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今回の3編は、実は全回の「リング」とセットで慎治たちの復讐プロジェクト 前振りとして用意したものです。それがいつもの、やたら長ったらしく書く悪癖と相まりまして予想以上に長くなってしまいました。
タイトルのリベンジ、些か早まったタイトルですが、まあ、今回作自体が前振り、ということでお許しください。



玲子たちの鞭道場は毎週末、三週間連荘で開催された。玲子たちは我流で技を磨き、試行錯誤もあったのに対し、富美代と朝子は玲子たちの経験を活かし、効率よく鞭の極意を吸収していった。その三週間で富美代たちはのべ1000発は鞭を振るったであろうか。とりも直さず慎治たちは1000発以上の鞭を浴びたことになる。鞭道場が終了し、礼子たちが鞭道免許皆伝を言い渡した時、富美代も朝子も鞭を自在に使いこなせるようになっていた。手首のコントロール一つで強く、弱く。打ち据えたり手足に絡めて引きずり倒したり。間合いを調整して先端部分のみをヒットさせたり身体に絡みつくように打ち据えたり。信次たちの苦痛を自由自在にコントロールできるようになっていた。

さて、礼子たちはもともと同じ乗馬クラブ、郊外の丘陵地帯に位置する由緒あるクラブのメンバーだった。五月頃、富美代と朝子も二人に誘われてこのクラブの会員になっていた。このクラブのメンバー資格審査は厳しいものの、先代からの会員である礼子たちの紹介であれば審査はフリーパスだ。しかも富美代と朝子も家柄はかなりよく、経済的にも十分余裕があり、二人の上品な雰囲気はクラブに問題なく溶け込めそうだった。礼子たちが誘うと、富美代も朝子も大乗り気だった。そして双方の両親共、娘が礼子たちと同じ乗馬クラブに入りたい、と切り出すと二つ返事でOKだった。流石に富美代も朝子も、週末だけの練習なので礼子たちみたいに障害競技までこなすプロ級の腕前、とは行かないものの普通に馬を乗りこなし、意のままに走らせる程度は全く問題なくこなせるレベルに達していた。
そして天気予報が軒並み週末の秋晴れを予想したある日、玲子が今度の週末、四人そろってクラブに行こう、と切り出した。「クラブ?」確かにこのところ週末は慎治たちを苛めるのに忙しく、クラブにも少し足が遠のいていた。「いいよ、確かに久しく行ってないし。楽しそうね・・・だけど、なんで急に?玲子、何か企んでるんじゃない?」朝子の疑問は当然のことだった。「うん!実は先週の日曜ね、私クラブでちょっと遠乗りしてきたんだ。そこで結構逝けてる場所見つけたのよ!こりゃ、みんなで来るしかないなって思って。幸い明日はお天気もいいみたいでしょ?みんなで行こうよ!」土下座している信次の頭を踏みながらクスリと朝子が笑った。「逝けてる、て玲子、それ勿論、信次たちと遊ぶのに逝けてる、て意味でしょ?なに見つけたのよ、教えてよ?」「フフ、信次たちと遊ぶ場所だ、ていうのは確かなんだけどね。ま、どういうとこかは着いてからのお楽しみにしようよ。実はね、もう良治先生たちに車を出してもらうのも頼んどいたんだ!」信次たちの予定など一切お構いなしに玲子たちはさっさと予定をセットしてしまった。
そして翌日、処刑場に引きずられる羊のように悲しげな顔をして信次たちは集合場所に現れた。「やあ信次君、遅かったじゃないか!君がラストだよ!」相変わらず妙に爽やかな声と笑顔で亮司が声をかけてきた。傍らには自分と同じく、この上なく悲しげな顔をした慎治がいた。「全く、二人ともなに暗い顔してるんだい?礼子ちゃんたちだけでなくて今日は可愛い子が四人も一緒に遊んでくれる、ていうんだよ?もっとうきうきした顔しなくちゃ、だめじゃないか!」良治の声に礼子も大きくうなづいた。「そうよ慎治、全く二人とも暗いんだから!お天気もいいし、明るくパーッといきましょ!」な、なにが明るくパーッとだ・・・声にならない慎治たちの声を無視するかのように二台のランクルは走り出した。良治たちと礼子たち、六人が楽しくはしゃいでいるのに対し、慎治たち二人だけが泣きそうな顔で震えていた。やがて高速を降り、丘陵地帯へと入っていったランクルは目指すクラブのフロントに滑り込んでいった。
「さあ着いたわよ!さっさと降りて!」玲子の声に弾かれ、車から降りた信次は気圧されたように辺りを見回した。無理もない、そこは高級な乗馬クラブ、ある種の社交クラブ的な雰囲気を漂わせていた。信次たちとは一生縁のないような上品な、そしてどこか威厳のある人間ばかりが歩いていた。そういった人たちと玲子たちは親しげに挨拶を交わしていた。自分たちの知らない上流社会。そこに自然に溶け込んでいる玲子たち。そして朝子たちでさえ、既にその社会に暖かく迎え入れられていた。だが、卑屈さを全身から発散し、おどおどしている信次たちに構う人は誰もいなかった。なに、あれ・・・場違いなぼうやたちね・・・バイトにでも来たのかしら・・・言葉こそないが、まさに白眼視、信次たちだけが疎外されていた。
おどおどしている信次たちに構わず、一通り挨拶を済ませた玲子たちはさっさとチェックインの手続きをした。「ほら信次、あんたのロッカーのキーよ。ぐずぐすしないでさっさと着替えてくる!」ポーン、とキーを二つ放り投げると玲子たちは女性用ロッカールームに入っていった。えっ・・・見ると良治たちが男性用のロッカールームに入っていくのが見えた。あ、あっちか・・・着替え終えた信次たちが外に出て暫くすると、玲子たちが出てきた。四人ともお揃いのファッションだ。ハッ・・・慎治は思わず息を呑んだ。白いシャツの上にクラブのロゴが入った、鮮やかな赤いジャケット。下半身は白の乗馬パンツにピカピカに磨き上げられ、黒光りする乗馬ブーツを履いている。そして手には信次たちが見慣れたもの・・・長い乗馬鞭をしならせていた。その姿はまさに、慎治が中学生の時憧れていた高嶺の花、クラス中に出回った写真をひそかに購入して何度も何度も溜息交じりで見つめ続けた、憧れの天城礼子の姿そのものだった。いや、こうして間近に見る礼子の姿は写真撮影時から1年の成長を反映し、更に美しさを増していた。礼子の美貌、長身、高級そうなウェア、どれを取っても慎治たちが永久に持ち得ないものだ。そもそも慎治たちではこのクラブにビジターで入ることすらままならない。乗馬服など、一生着る機会すらないだろう。着古した、薄汚れたスウェット上下とスニーカー姿の慎治にとって、間近で見る礼子の乗馬服姿は単に美しい、と言う言葉では言い表せない。それはあらゆる面で恵まれた礼子と何もない慎治との身分差を凝縮していた。美しい・・・だが同時に礼子の乗馬服姿は威厳と高慢に満ちていた。
そして今日、慎治の目の前にいるのは礼子だけではない。玲子に富美代、朝子の三人もいた。礼子に負けず劣らず長身の玲子、そして小柄な富美代と朝子。三人とも細身で脚がスラリと長く、見事なスタイルだ。だが礼子も含め、四人を際立たせているのはスタイル、ルックスだけではない。乗馬服を着こなしていることだった。どんなスポーツでも同じだが、全く同じウェアを着ても上級者と初心者では一目瞭然に差が分かる。高級なウェアになればなるほど、初心者が着るといかにも不自然、服に着られている、と言った印象を与えてしまう。礼子たち四人はいずれも、乗馬服を見事に着こなしていた。高級かつ閉鎖的なクラブの雰囲気に溶け込み、乗馬服を見事に着こなした四人。クラブの中でも一際目立ち、礼子たちの周りだけ華やかな雰囲気が漂っていた。
慎治の視線が釘付けになっているのを礼子は満足げに眺めていた。恐怖に震えながらもぼうっと自分を見つめている慎治の呆け顔に大きく頷きながら礼子が口を開いた。「慎治、どう、私の乗馬服姿、生で見るのは初めてでしょ?遠慮しないで見ていいわよ。 慎治も中学の時、私の乗馬服姿の写真、買ってたらしいじゃん?あの写真も確か今日のと同じ、白のパンツに赤いジャケットのコンビだったわね。フフ、如何かしら、憧れの私の乗馬服姿は?お気に召した?」「か、買ってたって・・・そ、そんな、し、知ってたの!?」「当たり前でしょ!そういうことはね、いくら隠していたって本人には結構確実に伝わるものよ。全くもうこの写真小僧たちは!て結構、本気で怒ってたのよ。一度本気でとっちめてやろうか、て思ってた位。フフ、あのとき我慢してあげた貸し、返して貰うわよ。慎治、今日は覚悟しておくのね。私の乗馬服姿の拝観料、高いわよ!ましてや玲子に富美代に朝子、聖華の美女軍団四人がそろって極めてきてあげたんだからね、これは高くつくわよー・・・慎治に払えるかしらね。」
確かに礼子の乗馬姿は惚れ惚れするほど格好よかった。だが、いくら格好よくても、苛められる、それも息も絶え絶えになるほど鞭で打たれる、というのでは憧れなど、最早持ちようがなかった。憧れより恐怖の方が遥かに大きい。乗馬服姿で極めた四人は立っているだけで強烈な威厳がある。そして礼子たちが気合の入った服装をすることが何を意味するか。この前のブーツ責めで十二分に思い知らされていた。礼子たちは部活で道着に着替えると気合が入ってくるのと同じように、服装によって気合の入り方が違ってくるタイプだった。礼子たちが特別な服装に着替える、それは礼子たちの心のブレーキを解除するスイッチ、残忍性をフルに解放するスイッチが入ることを意味する。こ、怖い・・・何も言われなくとも礼子たちの意気込みがヒシヒシと伝わってくる。信次も全く同じ事を感じていた。玲子の手にしている乗馬鞭が今にも襲いかかってくる恐怖に、信次はその鞭から目が離せなかった。信次が早くも顔面蒼白で怯えているのを見て朝子がクスクス笑った。「やーねー信次ったら!玲子の鞭をそんなに見つめちゃって!そんなに早く鞭が欲しいの?」「あ、本当だ!でもね信次、この鞭はお馬さん用なの。信次を叩いた鞭で触っちゃったりしたらお馬さんが可哀想でしょ?信次の鞭はここに入っているからね。あとでゆっくりご馳走してあげる!」パンッと玲子がバッグを叩いた。
そこへ従業員が四頭の馬を連れてきた。「お待たせしました。いつもの四頭です。今日は遠乗りでしたね。お気をつけて、ごゆっくりどうぞ。」従業員は礼子たち四人に馬を引き渡すと、慎治たちのことは存在しない人間かのように全く無視しながら礼子たちにだけ丁重に挨拶し、去って行った。え・・・遠乗り・・・そうか、どこかへ場所を移すのか・・・でも馬は四頭しかないよ・・・礼子、富美代、玲子、朝子・・・女の子が四人と信次とぼく・・・六人いる・・・僕たちは礼子さんたちと二人乗りかな・・・ぼんやりと考えている慎治を見て礼子は微かに嘲笑った。「さあ行こう!案内は今日の主催者の玲子ね!慎治たち、しっかりついてくるのよ!ゆっくりにはしてあげるけど、遅れたらどうなるかわかっているわね!」
 「え、そ、そんな・・ついてこいって、ど、どうすればいいの?」「そ、そうだよ、まさか、僕たちにも馬に乗れっていうの? ぼ、僕たち、馬になんか乗れないよ・・・」慎治たちの間の抜けた返事に礼子たち四人はドッと笑い出した。「うーん、慎治、ギャグとしては今の、なかなか優秀よ。でもね、慎治たちは馬になんか乗れる身分じゃないでしょ?慎治たちは当然、走ってついてくるのよ!」そ、そんな! い、いくらなんでも酷い!だが否やを言う間はなかった。礼子たち四人は慎治たちの抗議を一切無視し、各々の愛馬に颯爽と跨った。
 「さあ、行くよ! 」礼子の声を合図に四人は一斉に馬を歩かせ始めた。ま、待って、馬になんて追いつけない・・・慎治たちの心配は当然だった。馬が本気で走り出せば、人間がどうやったって追いつくことはできない。例えオリンピック選手だって無理だ。それ位のことは礼子たちには十分に分っていた。だから礼子たちは馬を早足程度のスピードに抑えて走らせた。そのスピードならなんとか、慎治たちもついてこれる。だが、慎治たちにとっては「必死で走ればなんとかついていける」というレベルで、余裕を持っていられるようなスピードではない。慎治たちはあっという間に悲鳴を上げ始めた。「ひっ・・・ま、待って・・・お、願い・・・も、もっとゆっくり・・・し、死んじゃう・・・」慎治の悲痛な哀願が礼子たちを楽しませた。「ほら慎治、遅れない! しっかり走んないと、後で鞭が増えるよ! 」礼子の脅しは効果てきめんだった。馬に鞭を入れる、と言うが、慎治たちには鞭を入れる必要すらなかった。鞭、という言葉で脅すだけで十二分な効果があった。
 走った。慎治たちはひたすら走り続けた。どれ位走っただろうか。玲子が目的地を教えてくれないのが余計辛かった。いつまで走り続けるのか、あとどれ位なのか、一切分からない。もう着くのか、まだ半分も来てないのかも分からない。肉体的に辛いのは勿論だが、このいつまで続くか分からないマラソンは精神的に非常に堪えた。30分以上は走っただろうか。慎治たちが全身を汗にまみらせ、息も絶え絶えになってきたころ、漸く待ち望んだ声が聞こえた。「さあみんな、着いたわよ!ここ。ここを入るのよ!」玲子が立ち止まったところには一枚の木の立看板があった。「平成国際秀優大学グラウンド」そしてその路地の入り口にはチェーンが張ってあった。平成国際秀優大学。仰々しい名前だが,余り聞いたことのない校名だった。「なに玲子、ここなの?知らない校名だけど、ここ、どっかの大学のグラウンドでしょ?で、どこが気に入ったの?」馬を止めて礼子が尋ねた。「うん。この学校、平成元年だから丁度バブルの真っ盛りにできた私立大学なんだけどね、ま、要するに経営失敗したのよ。で去年、あえなく潰れちゃったってわけ。でも今更こんな田舎のグラウンドなんて買うとこあるわけないじゃん?と言うわけでこの物件、あえなく野ざらしの空き地に成り果てた、ていうわけ。」ポンッと礼子が手を打った。「そっか!潰れた、ていうことはこのグラウンド、誰も使わないんだ。じゃ、フルタイムで私たちの使い放題ね!」「そう。大体校名聞けばこの大学の経営陣、馬鹿者揃いだったってことが良く分かるでしょ?平成、国際、て来ただけで三流大学の条件満たしてる上に秀優だもんね、いくらバブルだって言ったって、こんだけ馬鹿大学宣言してるとこ、殆どないわよ。だからお金の計算も出来なかったみたいでね、このグラウンドも思いっきりバブルのりで作っちゃって、まあ新設大学のくせして、中はやたらと広くて立派なのよ。だから信次たちがいくら悲鳴上げたって誰にも聞かれる心配はないわ。おまけに学校が潰れたのが去年だからさ、まだあんまり荒れてないのよね。そこがまたグッドなのよ。」道端に倒れこみ、喘ぎながら束の間の休息を貪っていた慎治たちもようやく悟った。やっと苦行が終わったのではなく、今から漸く、本物の苦行が始まることを。

 チェーンの横をすり抜けて一行は中へ入っていった。グラウンドは道路より50メートルほど奥にあり、木の影に隠れて道路からは全く見えない。確かにこれなら玲子の言うとおり、ちょっとやそっと悲鳴を上げても誰にも聞こえそうになかった。グラウンドは本当に広々としていた。400メートルのフルトラック、そしてトラックの中はサッカー用のピッチになっていた。ピッチは芝に覆われていた。手入れするものがいなくなり、かなり雑草が増えているとは言え、まだまだいいコンディションを保っていた。そしてこのグラウンドでどういう目にあうか、信次たちにも薄々わかってきた。「さあ、準備をしようか! 信次、二人ともさっさと服を脱ぎなさい!」玲子の声が凛と響いた。
 そして四人の美少女は馬から一旦降り、吊るしておいたバッグから各々、愛用の鞭を取り出した。礼子たちは黒い鞭、そして富美代たちは茶色い鞭。いずれも信次たちの血と涙と悲鳴をたっぷりと吸った鞭だった。ゆっくりと四人はストレッチをし、体をほぐした後、再びひらりと身を翻し、騎乗した。「さあ、始めようか!信次、ここは広いからね、思いっきり逃げ回っていいよ!壁もないし、逃げ回る場所はたっぷりとあるからね。鞭で叩かれるのが嫌だったら、精々必死で逃げ回ることね!」「そ、そんな、だって玲子さんたちは馬に乗ってるじゃないか!ヒッ! 」信次の必死の抗議は玲子の鞭にあっさりかき消されてしまった。「ほら信次、一番手は私よ!さっさと逃げないと、鞭でタコ殴りだよ!」ヒ、ヒーッ・・・悲鳴を上げながら信次は殆ど反射的に逃げだした。信次がグラウンドの半ば位まで行った時、玲子がニヤリと凄絶な笑みを浮かべながら軽く唇を舐めた。
 「さあ、行くよ、ハッ!」玲子は掛け声と共に愛馬をスタートさせた。パカッバカッ、玲子が駆る馬のひずめの音が迫ってくる。信次がいくら必死で逃げたって馬のスピードに比べれば悲しい位のろい。あっという間に玲子に追いつかれてしまった。「ほら、このドン亀! そんなグズは、こうしてやる!」ビュォッと凶暴な音を立てて玲子の鞭が振り下ろされた。バッシーンッッッと派手な音を立て、信次の背中に凄まじい鞭が炸裂した。「ギ、ギエッ!」獣のような声を立てて信次はエビのようにのけぞった。ただでさえ長身の玲子が馬上から振り下ろす鞭だ。重力を味方にし、思いっきり振り切った鞭は凄まじい威力だった。痛い、なんて言葉では生ぬるい。打たれた瞬間、息が詰まるような、背中を打たれた筈なのに内蔵を通り、腹まで衝撃が突き抜けるような凄まじい一撃だった。「ほらほらほら!それそれそれ!」玲子は立て続けに鞭を振り下ろした。「ビッ、ギァッギャッ・・ベッ、ギェッッッッ!!!」玲子の鞭が炸裂する度に信次は断末魔のような悲鳴を上げ続けた。両手は縛られていない。だから少しでも鞭をよけようと両腕で頭を抱え込み、体を丸めるようにしていたが、玲子の強烈な鞭の前にはそんなガード、全くの無意味だった。これほど強烈な鞭なら、何も背中や尻にこだわる必要はない。腕だろうが足だろうが、どこでもいい。皮膚があり、神経が走っているところならどこにでも十分な苦痛を与えられる。と、いうことは信次の全身どこを鞭打っても構わない、ということだ。間断なく降り注ぐ玲子の鞭が信次の体のどこかを捕える度に、信次は絶叫を上げながら打たれた箇所を反射的に引っ込めるように体を反らしたり、逆に折り曲げたり、足を上げたり、腕を下ろしたり、と殆ど統一的な意志の感じられない反射運動を続けた。それは傍から見ていると珍妙なダンスだった。「アハハッ、なに信次のあの格好!玲子、もっと踊らせてよ!」朝子が大笑いしながら声をかけた。
 「OK!ほら信次、ギャラリーが見てるわよ、LET‘S DANCE!」玲子は笑いながら鞭を振るい続けた。ピシッ・・・パアン・・・ビシッ・・・パシーンッ・・・玲子の鞭音が響き続けた。「ギャッ・・や、やべ・・・ミ゛エ゛ッ!!!い、いだいーっっ!だ、だずげでーっっっ!!!」信次の動きと悲鳴が徐々に小さくなっていく。「ブギャッ・・・」フラフラになった信次は足をもつれさせ、芝に倒れこんだ。止めを刺そうかしら。馬を止め、大きく振りかぶった腕を玲子はゆっくりと下ろした。いけないいけない。私まだ、一番手なんだよね。いきなり信次を潰しちゃったら、朝子が遊べなくて怒っちゃうわ。「ほら信次、もう終わりにしてあげるから、立ちなさい。」玲子が声をかけても信次は倒れこんだまま、動けずにいた。背中も腕も足も、全身が痛みと灼熱感に包まれていた。全く、効いたふりしちゃって、あんたがこの程度で本当に終わっちゃうわけないでしょ!役者やなー・・・「信次、立ちなさい!それとも、鞭で叩き起こしてほしい!?」ひっ、そ、それだけは・・・全身をまだ包む激痛にうめきながら信次は必死で立ち上がり、のろのろと玲子の後ろについてスタート地点に戻っていった。
 「信次、いい色になって帰って来たじゃない!ほら、慎治も見てごらんよ。この蚯蚓腫れ、どんどん盛り上がってきているよ?」礼子はフラフラになって帰ってきた信次の傷を鑑賞しながら、傍らに慎治をはべらせた。言うまでも無い。礼子の大好きな精神的拷問だった。生来短気な玲子は先責めが好きなのに対し、礼子は大体において後責めを好んだ。玲子の鞭に、蹴りに、拳によって信次が全身ボロボロにされるのを見せ付け、その傷をたっぷりと見せ付け、慎治が怯える様を見るのが大好きだった。フフ、怯えてる、怯えてる・・・たっぷりと怖がってね。恐怖が最高潮に達したところで・・・その恐怖、現実にしてあげる!慎治の顔が恐怖に歪み、間もなく自分を襲う苦痛を想像し、絶対に許してもらえないことに絶望しながら、それでも藁をも掴む思いで泣きそうな顔になって哀願するのを見るのが礼子は何より好きだった。慎治、あなたを虐待し、地獄に突き落とす当の私に向かって哀願するその目、大好きよ。必死の努力が徒労になる人間の目って素敵。ずっとずっと、その目をさせたいわ。そして必死の哀願を冷たく踏み躙り、刑の執行を宣告する時の慎治の表情は礼子にとって最上のご馳走だった。絶望、恐怖、そして微かに入る怒りや覚悟の色がまた、何とも言えずいい味を出すスパイスのようだった。止められない・・・こうやって慎治の精神も肉体も嬲り尽くすのって、最高・・・慎治の表情を楽しみながら、礼子は至福の時を噛みしめていた。私、どっちなのかな。慎治のこの表情を楽しむために、鞭を振るって痛めつけているのかな。それとも鞭を楽しむためのオードブルとして慎治の怯えを楽しんでいるのかな・・・まあ、どっちでもいいや。卵が先か鶏が先か、みたいなものね。私、オムレツもフライドチキンも両方とも好きよ。そう、慎治を泣かせるのも大好きだけど、鞭も勿論、大好きなんだから!!!
 「さあ,行こうか!」礼子は身を翻すと愛馬に騎乗した。「さあ慎治、どうすればいいかは分かるわね?」慎治の耳元で鞭をヒュンッと鳴らした。「慎治、折角の広いグラウンドよ。自由に逃げていいわ。信次の背中、見たでしょ?追いつかれたら慎治の背中もああなっちゃうわよ?フフ、精々一生懸命逃げることね。いい、もう一度言ってあげる。追いつかれたら・・・痛いわよ?」そ、そんな!!!馬から逃げられるわけない・・・ヒッ!慎治の背中を襲った鞭がゲームの開始を告げた。に、逃げなくちゃ・・・無駄と分かっていても、その場から逃げずにはいられなかった。慎治が50メートルほど逃げた辺りで礼子は声をかけた。「慎治、そろそろいいかな?行くよ!ハッ!」馬に一鞭くれると礼子は慎治を追って馬を走らせた。ドドッ、ドドッ・・・馬の走る音が背後から迫る。や、やだ、追いつかれたくない!!!だが礼子の駆る馬はあっという間に慎治に追いつき、鞭の射程圏内に入った。「ほら遅い!そんなんじゃ背中、すぐ真っ赤になっちゃうよ!」ヒュンッという風を切る音とともに鞭が慎治の背中を襲った。ビシッ・・・「ひ、びあっっっっ」い、痛い・・・いつもの鞭より痛い。馬に乗って高いところから振り下ろす鞭、おまけに走りながらだから馬のスピードまで加わっている。慎治は反射的に体をエビのようにそっくり返らせ、よろける足を絡ませながら必死で逃げようとした。
 礼子は慎治が逃げるのを敢えて止めなかった。いいわよ。そう、逃げなさい。私の鞭の痛さが身にしみたでしょ?叩かれたくなかったら逃げなさい!必死で走りなさい!そして慎治が数メートル逃げたところで再び馬を走らせ、鞭を浴びせた。「ひ、いたい!!!」「ふう。礼子ってほんと、悪魔ね。あれじゃ慎治、蛇の生殺しじゃない。一思いに打ちのめしてやればいいのに。」流石の玲子が慎治に些か同情したかのように呟いた。その通りだった。なまじ連続して鞭打たれないため、慎治の苦痛は延々と続いた。礼子の鞭は痛すぎる、強制されないで、自分の意志でその鞭を受け続けることなど不可能だった。一発鞭打たれるたびに慎治は悲鳴をあげながら逃げまどった。体育館と違って壁がない、広い、遮るものが何もないグラウンドだ。ある意味ではどこまででも逃げられる。だが礼子は馬に跨っている。慎治より遥かに素早く動き、鞭で追い立て、自由に慎治の動きをコントロールできる。慎治に逃げる術などなかった。逃げられること、それが却って慎治の苦痛を倍加させていた。
背中を襲う鞭の苦痛。逃げても逃げても背後に迫る馬のひづめの音の恐怖。そして休みなく走り続けさせられ、心臓も肺も限界に達していく。脚の筋肉も痙攣しかかっていく。そして見えない背後からいつ襲うかも分からぬ鞭の恐怖と、騎乗の美少女に、自分のクラスメートに追い回される屈辱。心身を内から外から、何重にも苛ぶる礼子の責めだった。気絶しようにも鞭と鞭の合間に僅かながらインターバルがある。連打ではない分、なかなか気絶できない上に、一鞭一鞭フレッシュな痛みをじっくりと味あわされていた。ひ、いっそ一思いに殺して・・・慎治は大粒の涙をこぼし、恥も外聞もなく泣き喚きながら走り回った。そして慎治のその無様な格好は馬上から鞭を振るう礼子にとって、最高の悦楽だった。
どれだけ走らされたことだろう。慎治はついに精魂尽き果てて地面にのめりこむように倒れこんだ。「あらあら慎ちゃん、もうダウン?早く起きないと痛い痛いよ?」ピシッ・・・礼子は倒れたままの慎治に一鞭くれた。うぐっ・・・うめき声と共に慎治の背中が動いたが、立ち上がれない。本当に逝っちゃったのかしら?ピシーッ!パシーッンッ!スナップを思いっきり効かせ、礼子は強烈な鞭を立て続けに浴びせた。ひっ・・・びえっ・・・慎治はうめき声を上げたがもう動けなかった。全精力を使い果たし、最早動く気力も礼子の鞭を多少たりともガードしようと手を動かす力さえ残っていなかった。フフ、慎治、どうやら本当に逝ったみたいね。結構楽しかったよ。また遊ぼうね。「ま、こんなもんかしら?みんなおいでよ、私の番はお終いよ!」未だ立ち上がれない慎治の傍らに礼子は皆を呼び寄せた。「わあ、礼子すっごーい!随分いっぱい叩いたんだ。慎治、背中もう真っ赤っ赤じゃん!」富美代が感心したような声をあげた。「本当ねー。玲子と違って連打しなかったけど、結構一杯叩いてたんだね。うーん、信次、ちょっと背中出して!」朝子は二人の背中をじっくりと見比べてみた。「そうね。やっぱり滅多打ちにした分、身体の前の方は玲子の鞭の勝ちだけど、背中については後ろからの追い鞭に徹した分、礼子の勝ちね!」「やーねー二人とも、別にこれ、勝ち負け競ってるわけじゃないじゃん!」玲子の呆れたような声に四人は一斉に大笑いした。だが楽しいのは四人の美少女だけだ。信次たちにとってはちっとも楽しくない。いや、二人にも分かっていた。未だ鞭は終わりでないことを。朝子と富美代も鞭を楽しまなくては収まりがつかないことを。
「さあ信次、礼子の鞭の間に少しは休めたでしょ?次は私の番よ!早く順番こないかなって、もううずうずしてたんだから!」朝子が飛び乗るように馬に跨った。「あー、朝子いいなあ。私、またまちぼうけじゃん。」富美代が心底羨ましそうな声をあげた。「お預け、富美ちゃん!まあいいでしょ、富美ちゃん大トリなんだから。ビシッと締めてね、じゃ、お先!」朝子が信次を追いかけまわす間、富美代はずっと自分の鞭プランを考えていた。どうやって追いかけまわそうかな。走らせるのもいいし、タコ殴りもいいし・・・幼馴染を苛める、一緒に遊び、おやつも食べた仲の慎治を地獄に突き落とすことに富美代はなんの躊躇もなかった。いや、躊躇、と言う言葉すら不自然、富美代は既に慎治のことなど、何も考えてなかった。頭の中にあるのは只一つ、どうやって楽しもうか、それだけだった。

朝子と富美代が鞭を終えた時、慎治たち二人は最早息も絶え絶えだった。全身に無数に鞭を浴び、体中真っ赤、蚯蚓腫れと青痣に彩られていた。体力も気力も限界に達していた。「も、もう・・・ゆるして・・・」倒れこんだまま慎治はうめいた。余りに多くの鞭を受け、背中の感覚、痛覚すら薄れつつあった。パカッ、パカッ・・・馬の軽い足音がした。しかも一人ではなく四人全員の音のようだった。ま、また、今度は全員・・・死んじゃう・・・だが足音は慎治から遠ざかっていった。遠くで礼子たちの明るい声が聞こえた。なんだろう。だが首を動かす気力もなかった。5分ほど経っただろうか、「慎治、慎治ったら、早くおいでよ!」礼子の声に必死の思いで起き上がると、礼子たちはスタート地点にシートを広げ、ランチの用意をしていた。「ほら慎治、いつまでも寝てないで早くおいでよ、お昼にしよう!」富美代が手招きしていた。のろのろと慎治が歩いていくと、驚いたことに慎治たちの席もちゃんとあった。慎治は礼子と富美代の間に。そして信次は玲子と朝子の間に。サンドイッチ、鶏の唐揚げ、ウインナー、サラダ・・・色とりどりの典型的なピクニックランチが並んでいた。「どう慎治、みんなで分担して作ったんだからね。結構おいしそうでしょ?感謝してよ。私たちの手作りお弁当を食べられるなんて、クラスの男の子たちが聞いたら泣いて羨ましがるわよ?」ランチは確かにおいしかった。どうせ残飯を投げ与えられるか、またブーツで踏み潰されたものを犬食いさせられるのか・・・と思っていたが、そうではなかった。玲子たち四人はそんな素振りは一切見せず、むしろ甲斐甲斐しく慎治たちの皿に色々と取ってやり、飲み物を与え、食後のデザートまでくれた。フルーツとチョコケーキ。疲れ果てた身体に糖分は何よりのご馳走だった。良かった・・・どうやら四人とも、満足してくれたみたいだな・・・そうだよな、あれだけ鞭を振るったんだ。もう十分だよな。ランチが終わったら、きっと帰れる・・・喉元過ぎればなんとやら、信次たちの読みは相変わらず甘すぎた。夏休みの別荘を思い出すべきだった。玲子たちが食事と睡眠だけは十分にくれたことを。大事な玩具を責め潰さないために、メンテナンスには抜かりないことを。
 破局はすぐにやってきた。食休みも終えランチセットを片付けると礼子が慎治に向き直った。「どう、慎治。午前中の私たちの鞭、痛かった?」「は、はい・・・とても痛かったです。ほ、ほんと、死にそうなくらい痛かったです・・・」「そう。そりゃそうよねー。みんな結構本気で叩いてたものね。でも慎治、お弁当も十分食べたし、結構ゆっくり休んだから大分体力回復したんじゃない?」「そうよね、礼子。ほら見てごらんよ、信次なんか、さっきは死にそうな蒼い顔してたのに、今じゃすっかり顔色も良くなってるわよ。」礼子たちのこのセリフが何を意味するか、慎治たちにももうわかっていた。「ま、まさか、そんな・・!」ニコッと礼子は天使のような優しい笑顔で答えた。「そうよ、午後の部、開始よ。」や、やだーっ!!!慎治たちの悲鳴を全く無視しながら礼子は続けた。「あ、みんな、午後の部開始の前にトイレ行っとく?私、さっきから我慢してたんだ。玲子がね、あっちに簡易トイレ作っといてくれたんだって。」礼子が指差した先にあるものはグラウンドの隅にある用具倉庫、それも鍵をかけられており、入ることはできなそうだった。そして建物らしきものは、他には何もなかった。と、トイレって・・・なにもないじゃない・・・どこでするの?ま、まさか・・・そのとおり、慎治たちが引き立てられた先は倉庫の横だった。凍りつく信次に玲子がごく自然な口調で宣告した。「野外トイレは信次たちの口に決まってるでしょ?でもね、私も礼子も信次たちに飲ませるのはいいけど、互いの見てるとこでパンツおろす気にはならないわよね。朝子たちもそうでしょ?だからね、両側に一つずつトイレ作ったんだ。それならお互いに見られないでできるからね。」そ、そんな・・・先週、富美代と朝子のおしっこを飲まされた記憶がリアルに蘇った。ま、また飲まされる・・・礼子たちだけではなく、富美代と朝子のおしっこも飲まされる、共同便所への転落。だが礼子たちにとって慎治たちの葛藤など、知ったことではない。二人はそのまま野外トイレに引き立てられ、寝転がされた。まず礼子たち、そして富美代と朝子、立て続けにたっぷりとおしっこを飲まされ、口中一杯に塩気とアンモニアの香りが生臭く漂う。だが便器になるだけでは済まされない。午後の部、新たな鞭が慎治たちに忍び寄っていた。

 「さあ、じゃあそろそろ始めようか。」玲子の声に信次たちは現実に連れ戻された。始める・・・痣だらけの全身に痛みがリアルに甦った。い、一体何を・・・信次は必死で無い知恵を絞って考えてみた。今まで玲子たちはこういうイベント的な苛めの時、どんな事をしたっけ?何かパターンがあったはず・・・そう、バリエーション、だ。同じ鞭でも責めのパターンを変え、より多くの恐怖と苦痛を与えようとする。それが玲子たちの苛めのパターンだ。だったら、どう苛める気だ?馬、新しい責め・・・想像がつかなかった。分からない分、恐怖だけが一人歩きしていった。信次が必死で考えているのに気づいた礼子が声をかけた。「信次、何考え込んでるの?もしかして、どう苛められるのかなあ、て考えてた?そうだよね。いつもは信次が先責めでやられてるからね。だけどまあ、今は安心していいよ。」ビクッと慎治が震えた。礼子の読み通り、慎治はとりあえず何も考えずに現実逃避しようとしていた。どうせ信次が責められるところをたっぷり見せ付けられる。嫌というほど怖がらせられるんだ。だったら、せめて今は何も考えたくない・・・慎治の心は空白状態、責められる心の準備が出来ていなかった。「えっっっ、ぼ、僕からなの?!」「そうよ慎治、先攻玲子、後攻私がルールだなんて、誰が決めたの?たまには私か先攻の時もあるのよ。」礼子は楽しそうに笑っていた。バカね慎治、すっかり油断してたでしょ?何もいつもいつも拷問見物させるだけが能じゃないのよ。油断させといての先責め、て言うのも結構、堪える精神的拷問でしょ?
 突然の恐怖に震える慎治を見下ろしていた礼子がすっと馬から降りてきた。え・・・慎治が直感的に予想していたのは二人懸かりでの鞭打ちだった。きっと礼子と富美代の二人に追い回され、鞭打たれるに違いない。だが礼子の想像力は慎治の遥か上にあった。下馬した礼子が用意したのは長いロープだった。訝しげに玲子が尋ねた。「ねえ礼子、何する気?縛るの?礼子が私と違って、抵抗できなくしてから鞭打つのが大好きなのは知ってるけどさ、なんか、折角こんな広いとこに来たのに勿体無くない?」「フフ、大丈夫、大丈夫。私がそんなぬるいこと、するわけないでしょ?まあ、ゆっくり見ててよ。慎治、両手を出して!」礼子は慎治に両手を出させると、手首のところで厳重に縛りあげた。だが、他の所はまったく自由のままだ。10メートル以上ある長いロープは慎治の両手を何重にも縛っても尚、相当な長さを残していた。「れ、礼子さん・・・な、何を、何をするんです・・・か・!?」恐怖に怯え、泣きべそをかきながら慎治は必死で尋ねた。聞きたくはない。どんな酷い目に合わされるのか、知りたくもない。だが、聞かずにはいられなかった。
 「フフ、慎治、怖い?でも安心していいわよ。私、鞭を使うつもりはないから。それだけは約束してあげる。」え・・・鞭、じゃない・・?ほっとした慎治の背筋にぞくっと寒気が走った。な、何を安心しているんだ俺は。鞭じゃないからって、礼子さんはきっと、鞭よりもっと酷いことを企んでいるに違いない!なんだなんだ・・・鞭じゃない・・・ロープ・・・縛る・・・しかも両手のみ・・ま、まさか!!!「そうよ、慎治、どうやら感づいたみたいね。」礼子は残忍な笑みを浮かべつつ、慎治の両手を縛ったロープのもう片端を馬の鞍の後ろに結んだ。「そうよ。前にも言ったわね。私、子供の頃西部劇が大好きで、特に悪漢が町の人をリンチしたり拷問するシーンが大好きだった、て。慎治も西部劇で見たことあるでしょ、悪漢がこうやって縛った人たちのことを馬で引き摺り回してボロボロにするのって。」ガチガチ・・・慎治の歯が恐怖の余り勝手に震えだしていた。「や、、、やめて・・・お、願い・・・」消え入りそうな声で慎治は哀願した。震える慎治の頬を優しく撫で、天使のような微笑を浮かべながら礼子は宣告した。「慎治、今からあなたのこと、たっぷりと引き摺り回してあげるわね。」
 現実認識を失い、声も出せずに立ちすくんでいる慎治の頬に軽くキスすると礼子は身を翻し、愛馬に跨った。「行くわよ、ハッ!」礼子はゆっくりと馬を歩かせはじめた。緩んでいたロープはすぐにピンと張り、引きずられた慎治が歩き始めた。「そうそう慎治、必死でついてくることね。転んだら終りよ。」礼子は徐々にスピードを上げていった。慎治は必死で走り出す。だが馬と人間のスピードは違いすぎる。「ひっ、、、ま、待って!も、もっとゆっくり・・・スピード、落として!!!」後ろを振り返り、慎治が恐怖に顔を歪ませながら絶叫するのを見た礼子は、楽しげに笑いながら更にスピードを上げた。慎治は徐々に悲鳴すら出せなくなっていく。鈍足の慎治にとってはもう,フルスピードに近い。そして人間がフルスピードを出し続けられるのはオリンピック選手クラスでも10秒が限界だ。慎治はあっという間に限界に達してしまった。礼子は振り返り、慎治が限界に来ていることを見極めた。いいわ慎治、いたぶるのはこの程度にしてあげる。さあ、本番逝くわよ!礼子は右手を高く上げ、ピシリと乗馬鞭で愛馬の尻を打つと同時にブーツの拍車で腹を蹴った。GO!礼子の愛馬は騎乗の美少女の意図を的確に理解し、それまでの早足から一気に駆け出した。あっと言う間もない。慎治はそれでも必死で若干の距離を走ったが馬のスピードに追いつけるわけがない。千切れそうな腕の痛みと共に慎治の上半身が前方に引き倒されていき、足が絡まりはじめた。限界より速く走られると、いくら足を前に動かそうとしても、最早単に抵抗になるだけだった。「ひっ!」悲鳴をあげながら遂に、慎治はつんのめるように膝を地面についた。
 立ち上がる暇などない。膝を支点にして倒れこみながらも慎治の腕は前方に引き伸ばされ、そのまま膝が、腹が、胸が地面を滑り出した。慎治の目の前を芝生とあちこちに伸びる雑草が高速で通り過ぎていく。ロープに縛られた手首から肩にかけて全体重がかかり、引っこ抜かれるような激痛が走った。「ビアーっっっっや、やべでーーー!!!」断末魔のような悲鳴をあげつつ慎治は引き摺られていった。礼子は馬を疾走させながら振り返った。自分が駆る馬に引き摺られ、慎治が悲鳴を上げていた。自分の愛馬で人間を引き摺り回している!長い間、夢にまで見た光景だった。最高!私、これをやるために乗馬を習ったのかもね。「ほらほら慎治、まだまだ引き摺り回してやるからね!」ピッチの端に来た礼子は、そのまま馬を返すと反対側に走らせた。
一旦、ロープは緩んだもののあっという間に反対向きにピンと張り詰め、再び慎治を引き摺り回す。しかも今度は回転したタイミングのせいか、慎治は仰向けにひっくり返り、背中を下にして引きずられていった。「ぎあ゛―――っ!」慎治の悲鳴が轟いた。今度は秋晴れの澄んだ青空が慎治の視界を流れていく。だが慎治にそんな青空を眺めている余裕などない。肩に、さっきとは異なる角度からの痛みが襲い掛かった。礼子はわざとグラウンド内の、芝生に覆われたサッカー用のピッチからは出なかった。硬い土のグラウンドを引き摺り回せば慎治により多くの苦痛を与えられるのは分かっていたが、そうするつもりはなかった。なにしろ鞭を楽しむために、慎治は一糸まとわぬ裸にひん剥いてあるのだ。そのまま土の上を引き摺り回したりしたら、あっという間に全身の皮膚が擦り剥けてしまう。別に慎治が因幡の白兎になろうがどうなろうが礼子の知ったことではないが、流石にずる剥けになってしまっては、今日のパーティーはお開きになってしまう。そんな勿体無いことをするつもりは毛頭なかった。
 だから礼子はあえて、慎治を引き摺り回すのは柔らかい芝生と雑草で保護されたピッチ内だけに留めていた。だが慎治の苦痛は十二分に酷いものだった。腕が痛いだけではない。いくら柔らかい芝生の上とは言っても、高速で引き摺り回されては全身、地面との摩擦で焼けるように痛い。そして整備されていないピッチは決して平面ではない。スパイクの跡、草の根・・・細かい起伏がたくさんあり、それらのギャップに跳ねられて慎治の全身は微妙にバウンドしながら引き摺られていった。苛め、といった領域を遥かに通り越した礼子の責めだった。「もう駄目!!!誰か、誰か助けてーーっ!!お願いーーっっっ!!!」スタート地点まで引き戻され、礼子が再びUターンしようとした時、慎治は玲子たちに向かって必死で絶叫した。玲子たちの誰かが止めてくれることを期待して。誰かは分からない。だが三人もいるのだ。誰か一人くらいは流石に見かねて止めてくれるだろうと期待して。だが、慎治は未だ甘かった。玲子たちにとって、慎治の苦痛など単なる遊び道具でしかないのだから。一対一の時だったら多少は情けも期待できたかもしれない。だが四人集まった時の礼子たちの集団心理は慎治が期待したのとは正反対の方向に働いていた。残虐性は四倍、いや四乗に、そして同情心は四分の一、いや四乗根に。
慎治の悲鳴に真っ先に反応したのは富美代、幼馴染、ということでせめて富美ちゃんは助けてくれるんじゃないか、と慎治が最も期待していた当の富美代その人であった。「礼子楽しそう!私もジョインする!」再び引き摺られていく慎治を追いかけるように、富美代は自分の馬に鞭を入れ走り出した。走りながら乗馬鞭を一本鞭に持ち替え、その鞭をヒュンヒュン振り回しながら慎治に並走する富美代を見て、礼子は富美代が何をするつもりか直ぐに理解した。「OK,OK,富美ちゃん、やっちゃってくださーいっ!」おどけたような礼子の声を合図に富美代は引き摺られていく慎治の背中に思いっきり鞭を振り下ろした。「ぎあ゛―――っ!」慎治が獣のような悲鳴を上げた。「アハハハハッ!最高!ほら慎治、もっともっと泣いちゃえーっ、ほらほらほらほら!!!!」富美代は慎治の悲鳴に興奮し、一層激しく、凄まじいピッチで間断なく鞭を振り下ろした。ドドッ、ドドッと二頭の馬が走る重い音、ズザーッという慎治の肉体が引き摺られる音、そしてヒュンヒュン唸る富美代の鞭の風切り音とビシッ、バシッと振り下ろされる鞭が慎治の裸体を打ち据える音。そして礼子と富美代のキャハハッという心の底からこみ上げる、抑えようのない楽しさを満喫している笑い声とビア゛―ッと全身を間断なく苛む激痛に声にすらならない慎治の絶叫。天国と地獄の音がコントラストを描いてグラウンド中に響いていた。
 そして玲子と朝子も興奮のピークに達していた。「朝子、私たちも行こう!」ヒッ、目の前で繰り広げられる狂宴を呆然と眺めていた信次の全身に電流が走った。に、逃げなくちゃ!!!信次は恐怖に足を絡ませながら必死で逃げようとした。だが、「ぐえっ・・」三歩と逃げないうちに信次は背後から首に絡まりついた黒い蛇に締め上げられ、苦しげな悲鳴を上げた。「どこ逃げる気よ信次!逃げられるとでも思っているの!」玲子の鞭が素早く信次の首に絡まりつき、締め上げていた。「そうよ信次、余計な手間かけさせないでよ!この馬鹿!」駆け寄った朝子の右拳、ついで右膝が信次の鳩尾にめり込んだ。「ぐぼっ・・」思わずうずくまる信次の背中を蹴り倒すと朝子は素早く背中に馬乗りになり、両手を縛り上げた。「玲子!」朝子が放り投げたロープの反対端をキャッチすると、玲子は自分の馬の鞍に結びつけた。「ほら信次、手間かけさせた罰よ!」朝子が信次の腹を数回、立て続けに蹴りつけた。固いブーツの爪先が腹にめり込む。さらに朝子は全体重をかけながら信次の顔を踏みつけた。朝子のブーツの底に踏み躙られる信次の頭は、そのまま地面にめり込んで行きそうだった。痛い。だが、信次としてはこの程度の痛みにうめいているほうが遥かに幸せだった。「朝子、遊んでないで早くおいでよ、置いてくよ!」「あん、待ってよ玲子ったら!」玲子の興奮しきって上ずった声に朝子はハッと我に返り、お遊びを止め自分の愛馬に駆け寄って行った。朝子が馬に跨り、鞭を握ったのを確認すると玲子は大声を上げた。「朝子、準備OK?よし、じゃあ信次、覚悟はいいわね、行くわよ!ハッ!」
 「いやーっ!やべでーっ!!!」胃袋を破裂させるかのような朝子のトーキックに呻いていた信次は、未だ立ち上がることすらできない。だが悠長に痛みが治まるのを待っている余裕など、玲子たちは与えてくれなかった。信次は地べたに這いつくばったまま悲鳴を上げながらロープに引き摺られはじめた。「い、いだだだ゛!!」か、肩が抜ける・・・玲子が鞭と拍車を使い、馬のスピードを上げていく。「ぎ、ギヴァーーーーーっっっ!!!」全身の関節がバラバラになりそうな苦痛と引き摺り回される恐怖に狂ったように絶叫しながら、嫌々をするように左右に首を激しく振る信次の視界にもう一頭の馬が見えた。朝子の馬だった。朝子は馬のスピードを巧みに調節し、引き摺りまわされる信次とピッタリ並走しながら右手に握った鞭をヒュンヒュンと水車のように振り回していた。「ほら信次、頭上にご注意!」ビュォッ、朝子が振り下ろした鞭が信次の背中めがけて襲い掛かった。パシッ・・・手加減抜きの鞭が信次の背中に更なる苦痛を加える。バシ、パシ、ピシ・・・朝子は完全に頭に血が上ってしまったかのように、間断なく鞭の雨を降らせた。仰向け、うつぶせ関係ない。地面を引きずられる痛みと鞭の痛みと、上下から同時に襲ってくる激痛は片時の休みもない。しかも両手を縛られて引き摺られているのだ。体のどこをガードすることもできない。ただひたすら苦痛を味わうこと。信次にできることはそれだけだった。そして鞭の痛さに体をよじったり膝や肘を立てたりすると、それが抵抗となって体がバウンドし、信次を更に苦しめる。そしてバウンドしながら引き摺りまわされる信次の姿は、玲子と朝子から見ると珍妙なダンスを踊っているようだった。「ビアーーッッッッ!!!」信次は叫び続けた。獣のような声だ、何で自分がこんな声を出せるのか理解できなかった。本能的な、断末魔の叫びなのかも知れない。だが叫び続けることが唯一、自分を確認させてくれることだった。叫び続けないと気が狂ってしまいそうだった。

 何周引き摺り回されただろうか。礼子たちの馬は漸く止まった。ハアハア・・・やっ、やっと終わった・・・慎治たちは芝生に顔を埋めたまま喘いでいた。鞍からロープを外し、二人が降りてきた。「どーお慎治、楽しい?私、最高よ、夢がかなって最高にハッピーよ。」礼子はブーツの爪先で慎治の頬を小突きながら笑った。返事をする気力もない慎治に礼子は更に続けた。「慎治、まさかもう、引き回しの刑が終わったなんて思ってないでしょうね?これからプレイヤー交代なんだからね。」こ、交代・・・まさか・・・真っ白になっていた信次の頭にも急速に意識が戻ってきた。こうたいこうたい・・・まさか!!「ブギャッ!」立ち上がろうとした信次の頭を玲子が踏みつけた。「玲子―っ、早く早く!私も引き摺りたいーっ!」「ハイハイ、もう朝子ったら駄々っ子ちゃんなんだから、ほら、早く結びなさい!」玲子の鞍から外したロープを、今度は朝子が自分の愛馬の鞍につないでいた。「ヤ、ヤダーッ!」
信次は必死で起き上がろうとしたが、玲子のブーツにグイッと力が込められ、踏み潰されたまま地面に顔をめり込まされてしまった。「ああ信次、今いいとこなんだからさ、ちょっとの間大人しくしてなさい。すぐ遊んであげるから。」朝子と富美代がロープをつなぎ終えると同時に玲子たちは信次たちを靴底から解放してやった。頭を踏み潰される苦痛から解放され、一瞬信次たちはほっとした。だが、すぐに拷問が再開された。「さあ行くよ!」今度は富美代と朝子が引摺役、礼子たちが鞭打役だった。
「ギアーッ!!!た、助けてーっっっ!」「ま、ママーッ、ママーッッッ!!!痛い、痛いよーーっっっ!」慎治たちは絶叫しながら引き摺られていった。鞭を振るいながら礼子は慎治の苦悶をじっくりと鑑賞していた。さっき引き摺り回した時は慎治の様子をずっと見ていられた訳ではない。チラチラと頻繁に後ろを見ながら、苦痛に喚きつつ必死で自分に哀願する慎治の顔を楽しんではいたが、こうやって横から見ているほどじっくりと楽しめた訳ではない。だが、富美代に引き摺られながらだと、慎治の苦悶の様子が特等席で、ライブで鑑賞できる。いいわ。引き摺るのもいいけど、こうやって横から鑑賞するのもまた楽しいわね。鑑賞、と言っても鞭を振る手は片時も止まらないのだが。
楽しんでいるのは玲子も同じだった。芝生の上を引き摺られていく信次の体に自分の鞭が当たるたび、ビクッ、ビクッと反射的に信次の体が震える。その痙攣が新たな抵抗を生み、信次の体を微妙にジャンプさせて引き摺られていく苦痛を倍加させる。朝子と私、息あってるじゃん!信次の苦痛を更に引き出すべく、玲子は腕も千切れよとばかりに鞭を大きく振るった。スナップも思いっきり効かせた。せ、背中が裂ける・・・信次は上下から同時に加えられる激痛に喚き続けた。上から下から、いや腕、肩も加えて前後から、まるで両面グリルに入れられた焼き魚のように、信次の全身は苦痛の炎でじっくりと炙られていた。バーベキュー、苦痛のバーベキューだ。生きながらにして炎に炙られる生き地獄。ピッチを何周も何周も引き摺り回され、漸く解放された時、信次たちは二人とも全身ボロボロ、胸も腹も背中も尻も、全身を真っ赤に腫れ上がらせ、蚯蚓腫れを蜘蛛の巣のようにまとい、そして血を滲ませていた。立つことはおろか、ピクリと動く気力すらなかった。
「み、水・・・」慎治は虫の息で喘いでいた。全身を、体の表も裏も苦痛だけが支配していた。焼けつくような痛み、擦り傷、打ち身、手首も肩も脱臼しかかっていた。そして手首にはくっきりとロープの跡が刻まれていた。だが一番辛いのは喉の渇きだった。絶叫し続けた喉は血が出ているのかと思うほど痛く、何より隈なく痛めつけられた全身が水分を欲していた。水分に対する欲求、生物の本能とも言える欲求だった。だが、慎治たちに与えられる水分は当然の如く、礼子たちの排泄物、人間にとって最悪の屈辱に満ちた汚水だけだ。「み、水・・・」信次もうめいた。「二人とも水が飲みたいの?いいわ、飲ませてあげる。じゃ、どこに行けば飲ませてもらえるか、分かるわね?」礼子が相変わらず優しげな笑顔を浮かべながら答えた。どこに行けば・・・そうか、おしっこか・・・慎治たちはのろのろと這うように用具倉庫横の簡易便所に歩き始めた。最早おしっこを飲まされることに抗議する気力すらなかった。いや、二人とも内心の葛藤はただ一つ、おしっこを飲むことに対する葛藤ではなく、おしっこを飲める、兎に角水分を補給できる、と喜んでいる自分のあさましさ、卑しさに対する葛藤だけだった。
信次がブロックの間に横たわると間もなく、玲子がやってきた。「フフ、信次、水を飲ませてあげる、て言っただけでちゃんとトイレに行くなんて、結構躾が行き届いてきたみたいね。いいわ、信次の口、段々便器が板についてきたわよ。」ゆっくり、じっくりと排泄を楽しむ玲子の尻の下で信次も束の間の幸せに浸っていた。待ちに待った水分が体にしみていく。何より、こうやっておしっこを飲まされている間は鞭で打たれる心配だけはない・・・玲子が立ち去ると入れ替わりに朝子が入ってきた。「ジャーン、信次、今日二回目のトイレットタイムね。」朝子もなんの躊躇も無くブロックに上り、乗馬ズボンとパンティを下ろすと信次の顔面にしゃがみ込んだ。「全く、信次ったら水を飲む、て聞いただけで黙ってトイレに直行だもんね。呆れちゃったわよ。あ、でもそうか。信次は女の子のおしっこ飲んでも恥ずかしげも無く生きていられる変態ちゃんだもんね。信次にとってはここが水飲み場なんだ。私たち人間にとってはトイレなんだけどね、私たちが汚いものを排泄する出口が信次にとっては入口なわけね。」
悔しい、汚らわしい、おぞましい・・・発狂しそうな屈辱を味わいながら慎治たちは四人の美少女のおしっこを飲み続けた。何度飲まされても決して慣れるものではない。まさに人格否定。SMプレイの乗りで「女王様のご聖水をお飲み!」とでもやられれば、まだ遊び、冗談、と割り切って自分を誤魔化すこともできる。だが礼子たちは、あくまで単純におしっこを排泄しているだけなのだ。その排泄物を無理やり飲まされている。余りにも当然に飲まされている。こんな苛めに馴れるわけがない。しかし、慎治たちはおしっこを拒絶するには余りに打ちのめされていた。全身ボロボロ、とにかく水分が欲しい。そしてもう一つ、寒かった。もう秋、いくら快晴といっても日差しは強くない。素っ裸でいると、鞭で追い回されている間はまだしも、立ち止まって暫くすると寒くて震えが止まらないほどだった。寒さと鞭で追い回される惨めさと消耗し尽くしたプアな体力と・・・慎治たちは濡れネズミのようにブルブルと震えていた。そして寒さに震える体に・・・礼子たちのおしっこは暖かく、優しかった。美少女の体温と同じ温度まで温められた水。それが人間にとって最も汚い他人の排泄物であっても尚、その汚水に慎治たちの凍えた体が中から温められていることは確かな事実だった。それはあたかも命の水であるかのように、二人の体に浸みこんでいった。礼子のおしっこが口に注がれた時、慎治は不覚にもああ、おいしい・・・と陶然としかけていた。寒さに震えながら漸く家に辿り着いて飲む熱いミルクティーのようだった。礼子が放尿を終え立ち去った後、良かった、未だ富美ちゃんのおしっこも飲めるな、早く富美ちゃんこないかな、という考えが慎治の頭を掠めた。な、なんで俺はほっとしているんだ!も、もっと飲みたいだなんて、お、俺はおしっこを、おしっこを飲まされているんだぞ!!!だがいくら必死で否定しても、慎治の心の中のもっとおしっこを飲みたい、という欲求は消しようがなかった。そして、それは信次も同様だった。たっぷりと放尿を終えた玲子が立ち去ると信次もまた、思わずああ、もっと・・・と言いたくなっていた。そして朝子が現れた時、思わず嬉しい、とさえ感じてしまったほどだった。
Hz
hzk12340
Re: 日文2
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リベンジ、中編です。内容的にはストレートな鞭プレイですが、富美代、朝子の二人が自立した苛めキャラとして歩き出していくのをお楽しみ頂ければ、と思います。

レイコとシンジ-リベンジ 中編-


富美代と朝子のおしっこも飲み終えた慎治たちは、這うようにしてグラウンドに戻ってきた。漸く全身の激痛も治まりつつあったが、もう体力の限界に来ていることは間違いなかった。のろのろと礼子たちの所に戻ってきた慎治たちは半ば倒れこむように座り込んだ。もう流石に終わりだろう・・・全身ボロボロ、今日何発の鞭を受けたか、数え切れないほどだ。もうないよな・・・「信次、ちょっとそこに寝てみてくれない?ああ、うつ伏せのほうがいいわ。」玲子に促され、信次はその場にうつ伏せに横たわった。「うわ凄い・・・縞々模様って言ってあげたいけど、格子模様みたいね。」信次の背中の傷をブーツの爪先で突っつきながら玲子は満足気に頷いた。「慎治、あんたも寝てみてくれない?こっちで信次と並んで寝てよ。鞭跡の品評会やるからさ。」慎治は玲子の言うとおり、信次と並んでマグロのように横たわった。四人の美少女はブーツの爪先や踵で信次たちを弄びながら鑑賞会を開いていた。長い鞭を玲子はリング状に丸めて肩にかけ、礼子はベルトの様に腰に巻いていた。朝子はショールよろしく首に引っ掛け、富美代は二の腕に蛇のように巻きつけていた。自分たちを徹底的に苛めつけた少女たちに踏まれながら、傷跡を鑑賞される。信次たちの凄惨な苦痛の跡を、四人の美少女は絵でも楽しむかのように、信次たちに一片の同情すら見せずに鑑賞していた。この悪魔・・・心の中で信次は毒づいていた。だが、言葉にできる訳がない。自分を責め嬲る美少女たちは鞭を、散々泣き叫ばせられた拷問具を持っているのだ。逆らえるはずがない。「どう礼子?パッと見、二人とも鞭の跡はほぼ互角、てところね。結構いい染まり方じゃない?」「そうね・・・鞭跡もいいけど、やっぱり引き摺り回しってグーね。きれいに全身、赤くなってるわね。」信次の頭を爪先で軽く踏みながら朝子も頷いた。「本当ねー、ここまでやれれば大満足って感じよね、でもやっぱり、鞭って最高ね!」「本当!それにここ最高じゃん、また来ようよ!」富美代も満足しきった様子だった。
 礼子たちは憐憫、同情心のかけらも感じていなかった。普段は優しいのに。武道をやっていても、否、やっているからこそ他人に理由もなく暴力を振るうことは絶対にないのに、慎治たちに鞭を振るう時、礼子たちは誰も、慎治たちが痛くて可哀想、とは全く思わなかった。当然と言えば当然だ。鞭、慎治たちを打ち据えている本物の一本鞭は通常、殆どの人間が一生見ることも触れることもないものだ。だからその鞭がどれ位痛いかなど、想像することすら難しい。鞭跡の蚯蚓腫れにしても、自分が知らない痛みだ。だから手加減がない。どれ位痛いか、すら想像できないのだから、相手を傷つけることに対する恐怖、内心の無意識に近いブレーキが働かない。いくら慎治たちが絶叫してもその苦痛は実感としては伝わらず、単に自分の鞭で慎治たちを泣き喚かせている、という快感、満足感に置き換えられてしまう。ぼろぼろになった慎治たちを見ても他人事としてしか感じられず、全く大騒ぎしちゃって、位にしか感じられない。これもまた、鞭の魔力の一つかもしれない。鞭、この効率よく他人に苦痛を与えられる道具は単に慎治たちに肉体的な苦痛を与えるだけではなく、鞭を握る礼子たちの精神までも改造していた。
 か、勝手な事ばかり言って・・・礼子たちの足元に横たわり、ブーツで鞭跡を小突き回されながら慎治は悔しさを必死で堪えていた。ち、畜生・・・人の事をこんなになるまで痛めつけるなんて、この悪魔!鬼!・・・こんな地獄のようなとこ、もう二度と来てたまるもんか!だけど、今は何も言っちゃいけない・・・もうすぐ、もうすぐ終わる・・・辛かった今日も終わる。礼子さんも富美ちゃんも、流石にもう満足しているようだからな・・・もう終わる・・・
 慎治の期待は当然だった。礼子たちは四人とも、もう終わる気だった。ああ、今日は楽しかった・・・場の空気が急速に弛緩していった。「ふう、ま、今日はこんなもんかしらね。そろそろ帰ろうか?」今日の主催者、玲子の口から信次たちが待ちに待った言葉が紡ぎだされた。「そうね、ああ楽しかった。また来ようね。」朝子と富美代ももう終わる気になっていた。そして礼子も今の今まで、すっかり終わる気になっていた。だが、玲子の声を聴いた瞬間、礼子の心の中に囁くものがあった。チャンス!と。
入学当初こそ対立したものの、礼子と玲子は苛めという共通の趣味を通じて親友になっていた。別に慎治たちを苛める時だけではない。クラブに行ったり、買い物を楽しんだり、この乗馬クラブにしても、苛め抜きで健康的に楽しむだけでもよく一緒に来ていた。だが、いくら仲がいいと言っても、お互いの心の奥底には相手に負けたくない、というライバル意識もある。ルックス、スタイル、知性、家柄・・・全てに恵まれているだけに、二人のプライドもまた、強烈なものだった。玲子にだけは負けたくない・・・礼子に勝つのって最高・・・陽気に、オープンに張り合うから陰湿な所がなく、競い合うことが仲を悪くすることはないが、互いに勝とうとする意識は常にある。そのライバル意識が最もストレートに表れるのが、慎治たちを苛める時だった。ストリートの連中が腕力を競うのと同じように、礼子たちは慎治たちに対して、どちらがより残酷になれるか、どちらがより多くの苦痛を与えられるか、どちらがより多く慎治たちを泣き叫ばせられるか、を競うところがあった。
そして今、玲子が信次をもう許してやろう、と言っている。その瞬間、礼子にピンと来るものがあった。玲子は許してやる、て言ってる・・・良かったね信次、ご主人様のお許しが貰えて。だけどね信次、私は玲子ほど優しくないよ。私の慎治共々、もう一鞍苛めてあげる!ついてない、そう、信次たちにとって、ついてない、としか言えない展開だった。もう終わろう、と言ったのが富美代か朝子だったら、礼子も間違いなく終わりにしていたはずだ。玲子が、玲子さえ何も言わなければ・・・最後の、文字通り最後の一瞬で信次たちの運命は更に深く暗転していった。
「ねえ玲子、もう終わるのはいいんだけどさ、私、まだ一つ忘れてる気がするんだ。」「忘れてる?何を?そりゃまあ、色々遊び方はあると思うんだけどさ、今日のところはやり尽くしてない?」いいわ玲子、玲子でも未だ気づいてないのね。「うん、忘れてる、ていうのはね、人数なのよ。」「人数?」「そう、午前中は一対一でみんな遊んだでしょ?で、今の引き摺りは基本的に二対一よね。」「そっか!」富美代がポンッと手を叩いた。「礼子、もしかして、四対一で遊ぼうって考えてるの?」「ビンゴ!富美ちゃん冴えてるー!」朝子も悪戯っぽい笑いを漏らした。「フフ、礼子ってアクマー!四対一だって?それって、要するにタコ殴り、てことじゃん?ねえ信次、どうする?これから四人掛りでのタコ殴りだって。大丈夫?あんたたち、下手したら本当に死んじゃうかもね!」やられた!玲子の胸中を礼子に出し抜かれた悔しさが占拠した。四対一かあ・・・あーん、私ってオバカ!このパターンを忘れてるなんて。一瞬、意地になって反対しようか、とも思った。だがすぐに玲子は気を取り直した。ま、今のは礼子にやられたってことでいいとするか!だって・・・タコ殴り、楽しそうジャン!「全く礼子ったら・・・ホント、あんたって鬼畜よねー。しょうがないなあ、信次、私はね、本当は可哀想だから信次のこと、もう許してあげたいなって思うんだけど、礼子がああ言うんじゃ仕方ないわ。信次、あなたも辛いと思うけど、もうちょっと、がんばってね。」「ひっど―い、玲子ったら人を悪者にしちゃって!あたしのこと鬼畜、とか言ってるくせして鞭を握り直してるの、一体誰よ!?」「あ、ばれた?ま、四対一のタコ記念日っていうことで全てOK!」「何が全てOKよ、全く、調子がいいんだから、もお!」
そ、そんな馬鹿な!!!慎治たちは思わず絶叫してしまった。「や、やめてーっっっ!!!」「も、もうおねがい!!!し、死んじゃうよーっっっ!!!かえろ、ね、帰ろうよーーー!!!」「うるさいわね、信次、あんた死ぬ死ぬって気軽に言い過ぎよ。」照れ隠しのように玲子はブーツに強くウェイトをかけ、信次の顔を地面にめり込ませた。「全く、ロシア鞭の拷問じゃあるまいし、こんなんで死ねるもんなら死んでごらん!ほら、死んでごらんよ!」玲子は全体重をかけ、グリグリと信次の顔を踏み躙った。そ、そんな・・・信次が泣き喚こうと息を吸い込んだ瞬間、玲子は信次の胸倉を掴んで引き摺り起こした。

「さあみんな、パーティー再開よ!馬に乗って!」「OK!」礼子たち三人は再び愛馬に跨ると肩から、腰から、首から、腕から愛用の鞭を外し、身構えた。「で、玲子、どう行く?なんか楽しみ!信次を鞭打つのって、久し振りよね!」礼子が楽しそうに笑いながら鞭を振り回した。「そうね・・・じゃ富美ちゃんは斜め右、朝子は斜め左で20メートル位間隔取って。で、礼子は私の対面。やっぱ20メートル、ううん、もう少し奥に行って。」四人は一辺20メートル程度の正方形に並んだ。
「さあ行こうか!」玲子は四人で形作った正方形の内側に信次を入らせ、自分の右前方、鞭を最も振るいやすい位置に立たせた。更に両足を50センチ程度のロープで縛り、よちよち歩きしか出来ないようにし、更に両手も後ろ手にしっかり縛り上げ、余計な抵抗が一切できないようにした。「信次、もう分かるわね。これから信次には私たちのリングの中をたっぷりと歩いて貰うわ。安心して。もう疲れてるでしょう?さっきみたく走らなくていいからね。ゆっくり歩くだけでいいわ。私が一緒にスタートして、まずは朝子のところまでエスコートしてあげる。次は朝子に礼子のところまで送って貰いなさい。で、礼子は富美ちゃんへ、富美ちゃんは私へと信次をエスコートしてあげる。嬉しいでしょ?聖華の誇る、私たち美女四人にまとめてエスコートしてもらえるなんて、もうこの幸せ者!」「そ、そんな!!!み、みんなで鞭だなんて・・・や、やだーーーっっっ!!!ひ、ひどいよ、死んじゃう、死んじゃうよーっっ!」信次の絶叫に玲子たちはどっと笑い転げた。「やーねー信次ったらほんと、大袈裟なんだから。じゃ、いいこと教えてあげる。玲子の鞭がそんなに怖かったらね、早く私のとこまで逃げておいで!」「ああ、朝子ったらいい子ぶりっ子しちゃって!自分だって思いっきり引っ叩こうとしてるくせして!」「あ、バレた?うん、私ね、早く信次のこと引っ叩きたくて、もううずうずしちゃってるんだ!」幸せ者、確かに玲子たち四人は美少女で有名だ。近隣の高校でも有名な存在であり、ラブレターを貰ったり合コンに誘われるなど数え切れないほどだ。その四人全員が何の取柄もない信次と一緒に全身全霊込めて遊んでくれる。天国のようなシチュエーションだ。但し、四人が鞭を持っていなければ、の話だ。既にぼろぼろになるまで鞭打たれ、全身傷だらけだ。その傷口を更に鞭打たれる。い、いったいおれ、どうなっちゃうんだ・・・考えたくもない、死ぬほど痛そうだな・・・現実感すら失われつつあった。
 だが心配はいらない。玲子はそんなに信次を待たせる気はなかった。怯えてるわね信次、ま、当然だろうけどね。でも安心していいよ。私、礼子みたく精神的に拷問する気はないから。直ぐに苛めてあげる!「さあ信次、幸せたっぷり噛み締めてね!レディ・・・GO!」ヒョオッ・・・パシッ・・・今日は一体何回この音を聞かされただろうか。ヒァッ!!!信次は悲鳴をあげながら歩き出した。玲子たちのゲームが始まってしまえば、信次に何かを考える余裕などない。只ひたすら責苦に耐えながら泣き喚き、時間が過ぎるのを待つだけだ。それでも信次は反射的に玲子の鞭から逃れようと走り出した。両足を縛られているのも忘れて。「うがっ!」つんのめり、バランスを崩した信次は2,3歩で前のめりに転んでしまった。「アハッ!信次、もう転んじゃって!そっか、やっぱり信次ったら私とずっと遊んでいたいのよねー。うん、分かる分かる。私と信次はいつも一緒に仲良しこよしだもんねー。私の鞭が大好きなんでしょ、じゃ、もっともっといーっぱいあげるね。ほら!」
ピシッ、パシッ・・・玲子は心底楽しそうに高笑いしながらも鞭を振るう手を片時も休めない。ひーっっ!!い、痛い!!!一日中散々打ち据えられ、引き摺り回された信次の背中は傷だらけだ。どこを打たれても傷口を抉られる、痛い、と言うより不快感を伴った苦痛に襲われる。しかも、引摺刑の最後の頃には余りの苦痛に痛覚が半ばマヒし、信次にせめてもの安らぎを与えていた。だが、僅かな時間とはいえ休息を与えられていたため、全身の感覚が蘇っていた。もちろん、痛覚も。一旦忘れかけていた痛覚がまた復活しただけで耐えがたいのに、更に傷口を抉られる痛みをプラスされるのだ。堪ったものではない。い、いたいいたいいたい!!!にげなくちゃにげなくちゃ!!!
 信次の頭の中全てを、玲子の鞭から逃げることだけが占領した。だが両足を縛られ、ゆっくりとしか歩けない信次にとって、20メートルは長い長い道のりだった。玲子は信次の斜め後ろで、追い立てるでもなくゆったりと馬を進め、存分に鞭打ちを楽しんだ。ハヒッ・・・ひ、ひっ・・・「ハイ信次、第二ポイントとうちゃーくっ!私はここでおしまいよ!」パシーンッ・・・一際高い鞭音をたて、信次を激痛に仰け反らせながら玲子は別れを告げた。ハアッハヒッ・・・や、やっと着いた・・・ギアッ!パシーンッ・・・「もう信次、遅いじゃない。待ちくたびれちゃったわよ。いくら玲子が好きだからってさ、そんな露骨にツーショット見せつけられたら妬いちゃうよ!」目の前には朝子が待ち構えていた。「い、イヤーッッッ!!!」そう、これで責め苦が終わったわけではない。いや、未だ始まったばかりなのだ。絶望に叫ぶ信次を朝子は無慈悲に打ち据えた。「ほら信次、私とも遊んでよ、さ、行こう!」ピシッパシッ・・・朝子が十字に鞭を振り回し、立て続けに信次を打ち据える。ヒ、ヒイッッッ!!!信次は泣きながら歩き始めた。その背中を朝子は容赦なく打ち据える。追い立てられた信次は鞭打たれる度に背中を仰け反らせながら歩き続けた。礼子の下へ。
 「はーい礼子、お待たせ!後はよろしくお願いしまーす!」「はーい、確かに信次一匹受け取りましたー!」朝子と礼子は笑いながら前後から同時に鞭を振るった。ピシーッパシーンッ・・・キアーーーッッッ!!!二発同時の強烈な鞭打ちに信次は金切り声をあげた。「信ちゃん、いらっしゃーい。私、最近慎治とばっかり遊んでたからなんか楽しみよ。どう、久しぶりの私の鞭、信次にも新鮮な味かな?」礼子は笑いながら信次に鞭を振るった。背中のあちこちに的を散らし、かつ全ての鞭が傷跡を捕らえるように巧みにコントロールして。「ひ、い、い゛だい゛゛゛っっっ!」礼子の巧みな鞭さばきに信次は断末魔のような悲鳴をあげた。「アハハッ、信次、そんなに私の鞭、痛い?良かった!たっぷり楽しんでね、私も楽しいよ!」信次により多くの苦痛を味合わせようと波のように強弱をつけ、礼子は鞭を巧みにコントロールした。信次の悲鳴を、全身の痙攣を微妙な力加減一つで自由自在にコントロールしている。うーん、楽しいな。たまには信次で遊ぶのも悪くないや。
 礼子に弄ばれながら、漸く信次は最終チェックポイントにたどり着いた。「はい富美ちゃんお待たせ!」「はーい、お待たせされました!もう信次、遅いよ!あんまり信次がのそのそ歩いてるもんでさ、私首を長くして待ちすぎてキリンになっちゃったよ。ちゃんと責任とってよね!」せ、責任ヒ、ヒーンッ!富美代は早速鞭を振るい始め、信次の背中に更に鞭を当てた。信次の背中はもう一面傷だらけだ。傷がない、赤くないところなどもうどこにもない。傷だらけの、痛覚が剥き出しになっているかのような背中を見ても富美代は何の憐憫も感じなかった。きれい・・・もっと赤くしてあげる・・・「信次、どう私の鞭のお味は?私、信次のこと殆ど引っ叩いてあげてないよね?どう、結構痛いでしょ?たっぷり堪能してね!」玲子と同じく、子供の頃から苛めっ子で通ってきた富美代だ。信次がどれだけ泣き叫んでも全く容赦しない。ひたすら苛めを楽しみ続けた。声を限りに泣き叫ぶ信次の悲鳴は富美代を興奮させるスパイスに過ぎない。信次、私の鞭、もっともっと味合わせてあげる。手加減抜きの鞭を縦に横に背中に脇腹に、左から右から・・・縦横無尽に振るい続け、思う存分信次を打ちのめした。
そして信次は漸く、ゴール地点にたどり着いた。玲子の足元へ。全身が粟立ち、体中が激痛に痙攣していた。お、おわった・・・やっと・・・も、もうだめ・・・信次がその場に倒れこみそうになった瞬間、下から掬い上げるような鞭が信次の胸を打った。「ぐ、グボエ゛ッ!!」思わず咳き込む信次に玲子は馬上から冷たく言い放った。「信次、なにか勘違いしてない?私、たった一周でお終い、だなんて言った覚えないんですけど?勝手に休まないでくれる、みんな白けちゃうじゃん、ほら二周目、さっさとスタートよ!」そ、そんなーっっっ!!!やっと、やっと辿り着いた安住の地は蜃気楼のように儚く掻き消され、漸く逃げてきたと思った地獄の入り口がそこにあった。ひ、ひどい!!!苦痛と絶望に信次は気が狂いそうになった。だが玲子の鞭の威力、そして何より玲子に対する恐怖が信次の体を突き動かした。信次は更に一周半歩き続け、鞭を浴び続け、そして倒れた。倒れたポイントは丁度礼子のすぐ手前だった。「あん信次、もう駄目?またお芝居してるんじゃない?」「そうよ信次、ほら立って。こっちのむーちはあーまいぞっと!」朝子と礼子の二人は更に数発鞭を加え、それでも信次が動かないのを見ると馬から下りて信次を引っくり返し、軽く頬を打ってみた。「はいはい信ちゃん、生きてますかー?」礼子の呼びかけにも信次は全く反応しなかった。「ふう。どうやら完全に気絶したみたいね。OK,玲子、どうやら信次、完全にあぼーんね!」倒れたままの信次を放り出し、礼子たちは慎治に近づいてきた。そう、慎治の番が来たのだ。

慎治は震えが止まらなかった。目の前で信次が極限まで痛めつけられ、ぼろきれのように横たわっていた。そして馬に跨り、鞭を持った四人の美少女は倒れたままの信次に何の手当てもせず、遊び終わったおもちゃのように放り出してゆっくりと慎治の方にやって来た。四人を代表するかのように礼子が馬を下り、慎治に向かい合った。自分より背の高い女の子。裸で恐怖に打ち震える自分を見下ろす、ブーツを履き鞭を持った支配者。何も言う必要はない。赤い乗馬服を身に纏った憧れの美少女は、慎治を責め苛む残酷な女神として目の前に君臨していた。怯える慎治を見下ろしながら礼子は優しい微笑を浮かべると手にした鞭を二つ折りにし、すっと慎治の首にかけた。ピクッと恐怖に慎治の全身が震えた。散々自分を痛めつけてきた鞭。冷たい触感と革の香りが慎治の恐怖に直結する。そして何か違和感のある感触も感じた。どこかヌルッとした、水気のある感触。恐々下を見ると、礼子の鞭が触れたところに赤い物が付着していた。なんだろう・・・一瞬後にゾクッと悪寒が走った。それは信次の血だった。
血・・・自分の体も朝から無数に打たれ、全身のあちこちが蚯蚓、というより太い蛇が皮膚の下でのたくっているかのように内出血して腫れ上がっていた。その蚯蚓腫れが遂に余りの鞭に耐え切れず、破裂したに違いない。そういえば、信次の体の周りで何か赤い霧を見たような気がしたけど、あれは錯覚じゃなかったんだ。あれは・・・信次の血飛沫だったんだ!!!血飛沫・・・皮膚が裂け、内出血して皮膚下に溜まった血が吹き出たんだ・・・怖い、というしかなかった。今まで散々鞭打たれたが、血が多少滴ることはあっても血飛沫が上がるほど鞭打たれた記憶はなかった。だけど・・・だけど!!!「さあ慎治、待たせたわね。アン、何震えて恐がってるのよ。心配しないで、これで正真正銘オーラスよ。今日のパーティーはこれでお開きなんだから、しっかり盛り上げてね!期待してるわよ。」礼子は声も出せずに震えている慎治の頭を優しく抱き締め、髪を撫でると頬にキスした。ふわっと礼子の甘い体臭が慎治の鼻腔をくすぐる。天城礼子に抱き締められ、キスされる。普通の男だったら天国に上る気分だろう。だが、慎治にとっては礼子の抱擁は死神の抱擁、礼子のキスは死刑執行の宣告書だった。
「さ、みんな待ってるわよ。行こう。」礼子は犬の首輪を引くように、慎治を首にかけた鞭で引きずって玲子たちの足元に連れて行き、そのまま地べたに正座させた。「礼子、仕上げはどうやる?今日の大トリ、面白い企画を期待してるわよ!」期待満々にはしゃいだ玲子の声に苦笑しながら礼子も自分の愛馬に跨った。「ったく玲子ったら!そんなにはしゃいでほら、慎治がすっかり怯えちゃってるじゃない!私の慎ちゃんのこと、苛めないで頂戴!」楽しげに笑いながら戯れる礼子たちの声は慎治にとって遥か天上、馬に跨った礼子たちの顔が位置する2メートル以上の上空の高みで繰り広げられる、残酷な女神たちの戯れだった。そして気まぐれな女神たちはほんの一時の戯れのために、地上の虫けらに死ぬほどの苦痛と恐怖を与える。「そうね・・・ねえ、子供の頃、かーもめかもめ、てやらなかった?」「かーもめかもめ?あの後ろの正面だーれだ?ってやつ?うん、やったけど・・・あ!そうか、わかった!」玲子がポンッと手を叩いた。「あ、あたしもあたしも!」「うんうん、いいじゃん、やろうやろう!」流石に鞭の楽しみを共有する仲、富美代と朝子も瞬時に礼子の企みを理解した。
「え、な、なに、、、ぼ、ぼくをどうするつもりなの!?!?」一人わけがわからず怯えている慎治の質問を無視して礼子が合図をかけた。「さ、みんな離れて離れて!」礼子の声と共に四人は互いの馬をゆっくりと二、三歩歩かせ、正方形を形作った。但し、今度の正方形は先ほど信次を苛めた時の正方形よりずいぶん小さい。一辺5メートルちょっとの正方形、そう、四人とも、自分の鞭の射程距離に慎治を丁度収める間合いだった。礼子たちは慎治を中心にゆっくりと円を描いて回り始めた。「フフ、慎治、怖い?どうされるか心配?なんかこれって私の好きな西部劇、インディアンの幌馬車襲撃シーンみたいね。」礼子の声が熱を帯び始めた。「あ、そのシーンなら私も知ってる!こうやって幌馬車を取り囲んで回りながら、死角をついて攻撃してくんだよね!」玲子にもすっかり手順はわかっていた。「そう、嬲り殺しよ!ハイヤーッ!」
慎治の視線は本能的に礼子を追っていた。自分を最も酷く虐待する拷問者。残虐な飼主を。礼子の掛け声と鞭を振り上げる動作に慎治はビクッと反応し、本能的に両手を前に出し、頭を抱え込むようにしてガードらしき姿勢を取った。散々礼子に鞭打たれた慎治の反能としては無理もない。だが慎治は忘れていた。鞭は四本あることを。「ぎあっ!」慎治は背中に手を回して飛び上がった。慎治の予期せざる方向から鞭は飛んできた。背後から鞭を振り下ろしたのは玲子だった。「ひっ・・ひいっ!」悲鳴を上げながら慎治は玲子の方に向き直ろうとする。だが体を四分の一も回転させない内に富美代の鞭が慎治の尻を打った。「アウッ!」思わず両手で打たれた尻を押さえてしまい、前面ががら空きになった。「ほらほら慎治、ちゃんとガードしないでいいの?」ヒュンッ・・・パシーッと派手な音を立てて朝子の鞭が正面から、慎治の肩から背中にかけて絡みついた。「ピア゛―――ッ!」激痛に肩を押さえて慎治が蹲りそうになり、曝け出された背中に遂に本命、礼子の鞭がキスした。パシーッッ・・・「イアーッッ!!!」一際高い鞭音と慎治の悲鳴が轟いた。
四人でグルグル回転しながらの鞭、堪ったものではない。慎治がどう動いても、どうガードしようとしても必ず無防備の箇所がある。全く見えない場所がある。そこに礼子たちの鞭が襲い掛かる。誰が鞭を振るうか、どこを狙うか。僅かなアイコンタクトだけで十分だった。だが慎治には全く予想がつかない。予期せぬ方向から予期せぬタイミングで襲い掛かる鞭。慎治は恐怖のあまりパニック状態だった。どこを鞭打たれるのか、いつ鞭打たれるのか、誰に鞭打たれるのか、全く予想ができない。精神的な苦痛だけではない、心の準備ができない分、余計に鞭が痛く感じる。礼子たち四人は慎治を囲み、長年のキャリアを積み熟成された室内管弦楽カルテットのように、息のあった鞭打ちを思う存分、繰り広げた。熟練した職人技のように礼子たちの鞭は慎治の苦痛を極限まで絞りだしていく。カルテットというのは正しくないかもしれない。四人の輪の中心で、鞭と戯れるように慎治は踊っていた。見えない所から襲い掛かる鞭が体を打ち据える度に、全身をビクッと震わせ、悲鳴をあげながら体をよじる。礼子たちの鞭に慎治は全身で反応していた。その様は傍から見ているとカルテットではなくクインテット、慎治を中心にした五重奏団のようだった。
 ヒッ・・・に、逃げなくちゃ・・こ、このままじゃ殺される!!!慎治は必死で礼子たちの囲みから逃れようと、一番怖い礼子に背を向けて走り出した。「グヴォッ!」礼子が逃すわけがない。背後から首に巻きついた礼子の鞭に締め上げられ、慎治は海老のように仰け反りながらうめいた。「あら慎治、そんなに私の鞭が欲しかったの?早く言ってよ、私と慎治の仲じゃない、いいわ、いっぱい鞭、あげる!」正面から八の字を描くように玲子の鞭が慎治の胸、脇腹を打ち据えた。「ヒギャァーッッ!!!」慎治は玲子の鞭と礼子の締め技の二段攻撃に血の出るような悲鳴をあげた。「あっそのペア攻撃、面白そう!朝子、私たちもやろう!」「OK!ほら慎治、これはどう?」礼子の鞭から漸く開放され、苦しげに咳き込む慎治の腕から肩にかけて、左から富美代、右から朝子の鞭が同時に絡みついた。「ハイヤーッ!」富美代と朝子は慎治に鞭を絡めたまま、愛馬を一歩外側に歩かせる。「アイ゛ダ゛゛゛!」慎治は両腕が引っこ抜かれるような痛みに悲鳴をあげながら十字架に架けられたように両手を広げる。だが、これは前段階、苦痛の本番はこれからだった。「ほーら慎治、つーかまえたっと!礼子、やっちゃえやっちゃぇーっ!」「OK!玲子、行くよ!」富美代の掛け声を合図に礼子たち二人は両手を引っ張られ、身動きできない慎治に前後から猛烈な鞭を浴びせた。パシーンッ、ピシッ、パシッ、パウッ、ビシーッ・・・「ほら慎治、踊れ踊れーっ!」「そらそら!これでもかこれでもか!」「ピギッ・・・アヒーッッッッや、やべでゆるじでーーっっっ!!!」「バーカ、許すわけないじゃん!?」「もっとよもっともっと!ほらほら慎治、泣け、喚け、もがき苦しめーっっっ!」四人の美少女は慎治の断末魔のような悲鳴にすっかり興奮してしまった。二本の鞭の同時攻撃。今まで礼子たちに散々鞭打たれてきたとは言え、基本的には一対一だ。二本の鞭で同時に打たれたことなどない。しかも流石に共に鞭を振るってきた仲、礼子たち二人の鞭の呼吸はピッタリ合っていた。絶妙の間合い、寸分違わぬタイミングで打ち込まれる二本の鞭。絡んだり、邪魔しあうことなく慎治の体を同時に打ち据え、一本の時の数倍の苦痛を慎治に味合わせる。
富美代と朝子が鞭を緩め、慎治を解放するとすかさず今度は礼子と玲子の鞭が慎治の首に前後両方から絡みつき、締め付ける。「ぐ、ぐヴえべべべ!!!」悲鳴を上げながら慎治は必死で首に絡みついた二本の鞭を掴み、何とか少しでも呼吸をしようとする。礼子たちは締め落とす気はないから、窒息する程きつくは締め上げないが、それでも慎治が鞭を必死で掴めねば耐え切れないほどの強さで鞭を引き、慎治の全ての抵抗を封じた。そして倒れることもできずにうめく慎治の全身を左右から富美代と朝子が鞭打つ。「キャハハハッ!!!ほら慎治、踊れ踊れ踊れーっ!!!」「アーハッハッハッ!!!最高、もっと泣け泣け泣けーっっっ!!!」すっかり頭に血が上った富美代と朝子は全く手加減なしで、滅茶苦茶なピッチで慎治の全身に鞭を往復ビンタの様に浴びせ続けた。背中や尻だけではない。胸、腹、脇腹、太腿、腿の裏、・・・慎治の全身を隈なく鞭打ち、蚯蚓腫れと青あざを刻み込んでいく。慎治の体に傷が増えるのを見ることが、富美代と朝子にとって全身を支配する最高の快感と直結していた。そしてぼろほろになった慎治の全身、何度も鞭があたった箇所は既に内出血の圧力が高まり、皮膚が破れる寸前だった。
 「OK!そろそろフィニッシュ行こうか!」礼子の声に、富美代と朝子が一旦、鞭を休めて呼吸を整えた。そして礼子たち二人が慎治を鞭から解放すると、慎治は倒れる気力すらなくフラフラと立ち尽くしたまますすり泣いていた。「アヒッ・・・ヒック・・う、ウェッッッ・・・い、いたい・・・」顔中を涙と涎でグチャグチャにしながら慎治は喘いでいた。視線は定まらず、指先一本動かす気力すらない。最高よ慎治、さあフィニッシュ、楽しませて頂戴!頭上でグルグルと鞭を振り回しながら礼子が気合を入れた。「みんないい!フィニッシュ行くよ?さあ慎治、覚悟はいいわね。止めは・・・二倍二倍で・・・四倍鞭よ!せーの、ハッ!」ビシバシピシバウッ・・・「ギアーッッッ!!!」左肩越しに前から礼子、右肩越に後ろから玲子、背中から右脇腹に朝子、腹から左脇腹に富美代、四人の鞭が同時に慎治の体に襲い掛かった。痛い、という感覚を既に超えていた。慎治は上半身が千切れたような感覚に襲われた。皮膚の表面だけに止まるような生易しい痛さではない。筋肉、脂肪を貫通し、内蔵にまで響くような鞭の衝撃に慎治の視界がチカチカと瞬き始めた。体の奥底、はらわたから重苦しい、酸っぱいような血生臭いような塊がこみ上げてくる。余りの激痛に慎治は思わず死すら願った。「死ぬ、死んじゃう・・・いや、こ、殺して、こ、こんな痛いの、も、もういやーっ!!!いっそ一思いに殺してーっ!!!」
「アハハハッ!慎治、何バカ言ってんのよ!死ねるもんなら死んでごらんよ!ほらほらほら!死ね死ね死ねーっ!!!」礼子は慎治の悲痛な叫びに一層興奮し、更に力を込めて鞭を浴びせかけた。鞭の真の残酷さはそこにこそあった。慎治に気の狂わんばかりの激痛を与えながらも、礼子たちの鞭は決して致命傷にはならない。ロシア鞭クヌートのように皮膚を引き裂き、肉を弾けさせるような鞭でも使わない限り、いくら厳しい鞭でもそう簡単に人間の体は死ねないようにできているのだ。そしてこれだけ激しい苦痛を間断なく、しかも全身のあらゆる箇所に分散して与え続けられては気絶することさえ難しい。だから慎治はひたすら激痛に全身を犯され続けるしかなかった。「ギア゛ッ・・・ギャーッ・・・ビエ゛―ッッッ!!!」四人が前後左右から同時に加える鞭に慎治は悲鳴を上げ続けた。体を吹き飛ばされるような、全身がばらばらに引き裂かれるような痛み。礼子たちの長い鞭は慎治の体に絡みつき、打撃の苦痛を加えた後に、そのまま体の中に食い込むように絡みつき、締め付けるような苦痛を体の内部へと送り込む。「グウィーッッ、グ、グルジイ・・・」慎治は礼子たちの鞭が巨人の手に変り、自分の体を握りつぶそうとしているような錯覚さえ感じた。余りの痛さに呼吸することさえ困難な苦痛だ。四倍鞭どころではない、十倍、二十倍の激痛だ。しかもその激痛の鞭は四方から間断なく飛んでくる。あまりに数が多すぎていつ、誰の鞭に打たれているのかさえ、もうわからない。よけるも何もない。ただ鞭打たれるだけ。倒れることすらできない。な、なぜ・・・なぜこんな目にあわされているんだ???ぼ、ぼくがなにをした???すべての疑問さえ無意味だ。慎治が立たされている空間は礼子たち四人の鞭で満たされていた。苦痛と絶望のみが存在する世界、月並みな言い方だが地獄、と呼ぶしかない空間だった。そしてその地獄を現出させているのは、醜い地獄の鬼とは対照的な美しい四人の少女だった。醜い、といえば裸にされて鞭打たれ、涙と涎に顔中グチャグチャにして泣き喚いている慎治の方がよほど醜かった。さすれば、鬼はむしろ慎治、そして礼子たちは地獄の鬼どもさえ罰することのできる女神、ワルキューレといった方が似つかわしかった。
慎治は無限とも思える時間、苦痛のみを味わい続けた。だが漸く、凍りついた時間も動き出そうとしていた。四人掛かりの鞭、その余りの威力に慎治の肉体が限界に達し、全身に刻まれた内出血の跡の何箇所かが皮膚の張力の限界をついに超えて裂け、血を吹き出した。「やったやったーっ!血よ、血が出たわーっ!みんな、集中攻撃よ!止めを刺すわよ!」礼子の号令に合わせ四人全員が鞭の打ち方を変えた。全員の鞭が慎治の傷に集中する。更に礼子たちは絡めた鞭を素早く手元に引き戻す引き鞭の責めを加え、慎治の皮膚を引き裂きにかかった。ビッ・・・ピシュッ・・・バシュッ・・・パシューンッ・・・巨人、いや魔神の手と化したような礼子たちの鞭は今までの打撃と締め付けに加え、爪で慎治の体を引き裂く責めを追加する。慎治たちを何千回も打ち据えてきた礼子たちの鞭テクニックは最初の頃とは比べ物にならない位、上達している。単に打ち据えて打撃の痛みのみを与える、絡むように打ち据えて打撃と締め付けの二重の苦痛を与える、そして絡ませた後に素早く鞭を手元に引き戻し、打撃、締め付けに加えて返しの鞭で皮膚を切り裂く三重苦を味合わせる。自由自在に鞭を操り、慎治の苦痛のレベルを思うがままにコントロールできる。
単純に鞭打たれるだけの苦痛なら痛い、とは言っても慎治たちにもなんとか耐えられる。だが礼子たちが磨き上げた鞭の技術、様々な残酷なテクニックを駆使してくるともう駄目だ。慎治たちの痛みに対する耐久力レベルは最初と比べ、多少は向上しているとは言っても大した進歩はない。余程強烈な信念でもない限り人間が耐えられる苦痛には限界がある。それに対して礼子たちの技術の進歩には限界がないのだ。だから今では、礼子たちはいともた易く慎治たちの限界を超える苦痛を与えられるようになっていた。慎治たちが耐えられるのは単に、礼子たちが鞭打ちをゆっくり楽しむために苦痛のレベルを下げてやっている時だけだ。礼子たちが手加減し、弄んでいる間は延々と苦痛が続く。そして礼子たちが本気を出したら・・・破局が待つのみだ。

礼子たちだって最初の頃はただ単純に鞭を振るい、打ち据えるだけしかできなかった。だが体育会的な生真面目さ、とでも言ったらいいのだろうか、礼子たちは慎治たちを鞭打ちながら熱心に技術を向上させていった。その成果だった。礼子たちは鞭に本気でのめり込んでいた。慎治たちを鞭打つ時だけではない。自宅にサンドバッグまで用意し、色々トレーニングを積んでいた。巧みに鞭を相手に絡める感覚、間合いの掴み方はそのトレーニングの賜物だ。今、慎治が味合わされている引き鞭も礼子たちが何度も何度も練習を積んで身につけた貴重な技術だ。スナップを効かせながら打ち込んで、鞭が相手に食い込む感触を覚えた時はあっ、分かった、と一つ自分のレベルが上がった実感に喜んだものだ。そして相手の体に食い込ませた鞭を素早く手元に引き戻す、打ち込んだ次の瞬間に鞭を引き戻し、相手の体の上に鞭を走らせるテクニックは何度も何度もサンドバッグ相手に練習し、漸くモノにした財産だ。サンドバッグに食い込んだ鞭がビシュッと表面を走っていく感触を始めてゲットした時にも、よし、この感覚ね、と何とも言えない達成感があったものだ。礼子たちだけではない。いくら礼子たちにコツを懇切丁寧にコーチされたとは言っても、富美代と朝子だって簡単に、単に慎治たちを1000発程度鞭打っただけで免許皆伝となったわけではない。二人もやはり、毎日のように自分の部屋でサンドバッグ相手に熱心に鞭を練習し続けて教わったテクニックを自分のモノにしたのだ。空手や合気道、少林寺拳法の練習用に買ったサンドバッグだったが、鞭の練習用にも最適だった。鞭を振るう時だけではない、全ての格闘技の基本となる様々な筋力トレーニング、ストレッチングを礼子たち四人は毎日欠かしたことがない。
努力に勝る天才なしとよく言うが、天才が努力したら凡人がどんなに努力しても絶対に追いつけない。丁度タイガーウッズがそうであるように。礼子たち二人は紛れもない天才、その天才がこれだけ練習したのだ、鞭が上達しないわけがない。富美代と朝子にしても、礼子たち程ではないにしても相当程度の才能がある。熱心なトレーニングと礼子たちの的確なコーチングがその才能を如何なく開花させていた。鞭打つ側の四人がこれだけ練習していたのに対し、慎治たちは何をしたのだろうか。何もしなかった。ひたすら礼子たちのご機嫌を損ねないようにビクビクし、鞭打たれる時には情けなく泣き喚いて許しを乞うだけだ。何もしていない。体を鍛えたわけでもないし少しでも痛みを和らげる方策を考えたわけでもない。あれだけ痛めつけられたのだ、痛みに慣れ、多少は痛みに対する免疫ができたとは言っても所詮、受身に過ぎない。頭も体も、何も使っていないのだ。これではどうしようもない。努力した天才と何もしない凡人。只でさえ鞭打つ側の礼子たちは鞭打たれる側の慎治たちより絶対的に有利なのに加え才能の差も歴然。その上更に努力まで礼子たちが遥かに上ではどうしようもない。
礼子たちが最初に鞭を振るった時、慎治たちは余りの痛さに絶叫したが未だ、多少は耐えることができた。その意味では鞭打つ礼子たちと鞭打たれる慎治たちの能力は一応、対等に近い水準にあった、と言える。だが、その後の積み重ねが大きな差を作っていた。今では礼子たちの苦痛を与える能力は、慎治たちの苦痛に耐える能力を遥かに上回り、しかもその差はどんどん拡大していた。丁度戦争中のアメリカと日本の力関係みたいなものだろうか。開戦直後は五分に戦えた両軍が次第に実力差がつき、最後には質量全ての面においてアメリカと日本に圧倒的な差がついてしまい、どう足掻いても太刀打ちできなくなってしまったのと同じようなものだ。
慎治たちにしてみれば、もともと一方的に鞭で打たれる身、上達も何も端から圧倒的に不利、勝てるわけがない、と言いたいだろう。だが、この差は単に鞭だけの話ではない。勉強、武道、あるいはファッションセンスから音楽に至るまで、どんなことについても同じだった。勉強を例に取れば確かに最初の内、礼子たちは慎治たちが勉強するのを禁じ落ちこぼれになるように仕向けた。だが最近では勉強に対する妨害は何もしていない。何故か、答えは簡単、一度落ちこぼれてしまった慎治たちが追いつくための努力を放棄し、「礼子さんたちに勉強を禁止されてるからどうしようもない」「毎日毎日こんなに苛められてちゃ、勉強なんか手につくわけないよ」という言い訳に安住し、勝手に加速度的に成績を悪化させているからだ。部活にしてもそうで、確かに慎治たちは雑用係兼サンドバッグでこき使われ、何も教えてもらえない身分だが陰で練習、せめて筋力トレーニングだけでもして女の子にさえ劣る体力をアップしよう、という努力を何もしていない。音楽にしても礼子たちは実に色々なジャンルを聞き、J-ポップからロック系、ジャズからクラシックに至るまで色々と聞いて楽しんでいるのに対し慎治たちは精々、テレビで流れる安っぽい商業ポップを聞くだけだ。本に至っては小説、エッセイ以下色々と読んでいる礼子たちに対し、慎治たちはマンガ以外を読むことは殆どない。
要は積極的に自分を高めようとしている礼子たちに対し、慎治たちは単に流されるがままに、苦痛も娯楽も全て受身で生きていた。これでは一日一日差がついていくのも当然だ。礼子たちの時間が濃密で一日一日充実しているのに対し、慎治たちの一日はなんとも希薄、無為な日々だった。富美代や朝子も礼子たち程ではないにしても、充実した濃密な日々を送っている。身近な親友がこれだけ色々とアクティブに生き、豊富な話題を、刺激を与えてくれるのだ、富美代や朝子も当然のように自分を高めることに熱心になっていた。誰に強制されたわけでもない。単に楽しいから、自分が成長していく実感が楽しいから、そしてその成長が周りの人間にも認められる嬉しさがあるから濃密な日々を過ごせるのだ。この楽しさは三流の商業高校や底辺校の生徒、ましてやそんなレベルの高校すら中退してしまうような連中には一生縁のない楽しさだろう。そして慎治たちはそれ以下、自分が楽しいと思うことは何か、すら分からず、ひたすら怯えて暮らしている。三流高校中退の連中でさえ、せめてその昆虫並みの頭で気持ち良い、楽しいと感じることを追求すること位には熱心だ。本能的、といったレベルにすぎないが楽しいことを追求する、例えどんなに安っぽい無価値な楽しみでも、自分から積極的に快楽を求める程度の意思はある。だが慎治たちにはそれすらない。あるのは只受身、待ちの姿勢だけ。傍から見ていると、自分の意志を持たないのなら生きていても仕方ないだろう、としか思えない、意思を持たない植物同然の日々を送っていた。まさに自己否定の人生。生産性など何もない。
慎治たちにも、礼子たちが自分よりどんどん高いところに昇りつづけているのは十二分に分かっていた。別に苛められる時だけではない。礼子たちが機嫌いい時に普通に話しかけられても、礼子たちがほんの基礎知識と思っていることすら知らないから全く話が通じず、バカにされ笑われることなど日常茶飯事だ。授業などで一緒の班になった時など、礼子たちの合理的、論理的な思考回路や頭の回転の速さは正直、自分と違う人種としか思えない。何をやってもどうやっても勝てないどころか次元が違うところにいる人種、それが礼子たちだった。だから慎治たちは礼子たちが何もしない時でも、声をかけられるだけで、いや視線を投げられるだけでコンプレックスに苛まされていた。慎治たちがこれだけ酷い目に合わされても僅かな逆ギレ、反抗すらてできないのはそうやって礼子たちに精神的に屈服しているから、という要因が大きい。礼子たちにとって、慎治たちを苛めて遊ぶのは自分の時間のほんの一部、無数にある楽しみの一つに過ぎない。だが慎治たちにとっては礼子たちに苛められることが全てなのだ。礼子たちの苛め以外の部分での成長、そこで人間としての価値にどんどん差がついていた。ましてやその礼子たちが権威と力の象徴である鞭を握ったりしたら、慎治たちの精神は地虫より卑屈になってしまう。強制されるわけでもなんでもなく、勝手に同級生の女の子に敬語を使ってしまう始末だ。身分、まさしく生まれつきではなく、生まれてからの生き方によって礼子たちと慎治たちの間には厳然たる身分の上下が出来上がっていた。

そしてあらゆる面で慎治より優れる四人の美少女は、無数に持つ特筆すべき能力の内の一つを、他人に苦痛を与える能力を今、一切の手加減抜きでフルに解放していた。スナップを思いっきり効かせて鞭を慎治の体に絡ませ、手応えを感じた次の瞬間手首をこねる様に返し、鞭を猛スピードで慎治の皮膚上に這わせながら手元に引き戻す。打撃、締め付け、切り裂き、一鞭で三度痛い残酷な鞭を四人の美少女は四方から間断なく打ち込み続けた。慎治は先ほど、信次の体から血飛沫が飛んだのに恐怖した。だが信次はまだまだ運が良かった。引き鞭までは味合わされずに済んだのだ。慎治はそうは逝かない。礼子たちが本当に全力を出したらどうなるか、慎治はたっぷりと味合わされることになった。「ひ、ヒエーッッ!!!い、いだいーっっっ!や、ヤベ、、ビッ!イャ!イヤイヤイヤーッ!!!ユルジデーッッッ!!!」血の出るような慎治の悲鳴に比例するかのように、皮膚のあちこちが裂けていく。全身のここそこで血が吹き出る。加速度的に傷の数は増えていく。その傷を礼子たちは無慈悲に狙って鞭打ち続けた。ナイフで切り裂かれるような、いや生皮を剥ぎ取られる激痛を慎治の全身に刻み込みながら、礼子たちの鞭は的確に慎治の傷口に叩き込まれる。そして鞭に叩き出された内出血が慎治の傷口から霧のように吹き出した。出血の量は大したことはない。だが、一鞭毎に生皮を剥がれ、傷口を鞭打たれる激痛は慎治の限界を遥かに超えていた。慎治は腕をだらんと下げ、体を庇う余裕すらなく呆けたように立ちすくみ、絶叫しながら鞭を受けていた。四人がかりの鞭を何発受けただろうか。漸く失神という慈悲の女神が慎治に微笑んだとき、慎治の全身は見るも無残な鞭跡に埋め尽くされていた。
Hz
hzk12340
Re: 日文2
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リベンジ、最終章です。個人的な感想ですが、ハードプレイ、の定義は何でしょうか。必ずしも痛いプレイ、とは限らない、と思います。私個人の嗜好としては、血が出るまで鞭打たれるより、むしろ乳首やペニスをいいように責められてよがり狂わせられ、一方的に逝かされるプレイの方がM心を刺激されます。
今回は痛くはないですが、精神破壊的な責めがテーマ、そして慎治たちがなぜ、礼子たちと同じ位、富美代と朝子を恨むに至ったかを書き込めれば、と思います。


「ふう・・・やっと逝ったわね。」愛馬から下り、礼子はブーツの爪先で地面に倒れたままの慎治の頭を軽く小突いたが、完全に失神している慎治からは全く反応がなかった。信次は呆然としながらも内心ほっとしていた。ひ、ひどい・・・玲子さんたち、可愛い顔してよくあんなに、あんなに冷酷になれるもんだな・・・なんで、なんであんなに気軽に人のことを鞭打てるんだ、あ、あんなに思いっきり鞭で叩くなんて・・・でも良かった。俺も散々鞭で叩かれて痛かったけど、あいつほどじゃなかったもんな・・・慎治、大丈夫かな?まさか死んじゃいないよな・・・未だ背中の鞭跡はピリピリとした痛みを放っていたが、信次はとりとめもない雑念に浸っていた。とにかく終わった。四人掛かりでの鞭乱打、流石にみんな満足そうな表情をしている。時間も遅いし、今度こそ、今度こそ本当に終わりだよな・・・
 玲子たちも同感だった。日も翳ってきたし、丘陵地帯の秋は冷え込みが急速だ。ああ、今日は楽しかった。さ、そろそろ帰ろうか。弛緩した空気が漂っていた。ホスト役の玲子が口を開きかけた時、ボトボトッと変な音がした。「あん、もうこの子ったら!」ふと見ると朝子の馬が馬糞をボトボトと落としていた。「アハハ、朝子の馬も帰り支度なんじゃない?おなかの中軽くしてさ?」「もう玲子ったら!お下劣!」笑いながら朝子の脳裏に電流が走った。うん。もう今日は鞭は十分だけど、帰る間も信次のこと、ちょっと苛めてやりたいな。追い鞭で走らせようかな?でもなあ、今日はもう痛いこと一杯したから、なんか他のことがいいな・・・信次が精神的に屈辱に悶え苦しむようなこと。でもおしっこはもうたっぷり飲ませちゃったし・・・その時だった。朝子の愛馬が馬糞を落としたのは。こ・れ・ね!!!
 クスクスッと小悪魔のような微笑を、あどけなさを感じさせる整った小さな顔に浮かべながら朝子は玲子の袖を引いた。「何よ朝子、どうしたの?トイレだったら信次連れてさっさと行っといでよ。」「ううん、トイレじゃないの。ねえ玲子、私、いいこと思いついちゃった。クラブまで帰る間もさ、信次が泣き続けそうな遊び。」「何それ?鞭で追い立てるの?朝子もほんと、鞭が好きねえ。ま、勝手に楽しんでよ。私は流石に疲れたからパスしとくわ。」「ううん、鞭だったらさ、私だってもう十分堪能したわよ。じゃなくってさ、蝶々してやろうよ。」「蝶々? 昆虫の?じゃなさそうね。もしかしてあの、四人でやる蝶々のこと?あれを信次にやろうっていうの?・・・あ!わかった!この悪魔!」玲子は漸く朝子の企みを理解した。「何、蝶々って、なんのこと?」礼子が不思議そうに聞いてきた。「ほら、相手うつ伏せにさせてさ、四人で両手両足一本ずつ持って、で、ちょーちょ、ちょーちょ、ってみんなで歌いながら上下に空中遊泳させてやるのって、やったことない?空手部で結構はやってて時々やるんだけど。」と朝子が答えた。「ああ、あれね。あれだったら私もやったことあるけど。ていうかさ、私なんかウェイト軽いから、どっちかというと蝶々はやられる方だけどね。朝子も多分、やられる方が多いんじゃない?でもあれ、結構気持ち良くない?なんで今信次を蝶々するの?」富美代もまだ理解できないでいた。「うん。私も普段は確かにやられる方が多いんだけどね。でもね、蝶々、着陸地点があそこだったらどう?」朝子が指差した先は、愛馬の後ろの地面だった。
 「あ!そういうこと!」「うわ・・・朝子、あんたって・・・鬼、ほんと、鬼畜ねえ!」礼子と富美代が同時に声をあげた。「ひっどーい、富美ちゃんったら、こんな大人しい私のこと捕まえて鬼畜だなんて!でも、楽しそうでしょ?やりたくない?」「もちろん!」礼子も富美代も俄然、興が乗ってきた。「じゃ、決まりね。信次、そこにうつ伏せになって!」玲子の命令に信次は思わず凍りついた。「え・・・ま、また、またですかあー!?、もっと苛める気なの!?も、もうやめて・・・おねがい・・・」「信次、何ビビッてるのよ。そんなに私たちの鞭怖い?安心していいわよ。もう鞭はおしまいだから。」え、もう鞭はない?信次は拍子抜けした気分だった。鞭だけは、とにかく鞭だけはいや。もうこれ以上鞭打たれるのだけは絶対に嫌だった。逆に言えば、鞭でなければ多少のことなら耐えられるような気がした。おしっこ飲まされるくらいなら、我慢できる・・・「ほ、本当に鞭はないんですか???」おどおどと怯えた、猜疑心に満ちた目で尋ねる信次に玲子はにやりと微笑んだ。「本当よ。約束するわ。もう鞭はなし。ほら、私の鞭、しまってあげる。」玲子は自分の鞭を丸めると愛馬の鞍に引っ掛けた。「さあ信次、安心した?じゃ、さっさとうつ伏せになりなさい!」何をされるんだろう?恐怖に震えながらうつ伏せになった信次の周りを四人が取り囲んだ。
 右手に朝子、左手に玲子、右足に礼子、左足に富美代。な、何をする気なんだろう?踏み付け?唾?それとも四人同時におしっこを引っ掛ける気?「信次、そんなに心配しないでいいわよ。痛いことじゃないから。」朝子が笑いながら信次の手首をつかんだ。「みんなで蝶々してあげるだけだから。信次だって蝶々くらい、みたことあるでしょ?あんなの全然怖くないでしょ?」蝶々?確かに見たことはある。あれ位なら全然、痛くないよな・・・だけどなぜ???戸惑いながらも確かに余り痛くはなさそうだと思った信次は、とりあえずなすがままにされていた。「いい、みんなOK?じゃ行くよ!せーの、ちょーちょ、ちょーちょ・・・」朝子の声に合わせて四人の美少女は信次の体を上下させた。体をビヨーン、ビヨーン、と上下に彷徨わされながら信次は少し安心していた。ふう・・・女の子にこうやって弄ばれるのは恥ずかしい、と言えば恥ずかしいけど、この位ならまあいいや・・・だが信次が気づかないうちに、信次の体は危険な位置に連れてこられていた。さっきまで朝子の愛馬がいた方へ。「・・・に止まれ・・・いい、せーの、そーれ!」朝子が歌を止めると同時に信次の体は前方に向かってひときわ高く振り上げられ、同時に空中でパッと全員の手が離された。     
「あ、あわわ!」突然のことに信次は空中で両手両足をばたつかせたが、姿勢を変えられるわけがない。お、落ちる・・ふと下を見ると、茶色っぽい小山が腹の下辺りにあった。え、何あれ?ま、まさか・・・馬糞!!!ドシャッ!!!あっという間もなく信次はうつ伏せのまま朝子の愛馬が排泄した馬糞の上に落ちていった。生暖かい塊を自分の腹が潰す感触が走った。押し潰され、広がった馬糞が腹から胸に広がる。「い、いやーっっっっ!!!」悲鳴をあげて信次は反射的に飛び起きようとした。だが起きられなかった。「キャハハッ!やったやったーっ!」大喜びしながら朝子が高々とジャンプし、信次の背中のど真ん中に飛び乗っていた。グエッ!背中を思いっきり朝子の乗馬ブーツに踏み付けられ、信次はあえなく潰されてしまった。「ほーらほらほら!もっと馬糞まみれにしてやるーっ!」朝子は高笑いしながら何度も何度も信次の背中でジャンプした。朝子のブーツが信次の背中に食い込む度に、信次の体がより深く馬糞に食い込んでいくかのようだった。「ふうーっ!蝶々作戦大成功!」漸く信次の背中から朝子が降りた。「ひ、ひどい・・・あ、あんまりだーっっっ!!!」
泣きながら起き上がった信次の胸から腹にかけて、広範囲に馬糞が付着していた。いや、付着していた、というのは生ぬるい。擦り込まれていた、と言った方が正確だった。「こ、こんな・・・き、きたない・・・あんまりだ・・・・」信次は泣きじゃくり続けた。「み、みず・・・水道はどこ・・・あ、洗わなきゃ・・・落としてくる・・・」「ばーか信次、何寝言言ってんのよ!このグラウンド、潰れた大学のグラウンドよ?水道なんかとっくに止められてるわよ!」玲子の嘲声に信次は文字通り凍り付いてしまった。「す、水道が止まってる???じゃ、ど、どうやってこれ落とすの???」「そんなの私たちの知ったことじゃないわよ。ま、クラブまで戻れば水道もあるわよ。いいじゃん別に。どうせこんな山道、人なんか殆ど通らないわ。馬糞まみれで帰るのも信次らしくていいじゃない?」ひ、ひどい!!!ぽかんと口を開ける信次に更に追い討ちをかけるように富美代が声をかけた。「そうよ信次、ちょっとこっち向いてごらんよ!」慌てて振り返ると富美代は信次の脱ぎ捨てた服を持って、つい先ほどまで信次が転がされていた馬糞の横にいた。え、ま、まさか!!!「いや、や、やめてーーっ!」信次の悲鳴を聞いた富美代の頬に氷のような冷たい微笑が浮かんだ。次の瞬間、何の躊躇もなく富美代はその服を馬糞の上に落とした。「あ、ああ・・・ひ、酷い・・・」「酷い?バカ言わないでよ。酷いって言うんなら、せめてこれ位やってから言ってほしいわね。ええ?これ位わね!」富美代は怒ったような口調でを詰りながら、馬糞の上に落とした信次の服を踏み躙った。信次の服の上を踏んでいるから、富美代のブーツが汚れる心配はない。だが、踏み躙られている信次の服は持ち主同様、あっという間に馬糞まみれになってしまった。
「やるー!富美ちゃん最高!」駆け寄った朝子とハイタッチを交わしながら富美代は玲子に向かって言った。「玲子、ちょっとよけてて。外れたらばっちいからね!」ばっちい、玲子にはその意味は直ぐに分かった。「ちよっと待ってよ富美ちゃん、タンマ!私がどいてからにしてよ!」玲子は信次を放り出して大慌てで逃げだした。後には未だ分からない、鈍い信次だけが取り残された。玲子が安全圏に避難したのを確かめると富美代はブーツの爪先に信次の汚れた服を引っ掛けた。「ほら信次、取りに来るの面倒でしょ?私が取ってあげる。ちゃんと取るのよ!」言うや否やすっと伸びた細い脚を蹴り上げた。ああ、僕の服・・・思わず手を伸ばした信次の視界に入った服の下側は茶色い馬糞にまみれていた。ああ、、、思わず信次の手が止まってしまった。最悪の選択だった。手で払い落とせばいいものを、白痴のように呆けて動きを凍りつかせてしまったおかげで、服の汚れた部分がまともに信次の顔を直撃した。「うわっ!!!グエッヴベッベッベッ!!!」「あははっ!信次バッカじゃないの!何顔で受けてんのよ!」「あ、でも結構お似合いじゃない?信次ってなんか、馬糞まみれが似合ってない?」「あ、言えてる言えてる!これが本当の、くそったれ、てやつ?」「やっだーっ、礼子ったら。お嬢様がくそったれ、だなんて、お下品ですことよ!」余りの屈辱に声を上げて泣きながら、必死で全身にこびり付いた馬糞を少しでも落とそうと悪戦苦闘している信次を眺めながら、四人の美少女は全身をよじって大笑いし続けた。「ひっひーっ、ああおかしい!もう笑い死にしちゃいそう!信次、あんたのその顔、結構破壊力あるよ!さ、帰ろう帰ろう、丁度慎治もお目目覚ましたみたいだし!」玲子が指差した先で、慎治が漸く意識を取り戻していた。

未だ全身に鞭の痛みがピリピリと火傷のように走っている。気持ち悪いのも収まっていない。だが、意識朦朧としながらも慎治は今の虐待の一部始終を見ていた。ひ、酷い・・・酷すぎる・・・に、人間を馬糞まみれにするなんて・・・だが一方で慎治は微かな満足感も感じていた。ああ良かった。あんな目に会ったのが僕じゃなくて。あんな、あんな汚い目に会わされる位なら、鞭で半殺しにされた方がまだマシだったよね。「そうね、帰ろう!あ、でも私、その前にトイレ行っとく。慎治、おいで!」礼子の命令に慎治はいそいそとついて行った。おしっこを飲まされるのは分かりきっていた。堪らなく嫌だ。だが死ぬほど鞭打たれ、おまけに信次が馬糞まみれの刑を加えられるのを見た直後だ。帰れるならもう、なんだっていい。おしっこ位、いくらでも飲んでやるさ・・・四人分飲めばいいんだろ、簡単なことさ・・・
 慎治をトイレに残して礼子が戻ってきた。「あ、じゃ次、私いい?」玲子が次にトイレに向かい、後には富美代と朝子が順番待ちで残っていた。「ふうーっ・・・富美ちゃん、今日はほんと、楽しかったね。」朝子の声に富美代も大きく頷いた。「ほんとねー。でも最後の仕上げさ、朝子も冴えてるよねー。よく、あれだけ手軽にできて、しかも信次が一番嫌がりそうな苛め、考え付いたもんよねー。大したアドリブだわ。」「えへへ。お褒めに預かって恐縮です!」のんびりとした会話のなかで、富美代の中にも何か引っ掛かるものがあった。帰り道ねえ・・・あいつはもういいけど、慎治の方だけ楽させてやることもないんじゃない?かと言って、馬糞責めをもう一回やるのもかったるいし・・・何かないかなあ・・・おしっこ飲ませて終わり、ていうのも今一、締まんないなあ・・・うん!?
 「ねえ朝子、慎治なんだけどさ、私たち二人であいつも帰り道、泣き続ける目に合わせてやらない?」「え、なに?富美ちゃんなんか考え付いたの?いいけど、何かお手軽苛めあるの?もうおしっこして帰る時間だよ?」「うん。そのおしっこだけでOKよ。実はね・・・」富美代が耳打ちしたプランを聞くにつれ、朝子の顔にまた、小悪魔の微笑が浮かんできた。「OK!それGOODよ、やろう!玲子たちはもうおしっこ済んじゃっただろうけど、私たちのおしっこだけで十分、効くよ!」
 「何々、富美ちゃんたちなんか企んでるみたいね。何やるの?私にも教えてよ。」トイレから戻ってきた礼子が富美代たちの悪戯計画に気づいたようだった。「あ、わかった?流石礼子、勘がいいわね。ま、楽しみに見ててよ。お手軽苛めだけど、その割りにたっぷりと慎治のこと、泣かせてやるからさ!」あらあらまあ、富美ちゃんたちって、本当に苛めっ子ね、しょうがないんだから。自分のことを棚に上げて礼子が苦笑している所に、玲子も戻ってきた。「お待たせー。ああすっきりした。次どっち?富美ちゃん?朝子?」「うん、私。じゃ朝子、行ってくるね!」興奮した面持ちでトイレに向かう富美代を見て玲子が些か怪訝な表情をした。「富美ちゃんどうしたの?なんか妙に楽しそう。まさか、もうひと苛め行く気なの?」「みたいね。全く好きなんだから。どうやら朝子も一枚噛んでるようよ。」「あ、そう言えば朝子もにやついてる!もう、どうする気か・・・楽しみね!」
 トイレでは地面に横たわったまま、慎治が次の客を待っていた。礼子たちと慎治はもう何十回もおしっこを飲み飲まされしてきた仲だ。もうお互い慣れたもの、慎治は二人のおしっこの殆どをこぼさずきれいに飲み干していた。地面にこぼれた跡もほんの少ししかない。・・・ああ、次は富美ちゃんか。慎治は見上げながら殆ど無表情のまま大きく口を開けた。どうぞ、どうせ富美ちゃんも一杯おしっこするんでしょ。いいよ、飲むから。後二人、富美ちゃんと朝子のおしっこ飲めば帰れるんだから、早く飲ませてよ・・・慎治の表情の90%以上は諦めだったが、その中に少しだけだが安堵と解放感が漂っていた。甘いわね、慎治。もう一苛めあるのよ。
 「もう慎治、そんなに堂々と口開けないでよ。ま、この私のおしっこだもんね、飲みたいのはわかるけどさ、ちょっとは恥じらいとかテレとか見せて欲しいものよね。」富美代はコツコツとブーツの爪先で慎治の頭を小突いた。「慎治、でね、折角便器に成りきってるとこ悪いんだけどさ、私、今そのポーズ気分じゃないんだ。さっさと起きてそこに正座してくれる?」正座?え、な、何をする気なの?まさか立ったままでおしっこ飲ませる気?不思議に思いながらもとにかく慎治はその場に正座した。「あん、そこじゃないの、もっと下がって、そのブロックの真ん中あたりに座って!」「え、ブロックの真ん中?ふ、富美ちゃん一体、何する気なの?」「いいから、何するかなんてすぐにわかるわよ!ほら、別にいいでしょ、私鞭持ってないんだから、痛い目にあう心配はないわよ!・・・最も、慎治がグズグズして私をいらつかせるなら、鞭取ってこようかな?」鞭!慎治は電流に弾かれたように動き、足置き台代わりに置かれたブロックの間に正座した。
 慎治が正座すると、富美代は乗馬ズボンのボタンを外し、ゆっくりとズボンを下ろした。但し、今度はそのままズボンを脱ぎ、更にパンティも脱ぎ捨ててしまった。上半身は赤いジャケットのままで下半身は裸体にブーツ。妙に艶めかしい姿だった。だが、慎治にとって艶めかしい、等と富美代の肢体を愛でる心の余裕があるわけない。怯える慎治を見下ろしながら富美代はゆっくりとブロックに上った。地べたに正座した慎治の顔より上に富美代の股間が位置する。「さあ慎治、もうわかったでしょ?今からシャワーを浴びせてあげる。私のおしっこ、慎治の頭から顔、体、全身にたっぷりと引っ掛けてあげる。どう?うれしい?」お、おしっこを頭から浴びせる!?そ、それじゃ信次と同じようなもんじゃないか!「そ、そんな!!!お、おしっこのシャワーだなんて、や、やめて!!!」慎治は思わず立ち上がろうとしたが、富美代は慎治の耳を引っつかみ、無理やり正座させた。「うるさいわね!慎治、あんたにははいっ、ていう返事以外、教えてないはずなんだけどな。それとも何、未だ私の教育が足りないのかな?大人しく座っていないなら・・・鞭持ってくるよ!」鞭、その一言は絶大な効果だった。
観念してその場に正座し、俯く慎治の顎を富美代はグイッとこじ上げた。「慎治、下向いてちゃ駄目でしょ!顔に引っ掛けられないじゃない!ちゃんと上向いて、私におしっこ引っ掛けられるのをしっかり見てなさい!」残酷な命令だった。目を伏せることすら許されない。顔で、自分の顔で富美代のおしっこを、他人の汚い排泄物を受けされられるのだ。あ、あんまりだ・・・慎治の頬を悔し涙が伝っていった。「フフ、慎治、悔しい?顔も体も、全身私のおしっこまみれにされるのってそんなに悔しい?いい気味ね。たっぷりと引っ掛けてあげるからね。」富美代は威嚇するかのように腰をぐるりと回した。体内で尿意が急速に高まってくる。「さあ、慎治、行くよ!いい、逃げたり顔をそむけたりしたら、死ぬほど鞭で叩いた上で、クラブまで引き摺ってってやるからね!」言い終わると同時に富美代は股間の緊張を緩めた。
限界近くまで高まっていた水圧が解放される。ちょろろ・・・と流れ出した水流はあっという間に太さを増し、いくつかの支流に分かれながら慎治の顔を直撃した「ワッ!う、ウブブァッ!!!」慎治の顔面で跳ねた水流はそのまま慎治の胸へ、腹へと流れていく。更に富美代がホースで水を撒くかのように腰を前後左右に動かすと、それにつれて排泄されるおしっこも生き物のように動き、散らばりながら慎治の顔の各所、そして髪の毛までも濡らしていく。上から見下ろす富美代は、自分のおしっこが慎治の全身に降り注がれるのをたっぷりと楽しんでいた。飲ませるのともまた違う感覚だ。他人におしっこを飲ませる、というのがどこか特殊な、ある種遊びに近い要素を孕んでいるのに対し、今やっている、おしっこを他人に引っ掛けるという行為は遊び、というよりはるかに強く、侮辱の要素を含んでいるように感じる。自分のおしっこが慎治の顔で弾け、髪を、胸を、背中を、全身を伝っていく。そう、この感じ、慎治に初めて唾を吐き掛けてやった時と似ているな。うん、確かに唾って、相手に対する徹底した侮蔑の表現でしょ、じゃ、おしっこを引っ掛けることって、その上級バージョン、慎治の人間性に対する冒涜ってとこかしらね。
いや、人間性に対する冒涜だけではない。唾を吐き掛ける時は、必ずしも相手を無抵抗の状態にしておく必要はない。だがおしっこを引っ掛けるには相手を無抵抗な、全く動けない状態にしておかなくてはならない。それを、縛りもせずに命令ひとつで逃がさずに、思う存分おしっこを引っ掛けられる。支配、いや暴虐、と言った方がいい振る舞いだ。慎治、私に吐き掛けられた人生最初の唾、一生忘れられない嫌な記憶になってるんでしょ?じゃあ今日、もっと酷い記憶を植え付けてあげる。女の子におしっこを引っ掛けられた記憶を。一生消えないトラウマを刻み込んであげる!慎治の全身を流れる自分のおしっこが、そのまま慎治の精神を溶かし、崩壊させていくのが直感できる。富美代の頭の中では硫酸か何かを浴びせ、慎治の身体をどろどろに溶かしていく拷問をしている自分の姿があった。慎治の肉体を溶かしているのは幻想だが、精神を溶かしているのは紛れも無い現実だ。幼馴染の私、一緒に遊んだ仲、ずっと一緒の学校の同級生だけど、唾を吐き掛け、慎治に人生最初のトラウマを刻み込んだ私。その私におしっこ引っ掛けられてるのよ。慎治、このトラウマ、一生絶対に消えないわよ!
「アハハハハッ!!!慎治、どう、私のおしっこ、あったかくていい気持ちなんじゃない!?」富美代は高笑いしながら放尿を続けた。慎治の精神をズタズタに踏み躙る快感が、富美代の性器から背骨を突き抜け脳天まで駆け上がる。自分の性器から排泄されているものがおしっこではなく、慎治の精神を破壊するトラウマそのもののようにすら感じる。全身で人格破壊の快感を味わいながら富美代は全身の力を解放していた。ああ楽しい、このおしっこ、人生最高のおしっこだわ・・・同じ人格破壊でも唾は一発一発細切れなのに対し、おしっこを引っ掛けるのは連続した責めだ。シャブをやりながらのセックスが連続した絶頂感を与えるのと同じように、おしっこを慎治の顔に引っ掛けるのは富美代に連続したね無限の間とも思えるほど持続する絶頂感を与えてくれた。至福の時を噛み締めながら富美代はたっぷりと、我ながら驚く程の量のおしっこを慎治に浴びせ掛けた。漸く富美代が放尿を終えた時、慎治の全身は頭のてっぺんから足の先まで、富美代のおしっこでビショビショにされていた。「ああすっきりした。あ、慎治、未だ立たないでいいよ。次は朝子が来るから、そのままで待ってなさい。」自分の排泄したおしっこにまみれながら、余りの悔しさにすすり泣き続ける慎治に構わず富美代はさっさとズボンを履き、トイレから出て行った。
「あ、富美ちゃん帰ってきた!どう、上手くいった?」「もちろん!慎治ったら、馬鹿みたいにメソメソ泣いてるよ。朝子、早いとこ仕上げしてやってよ。」「OK!任せといて!」朝子は慎治の服を掴むとトイレに入っていった。「ああ、本当だ。慎治ったら本当に意気地なしね!おしっこ引っ掛けられた位でそんなに泣いちゃって、慎治、あんた本当に男の子なの?」朝子は笑いながら慎治の目の前に服を放り出した。「あ、ありが・・・いだだ!」服を掴もうとした慎治の手を朝子はブーツで踏みつけた。「バーカ、甘ったれるんじゃないの!私が慎治のこと心配して服持ってきてあげた、とでも思ったの?」にやにや笑いながら朝子もズボンのボタンを外し、パンティごと一気にずり下ろし、慎治の服の上にしゃがみこんだ。「あ、ああ・・・そ、そんな・・・」「あ、やっと分かったみたいね。じゃ、そこでしっかり見てるのよ。私が慎治の服、おしっこまみれにしてあげるところをね!」いい終わると同時に朝子は放尿を開始した。放尿しながら腰を回転させ、慎治の服に隈なくおしっこを行き渡らせる。あ、ああ・・・慎治は自分の服が朝子のおしっこでびしょびしょになるのを呆然と見ていた。ひ、ひどい・・・自分の全身は富美代のおしっこまみれ、そして服は朝子のおしっこまみれ。水道もないここで、どうやってきれいにすればいいの!?慎治の絶望の表情を楽しみながら、朝子は存分に放尿を楽しんだ。ふう、さっぱりした・・・立ち上がり、ズボンを履きなおした朝子は慎治に言った。「さ、慎治、行こう。もうみんなお待ちかねよ。慎治もま、今日はよく頑張った、てことで、この位で許してあげる。その服持って、さっさとおいで!」
朝子はそう言い残すとさっさとトイレから出て行った。「あ、朝子、お帰り。慎治は?」礼子が早速尋ねた。「うん、すぐ来ると思うよ。あ、ほら来た!」「あ、慎治お帰り・・・あーあ、なにその格好!全く、服持ってるんならちゃんと着てくりゃいいじゃない!あら、玲子、慎治、なんか垂れてない?」「・・・本当だ。あ、慎治、よく見るとあんた、ビショビショじゃない!あーあ、体だけじゃなくて服もビショビショじゃん。あ、そうか・・・分かった!富美ちゃんと朝子、あんたたち、慎治に飲ませたんじゃなくて、思いっきりおしっこ引っ掛けたんでしょ!」「そうなの!」富美代と朝子は声を合わせて答えた。「ねえ、ばっちい思いしながら帰るのが信次だけじゃ不公平でしょ?だから慎治のこともおしっこまみれにしてあげた、てわけ。」礼子たちは呆れたように肩をすくめた。「全く、富美ちゃんも朝子も苛めっ子なんだからもう!ねえ玲子!?」「本当よねえ。仕上げのこの苛め、私と礼子とじゃ、ちょっと考え付かないよねえ。」「あん、もう!礼子たちひっどーい!なんか私たちのこと悪者にしちゃてるーっ!自分たちだって楽しんでるくせに!」「まあね。でもまあそれはそうとして、そろそろ本当に帰ろうか。いい加減寒くなってきたよね。」

確かに日はもう完全に沈み、冷気が急速に忍び寄っていた。四人の美少女はさっさと荷物をまとめると各々の愛馬に跨った。ああ、やっと帰れる。慎治たちもほっとしていた。同時に耐え難い寒さを感じた。ブルッ・・・素っ裸でいられる気温ではなかった。服を着なくちゃ・・・と、見た自分たちの服。それは余りに悲惨な状況だった。慎治の服はおしっこでビショビショ、信次の服は馬糞まみれ。信次の全身あちこちにはまだ馬糞がこびりつき、慎治は髪や体のあちこちから富美代のおしっこを滴らせている。ど、どうすりゃいいんだ・・・恨みがましそうに、かつどこか救いを求めるかのように慎治たちは馬上の礼子たちを見上げた。だが勿論、救いの手など差し伸べられるわけがない。
「信次、二人とも道は分かっているね。遅いと先帰っちゃうからね!道草食わないでさっさと帰ってくるのよ!じゃ、みんな行こう!ハッ!」玲子の声を合図に四人は一斉に馬を走らせ、グラウンドから去っていった。取り残された慎治たちは暫く呆然としていた。寒い・・・日はとうに翳り、急速に迫る冷気は慎治たちの体温を容赦なく奪う。服を、早く服を着なくちゃ、で、でも・・・「ど、どうする・・・」「どうするって・・・き、着るの?こ、これを???」慎治たちは自分の手にある、汚れきった服を力なく見つめた。朝子のおしっこ、馬糞にまみれた二人の服は見るだけで吐き気を催すほど汚い。だがクラブまではどう考えても5キロはある。一時間はかかる道のりだ。それだけの距離を全裸で歩ききることは不可能だ、凍死すらありうる。命にも関わりかねない無謀さだし、第一いくら人通りは殆ど無い、と言っても無人島にいるわけではない。たまには人も通るし車も通る。その道のりを全裸で歩いていくのはきちがい沙汰だった。
先に動いたのは慎治だった。全身に引っ掛けられた富美代のおしっこは、最初こそ富美代の体温と同じ温もりを持ち、慎治をむしろ温めてくれる温水だったがとっくに冷め切っていた。冷め切った富美代のおしっこは、今では慎治の体の表面から容赦なく気化熱を奪い、排泄した当の富美代が去った後も尚、慎治のことを今度は寒さで苛め続けていた。ブルッと慎治の全身が悪寒に震えた。カタカタカタカタ・・・気がつくと奥歯が寒さに鳴っていた。ふ、拭かなくちゃ・・・せめて体を、富美ちゃんのおしっこを拭かなきゃ、風邪ひいちゃう・・・だが体を拭くタオルなど、どこにもない。拭くもの、なにかないかな・・・あるものは唯一つ、自分が持っている服だけ、朝子のおしっこでびしょびしょになっている服だけだった。こ、こんな、こんなもので・・・ふ、拭くの・・・だが他に選択肢は無い。寒さに震えながら慎治は手に持った服をギュッと絞った。ボタボタ・・・服から大量の朝子のおしっこが絞り出され、地面に垂れていく。絞り出されたおしっこの一部は慎治の手を伝って垂れていく。ち、ちくしょう・・・な、なんで・・・お、おしっこを・・・他人のおしっこを絞らなくちゃいけないんだ・・・ち、ちくしょう・・・慎治は悔し涙を洩らしながら絞り続けた。
漸く絞り終えた服で自分の顔を、髪を、体を拭く。冷たく湿った服で拭いていると、まるで朝子のおしっこを自分自身の手で顔に、髪に、体にすり込んでいるようだった。いや、それだけではない。排泄されてから時間がたった二人のおしっこはアンモニア臭い臭気を増しつつあった。自分の全身から立ち上る富美代のおしっこの臭いは徐々に強くなる臭いだからまだ余り感じずに済んでいたが、服にたっぷりと浸み込んだ朝子のおしっこの臭いはそうはいかない。真っ先に顔を拭こうと服を顔に近付けた時、ツンと悪臭が鼻をついた。すぐに分かるおしっこの臭い。自分のものと余り変わらない臭い。自分が他人のおしっこまみれの服で顔を拭こうとしている、と否応なしに実感させる臭いだ。余りの嫌悪感に吐き気すら感じる。なんとかにおいを感じないようにと息を止めながら顔を、体を拭くがおしっこの臭いは鼻、というより直接脳に浸み込んでくるようだ。いくら息を止めても、必死で考えまい、としても富美代と朝子のおしっこの臭いは慎治の嗅覚から決して立ち去らなかった。そしてふと気づくと、折角絞った服に今度は富美代のおしっこがしみ込み、また濡れてきていた。もう一回服を絞る。チョロチョロと富美代のおしっこ、いやおそらくは富美代と朝子のおしっこがミックスされた液体が搾り出される。絞り終えた服でもう一度全身を拭く。富美ちゃんと朝子のおしっこを全身にすり込んでいる・・・漸く全身を拭き終えた慎治の手がワナワナと震える。次に何をしなくてはいけないか、一つしかない。服を着ること。朝子と富美代のおしっこがたっぷりとしみ込んだ服を着ること。そしてクラブまでの道のり、一時間はかかる道のりを二人のおしっこまみれの服を身に纏いながら歩き続けねばならないのだ。ほ、本当に・・・こ、これを・・・き、着るのか???慎治は二人のおしっこが浸み込み、重く湿った服を見続けた。だが寒さは刻一刻と増している。もう限界だった。グッと吐き気を堪えながら一気に服に頭を、腕を通す。冷たく冷え切った服の冷たさにゾクッとくる。だ、だめ、か、考えちゃ・・・い、一気に着なくちゃ!!!必死の形相でブリーフとズボンを履き、スニーカーを履く。ビチャッ・・・スニーカーの中に溜まっていた朝子のおしっこが内底のクッションからしみ出る。ぐ、グエエッッッ!!!限界だった。慎治はその場に突っ伏し、激しく嘔吐した。
一方、信次も状況は似たようなものだった。全身が濡れてはいない分、慎治よりいくらか寒さはマシ、とは言っても単なる比較の問題だ。裸でいられる時間は限られている。横で慎治が全身を拭きだしたのにつられるように、信次も作業を開始しようとした。でもどうやって?おしっこではない、信次は全身馬糞まみれだ。服も馬糞まみれだし、そして仮にその服で体を拭いたところでどの道、着ていける服はそれだけなのだ。何の解決にもならない。信次は呆然と自分の手を見た。どう考えても方法は一つしかない。手で、自分の素手で全身と服にこびりついた馬糞を可能な限りこそぎ落とすしかない。う、嘘だろ・・・ば、馬糞を・・・て、手で?いじるの???信次は余りのことに全身を怒りでワナワナと震わせていた。だが信次をこの地獄に突き落とした朝子たちは既に帰ってしまっている、抗議の声をあげる相手すらいないのだ。信次がここでいくら絶叫しても、朝子たちの耳に届きすらしない。そして寒さは刻一刻とつのっていく。
ち、ちくしょぅ・・・信次は弱々しく呪いの言葉を呟きながらのろのろと手を動かし、まず胸にこびりついた馬糞に触れた。未だ乾いていない馬糞の冷たく、ねっとりとした感触が堪らなく気持ち悪い。粘土、というには柔らかすぎる、やや固めに練った泥、といった感触だ。必死でこそぎ落とし、指についた馬糞をグラウンドの芝になすりつけるように拭く。胸、腹、腰・・・信次は必死で作業を続けた。だが水もなしで拭こうとしても限界がある。やがて体中、まだまだ十二分に汚いのに殆ど取れなくなってしまった。いくらこそぎ落とそうとしても、もう馬糞は落ちない、却って自分で自分自身の体に擦り込んでいるようなものだった。ち、ちくしょう・・・も、もう駄目なのかよ・・・信次は体を諦め、服に取り掛かった。だがこっちはもっと酷い。富美代に踏み躙られ、信次の服には馬糞がたっぷりと擦り込まれた状態だ。手できれいになどできるわけがない。精々、大きな塊を落とすのが関の山だ。必死で作業を続けたが、直ぐにどうしようもなくなってしまった。信次は血走った目で手に持った服を凝視した。く、くそ・・・こ、これを・・・着ろっていうのかよ!!!あ、あんまりだ・・・あ、朝子は、朝子も富美代もこうなっちゃうのを知ってて、知っててやったんだ!あ、あんまりだーっ!!!ぜ、ぜったい、絶対着るもんか!!!
だが信次の誰にも気付いてさえもらえない情けない決意など、寒さの前では全くの無力、あっという間に覆されてしまう。ヒュゥッ・・・風、そよ風程度だが風が吹き、一層寒さがつのる。横では慎治が体を拭き終え、のろのろと富美代と朝子のおしっこまみれの服を着始めている。ブルッ・・・だ、だめ、もう我慢できない・・・寒さに歯をガチガチ鳴らしながら信次は一気に、馬糞まみれの服に頭を、腕を通していった。草食動物である馬の糞は人間のに比べ、遥かに臭いは少ない。しかも人間の感覚で嗅覚は最も鈍感かつマヒしやすい感覚だ。実際、全身を馬糞まみれにされた当初暫くは悪臭に苛まされていたものの、少しは鼻が慣れたのか、悪臭は苦痛というレベルではなくなっていた。しかし服を着て、新しい馬糞がプラスされるともう駄目だった。擦り込まれ、広げられた分、悪臭は体からの臭いより服からのものの方が却ってきついかもしれない。ガ、オヴェーーッッッ!!!信次も耐え得る限界を超えてしまった。吐いても吐いても吐き気はおさまらない。いや自分のゲロの臭いと馬糞の臭いがミックスし、更に横で吐いている慎治のゲロの臭いも加わり、破壊的なレベルに達した悪臭が更なる吐き気を呼ぶ。だ、だめ、こ、ここにいたら・・・信次は必死で立ち上がり、ふらつき、ゲロをそこここに撒き散らしながら歩いていった。

やがて胃液すら吐き尽くした二人はよろよろと立ち上がった。「か、帰ろう・・・」「あ、ああ、か、帰ろう・・・」二人はとぼとぼとグラウンドを出て人気のない道を歩き始めた。道に出たところで慎治は後ろを振り返った。このグラウンドにだけは二度と、絶対にこないぞ・・・だが内心分かっていた。礼子たちがこのグラウンドでの遊び、大いに気に入ったに違いないことを。そして慎治たちがどんなに嫌がろうが泣き喚こうが、これから先、何度も何度もここに連れてこられ、今日同様、死ぬほど鞭打たれ、引き摺り回され、何度も何度もおしっこを飲まされることを。そのことが容易に想像できるだけに、慎治たち二人の絶望は深かった。だが、今は泣いている時ではない。二人は重い足を引き摺り、歩き続けた。
途中、どこかで公園でもあれば体を洗おう・・・二人はそう思っていたが、そもそも人気のない田舎で公園などある筈がない。歩いても歩いても体を洗える水道はない。願いも空しく歩き続けた二人にやっと救いの神が現れた。乗馬クラブの案内の看板が道端に立っていた。「ああ、あと少しだね・・・」「うん・・・早く、とにかく早く体を洗いたいよ・・・」微かな希望に二人は歩みを速めた。そしてやっと現れた乗馬クラブ入口の看板。こ、ここを曲がればクラブハウスまでもうすぐだ!やっと、やっと体を洗える!だが喜び勇んで角を曲がった二人が見たものは、路肩に停車している見慣れた二台のランクルと、その周りで楽しそうに談笑している6人の男女だった。
「やあ、慎治君たち、遅かったじゃないか!お嬢さんたち、お待ちかねだよ!」良治の夕暮れ時には相応しくないほど明るい声が響いた。「そうだよ全く!みんな待ちくたびれてブーブー言ってたよ。駄目だなあ、女の子を待たせちゃあ!」負けず劣らず爽やかに大声を出す亮司の後ろから玲子たち四人が近づいてきた。全員、既に着替えていた。シャワーを浴びて汗を流し、ゆっくりと寛いでいかにもさっぱりとした礼子たちと、全身ボロボロで疲れきった、生気を失った慎治たち。しかも慎治たちは糞尿と汗にまみれ、凄まじい悪臭を放っているのだ。う、羨ましい・・・ぼ、ぼくたちも早く体を洗いたい・・・
「遅かったわね信次・・・ウッワーッ!クッサーイッ!」玲子の大声に笑いながら礼子も近づいてきたが、慎治たちの傍までくると大袈裟にのけぞった。「ワッ!本当だ。二人とも全く、臭いったらありゃしない!なんなのよあんたたち、その臭いは!まるでホームレスみたいじゃない、ちょっと近づかないでよ、私まで臭くなっちゃいそう!」富美代と朝子も近づいてくるなり、キャァッと声をあげて飛びのいた。「うわっ、、、なにこの臭さ!慎治、あんた全身、おしっこ臭いじゃない!こんな臭い撒き散らしながら歩いてきたわけ?」慎治の目から押さえきれない悔し涙が溢れた。「そ、そんな・・・お、おしっこ、おしっこひ、ひっかけたのは・・・ふ、富美ちゃんじゃないか!そ、それを、じ、じ、自分で、自分で引っ掛けておいて、く、臭いだなんて・・・あ、あんまりだ、あーんまりだーっっっ!!!」「うるさいわね慎治、確かに私、おしっこ引っ掛けたわよ。だけどそのままで歩いて来い、だなんて言っちゃいないわよ?どこかで洗ってくればいいでしょ!水道探すなり、何もなかったらそれこそ川で洗ったっていいじゃない!おしっこまみれで帰ってきたのは慎治の勝手でしょ、全く!平気でおしっこまみれでいられる変態のくせして私を逆恨みするだなんて、慎治、あんた本当に根性腐ってるわね!ペッ!」渾身の軽蔑を込めて吐き出された富美代の唾が慎治の鼻先を直撃した。「ハッハッハッ!慎治君、君の負けだな、その格好じゃ何言ったって説得力ないよ!第一、女の子に唾引っ掛けられるなんて、男の一生の恥だな!」良治は楽しそうに笑いながら頷いている。
朝子も大きく頷いた。「本当よねー。信次、私も信次には心底驚かされるわ。まっさか、お馬ちゃんのうんちまみれのままで帰ってくるとわねー。いくらあんたでも、流石にどっかで体、洗ってくるとは思ったんだけどねー。うん、凄い、あんたは偉い!感動した!ペッ!」信次の額から朝子の唾がゆっくりと頬を伝っていく。「うーん、ま、信次君、馬糞まみれで歩き回った挙句に女の子に唾引っ掛けられてたんじゃ、君、人間廃業だよ。折角こんなに可愛い女の子たちが付き合ってくれてるんだからさ、お兄さんはもう少し、自分を大事にすることをお勧めするよ!」な、何が自分を大事にだ!亮司の過剰なほど爽やかな、偽善に満ち溢れた言葉が信次の踏み躙られたプライドを更に痛めつける。だが、未だ、未だ終わってはいなかった。
ポンッと礼子が慎治たちの目の前に二つの財布を放り投げた。え、なにこれ・・・僕たちの財布だ。なんでここで財布を渡されるの???訝る二人を見て礼子が冷たく微笑んだ。「慎治、いい?このクラブはね、高級な、上品なクラブなの。はっきり言ってね、おしっこや馬糞にまみれた汚いホームレスに入られちゃ、困るのよ。だからね、あんたたちも私たちと一緒にチェックアウトしといたわ。荷物も全部出して、もう亮司先生たちのランクルのトランクに入れといたからね。」「そ、そんな・・・じゃ、じゃあ・・・シャワーも浴びられないじゃないですか!」「ひ、ひどい!じゃ、せ、せめて・・・せめて荷物だけは返して!す、水道だけ借りて着替えるから、せ、せめて荷物だけは・・・」哀願する信次たちを満足げに見下ろしながら、玲子が後を引き取った。「そう。礼子の言うとおり、汚い格好でこのクラブの回りをうろつかれちゃ迷惑なのよ。あんたたちはどう見ても常識っていうものが全くない恥知らずみたいだからさ、放っといたらこんなとこで裸になったり、汚い体洗い始めたりしてクラブのみんなに大顰蹙買いそうだわ。だからね、そんなバカな真似できないようにあんたたちの荷物、私たちが預かっといてあげる。この道まっすぐ行けばJRの駅だから、そこの待合室に置いとくわよ。ま、無くなるといけないから一応、貴重品だけは返してあげる。」「分かったわね、二人とも。そんな汚い格好でクラブに入ったりしたら、後で酷い目に会わせるからね!最も、」礼子は慎治たちに言い渡しながらクスクスと笑い出した。「このクラブ、セキュリティはしっかりしてるからね。ちゃんとゲートのところではフルタイムでガードマンが入場者をチェックしているわ。あんたたちみたいな汚いの、絶対に入れてくれないけどね。嘘だと思うなら、試してみてもいいわよ。」
あ、ああ・・・そ、そんな・・・慎治たちはへなへなとその場に座り込んでしまった。や、やっと、やっと体を洗えると思ったのに。やっと着替えられる、と思ったのに。また、また歩け、て言うの?こ、ここから駅までってどれ位あったっけ・・・ぞくっ・・・二人の背筋に悪寒が走った。どう考えても10キロはある・・・ば、倍・・・グラウンドからここまでの倍以上じゃない!!!「お、お願い・・・」思わず慎治は両手を胸の前で組み、祈りのポーズになって哀願した。「お、願い・・・じゃ、じゃせめて、せめて・・・駅まで僕たちも乗せて行って・・・おねが・・・」信次も必死で哀願した。「そ、そう、そうだよ!!!せめて駅まで、と、トランクでもどこでもいいから、おねがい、おねがいしま・・・」だが慎治たちの哀願は亮司の声に掻き消されてしまった。「おいおいバカ言っちゃいけないよ慎治君!僕たちの愛車だよ、いくらなんでもそんな汚いままで乗せられるないだろう!?なあ良治?」「ああ、全くだ!それにね、二人とも行きは一緒に乗せて来てあげたろう?で、一日中玲子君たち美女を独占してたっぷり楽しめたんだ。せめて帰り位、僕たちにも美女独占のサービスタイムにしてくれてもいいんじゃないかい?言われなくても気を利かせて、ここで失礼します、位のこと言えなくちゃ駄目だよ、全く気が利かないなあ。」

必死で喚き続ける慎治たちを無視し、一行はさっさと二組に分かれてランクルに乗り込みむと未だ立てないでいる慎治たちをその場に放り出したまま、さっさと走り去ってしまった。あ、ああ・・・行ってしまった・・・二人は無言のまま、暫く呆けたように涙を流しながらすすり泣いていた。泣き続けている二人の横を、クラブから出て行く何台もの高級車が過ぎていった。立てなかった。立ち上がる気力はもうどこにもなかった。だが、いつまでも座り込んでいることすらできなかった。「おい、ここで何をしているんだ!?」野太い声が頭上から降ってきた。見ると大柄な、がっしりとしたゴリラのような体格のガードマンが慎治たちを見下ろしていた。礼子たちか、あるいは慎治たちの横を通り過ぎていった誰かがクラブに連絡したのだろう。「ここは私有地だぞ。さっさと出て行くんだ。大体、そんな汚い格好でこの周りをうろうろするんじゃない!ここのお客様の迷惑だろう、さっさとどこかに行け!」「は、はい・・・い、行きます、行きますから、お願い、水道だけ貸してくださ・・・」慎治は最後まで言うことすらできなかった。「何をバカ言ってるんだ!おまえらみたいな汚い、臭いガキを入れるわけないだろう!さっさと失せろ!ぶん殴られたいのか!」そのガードマンは腰に差した警棒を引き抜き、慎治たちを無慈悲に追い立てた。「おら、さっさと失せろ!また来るからな、その時に未だこの辺うろついてたら、足腰立たなくなるまでぶん殴るぞ!」
融通、慈悲など全くない、脳まで筋肉で出来ているようなガードマンに追い払われ、慎治たちは暗い夜道を駅に向かってとぼとぼと歩き出した。疲労、苦痛、絶望・・・ありとあらゆる負の感情が二人を支配する。10キロ・・・二時間はかかる。既に真っ暗になり、気温は急速に下がっている。身に浸み入る夜の冷気に震えながら、慎治たちはとぼとぼと歩き続けた。単調な田舎道。ポツン、ポツンと立つ街燈の回り以外は真っ暗な道。歩く人などいない、時折自動車が猛スピードで走り過ぎるだけだ。寂しい夜道を二人は延々と歩き続けた。既に疲れた、という感覚からなくなりつつある。ただただ足を動かすだけ。多分、一度止まったらもう歩けない。そして歩けなくなっても、慎治たちを心配してくれる人はどこにもいないのだ。止まったら・・・マジで死ぬかもしれない・・・死に対する恐怖のみが二人の足を動かしていた。
延々と歩き続ける内に、漸く何もなかった道端にポツン、ポツンと民家が建ち並び始めた。ああ、漸く駅に近づいてきたんだな・・・少し、ほんの少しだけ元気を、余裕を取り戻した途端、忘れていた感覚が蘇ってきた。嗅覚が。二人の体にこびりついた汚物はもう、すっかり乾いていた。だが富美代たちのおしっこも馬糞も時間が経つにつれ、乾いてきたはいいものの臭いはむしろきつくなっていた。く、臭い・・・急に自分の発散する悪臭を感じた。自分が悪臭にまみれ、場末の公衆便所なみの悪臭を発散していることがわかる。そして全身から立ち上る臭いが、体に付着した汚れから出ているのではなく、自分自身の体から出ている、そう、自らの体臭のような気さえしてきた。悪臭に頭がクラクラしてきた。「ふ、富美ちゃん・・・あ、朝子さん・・・ひ、酷いよ・・・」ぼそっと慎治が呟いた。富美代に引っ掛けられたおしっこはとっくに乾いている。かなりが全身に浸みこんでしまっているだろう、もう体を洗っても拭いても、落とせないに違いない。そして服に引っ掛けられた朝子のおしっこも慎治の体温で既に乾燥している。二人分のおしっこがミックスされた僕の体臭。この臭い、もう抜けないんじゃないだろうか・・・
「ひっ・・・ひっく・・・う、ウエッッッ・・・」傍らからすすり泣きが聞こえた。見ると信次が肩を震わせて泣いていた。「し、慎治なんか、ま、まだ・・・まだいいよ・・・お、おれなんか・・・ば、馬糞だぜ???う、うんこまみれだよ・・・」信次も涙を流していた。二人はメソメソ泣きながら歩き続けた。やがて着いた駅はローカル線の小さな無人駅だった。誰もいない、蛍光灯が寒々と冷たい光を発する待合室を見ると、二人のバッグが置いてあった。良かった・・・無くなってなかった・・・小さな喜びを噛み締めつつ二人はバッグをひしと抱きしめた。ああ、良かった・・・これでやっと、今度こそ体を洗える・・・水道はどこ?だがホームに水道はなかった。やっと見つけた水道はただ一つ、今時男女共用になっている小さな便所の手洗い用だけだった。無人駅だけに、ろくに掃除もされていない小汚い便所だ。べ、便所・・・また便所・・・だが他に選択肢はない。二人はのろのろと服を脱ぎ、体を洗い始めた。冷たい水を何度も何度も体にかける。バッグから引っ張り出したタオルで何度も何度も全身を拭く。だが所詮、冷水で拭いただけだ、完全にきれいにはならない。30分近く洗い続け、とうとう諦めた二人はのろのろと服を着始めた。
「駅の便所で体を洗って着替えか・・・俺たち、ホームレスみたいだな・・・」ぼそっと信次が呟いた。「ホームレス・・・はは、確かにね。でもホームレスの方が未だマシかもね・・・」「そうだよな・・・ホームレスは鞭で叩かれたりしないよな・・・」「それに、おしっこ引っ掛けられたりもしないよね・・・」はは、はははは・・・・二人は力なく笑い続けた。「慎治の背中、見事な蚯蚓腫れだらけだぜ・・・」「そういう信次の背中なんか、もうどす黒くなってるよ・・・お互い、酷くやられたもんだね・・・」「ああ、今までは玲子さんたちだけだったのが、朝子や富美代もいたんだもんな・・・」「倍、本当に倍、鞭で叩かれたよな・・・富美ちゃん・・・幼馴染なのに・・・」「朝子、苛めた、苛めたって・・・ちょっとからかっただけなのに・・・100、100万倍返しだなんてよ・・・」「あれじゃ礼子さんたちと変わらないじゃないか・・・」「う、ううん・・・玲子さんたちより、しつこい位かもしれないよな・・・」もう止まらなかった。一瞬、二人の視線が合った。「ち、ちくしょう・・・」「ひ、ひどいよ、ひどすぎるよ・・・」「鞭だなんて・・・」「ブーツだなんて・・・」「唾だなんて・・・」「おしっこだなんて・・・」「お、おれたちだって・・・」「に、にんげん、にんげんなんだ・・・」「そ、それを・・・」「あ、あんまりだ・・・」「こ、このままじゃ殺されちゃう・・・」「じ、自殺してやろうか・・・」自分の言葉に驚いたように慎治が悔し涙と涎でグチャグチャの顔をあげた。「で、でも・・・な、なんで、なんでぼくたちが、ぼくたちが自殺しなくちゃいけないんだ・・・」信次もグチャグチャの顔をあげた。「そ、そうだ、そうだよ・・・し、死ぬのは、死ななくちゃいけないのはおれたちじゃない・・・あいつらだ・・・」「天城礼子と」「霧島玲子と」「神崎富美代と」「萩朝子だ!!!」「あ、あいつらを」「あいつらをこ、殺してやる」「や、やっつけてやる、仕返ししてやる!」「ひ、酷い目に、俺たちよりも酷い目に会わせてやる!」「お、思い知らせてやる!ぼ、ぼくをバカにするとどうなるか!」二人は自分たちの言葉に酔ってきたかのように叫び続けた。熱に浮かされたように。そうやって憎悪を募らせることだけが唯一、生への執着と希望を掻き立てるものだった。例えその希望が、パンドラの箱に唯一入っていた希望と同じく、自分たちをより深い地獄へと導くものだとしても。見詰め合う二人の口から同時に言葉が迸り出た。
「ふ、、ふ、復讐してやる・・・」「り、り、リベンジ、リベンジだーーーっっっっ!!!」