
射精してもお構いなし。幻滅したりなどしない。情熱的な、愛情たっぷりのスコール。
ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤ぢゅっ❤
粘着質な「キス」が、しとしとと降りしきる。
「お~~~~~~~~~~~❤」
お仕置きブラシの時の泣き叫ぶような刺激ではないが、代わりに一生消えない刻印をいくつも押されるかのような心地がする。
ぴゅっ❤ぴゅっ❤ぴゅっ❤ぴゅっ❤
括約筋が崩落するように何度も射精する。その時間がたっぷりと、十分余り続き、
ぢゅうううぅぅぅぅぅぅ~~~~~っっ……っぽんっ❤
名残を惜しむかのように一際凄まじい吸引を一斉に浴びせられた後、唇が離れた。
「ぁひ……❤ぁひぁ……❤」
「アハハハ❤すごぉ~い❤百人の愛人と一夜を過ごしたプレイボーイみたいな亀頭になっちゃってるよ❤」
青年は見ることはできないが、亀頭にびっしりとキスマークが残ってしまっている。
「しかもね、今のは全部『魔法のキス』なんだよ❤じゃあ再開するね❤」
ウネウネウネウネウネウネウネグチュグチュグチュグチュ❤❤
再度、甘くとろかすような「ざわめき」が始まる。しかも、先程までとは様子が違った。
「う、あっ!?う、あぇあ!?うぁあ~~~~~~~❤❤」
全く抑制がきかない。ペニスに何の力も入らない。全ての筋肉がほぐれてしまったかのように、緩々の状態だ。
人間の身体はどこの部位も、無意識下で緊張を行っている。指一本であっても、筋繊維の全てを百パーセント緩めさせ、外の刺激に対して無防備にすることは至難の業だ。
しかし、それが青年の陰茎で強制的に引き起こされている。恐らく、先ほどのキスの影響だ。今のペニスで、先ほどの天国のような揉み洗いを受けるのは、あ まりにも壮絶だった。一切力みが無く、無意識の状態に刺激が加わると、指先でちょこんと突いただけでも全身がびくっと跳ねてしまう。そして今は、当然それどころの刺激ではない。
びゅっ❤びゅるるるるる❤びゅっびゅっびゅ❤
「ぁ~~~~~❤」
射精の感触もこれまでとは違っていた。何も堪えることができない。甘く、腰の奥から何もかも全てが漏れ出るような射精。それは下半身全体がとろけ崩れてしまうような、甘美な感触をもたらした。
ウネウネウネウネウネウネウネグチュグチュグチュグチュ❤❤
また、ペニスを芯まで融解させてしまうような蠢きが始まる。
「クスクス❤さっき、あんたの亀頭に浴びせたキスにはねぇ、『魅了』の魔力がこもってたの❤」
「言ってみれば、生き物に対して強制的に『恋』をさせる力❤それも強力なやつをね❤ ほら、恋は盲目って言うじゃない?これを受けたら、相手に一切抵抗できない❤体の動きが抜けきって、相手に体の全てを差し出しちゃう❤ 人魚の歌やら、アルラウネの芳香やら、上位サキュバスのキスやら、全てこの魔力が籠ってる。
吸血鬼なんかは見ただけで『魅了』させられるんだからズルいよ ね~。私たち下位のサキュバスだと、せいぜいこうやって、一番魔力の込めやすい吸精口の中で、しかも脳じゃなく、ペニス単体にしかしっかり魅了をかけられない。 ほんと、我ながら悲しい限りだわ」
「でも、どう?『強制的に限界まで脱力させられる』って感覚❤おちんちんを何の強張りもない、純粋無垢で無防備な状態にしてあげて、そこへ天国の搾精運動を与えると……❤」
ぐじゅぐじゅぐじゅ❤ぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅ❤
「お、おおおぉぉ~~~~~~~~~~~~❤」
脱力し、熟れた果実のように軟らかくなったペニス。そこへ、たっぷり蜜が与えられ、煮詰められ、練り溶かしてジャムに作り変えてくるかのような感触が与えられる。体の中で最も快感に弱い器官が、甘やかされ、溶かされる。それは、思わず感涙してしまうほどの感覚だった。
ぴゅっ❤ぴゅっ❤
先端から迸る精液が、涙のようにも思えてくる。この快楽を得るためなら魂すら売り渡してしまう。
「クスクス❤楽しんでくれて嬉しい❤でも、どうしてこういうことしてるかわかる?さっきまで酷いことしてたのに❤」
「この天国みたいな快楽の『甘味』が、後の地獄みたいな搾精の辛さをより一層引き立てるの❤感覚っていうのは相対的なもの。苦痛しか知らず、ずぅ~っと延々苦痛が続くだけだったら、心が身構えた状態で硬直してしまう。
でも、ほんの僅かでも、とっても気持ちいい快楽が味わえる可能性があると知ってしまったら……❤次の搾精が始まる前に、どうしても心が期待してしまう❤どんなに可能性が薄くても、願ってしまう❤『もしかしたら、次はあの甘い快楽が受けられるかもしれない』って❤そこに、「残念でした~❤」と襲い掛かってくる凶悪な刺激❤この振り幅がポイントなの❤アメが甘ければ甘いほど、ムチを無防備に受けて、大絶叫❤」
語り口と中の動きとで、やはりこの自分の上に腰を乗せるサキュバスが、人間を虐め殺すプロフェッショナルであることがわかる。
ぴゅっ❤ぴゅっ❤
頭は恐怖、ペニスは恍惚という状態で、そのまま射精する。全く言う事を聞かない。完全に、サキュバスの肉筒が与えてくれる束の間の悦楽に酔いしれ、「下準備」されていってしまっている。
「もっともっと、頭の中も視界も全部濃厚ピンク色になっちゃうくらい、後押ししてあげる❤たぁ~っくさん『思い出』、作ろうね❤」
「ほらぁ❤一切我慢しちゃだめ❤トロトロ射精の感覚に、全神経集中して❤ 出して❤出してぇ❤」
脳に甘い振動が伝わって、身動きがとれなくなるような声。聞き覚えがある声だった。この小部屋へ連れて来られる際、ふらふらと体が勝手に歩いた時に、聞かされた声と同じものだった同じように、体が声に従ってしまう。
「一切我慢しちゃだめ」という命令を順守してしまい、体中が脱力して――
びゅううううぅぅぅぅっ❤どろどろ❤どろどろどろ❤
その射精は、今まで味わったことのない、一際粘着質で、濃厚な一発となった。 サキュバスの言葉通り、全神経が射精に集中する。目利きの指先が逸品の全てを読み取るように、ペニスが射精の、精子一匹の泳ぎ方に至るまで、事細かに味わい尽くし、堪能してしまう。
「ぁ……❤」
青年は言葉を失くし、あまりの快感に呆然とする。
「クスクス❤『魅了』されると心が無防備になって、無意識に『お願い』へ従っちゃうの❤ ここに来る時にも味わったでしょ?あれはただのキスだから、 魔力が弱くて、錯乱させる毒と組み合わせないと効果が無いけど。強力な魔物だと、『お願い』しただけで自分で自分の首を絞めさせて殺すこともできちゃうくらい❤じゃ、もうしばらくの間、この魔性の快楽を頭に刻み付けよっか❤ これから先、どんな辛い搾精を受けても、『もしかしたら次は……❤』って頭をよぎるくらいに❤」
サキュバスの宣言とともに、めくるめく時間が始まった。何もかもどろどろにされるような粘っこい歓喜の感覚を、延々受け取らされ続ける。
びゅうううぅぅぅ❤びゅっびゅっびゅ❤びゅるるる❤
精管の裏側は、ずぅっとホットチョコレートが通り抜けているかのように甘くとろけている。声も出ない。吐く息は全て感嘆のため息として出て行く。
びゅるるるるるるっ❤びゅっびゅ❤びゅるるる❤
この感触を受け取るためなら、何もかも捧げてしまう。これ以上に大事な物など無い。青年の顔は、度重なる昇天の感覚による嬉し涙でびしょびしょになっていた。
ぴゅうぅぅっ❤びゅっびゅ❤どろどろ……❤
「それじゃ、そろそろ終わろっか❤『キス』の魔力も、完全に中に染みこんじゃった❤」
度重なる雲上の快楽を沁み込まされた後、中の蠢きが収まった。
「どう?たくさん良い思い出を作れたかな?❤」
「……❤」
「頭トロけすぎちゃって喋れないか❤じゃあ、別の刺激に移ろっか❤次は、どんな天国を味わわされるのかなぁ~?❤じゃあ……❤」
グチュルグチュルグジュグジュグジュグジュグジュグジュ❤
触手輪が蠢き、中に何か、ねっとりとした、粘っこい液体が満ちる。そして……
ワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャ❤❤
「!?い、い、い、い、い、いぎ、い、いぃぃぃぃ!!❤」
側面の、様々な感触の触手先端が、ゴシゴシとブラシのようにペニスを激しく擦り立てて来た。摩擦熱で陰茎が温かくなる。しかも、もう、蕩けるような感覚は一切無い。嬲られていた時と同じ、おぞましい感触で肉筒の中が満ち満ちている。
「あ。ごめんごめーん❤サービスタイムはもう終わりだから❤ここからは、前と同じ虐めタイムね❤だってさぁ、私の吸精口、動きのバリエーションが、天国一、地獄九十九くらいの割合だから、全部紹介しようとすると、必然的に 『地獄』ばっかりになっちゃうんだよねぇ❤」
「これはチンポ洗いの地獄❤お客様❤お痒い所はございませんかぁ~?❤」
ワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャ❤❤
粘っこい粘液が、触手先端と絡まりあい、石鹸のように粘液が泡立っている。 数えきれないほどの種類のヌルヌルの摩擦運動がペニス前面へ惜し気もなく与えられる。
「ぃぃぃぃ~~~~~!?!?!?!!❤」
青年の頭の中から一切の思考が消失する。
「私の吸精口の、分泌液の成分も、込められた魔力も、気分によって思いのまま❤これは、ペニス洗いのための『ネバネバ石鹸』❤泡立ち易くて、 おちんちんから汚れも、耐えようとする意志も、ごっそり洗い落としちゃうお掃除の味方❤……一つだけ忠告しといてあげるね?❤今、この状態で射精したら、絶対にダメ❤だって今、『洗って』るんだから❤さもないと――」
びゅうううううぅぅぅぅ~~~~~❤びゅるるるるる❤
サキュバスが言い終わる前にたっぷりと射精してしまう。
「くすくす……❤大丈夫だと思うけど、もし射精なんてしたら……❤」
中の動きが最悪の変化を遂げる。
ワシワシワシワシ!❤ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤ぐっちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤❤
「おへおおおぉぉおおおぉぉおおおぉぉおおおお~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~!?!?!?❤❤」
どんなガンコ汚れでもたちどころに落してしまうほどの、激しく、丹念な揉み洗いを、複雑に回転されながら行われる。
「ハイパワーモードで、汚れどころかおちんちん丸ごと洗い落とされるれるレベルで滅茶苦茶にされちゃう❤ しかも、今の分泌液は、男の精液と反応して、よ りネバネバの、ヌチュヌチュの、凄まじい感触になって、魔力も増大するの❤射精すればするほどとんでもないことになるトラップ洗剤❤本当に注意して❤絶対射精したらダメだから❤」
中で起きていることは一切気づかないフリをして、サキュバスが 助言を行う。 サキュバスの言う通り、ペニスに纏わりつく粘液が、青年の精液と混ざり合って化学反応を起こし、皮膚から沁み込んで気を失いかねない劇物になってしまっている。
「おごおおぉぉぉ~~~~~~~~~~~~~~~❤❤」
ゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ❤❤グチュグチュグチュグチュ グチュ❤❤ゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ❤❤
びゅうううぅぅぅぅ~~~~~~~~❤❤びゅるるるるるるる るるる❤❤
ごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅご しゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅごしゅ❤❤
射精すればするほど凄まじい心地になっていく泡でペニスを洗われる。亀頭。カリ首。竿の表側、裏側。全部徹底的に。尿道穴の縁から陰毛の生え際まで。
「~~~~~~~~~~~~~~~~❤❤」
青年は口からまでも泡を吹いてしまいそうだった。
「あ。そうそう。もう一つ❤絶対に、オシッコなんて漏らしたらダメだからね❤精液と分泌液と反応して、これよりさらに酷く、本当に物凄いことになっちゃうから❤」
ジョロジョロジョロジョロジョロジョロ……❤
モチュモチュモチュモチュモチュモチュモチュ❤❤
「――❤☠❤☠❤」
「まぁ……大丈夫とは思うけど❤」
その後も様々な「責め苦」を味わわされた。
「ほぉ~ら❤『タコ足地獄』❤」
ウネウネウネ❤ キュポッ❤ キュポッ❤
「吸盤でおちんちん捕まえられちゃった❤ほらほらぁ❤早く逃げな いと、あと三秒で、吸盤でたっぷりキュポキュポされながら、おちんちんウネウネ搾り取られ続ける、『タコの踊り喰い』が始まっちゃうよぉ~?❤」
「装着完了❤ 呪いの『カリ首リング』❤すっごいでしょ?魔力を集中させたヒダリングをカリ首へセット❤男泣かせのエ ンゲージリング❤」
ウネウネウネウネウネウネウネ❤❤ゾリゾリゾリゾリゾリゾリ❤❤
びゅっびゅううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ❤
「ヒダが細かくウネってカリの溝だけを集中攻撃❤射精を十秒以上我慢できないと一生外れないからね❤早くしないとカリ首がクレバスくらい深くなっちゃう❤頑張って❤ダーリン❤」
その後も、延々続く、多種多様な肉棒拷問。極小の舌で丹念に舐め尽くされるような「ベロベロ祭り」。ペニスを延々咀嚼される「ヒダもぐもぐ」。意識を吸い込まれるような「真空バキューム」。射精したら「空潮」を噴かされる先ほどと同様のゲームも三回挟 まれた。そして何度も期待するような目を向けたが、もう二度とあの甘やかすような天国の責めは味わわせて貰えなかった。次々に新しい責めを与えられながら、射精、射精、射精……
「はぁい❤それじゃあ、探検ツアー終了ー❤」
ようやく、肉穴の蠢きが終わった。
「どうだったぁ~?❤楽しめたかな?❤」
「…… ❤☠」
ひくっ❤☠ひくひくっ❤☠
青年はただただ、何も出なくなった陰茎の、ヒクつきでのみ答えた。
「アハハハハハ❤思い知ったみたいだね❤魔物の怖さ❤」
サキュバスの穴の奥には、たっぷりと、青年が放った精液が溜まっている。 青年の悲鳴と、苦しみと、涙が大量に溶けた苦悶の証。
「クスクス❤何種類試せたかな?五十種類くらい?どれが一番キツかった?悲鳴の感じからすると、やっぱりシンプルに、最後にやった、『おちんちん処刑』かな?❤中を激しく動かしながら奥へ奥へうねりあげて❤精液に失禁した尿が混ざってたもんね~❤」
シュ~~~~❤
話の合間に、酸で何かが溶けるような音がしながら、また青年の放った精液が全て「消化」された。
「……さて、そろそろ実感が湧いてきた頃かな?」
サキュバスが何のことを言っているか、青年には伝わった。数百回以上射精して、はっきりと、体に変化が現れていた。体が麻痺していることとは関係なく、力が入らない。体の芯にへ ばりついたような疲労感、倦怠感のようなものがある。また、少しだけ体重が軽くなった。自分の体の中身が減ったような、不気味な感覚があった。
自分の身体を怯えながら見つめる。肌にハリがない。血色も減って、まるで何かの病気のようだ。普段自分の体を見慣れている青年にとっては、強烈な不安を呼び起こさせた。こんなスピードで自分の身体の様子が変化していくことなど、これまで一度も無かった。
「アハハハ❤そうそう❤『その顔』が見たかったの❤ノコノコ一人で『ダンジョン』に来るような奴だもん。言葉で説明されただけじゃイマイチ理解できていなかったけど、今ようやく実感できてきたでしょう?今の時間で射精したのは、まだ全体の十分の一にも達してない。でも、これからコツコツ、時間をかけて精気を奪われていく❤どんどん力が抜けて、やせ細っていって……❤」
「最期は、『枯れ』て終わり❤ 肉も、血も、水分も無いミイラ状の死体❤そうなるのが、あとたった八時間後❤いくら体が弱って、ヨボヨボになっちゃっても、意識だけははっきりしてるから、後悔と死への恐怖だけは色鮮やかに楽しめるよ❤」
「つまりね?たくさん回りくどい説明して、体験までさせたけど、そういうことなの❤脳でしっかり噛みしめて❤お前はそうやって、ミイラみたいになって、ここで死ぬの❤あと八時間後❤今が大体夜七時頃だから、丁度朝日も昇らない 午前三時くらいには、この世にいない❤誰の目にも触れない洞窟で、おちんちんいっぱい虐められて❤サキュバスに食べられて❤死体になって終わり❤」
呼吸ができない。青年の脳がある意味ここで、初めて目覚める。ありとある生物は、「それ」を思考から遠ざけて日常を送っている。今はそれが目の前、吐息がふきかかるほどの距離まで近づいている。体の芯の芯から、ガタガタと震えが起こる。筋肉ではなく、骨の髄が震えている。どうやっても止めようがない。青年の身体の奥から、湧き上がる。それがそのまま口から外へ出て行く。
「だっ!だずげっ!!!!ゆるっ!許じで、え、え、え!!!死、にだぐ、 な、い、い、い、い!!!」
声だけではない。涙にも、鼻水にも変わって出て行く。
「何で、もっ!!何でもじまずうううぅぅ!! もうごごっ!!ごごには来まぜんんんんんん!!!お願いじまずううぅぅぅ!!!!」
「あはは❤いいよー」
「!?!?!?!?!?」
青年は耳を疑った。この絶対的、絶望的状況から――
「ただし、勿論条件付きねー❤私の巣穴まで入ってきて、私の食事にならずに出て行くとしたら、ちゃんと礼節を持って、『別れの言葉』を言ってもらわないと❤『ごめんなさい。もうここへは二度と来ません。さようなら』。私が『スタート』って言ってから、この言葉を、一文字も違わず、はっきりと、最後まで言い切ることができたら、解放してあげる❤おうちに帰れるよ❤ただし――」
「ちゃんと心からの『誠意』が籠ってるかどうか……私の『ここ』で、チェックしてあげる❤」
トントン、とサキュバスが、指で自らの下腹部を指し示す。丁度青年の陰茎が収まっている、肉穴の位置。青年の顔から血の気が引く。つまりそれは――
「わかった?これはお前の心の強さを測る、最後のゲーム❤私がこの穴で『妨害』する中で、さっき伝えた謝罪の言葉を最後まで、はっきり言い切れるかどうかってこと❤お前の人生のラストチャンス❤成功すれば奇跡の生還❤失敗すれば……この洞窟の奥で、悲劇のミイラ化❤世紀の大一番だね❤」
「ひっ!ひっ!ひっ!ひっ!」
恐怖と緊張で青年は過呼吸になる。さっきまでの地獄の刺激を考えると、『ごめんなさい。もうここへは二度と来ません。さようなら』。たったこれだけの短い文章でも、はっきり喋り切ることは困難極まりない。成功の確率は百に一つ程度だと思った。
しかし、挑まなくてはならない。挑まずにはいられない。そうしないと、終わる。こんな小さな、誰の目にもつかない洞穴の底で、「終わり」が訪れる――
「――でも、ほんとラッキーだよねぇ❤さっきも言ったけど、おちんちんが小さすぎて、奥の半分に届いてない❤」
「自分の幸運、わかってる?お前の小さいペニスじゃ届かないその先は、本当に最悪の、男にとって悪夢みたいな場所❤」
サキュバスの冷たい声と、奥の冷たい気配で、陰茎が縮み上がる。
「『死にたくない』って人間の強烈な生存本能をバキバキにへし折るための、怪物的な搾精機能がいくつもいくつも待ち受けてる❤もしおちんちんが奥まで挿入っちゃってたら、万に一つも生還の可能性は無いと思うよ?❤だから――」
「ちゃぁんと奥まで招待してあげるねぇ❤」
「あ……うえっ?」
しゅるしゅるしゅる……❤
ぴたっ❤
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃ❤❤」
青年は金切声で叫んだ。奥で感じていた、凍えるような闇の気配の中へ――
自らの陰茎の上半分が今、とっぷりと浸かってしまっている。脳の核が警報を鳴らし、頭の中がガンガンする。
「一秒でも早くここから逃げろ」
「さもないと、恐ろしい事態が待っている」。
「ひっっ!!ひいいいいいいいいいいいぃぃぃいいい~~~~!!!」
弱々しく腰を揺すっても、どうにもならない。みっちりと咥え込まれ、逃れようがない。青年の心は恐怖で凍えている。こんな精神状態の中……
「それじゃ、最後のチャンスを始めまぁ~す❤いい?❤『ごめんなさい。もうここへは二度と来ません。さようなら』だ からね?言えないと、いつまでもずぅ~っと、この部屋に居たいってことだと思うから❤」
「ひっ!!」
「これからするのは、この吸精口全体を使った、本気の捕食の動き❤今までみたいななまっちょろい、手加減した動作じゃなく、人間のオスとして、ペニスを持って生まれてきたことを、心の底から後悔するような刺激❤」
信じられない。青年は愕然とした。あのとんでもない、人間の意志の力をいとも簡単にへし折るような刺激の数々の、さらに上……?全身くまなく全ての箇所に寒気が走る。背中にも、指先にも、ペニスにも。
「アハハハハ❤そんなビビらなくていいって❤ちゃんと『早漏ハンデ』つけてあげるから❤ゲームオーバーは『三十回射精した時』❤どう?これだけ猶予をつけてあげたら、たった一回、『ごめん なさい。もうここへは二度と来ません。さようなら』くらいだったら、言えそうだと思わない?私って、優し~❤」
青年の恐怖と緊張が人生で最大となる。どちらにせよ、選択肢は無い。青年はもう、無我夢中だった。ここで失敗したら、あとはもう無慈悲に嬲り殺されるだけ。自分はいつも、楽な方へと逃げ続けていた。だが今日、この時ばかりは、自分の全てを賭けて耐えなければならない。
三十回。
「それじゃ、スタート❤」
肛門の内側の筋肉に全てのエネルギーを込め、急いで言葉を口から出す。
「ご……」
グジュルジュルグジュルジュルニュルニュル❤❤
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!!!?❤❤❤❤」
ペニスが見る悪夢
「お、おお、おお、おお、おおおぉ~~~ん❤❤おおぉ~~~ん❤おおぉ~~~ん❤」
青年は啼くしかなかった。ミミズのるつぼ。肉リング。タコ触手。これまで一対一でも叩きのめされていた強敵ばかり。それらが全員仲良く、これまでより遥かに活発に、食欲旺盛に、陰茎へ破壊活動を行って来る。さらに、奥。肉穴の後半部分が本当に、凄まじい。凄まじすぎる。
「お、お、おぉ~~~~~~ん❤☠お、おぉ~~~ん❤☠」
最悪の心地がする触手の首輪が巻かれ、逃げることができず、首のその隙間から入り込んで、ウジュウジュと親玉のようなミミズたちが蠢きまくっている。 先の部屋の空気は絶望してしまうほど冷たく、小さな口のようなものが一杯についていて、それらが逃げ場の無いペニスへ魂を吸う口づけをしてくる。
それらは刺激のごく一部で、後は入れ替わり立ち替わり、わけのわからない肉器械が交代で襲ってきて、カリ首や亀頭の空いた所を虐め殺そうとしてくる。 そんなところに、ペニスの先端部分と言う最大の弱点を囚われている、一個の男性としてこれ以上は無い不幸。
(死……❤死、ぬ……❤ご、れ……❤おぢ、んぢ、ん……❤死、んじゃ、う……❤☠❤☠)
それは紛れもない「食事」だった。愛の営みでは当然無いし、獲物を仕留める類のものでもない。先程までの、弱い刺激でいたぶるだけの「遊び」とも違う。 「食べ物」を持ち上げ、一切の有無を言わせず噛み砕き、飲み干し、栄養補給する。
青年にはもはや、何が起きているか全てを知覚することが叶わない。射精を「耐える」という次元ではない。食べ物が、食べられることを我慢できるわけがない。それほどの現象が起きていた。有り得ない。たった三秒かそこらの刺激に、一人の人間の生存本能が完全敗北し、全てを差し出すような射精が起きる。
ビュルッ……❤
精液の頭が鈴口から出てくる。その瞬間、青年は何故か本能的に、大きな後悔を覚えた。亀頭の奥に正体不明の不吉な存在の気配と、「吐息」を感じる。
ぎゅるっ!ぐぱっ❤
あ~~~ん❤
かぷっ❤
「えっ!?」
ぢゅうううぅぅぅぅぅ~~~~ぢゅるぢゅるぢゅるぢゅるぢゅる~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ❤❤
「ひぎいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~!!??!?! ❤」
青年は知った。最悪の先に、さらに最悪の世界があることを。凄まじい感触の肉の帽子が亀頭全体に覆いかぶさって、意識も、恐怖も、記憶も、精液も、全て吸い尽くそうとしているかのような、絶望的な吸引を浴びせてきた。濃厚で、ちょっとやそっとじゃ体外へ放出しきれない精液が、一瞬で体外へ吸い出される。精液が全て吸われ尽くしても、吸引が止むことはなかった。
「あぎあああああ!!❤あああああああああああああ!!❤」
青年は首をぶんぶんと振る。
ずぢちゅうううううううううううううぅぅぅううぅうぅぅぅぅぅ~~~~~~!!!❤
密閉されたサキュバスの肉洞内から、それでもはっきりと聞こえるほどの、凄まじい吸引音。一度聞いたら一生耳から離れないと確信する。
「あはははは❤下品でごめんね~❤『奥の口』は、一旦食らいついたら、精液と精子を吸い尽くすまで、どれだけ引っ張っても離れないの❤吸精口の、一番本質が出ている部分❤お腹がペッコペコの、魔獣の口❤」
ずちゅるるるるるる❤じゅるるるるるるるるるる❤
いつまでも亀頭から離れない。多分青年の全体重を宙吊りにできるほどの張力がある。
「いい加減しつこいって?❤まぁまぁ、そう言わないで❤人間だって、するでしょ?お行儀は良くないけど、いつまでも口の中に残った種を舐めたり、肉のついてない骨をしゃぶったり❤ほら、もしかしたら、尿道の隅の方へ精子が一匹隠れてるかもしれないでしょ?❤」
すっかり真空になり、水気の無くなった尿道の中を延々吸われる。泣きながら訴えたくなる。精子の全長がごく僅かしかないといっても、こんな吸引を前に尿道壁へしがみついていられる物体はこの世に存在しない。
じゅるるるるるるるるるる……❤
……❤
精液が出なくなり、吸引が終わっても、奥の器官は陰茎の先端にへばりついたままだ。
「一回目の射精、残念でしたぁ~❤でもまだ、チャンスはあと二十九回もあるよ?❤」
サキュバスの囃すような声で『挑戦中』だったことに立ち戻る。しかし、口に出そうとした言葉をあえなく寸断され、一旦休止中の今ですら、壮絶な残響を前に何の言葉も出すことができないほどだった。
「まさか…… った一回で降参するわけないよねぇ?❤いや、別に私はいいんだけど……もしこのまま射精し続けて、負けちゃったら……」
「あとはもう、何時間も続く、容赦完全ゼロの『お食事タイム❤』今みたいに手加減した、お上品な『口転がし』じゃなく、魔力全開でお下品な『むしゃむしゃ』が始まる❤おちんちんで味わうこの世の地獄❤空っぽになるまで、どんなに泣いても、命乞いしても、絶対に許してあげない❤」
「……」
サキュバスの言葉も、相貌も、弱りきった青年の心では受け止めきれない
「ほら❤あと29回❤それまでに頑張って❤男見せて❤」
「死」と、この後に待っているものへの恐怖で、青年は辛うじて身を立て直す。しかし、心は怯え切ったままだ。ガタガタ震えながら口を開く。
「『ご、ごべん˝ な』……」
ぐじゅるぐじゅるぐじゅるぐじゅるぐじゅるぐじゅるぐじゅる❤
ミミズが、タコ足が、イボイボが、肉の指輪が、何億層もの肉ヒダが、直径2センチほどの柱を、肉の一片も残さず溶かし尽くさんとザワザワうねる。
「ご、ごんなのっ❤むりいいいいぃぃぃぃぃぃ~~~~~っ❤」
びゅ~っ❤びゅっ❤
「はい二発目❤……早っ❤」
ぢゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる~~~~っ❤
ほぼ射精と同時に、待ってましたといわんばかりに、また恐ろしい吸引が始まる。
ずびびびびびびびび❤ずるずるずる❤じゅるるるるるる❤
「ああああああああでえええええええええ(吸わないでえ えぇぇぇぇぇ❤)」
「ぷっ❤何言ってんのかわかんねーよ❤射精してるっていうことは、『僕の負けです❤吸い殺してくださぁーい❤』って言ってるのかな?」
「ほらほらぁ❤どうすんの?❤」
呆れたようにサキュバスが言う。
「このまま行くと、死後の世界直行コースだよぉ~?今まで暗くて、よくわかんなかったでしょ?右、見てみ?」
青年は残った『魅了』の効果と、言い知れない嫌な予感から、首をぐるんと横へ向かせる。
「ひいいいいぃぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~~~~~!!」
暗さに目が慣れ、自分の横に積んであるものが何か、ようやくわ かった。人骨だ。多分、自分と同じようにこの部屋の中へ、囚われてしまった者たちの――
もう名前も、顔もわからない。縁もゆかりもない洞窟の奥に積み重ねられ、二度と光の下へ出ることも無い。青年はもう何も判別不能になった。寒いのか暑いのか。上を向いているのか下を向いているのか。
ようやく青年は全て理解した。我慢しないと、全てが終わる。自分という存在が試される時間。それがとうとうやって来たのだ。
「ご……」
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤❤
「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!❤」
搾精腔の中が、何万人の意志を同時に圧し折るような動作で青年へ思い知らせてくる。圧倒的な格の違いを。複雑怪奇で、縦横無尽で、強力無比な運動が延々続く。
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤
聞いただけで、内部で行われている残酷な行いが想像されるような音が、実際に行われている青年の耳に届く。そして、実際は想像をさらに上回っている。
「ううああああ❤うあああああああ❤」
ペニスが絶望しているのが伝わってくる。こんな肉穴へ挿入るのではなかった。助けてほしいと啼いている。
びゅる~っ❤びゅっびゅっびゅ❤びゅるるるるるる❤
「全然言えてないじゃん❤もうちょっと頑張ったら?❤」
亀頭を奥の吸引口で吸われながら、呆れた声をかけれられる。無理だ。受けているのは快楽という種類だが、大きさで言えばペニスへ山が一つ落ちてくるのと同じくらい強大な刺激だ。
「う~ん。今の動きと相性悪いのかな?じゃあ、少し変化をつけてあげるね❤」
動きの種類が変化した。今までは縦に擦り立てるような刺激だったが……
グッチュグッチュグッチュグッチュ❤グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチ❤❤
横に、肉の渦が巻き起こる。時計回り、反時計回り、螺旋状の動き。多種多様な方向、速度、力が複雑に盛り込まれている。快楽のミキサー。
「うわああああああああああああああああああああああ!!❤」
青年は巨大な遠心分離器にかけられているような声を出す。意識が分解される。ペニスが消滅する。幻肢痛のように、圧倒的な快楽だけを延々受け取らされる。何が実際で、何が幻覚なのかわからない。
びゅる~っ❤びゅっ❤びゅっ❤びゅっ❤
散々弄ばれ、また射精。
「あ~あ❤ダメだこりゃ❤」
ジュルルルルルルルルルルルル~~~~ッ❤
魂ごと吸引されるかのような吸い付きがまた亀頭に浴びせられる。
「……」
「……なんか、飽きちゃったかも」
「!?」
今までとは異なる温度の、サキュバスの呟きだった。
「だってお前、全然耐えられてねぇじゃん?これでもさぁ、私、ものすんごく手加減してるんだけど……もうちょっと、勝てそうで勝てないギリギリのところで、必死に助かろうとする姿を見せてくんない?根性無しすぎて嫌な予感したけど、全体を咥えこんだ状態じゃ、最弱レベルの手加減でも無理か…………」
「……それじゃ、路線変更しますかぁ❤クスクス❤ここで一つ提案があるんだけどぉ……❤」
サキュバスが顔を近づけ、至近距離で囁いてくる。吐息が甘い臭いがする。疲弊した脳で味わう。
「このまま勝ち目の無い挑戦を続けて、強制的にじゅるじゅるずぞぞ~~~っ!!❤って吸いまくられて、大変な思いをする?そ、れ、と、も……❤」
「ここで諦めて『降参』しない?そうしたら、クスクス❤こわぁい搾精ゲームはここでおしまい❤後から本気の捕食を始めるけど、その前に、残った回数分……とおぉ~っても気持ちいい『ご褒美吸精』を味合わせてあげる❤」
「ぇ……?」
「ほら、さっき亀頭にキスの雨降らされて味わったでしょ?おちんちん天国の刺激❤今までどんなに辛い事される前でも、あの時の気持ち良さを期待して、無意識に腰の動きを抜いちゃってたのが丸わかりだったよ❤
『降参』した見返りに味わわせてあげるのはねぇ、あれがぜぇんぶ過去の思い出になっちゃうくらいの、おちんちん感動して、泣いて、椅子から立てなくなっちゃうくらいの、極楽ぐちゅぐちゅ❤この世を去る前の『最期』の思い出に、どう?❤
どうせまともに喋れないだろうから、私の目を見て、伝えて❤『参りました❤命は差し上げますので、どうか最期におちんいちん、一瞬だけ気持ち良くして、慰めてください❤』って❤」
「まぁ、射精ゲーム再開してあげるから、その間にゆっくり考えて❤」
ぐっちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤ぐっちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤
また内部が蠢く。男が味わうことのできる不幸を凝縮したような刺激。こんなもの、この先何回続けられても、耐えられるわけがない。ゲーム以前に、こんなことをあと二十回以上も続けられると考えただけで意識が遠のく。
この凄まじい感触から、男の尊厳そのものを粉々に打ち砕くかのような「攻撃」から逃れたい。負けを認めて、目を見つめれば―― や、でも――そうなると、待っているのは確実な……
びゅうううぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~!❤❤
ぢゅるるるるるるるずぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽずぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!❤❤
「おぼほおおおおぉおぉおおおおぉおおおぉぉおおお~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~!!!❤❤」
射精、というより、尿道口が開いたと同時に開始する、小さなペニスには不釣り合いの、油田を引っこ抜くくらいの大バキューム。どんな状況でも生物の目を覚まし、最優先で逃れさせようとする死の恐怖。さらにそれを凌駕する、脳に深い傷を負ってしまうほど凶悪で、最悪の 搾精。死を受け入れれば、負けを認めれば――
この辛さから逃れられる。その上それだけではなく、ご褒美に天国が与えられる。
頭が揺れる。どうせ、今味わっている刺激が続いたら、耐えて言葉を言うことなど不 可能だ。負けて当然のゲーム。だったら、もう、いっそのこと――屈服し、懇願の目を向ければ……
「ご褒美」が貰える❤早く負ければ負けるほど、ご褒美の回数は増える❤負けてしまった後のことなんて、負けた後で考えればいい……❤ 辛いことから逃げて❤おちんちんに、地獄じゃなく――
ご褒美❤ご褒美❤ご褒美❤
冷たく暗い洞窟の中で、青年は一つの道を選択した。サキュバスの顔の部屋に収まった、驚くほど蒼い瞳を見つめる。言葉は出せない。股間で味わうあまりの刺激に、うめき声しか上 げられない。腹筋もずたずたになり、コントロールできない吐息と声が不規則に漏れ出ている。声で表現できない代わりに、目の色いっぱいでサキュバスに訴える。
もう何もかもどうでもいい……❤
勝てない❤絶対に❤
だから、おちんちんだけは許して……❤
酷い事しないで……❤気持ちいいことして……❤
同時に、腰からも力が抜ける。
「ぷっ❤クスクス❤クスクスクス❤」
サキュバスでなくとも判別できただろう。青年の表情は主人に服従する犬のようだった。
「あははは❤あーあ❤選んじゃった❤これが人間の面白いところ❤後から絶対に後悔するのに、一時の誘惑に負けて、最悪の選択肢に突き進んじゃう❤自分を騙して、酷い目に逢せてきた魔物に、たった四回搾られただけで媚び媚びの敗北宣言❤
……いいよ❤魔物は、情けなぁ~く、後先考えない獲物に優しくしてあげるのが大好きなの❤
……後でその分『お楽しみ』が待ってるから❤それじゃ、早めに決めたご褒美❤二十六回分、受け取って❤」
「束の間の天国をどうぞ❤たくさん思い出、作ってね❤」
ぐちゅっ❤ぐちゅっ❤ぐちゅっ❤ぐぼぐぼぐぼ❤ねじゅねじゅねじゅ❤ぐじょぐじょぐじょ❤ぐぼぐぼぐぼ❤ぐじょぐじょぐじょぐじょ❤
「ぇひぃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~❤❤」
全身の骨が融解されていく。ねっとりとしたざわざわ運動が始まった。先ほどまでずっとペニスを虐めていたエネルギーが、全て、ペニスを甘やかすことに使われている。
様々な肉の仕組みが、怯え切った陰茎と仲直りをするかのように甘くねろねろと友好の蠢きを与えてくる。吸引口は下品なバキュームをやめ、亀頭に吸着して甘々の吸い付 きを続けている。まるで、この先一生ペニスが受ける性的快楽を、全て与えられているかのような、極上を超えた極上だった。
びゅるっ❤びゅるるるるっ❤びゅるっ❤
感泣したペニスが、嗚咽するかのように温かい精液を漏らす。吸引口が甘く吸い出してくれる。射精を介助してくれる。
「クスクス❤何もかも忘れて、中毒になっちゃってるそのアホ面、サイコー❤ おちんちん、完全崩壊しちゃうでしょ?❤人間の肉体は、強力な刺激を受けると体験が体に残り続けちゃうことがあるの。
この天国の刺激を一瞬でも受けるとね、おちんちんにこの感触が延々残って、例えこの吸精口から抜いた後でも、ずうっととろとろ射精し続ける生活を送ることになるの❤腰も抜けて、一生まともに立つこともできない❤天国なんだか 地獄なんだかよくわからないよね❤」
青年はただひたすらに、サキュバスが今言ってきた内容が百パーセント事実と確信できるような刺激を受け取り続けていた。
びゅっ❤びゅるるるるっ❤びゅっ❤
声も無く泣きながら精液を漏らし、御礼をされるようにちゅうぅっと吸われる。 ペニスも体も、脳も、ぐずぐずに溶け崩れている。
「しっかり味わってね❤自分の命と尊厳全てと引き換えにした射精あ❤と二十四回も楽しめるよ?❤良かったねぇ~❤」
サキュバスは女神だった。一回ごとに、人生の果てとして相応しいほどの、昇天の感触を味 わう。一生を何度も達成し、今際の際に見る夢を何度もペニスで甘受させてもらっているかのようだ。
びゅううぅぅぅ❤❤びゅるるる❤びゅっびゅ❤
精液がどろどろの甘露のように感じられる。
涙が止まらない。
びゅうぅうぅ❤❤びゅびゅっ❤びゅるるるる❤
肉穴はずっと、慈しむかのように、ザワザワと、ウネウネと、ニュルニュルと、グチュグチュと、ペニスへ数えきれないほどの天国体験をさせてくる。青年は、この時間が永遠に続いてほしいと、ただひたすら地面に仰向けとなって、乞い願う。
びゅるるるるる❤びゅるる……
……
二十回以上射精し、青年は悠久の時を過ごしたような感覚だった。指の一本にも力が入らない。体中の骨と筋繊維が何処かへ行ってしまった。青年の頭が置いてある一帯の地面は、流れ落ちた涙と、涎によってぐっしょりと湿りきってしまっていた。
「……❤……❤❤」
ぱくぱくと口が開閉する。
「目玉も、鼻も、耳も、舌も、みんな顔から零れ落ちそうになってるね❤ 一時の天国、しっかり楽しめたみたいで良かった❤……じゃ、最後に現実へ引き戻してあげる❤次の射精が三十回目❤精液の頭がほんの少しでも外に出た瞬間に、約束達成❤あとは約束外の時間だから……❤」
サキュバスの言葉に、不吉さを覚えるだけの思考力が、今の青年には残されていない。
びゅる……❤
三十発目の精液が、鈴口の外に漏れ出てしまう。
「ほぉ~ら❤戻っておいでぇ~❤辛くて怖ぁ~い、現実へ❤」
ずびっっっ!!!❤❤☠☠ずずずずずずるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるううぅぅぅぅうずぽぽずぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽずぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!!!❤❤☠☠
「あああああああああああああああああああああ~~~~❤」
青年の身体くらいであれば、一秒間で百メートルくらいは上へ引っ張り上げられるような吸引が、ただ一点、ペニスにだけ集中して与えられる。おまけに、心がとろとろにとろけていたので、もろに無防備な状態で受け取ってしまう。引かれる方向は上なのに、心は天国から地獄へ急転直下する。
ずびっ!!❤❤ずびっ!ずびっ!ずびっ!ずずずずずずずずずずずずずずずずずううううううううううううぅぅぅぅぅ❤❤☠☠☠
ずるずるずるずるずるずる!!!❤❤☠☠ずぢゅるるるるるるるるるるる!!❤❤☠☠ぢゅるるるるるるるるるるるるるるる!!! ❤❤☠☠
洞窟の中に凄惨な音が響き渡る。誰もいない。いたとしても、こんな惨たらしい吸引音が、人間の股間で奏でられているとは夢にも思わないだろう。
「うわあああああああああああああああああああああああ~~~~~~~~!!!!❤❤☠☠」
青年は泣きながら大絶叫を上げる。その声さえも吸引音で掻き消される。
「うるせぇなぁ……ったく❤」
ずぢゅっ!!❤ずっ❤ずっ❤ずっ❤ずじゅるるるるるるるるる❤ずるるるるるる❤
ぐっ❤ぐっ❤
サキュバスが腰を上げ、力を込めても、吸精口がペニスから外れないし、奥のバキュームノズルも亀頭にくっついたままだ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお❤❤!!!!」
『おぢんぢん取れるううぅぅぅうぅ!!!!❤❤』という言葉も言う事が出来ない。
ただ吸い付いているだけではない。内側の肉は気絶しそうなほどの心地になっているし、肉ヒダがウネウネグチュグチュニュルニュルと、亀頭とカリ首で送迎パーティーを開いてくれている。
びゅっ❤びゅるるるるるるるるっ❤
惜別の涙の代わりに、精液を射精し、また奥の口に吸い上げられる。
ずるっずるるるるるるるっっ!!❤☠
びゅっ❤びゅうううぅぅぅ❤
吸引と射精を八回繰り返した後で、ようやく奥の吸引口が外れた。
……ぽんっ!!!!!❤❤❤
「……❤❤」
魂の抜け殻となった青年は、口の横にだらんと舌を垂らす。
しゅわ~~❤
しゅわああぁぁ~❤
放ちまくった精液の、消化が完了した。
「あ……❤あ……❤」
サキュバスに見下ろされる青年。心が消滅してしまった。完全に油断しきっていたところへ、百回不能になっても仕方がないほどの刺激が加わったのだ。
最初に飲まされた唾液の毒とは関係なく、この刺激の残響だけで、数週間は背中に地面をつけたまま、まともに動くことができないだろう。何だかやせ細っているような気がする。測ったわけではないが、体重が5kgくらい、今のこの間に減ってしまったような感覚がした。
体の上に乗ったままサキュバスが嗤いかけてくる。辺りは暗いが、邪悪さと美しさが目に染みこんでくる。
「……さて❤それじゃ、約束通り❤」
「今から、死ぬまで搾り尽くす、ただの食事タイムを始めまぁ~す❤
「ひっ!!ひいいぃぃぃぃっ!!」
内容と同じくらい、サキュバスの声音に恐怖心を抱いた。青年を弄び、煽り立てるような気色が消え、事実を告げる淡々とした調子になっている。もう興味も失せたので、さっさと処理してしまおうという意思が嫌でも読み取れてしまう。
「自分で選んだことだけど、これからの時間、たくさん、たくさぁ~ん後悔することになるからね❤ だって……食べ物は、口の中でぐちゃぐちゃになっちゃうもので しょう?ほんと、バカだよね❤一時の苦しみに負けて、誘惑に乗ったばっかりに❤
もう少しでお前はただの『食べ物』になっちゃう❤食事中に口の中で肉がどれだけ千切れても、潰されてペースト状になっても、肉の気持ちなんて誰からも気にされない❤」
「そして最期は、綺麗さっぱり精気が抜けて、 あの世行き❤もうすぐ。あの骸骨の一つの仲間入りだよ~❤何か言い残すことはない?」
視界がぶれる。青年の体から変に力が抜けて、呼吸が寒くなった。そして勝手に、 かくかくと体が振動を始める。しばらく、言葉を失った後、その振動が、心の底からの怯えによる震えだとわかった。全く制御が効かなかった。
目の前の魔物の表情、声音、その全てが、今の自分の予感が十割に限りなく近いほど正 しいと語っている。不可逆の変化を遂げる予感。終わる。もうすぐ。自分が見ているこの鮮やかな世界の全てが。
そして青年は、およそそれを目の前にした人間が、全員抱く感覚に捕らわれた。 こんな風に、思ってもみなかった時にやってくるのだ。たった一度の軽率な行動で。何の物語も無い。何も為さない若者のまま、無為に幕を閉じる。あまりにも呆気ない。自分が背中をつけているのと同じ、土の一部になってしまう。
「あはっ❤いつ見ても、『この時』が一番ウケるのよね~❤まぁ、安心しなよ❤ これからは、お前のちっぽけな脳みそで想像できるような、苦しみや恐さじゃないから❤現実を超えた、有り得ないほど酷い末路を、何の罪も無い人間へ たっぷりもたらしてやるのが、私たち魔物の仕事❤まぁお前の場合、あまりに馬鹿すぎて、『何の罪もない』とは言えない気がするけど❤」
サキュバスが体を折り、顔を近づけてくる。
むにいいいいぃぃぃぃぃぃいいぃぃぃ~~~~いいい❤❤
二つの肉毬がみっちりと密着する。大きすぎて、お腹の間に空間ができてしまっている。その代わり、たっぷんと変形して、青年の胸板へ広い面積で感触が与えられる。
「ひいいいいいいいいぃぃぃぃ~~~~~~~~~~~❤❤❤」
あまりの弾力と、肌の、魂が吸い取られるような心地によって、青年は思わず状況にそぐわない嬌声を上げてしまう。
「それじゃ……」
サキュバスが耳元で、甘い声を出す。
「いっぱい苦しんで、カラカラになって死のうね❤バイバ~イ❤」
「や、やら!!しにたくない!!たすけてぇ!!られかぁ!!たすけ……」
ずぢゅる❤ずるるるるるるるるるるるるううぅぅぅぅうぅ~~❤❤❤
ペニスが死神の手に引っ張られたと、青年は思った。サキュバスが、その丸いお尻を、ほんの十センチだけ上に動かしてきた。あまりにも絶大で、あまりにも絶望的な刺激だった。
中が一斉に、個別に、複雑に動きまくる中を、ペニスが頭からお尻の方角へ、逆向きに通り抜ける。時間にして一秒にも満たない。たった十センチの家路。 しかし、本当に途方も無かった。今まで味わってきた複雑怪奇な肉の機構から、一つ一つ丁寧に検 問を受けていく。最奥の吸引口はしつこく伸びて吸い付いたままだし、カリに巻き付いたリングを外すのも相当骨だった。
入る時はあれだけ歓迎してきたヒダが全部逆向きに帰るのを妨害 してきて、複雑な肉のくびれへ何度もカリ首が引っかかりながら、無理やり突破せざるを得ない。肉の輪っかを潜り抜けるのが本当に、泣きたくなるほど辛く、最後の最後でミミズたちが一匹一匹ウネウネと、亀頭とカリに纏わりついて、たっぷりと別れを惜しんでくる。
一つ一つの体験が、肉の仕組みとそれぞれ写真撮影でもしているかのように長く、色濃く感じられた。最悪の思い出が克明に感じられる。とても、一秒未満の出来事とは思うことができない。人間は死や、それに比肩する出来事へ遭遇した時、脳の活動が活発になり、短い時間でも特別に長く感じてしまうことがある。青年は今、それを味わっていた。
たった十センチ腰が動いただけのことなのに、四十種類くらいある肉の機構の、それぞれがどの順番で、どういう刺激をペニスに与えたかということまで記憶され、説明ができる。そしてその体験は青年にとって、あまりにも有難くないことだった。
ずぅぅぅ~~~っ❤みちっ❤みちぃっ❤
「っ……!❤☠~~~っ❤☠~~~っ❤☠」
凄まじい摩擦刺激の帰路の果てに、待っているのが解放であれば良かったが、実際には入り口に咥え込まれ、なかなか抜くことができない。そうこうしている間にも、ミミズたちが嫌と言うほど蠢いて、「戻って来て❤」とペニスへおねだりをしてくる。
吸引口も、こんな入り口付近まで来ても、まだ熱烈に亀頭先端に貼りついて、奥へ引っ張って来る。魚やドジョウを生け捕りにする筒罠と同じだ。入る時はすんなり奥まで入るのに、たくさんの「返し」がついていて、出て行くのは容易ではない。
そして、一瞬腰が止まった後で――
どちゅんっ❤
「ひぎいいいいぃぃぃいいいぃぃぃいいいぃぃい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!❤❤❤いっ❤いっ❤いっ❤」
ずぢゅるうぅぅううぅぅぅぅぅ❤ずぶずぶずぶずぶずぶうぅぅぅぅ~~❤❤❤
また、無力な肉棒が温かく、最悪の肉穴の中へ戻らされていく。引き返した時に味わった刺激と蠢きを、正当な順番通りで、リレーのように受け取る。もう二度と戻りたくなかった悪夢の肉洞へ再訪し、その刺激も延伸され、事細かに味わってしまう。
さっき何とか別れることができたばかりの、多種多様な男殺しの肉構造から、くぐり抜ける度に熱烈な歓迎を受けてしまう。それぞれがとても喜んでいることがわかる。「またこのか弱い男性の象徴を責めまくることができる」と思われ、すぐにそれを実行される。
ざわざわ、うねうね、にゅるにゅるとうねる肉の花道を抜け、複雑な肉洞を進むと、最後に待っているのは勿論、男にとって、一切の生還の望みを断たれるような、最奥の邪悪な部屋と、冷酷な亀頭とカリ首蹂躙。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、ああぁぁぁ~~~~~~~~!!❤❤」
また、サキュバスの股間と青年の股間がみっちりと接し、根元まで咥えられた状態へ戻る。青年は知った。今までずっと味わってきたこの吸精口の機能紹介 は、序章でしか無かったのだ。動くことで、抽送されることで、一つ一つの刺激が組み合わされ、最悪のストーリーが完成してしまう。
びゅっ……❤
そして、精液が出始める。既に腰が上げられ始めた瞬間の刺激で全ての筋肉が崩壊して射精の準備が始まっていた。そこから腰を持ち上げる刺激、落した時の刺激は、信号が交通を行い、精液を送り出すまでの間に味わってしまった、必要のない快感だった。青年は嫌な予感がして、すぐに的中する。
ずるっ!!❤☠ずびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびずずずずずずずずずずずずず❤❤❤☠
「嫌あああああああああああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!!❤❤❤☠☠☠」
今までで最大の吸引力だった。精液はサキュバスの吸精の力によって、普段の精液よりも何倍も濃く、粘りがあって、量も多い。普通なら、射精が始まってから全部出し終えるまで十秒くらいかかるのではないかと思う。
しかし吸引によって、十倍速でそれが完了させられた。一秒で、固形のような精液が丸ごと精管と尿道を通り抜けた。射精が終わるのが速すぎて、びくびくと中の筋肉が、空になった状態に気づかず収縮を繰り返している。
そして射精が終わるや否や、睾丸の中一杯に、精液が充填されたのがわかった。 発射の度に自分の命が装填されていく。快楽と引き換えに、おぞましい捕食口の中へ精気が溶けた特濃汁を捧げ放ってしまう。
どちゅん❤
すぐにまた腰を振られる。
「う、あああ、あああああああ、あああああああああ、ああああああああああああ!!!!❤❤☠☠」
青年は、最初と同じだけの悲鳴を上げる。
びゅるるるるるる❤
二回目の腰振りが終わった後も、あえなく射精する。行きと帰り、たった十センチ、一秒余りの往復。しかしそれでも、世界一周旅行を終えた時のような情報量で、心は限界まで疲弊してしまう。
一往復の旅路が果てしなく長い。しかも一回目と二回目で、刺激のパターンも微妙に違った。青年は自分が、十年は歳をとってしまったのではないかと疑う。 それだけ中身の濃い、甚大な被害をもたらす腰落としだった。
どちゅ❤どちゅ❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤
青年は目の前で起きていることが信じられなかった。サキュバスの尻が止まらない。腰を振り立て続けている。
「う、あああ、あっ!?!?!?!嘘っ!?!?!?!?嘘おお おぉぉぉ!!?!?!?!?嫌、ああああああ、あああああああああ、ああああああああああああ!!!!❤❤☠☠」
まさに災厄だった。ペニスが塵と化してしまうほどの往復が、何度も与えられる。一回の往復で脳が受け取る情報の量はずっと変わらない。今、ペニスから脳に繋がる神経は快楽の洪水に晒される。もはや何が起きているか理解不能だった。
最悪の場所へ迎え入れられる往路。ペニスから全存在が引き抜かれるような復路。そしてこの世の不幸を全て凝縮したかのような精液バキューム。 完全に、人間の脳の許容量を超えている。そしてその一回ごとに、久しぶりに招き入れられた部屋がすっかり模様替えされているかのように、動きや刺激の種類がまるで異なる。
ぱん❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤
サキュバスが意地悪く腰を振り落してくる。青年はもはや声を上げることもできなかった。ただただ、自らのペニスが受け取る絶望的な捕食の感触を享受し、 この魔獣の頭のようなサキュバスのヒップが、万が一にも停止してくれないかと、奇跡を神に祈るしかなかった。
パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤
全く止まる気配はない。酷すぎると青年は思った。あまりに惨い。こんなことが、一体どこの法律で許されているのだろう。例え自分が、数百万人を殺戮した大罪人であっても、こんな仕打ちは罰として過剰すぎる。地獄の刑罰でも、こんな最悪な目に遭わされることは無いだろうと確信が持てる。
ぐぢゅっ❤ぬぢゅっ❤にゅるっ❤ぬぢゅ❤ねぢょ❤ぐぢゅ❤ぐじゅ❤ぬぢゅ❤ずぢゅっ❤ぬぢゅ❤ぐぢゅ❤ぬぢゅ❤ぬぢゅ❤
サキュバスは様々なリズムで腰を振る。一切の抵抗心を許さないほど高速に振ってくることもあれば、中の凶暴な動きをしっかりと味わわせるように、ねっとりと上下してくることもある。恐ろしく淫らな踊りをしながら、精を啜り取ってくる。青年にとってはこれも有り難くないことだった。テンポが変わり、 刺激も一往復ごとに異なるので、身構えることすら許されない。
百回に一回くらい、先ほどのご褒美で味わった、魂を吸い上げられるような天国の快楽を動き付きで与えられる。そのせいで、他の地獄のような刺激の直前にも、「もしかしたら気持ち良い刺激かも……❤」と無防備な状態で受け取り、倍苦しむことになる。心理までも手玉に取られている。
「……」
変化としては、サキュバスはほとんど喋りかけてこなくなり、表情も淡々としたものに変わった。周囲に薄く気を配りながら、青年の表情だけ観察している。まさ に食事中の意識だった。咀嚼中の犬歯や舌の動きに注意を配ることが無いように、吸精口の中にも大して集中しているわけでもない。
さっさと青年の精気を空にすることだけを考え、(あぁ、このカリをウネウネされる刺激が弱いのか)、(この向きの回転搾りは慣れ始めたから、逆回転を多めにしてやるか)というようなことを無意識下で思案しながら、それを内部の動きに反映させている。
サキュバスの表情はころころと変わってきたが、青年は今のサキュバスの目が一番恐ろしかった。人も魔物も、食事中の顔は同じなのだと知った。お祈りが済んだ後で、ただ無心に頬張ることだけを考える。同席者との会話に興じながら、自分の血肉になることが当然のものとみなし、掴んで口の中に運ぶ。
パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤パン❤
洞窟の入口まで、尻を打ち付ける音が届くはずもない。青年の泣き声も。青年にとっては膨大な時間が経過しているように思えるが、洞窟に入ってから、まだ数時間程度しか経っていなかった。
十分後――
びゅーっ!❤びゅるるるるるる❤びゅっびゅ❤
ぢゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる❤❤☠
もう何度目かわからない。出した精液を意地汚く吸われる。
「馬鹿みたいに出しまくっちゃってまぁ……❤我慢さえできれば命が助かるのに❤もう水瓶一杯分くらいは搾ったかなぁ?ちなみに、精気は回復不能。一度吸われたらもとに戻ることは無い。体力みたいに、寝たらスッキリってわけにはいかないの❤体が弱ったまま、一生過ごしていくだけ❤」
「ま、この搾精で綺麗さっぱり吸い殺しちゃうわけだから、あんま関係ないけどねー❤」
サキュバスがニッコリ笑顔を向ける。
「……ひへ……ひへ……」
青年には舌を動かす気力も残っていない。それでも、「許して」「許して」という言葉を、目で、表情で、何度も何度も繰り返す。
「だ~め❤許しませ~ん❤」
「ひいぃぃ~~~~」
こんなこと、もうあと一分でも長く続けられたら……想像したくもない。しかし青年は、サキュバスからされた当初の説明を思い出し、戦慄する。通常、一人の男性を吸い殺すのに、「八時間」。
「八時間」。「八時間」。
「うしょ……うしょぉ……」
三十分後――
ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤ばんっ❤
「嫌アあああアあああああアあああああア❤❤☠☠❤❤」
青年の喉は叫び過ぎて潰れてしまっていた。上下し、精液をねだる悪魔の穴に、精液を捧げ放ち続ける。中の構造は青年の弱点に少しずつ適合し、当初よりも厭らしいものになっていた。動きも著しく激しい。多分、「この獲物は激しくすればするほど情けなく精液を漏らす、根性無しの気質だ」と看破されたのだ。
精液、尿、潮、カウパー。様々な液体が混ざったベースに、哀しみ、絶望、恐怖、後悔といった感情が加えられ、泡立ったどろどろのシェイクが次々作られ、次々吸われていく。
「あ。心配しなくていいよ❤もう正確なカウントなんてしてないけど、今は二~三百回くらいかな?まだ一割程度だから❤まだまだ先は長いから、生き地獄たっぷり楽しんでね❤自分の精気の豊富さ、神様に感謝❤
「ほ~んと、人間ってコスパ悪いわ。吸い殺すのに八時間もかかるし、それでいて、一人吸い殺しても一週間くらいしか腹持ちしないし。……オラッ!❤謝れ!❤お前が責任取れ❤」
パンッ!❤☠パンッ!❤☠パンッ!❤☠パンッ!❤☠
「ひいいいぃぃいぃいぃい~~~!!❤☠ひいいぃぃいいぃ~~~!!❤☠」
きゅうぅぅぅっと膣内が窄まって、無理やり扱き立ててきたり、ザラザラ、ゾリゾリの高刺激で頭の中を真っ白にされたり、ギュルギュルと果汁を搾り尽くすジューサーのような動きを与えられたり、ペニスが酷い目に遭い続ける。何度降参の汁を放っても、許してもらえない。
一分が、一年のように感じられる。青年の尻がサキュバスの打ち付けられる尻で圧され、土の上に押しつけられる。何故尻が置かれている地面のところだけが他より窪んでいて、固 められているのか、ようやくわかった。こうやって、何人も何人も、先人たちが地獄のような憂き目に遭わされたのだ。そして、命を散らしていった。
さらに一時間後――
に罹ったすぐ後のように体へ力を込められない。「命が吸われている」という感覚が増してくる。生きながら自分の命がどんどん減っていくという実感を前に、恐怖が膨張を――
ずるずるっ!!❤☠ずびびびびびびびびびびびびびびびびびびびびずちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ!!❤❤☠
青年の思考は、またも、恐ろしい精子吸引によって寸断された。どうすればいいのかわからない。どうしようもない。青年の心の中で、糸が一本切れた。
「う、え~~~ん。だずげで、ええ、えええぇえぇ~~~!! おが、あっ…… おが、あざああ、あぁあ~~ん」
青年自身もわからなかった。誰も助けに来るわけがない。何故母親を呼んだのかもわからない。呼吸すらままならないほど、声を上げて慟哭する。上から水を被ったのかと思うほど顔の上が涙と鼻水でぐちゃぐちゃになり、溺れそうになる。
サキュバスは呆れ声を出した。
「……あ~あ❤こいつ、壊れかけてるわ。魔力で防止してても、あまりに精神卑弱だとこうなっちゃうのよ ねぇ❤……めんどくさ。頭ぶっ壊れてバブバブ赤ちゃんになっても、搾 り殺す殺すことはできるけど、ペース落ちちゃうし…………」
「ったくもう❤しょうがないなぁ❤」
サキュバスが体を乗り出してくる。
「ほ~ら❤」
たっぷんとおっぱいクッションで止まり、青年の顔の前に固定された可愛らしい顔が、んべーっと、舌を出してくる。この洞窟の奥へ足を踏み入れる前、たっぷりと味わった舌。相変わらずの長さで、自らの首筋まで舌先が届くだろう。
「ほら❤お前もさっさと舌を出しなさい❤」
寒い洞窟の部屋の中、ほかほかと湯気を纏っている。突き出された長い舌先。
「ぁ……ぁ……❤」
青年は我を忘れて、口を開き、弱々しく舌を突き出してしまう。
「頭の中を、舌で直接『調整』してあげる❤人間の言葉で言う、ショック療法みたいなことね❤搾りながらだから、多分とぉ~っても辛いと思うけど、自分の心の弱さが招いたことなんだから、仕方ないと思いなさい❤これからもたっぷりおちんちん苛めを素面で楽しめるように、私が治療してあげるからねぇ❤」
間違いなく良くないことをされるのに、舌を引っ込めることができない。甘い水を求めるように、差し出して――
にゅるるるるるるるぅぅぅ~~~~~❤❤ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ❤❤
舌も、サキュバスの吐息も入って来る。首はしっかりと巻き締められ、乳房を押しつけられ、逃げ場はない。
「ん、んっっ!?!?❤☠ん、ん、ん、ん、ん、ん、ん、ん~~~~~~~~~~~~~~~!!!!❤☠❤☠」
あまりのことに、ガクガクと反射的に動く青年の身体を、サキュバスが無慈悲に押さえつける。舌が口の中をぐちゅぐちゅとかき回す。それと同時に、以前と全 く遜色ない速度で腰を打ち付けられる。
パンパン❤パンパンパンパンパン❤パンパンパンパンパンパ ン❤❤
キスと同時の上下運動。胸板の上には乳房の感触もある。悲惨だった。痺れた腕と指が、それでも藻掻くようにバタバタと動いてしまう。さっきまで、万の思いを込めて股間に意識を集中させ、それでも全く耐えることができなかった吸精口の刺激。
それが今、あまりにも甘く、すさまじい舌と舌の粘膜接触を与えられ、どっちに集中したらいいかわからない。
ぐちゅぐちゅ❤ねろねろ❤べろべろぐちょぐちょれろれろ❤❤
下を耐えようとすると、口の中の味と動きに脳の中を、もう絶対に分離不能なほどぐちゃぐちゃに練り溶かされ――
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン❤❤
舌に意識を集中させると、地獄のような精液搾りの往復刺激を完全無防備の状態で受け取ってしまうことになり、精子も尿も全部垂れ流しになって、尿道が緊急事態を告げる。
人と人がする中でも最上位に熱烈なキスを続けたまま、腰が上下に動き続ける。 ドロドロに、不定形になった頭の中を、舌と穴の動きでぐちゃぐちゃに掻き回されているような心地が、ずっとする。サキュバスの言っていた「治療」の意味がわかった。こんな風にして脳みそに舌を入れ、可笑しな所に繋がりそうだった配線をさらに滅茶苦茶にしているのだ。
しかし、これは脳の中に指を突っ込まれ、こねくり回されているのと同等の行為だった。しかも、麻酔無しで。青年が呻いて吐いた息はサキュバスの口の中へ消え、代わりにサキュバスの吐いた甘い吐息を吸い込む。その中の何割かは、唾液の中に泡となって練り込まれる。まだ口が離れない。まだ……まだ……まだ……
ぐちゅ❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤ぱん❤
びゅっ❤びゅううぅぅぅ❤ぴゅ~っ❤
結局、三十分間一度も唇は離れなかったし、腰も一度たりとも停止しなかった。終わるころには、青年は自分の身体がどういう形を保っているかもよくわからない状態になっていた。
サキュバスが口を離し、まるでどろどろに溶けた軟らかいチーズのように、唾液が糸を引いた。その唾液を見て、青年は自分の舌が液状化したものも混ざっているのではないかと疑った。
「はぁい❤それじゃ、続きをやっていくね❤またおかしくなりそうだったら、舌でぐちゃぐちゃにして戻してあげる❤楽しみにしといてね❤」
さらに一時間後――
青年は、「悲惨」を絵に描いたような有様になっていた。
ヂュルッ!❤ヂュルヂュルヂュルヂュルレロレロレロレロヂュルヂュルズゾゾゾゾゾゾ~~~~~~~~~~!!❤
凶暴な音が小部屋いっぱいに反響している。あまりに凄まじすぎて、鍾乳石の先端についた水滴が細かく震え、耐えられず何滴か地面に落ちていた。
「~~~~~~~❤☠」
青年はもう、声も無かった。声帯は全開になって、息はずっと出続けている。肺が空っぽになっても。
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン❤❤バンバンバンバンバンバンバンバン❤❤
腰も同時に叩きつけられている。途轍もない速度だった。青年は右と左の乳首を順番に吸われながら、腰を上下に動かされたっぷりと精気を吸い取られていた。
ヂュルル!❤ズズウウウウウウゥゥゥゥズズズズズズズズズズズズズズズズ!❤❤
乳首をとても吸われている。同時に陰茎も。
ズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズル!!❤❤
「~~~~~~~~~~~~~~❤☠」
青年の心が負かされる。とっくに折れて、粉微塵になっているのに、さらに敗北の感触を味わわせようとしている。吸いながらサキュバスの舌が高速で擦って、青年の耳には摩擦音まで聞こえてくる。
ベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ。
体が痺れていなければ、多分身を捩って全部の関節が外れるまで暴れ狂っていただろうと思う。
レロレロレロレロレロレロレロ❤☠ヂュルルルルルルルルルル❤☠パンパンパンパンパンパン❤☠
ペニスも乳首も、消滅するような刺激がずっと与えられている。もう何十分、こんなことをされているかわからない。
ヂュパッ❤れろぉ~~❤
ようやく乳首から舌が離れた。自分の乳首を見て、むしろどうしてまだ形が残っているのか不思議だった。度重なる口吸いによって、くっきりと吸い跡が残されてしまっている。
「やっぱり吸精口の刺激だけだと少しずつペース落ちていくから、こういうのも混ぜていかないとねぇ~?❤さぁ~て、どれくらい搾ったっけ?」
「お前の早漏さと乳首の弱さのお陰で、一分で十回くらい射精してたからぁ……❤合計すると、二千回行くか行かないかくらいかな?❤人間の雄がする、一生分の射精くらいは届いたかな?❤良かった ね❤これでもう思い残すことは無いねぇ❤それでも、まだまだ残ってる❤体のほうは、もうだいぶ『変わって』るけどねぇ❤」
サキュバスの言っている意味はわかった。腕の太さがもう、一回りは小さい。 あばら骨も浮き出てしまっている。体重で言うと、もともとより二十キロ近くは減っているだろうと、体感でわかる。もう取り返しがつかないと伝わってくる。カタカタと体が震える。涙が零れる。
「ん?なになに?またおかしくなり始めてる?それじゃ、またキスしよっかぁ❤レロレロしながら、腰もパンパンしてあげるねぇ❤」
サキュバスの顔が近づく。
「ひはっ❤……はぁ~~~❤」
「違います」と言おうとした口は、もう意味のある言葉を紡げなかった。どろどろにほどけた口へ、また容赦なく、舌が侵入してくる。
「んっ!?❤☠んん~~~~~っっ!?❤☠
あとはただただ残酷な、食事の時間が繰り広げられるだけだった。誰も助けに来ることの無い、洞窟の一番奥の空間で。
「❤!☠❤!☠❤!☠❤!☠(だっ!❤ずっ❤げっでえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええ~~~~~~~~!!!!!!!!!☠❤☠❤☠)❤!☠❤!☠❤!☠❤!☠(おぢんぢん取れぢゃ、うううううぅぅううううううううぅ!!!!❤❤☠☠壊れぢゃう、ううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!❤☠❤☠❤☠)」
「❤!☠❤!☠❤!☠❤!☠(もうごんな❤☠ごん、なのやべでえええええ❤❤カリ首ばっかりごんなっ!❤☠ごんなの、おおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオおおぉぉおおおお❤❤❤正解❤正解だがらああああ❤一番弱いのそごっ❤そごなのおおおぉぉ❤❤認めるがら許じでえええええ❤)❤!☠ ❤!☠❤!☠❤!☠(あ~~~~~~~~~~ダメっ❤ダメダメぇ~~~~~~~~❤❤そごもっ!❤乳首も弱いのおおおおおぉぉおおぉ❤お許しをおおおおおおお❤❤❤)」
「❤!☠❤!☠❤!☠❤!☠(あ˝ おっ❤!☠あ、お、お、おっ ❤!☠もう出、ない!☠❤❤出ないっで言っでるううぅぅ!言っでるのにいいぃぃ!☠❤おぢんぢんもう吸わないでええぇぇぇぇ❤❤ごっ!❤ごのままだとっ!❤金玉裏返っで えぇ!❤☠おぢんぢんの先から出ちゃうううぅううぅううぅ❤ そんなのやらああああぁぁぁ❤助けてええぇぇぇええぇぇ❤)」
恐慌状態に陥った青年の脳は、過去の映像と音声を再生する。
ザッ……ザッ……ザッ……ドサッ!
「……」
「知ってるか?俺たちが建ててるこの家の、家主」
「知らねーよ。関係ないだろ こんな豪邸」
「それがよ、冒険者が建てたんだって」
「へぇー、儲かるんだな、案外」
「何でも、洞窟で探し当てたお宝が、 腰を抜かすほど高値で売れたらしいぜ」
「それで、もう一生働かなくても いいくらいの金を手に入れたんだってよ」
「へぇー」
「……」
「おい若いの!どけ!」
「あ、す、すみま……」
「しっかり気を配らないとあぶねぇぞ!」
「……」
バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤びゅううぅぅ~~~っ!❤びゅるるっ❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バ ンッ!❤バンッ!❤びゅっ!❤びゅううぅぅぅっ❤びゅるるるるっ❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤バンッ!❤びゅっ!❤びゅぐるるるる❤❤……
「❤!☠❤!☠❤!☠❤!☠(ずびばぜんでじだあああぁっ!☠❤ごれがらはっ!❤まじめ、に働ぎまずううぅぅ☠❤だがらごのっ❤お尻パンパン❤止めっ❤止めてええええぇっぇえぇええ!!!☠❤☠)」
「レロレロベロベロ……❤☠❤☠❤!☠❤!☠(やらっ☠❤ ごっ、ごんな酷い、食べられるようなキスじが知らずにっ❤☠ ˝ 死˝ ぬのやらっ!!❤☠やらやらっ!!❤☠……でいうがっ❤☠死にだぐない!❤☠死にだぐないいいぃぃぃい!❤生ぎだいのにいいいぃぃいい❤☠)❤!☠❤! ☠❤!☠❤!☠(あっ!❤☠ああああああ~~~~❤☠ニュルニュルやべでええぇぇ~~~❤ごんなの❤我慢でぎるわげええええぇぇぇ~~~☠❤)」
「~~~~~~~~~~☠☠!☠!☠(嫌あああアアアアあああああアああああぁぁぁああぁぁ~~~~~!!!!☠☠☠☠☠ごっ☠ごんなっ☠弱っでる時にっ☠亀頭ブラシ嫌ああぁぁぁあああぁぁ☠☠ゴシゴシッてええぇぇぇえぇ☠☠オシッコもう出ないいいいぃぃぃ☠☠ごべんなざいいいい☠許しでえええぇえぇえ☠もう三十分もおおぉぉおおぉぉ☠☠」
「(おぢんぢん……もう嫌……虐めないで……☠ごんな洞窟……来るんじゃながっだ……☠☠なんで……なんでごんなごどに……☠)」
「……おー、坊主。お前はいつも見ない顔だな。他のガキとは遊ばんのか?」
「おいおい。そう恐がるな!一人でいるならなおさらだ。いいか?他の大人にも言われてる だろうが、この先生きて行くうえで、気を付けなきゃならんことが ひとつある。『ダンジョン』へは絶対に近づくな。小さな洞窟みたいなものの ことだ。そういう場所は大抵、人食いの魔物の住処になっている。魔物ってのは本当に、人間にとって最悪の敵だ。命知らずの冒険者だけがそこへ入っていくが……奴らの間だけの 言い回しで、ダンジョンの入り口のことを『出口』と呼ぶらしい。それには、二つの意味がある。一つは、必ず出て来れるようにという願掛け。もう一つは――」
八時間後。
パンッ❤パンッ❤パンッ❤パンッ❤パンッ❤パンッ❤ぴゅるっ❤ぴゅるるる❤……
「……ふわ~ぁ。……かなり弱くなってきたねぇ❤じゃ、そろそろかぁ❤……もしも~し❤聞こえてるぅ~?❤」
青年は精気を散々吸われ、もはや変わり果てた姿となっていた。もう骨と皮しかない。
「こひゅー❤こひゅー❤」
辛うじて喉から乾いた空気の音がしているので、呼吸していることがわかる。 これだけカラカラになっても、ペニスだけは瑞々しく、以前と変わらない感覚のままだ。「食事」を最後まで続けるために、そうされている。
「もう精気はほとんど残ってない。体重は3kgくらいかな?❤生まれて来た時と同じくらいに 戻っちゃったね❤ここからがちょっと大変なんだよねぇ❤ もう射精の筋肉もだいぶ緩くなってるし、最期が近くなってる分、怯えも凄い❤人間もわかるでしょ~?大きな壺の中に残った蜂蜜を、綺麗に空にするのは大変。だから……」
「マックスの動きと魔力で、搾り尽くしちゃいまぁ~す❤」
……ブゥウウゥゥン❤
ウネウネ❤ウネウネ❤ウネウネウネウネ❤
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル❤❤
「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?❤☠❤☠❤☠❤☠」
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルグチュグチュグチュグチュ❤❤
これまで八時間味わった中でも、最悪の時間をペニスが襲う。青年は、今いるこここそが、地獄に違いないと思った。何もかも融解させられるような、熱なのか快楽なのかわけのわ からないエネルギーが長さ十センチの肉針を包み、全ての肉の武器をもって破壊の限りを尽くしてくる。
「こひゅっ!?❤☠こひゅーっ!❤☠こひゅーっ!❤☠こひゅーっ!❤☠」
声も上がらない。乾いた絶望の風が吹き抜ける。眼球が落ち窪んだ目には涙も涸れており、ただ涙腺だけが虚しくパクパクと拡縮している。
びゅっ❤びゅるるるる❤ウネウネグチュグチュグチュ❤びゅるるるっ❤びゅっ❤
精液が乱射され、それらを全て吸い上げられる。訓練された強盗のように一切の慈悲は無い。視界もぼやけ、音もくぐもっている。その中で、淡々と喋るサ キュバスの声を聞く。
「あー、こいつももう終わりかぁ。こんな風に、洞窟へ自分から入ってくるくらいクソ間抜けで、早漏の雑魚っていう、御誂え向けの獲物が、毎日やって来れば楽なんだけどねぇ……」
びゅるるるる❤びゅっびゅ
「吸い終わった後はひと眠りして……明日からはどうしよっかな……あそこの村は、この前一人吸い殺したばっかりだからな……あ~あ。ほんと、群れから外れて一人で生きて行くのも楽じゃないわ」
びゅるるる❤びゅっびゅ❤
青年のことはもう、ほとんど眼中に無い。明日のことを考えている。
びゅるるるる❤びゅっ❤
青年は弱々しく、ほとんど重さの残っていない腕を上げる。
「ぉが……ぉがぁしゃ……」
声とも、音ともつかないものが口から流れ出る。
「あ?まだ喋れんのかよ?❤うっさい❤さっさと死ね❤早く『ご馳走様』されろ❤」
そう言うと、サキュバスは――
どちゅっ❤どちゅ❤どちゅっ❤どちゅ❤どちゅ❤
止めを刺すかのように尻を打ち付けてきた。内部が、ペニスの中身を一滴も残さないよう搾り取るように動き、少しでも射精を込み上げさせると、情け容赦なく上下に扱き抜かれる。
びゅっ❤びゅっ❤
「こひゅーー!?❤☠こひゅー!❤☠こひゅー!❤☠」
息を吸い込む力もほとんど残っておらず、苦しみに息を吐き出し続けて、肺の中にももう何も残っていない。体中の感覚が鈍り、意識が薄れて行く中で、一番消えてほしい、最悪のペニスの感触だけは、色鮮やかなままでずっと受け取り続ける。
びゅっ❤びゅっ❤……
びゅっ❤びゅっ❤……
残り少ない命が洞窟の奥へ消えて行く。視界が薄闇を纏い始める。
暗い……怖い……
こんなところで……こんな目に遭いながら……
体が寒い。
帰りたい……お家に帰りたい……
嫌……こんな……嫌……
誰にも見つからない、穴の中で――
びゅるるるる❤ずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずず!!!❤❤
ひいいぃぃぃぃいいいぃぃいいぃぃぃぃぃいいいいいぃぃいぃい❤☠❤☠❤☠
……
…………
はぁ……はぁ……
……あ!
やった!
「出口」に着いた!
よ、良かった!帰れる!
光が眩しい!
怖かった……
苦しかった
もう二度と、冒険なんて
「ん?ああ。死んでるわ、コイツ。ほんと、早漏すぎて、搾るのめっちゃラクだったわ❤」
吸精口が外されると、ペニスがすぐに干からびて、ぼろぼろに崩れていく。そして、纏っていた肉の全てが塵となり、地面には嘆きの様相を浮かべた白骨だけが残った。サキュバスがざっざっと足で掃除をし、カラカラと音を立て、骨 が横へどけられる。
「……うわっ、地面ビショビショすぎ!」
呆れたようなサキュバスの声を最後に、洞窟は無音に戻った。
「ダンジョンの入り口のことを『出口』と呼ぶ。それには、二つの意味がある。一つは、必ず出て来れるようにと いう願掛け。もう一つは――『この世からの出口』という意味だ。欲に駆られて潜った後に、帰って来なかった奴を、俺は何人も――」
一人の青年が魔物によって命を落としたことなど、誰も気に留めない。この世界では、今日も明るい日差しの下――
無数に開いた「口」が、命を呑み込むため、獲物を待っている。
能把原图CG也贴出来吗?那CG才是精髓啦,我帮你翻20页
懶得貼,有誰願意弄個空間給大家下載,我寄檔案給他吧
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